魔理沙のタイムトラベル   作:MMLL

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第294話 (2) 魔理沙が忘れた記憶 魔理沙の軌跡⑧ 初代博麗の巫女⑧ 修行29日目 霊夢とマリサの決意

 神社の縁側に座り、お茶を飲みながら千絵達の修行を眺めていると、2時間程経った頃に霊夢が帰って来た。

  

「よう、どうだったんだ?」

 

 浮かない表情の霊夢は私の隣に座りながら答えた。

 

「そうね。まず迷いの竹林で見かけた妹紅に長生きの秘訣を聞いたんだけど、『あんまり長生きしたって良い事は無いぞ』って暗い顔で言われたわ」

「まぁ、妹紅なら言いそうだな」

「それから永遠亭の庭で盆栽のお手入れをしていた輝夜にも同じことを訊ねたんだけど、『特に意識してないわね。私よりも永琳が貴女の求める答えを知っているわ』って答えが返って来たの。だから私は永遠亭の診察室に行ってね、診療の準備をしていた永琳に相談したのよ」

「ふむふむ、永琳はなんて言ったんだ?」

「『バランスの良い食事を摂り、毎日適度な運動を心掛けつつ、充分な睡眠をとるのが大事よ』」

「ただの一般論だな」

「それに私は仙人よ? この道を歩み始めた時から既に実践しているわ。だから私は更に深く質問したのよ。『蓬莱人みたいに宇宙の終わりまで生きるにはどうしたらいいのかしら?』って」

「どんな答えが返って来たんだ?」

「『生きる為の強い意志と覚悟が大切だわ。長寿の妖怪は精神が成熟するの。それは決して悪い事ではないけれど、いずれ来る終わりを自然の摂理として受け入れてしまっている。恐らく未来の貴女も、そんな考えで死を迎えたのしょうね。貴女が魔理沙の為に生きるつもりなら、あらゆる可能性を模索して最善を尽くしなさい』」

「強い意志と覚悟か。永琳が精神論を唱えるなんて珍しいな」

 

 個人的に精神論は嫌いじゃないが、それだけで万事解決とはいかない。裏付けされた理論を実践する時の後押しとして用いるのが一番効果的だ。それを永琳が分からない筈がないんだがな。

 

「私も同じ疑問を呈したわ。そうしたらね、『肉体的な限界がある人間と違って、妖怪は精神に強い比重を置く存在。条理を覆すには、自らの手で奇跡を起こすしかないのよ』って」

「奇跡か……」

 

 普通には起こりえない現象の事を奇跡と言うのであって、狙って起こせたら苦労しないんだがな。早苗ならある程度コントロールできたのかもしれないが。

 

「そこで私は思い立ったわ。奇跡を起こす為にも、まずは方向性を定める必要があるでしょ?」

「方向性?」

「ちょっと待っててね」

 

 そう言って霊夢は一度神社の奥に引っ込むと、一冊のノートと鉛筆、幻想郷縁起を持って戻って来た。

 

「ユリ~! こっちに来てもらえるー!?」

『は~い!』

 

 境内の奥で千絵と杏子と共に幣を振っていたユリは、霊夢の呼びかけに答えてすぐにこっちにやってきた。

 

「ユリ。これは西暦215X年の幻想郷縁起よ。この中であんたの時代でも健在の妖怪を教えてちょうだい」

『私はいいけど、伝えても良いの魔理ちゃん?』

「……なるほど、そういうことか。ユリ、教えてやってくれ」

 

 これまで霊夢はユリの時代の幻想郷について深く訊ねるような事はしなかったし、ユリもまたこの時代の影響を考えて、霊夢の交友関係にある妖怪の将来について語るのを避けていた。

 きっと霊夢は、西暦100溝年まで生きる為の参考にしようとしているのだろう。

 

『うん! えっとね~』

 

 ユリは幻想郷縁起を最初のページから順番に開きつつ、知っている妖怪を指さしていき、霊夢はその名前をノートに書き込んでいく。幻想郷の異変解決が弾幕ごっこに変わった、西暦2003年の紅霧異変以降に霊夢が出会った順番となっている。

 やがてリストアップが終わり、妖怪少女達の名前を見ていた霊夢は、何かに気づいたように指を差した。

 

「ねえ、これって種族事に分けられるんじゃないかしら」

『あっ! 確かにそうですね!』

 

 霊夢はノートに書きこまれた妖怪少女達の名前を、今度は種族事に分類していく。すると大きく分けて5つの種族が浮かび上がり、私はそれを見ながら考える。

 まずは蓬莱人。永琳が開発した不老不死の効能を持つ蓬莱の薬を飲んだ人間であり、永琳、輝夜、妹紅等がこれに当てはまる。最早細かい説明は要らないだろう。

 続いて吸血鬼。レミリア、フラン、咲夜が該当する。弱点が多い代わりに強靭で無限の生命力を持つ種族で、西暦100溝年のスカーレット姉妹は美しい大人の女性へと成長している。

 次に妖精。チルノや大妖精達が当てはまる。彼女達は自然の権化であり、幻想郷の自然が失われるか、博麗の巫女に退治されたりしない限り何度死んでも復活する不変の存在だ。その性質上、異変でも起きない限り彼女達の本質が変化することはない。妖精はいつの時代も無邪気なのだ。

 そして神だが、日本には八百万の神という考えがあるように、幻想郷にも様々な神様が存在する。諏訪子、神奈子、隠岐奈、ヘカーティア等々。神は信仰さえあれば、存在が消える事無く力を十全に発揮できるので、寿命はあってないようなものだ。将来的には異星文明で信仰されていた神も幻想郷に入ってきて、ちょっとした異変が起きるのだが、今はその話はいいだろう。なお、このリストでは神霊・神獣・閻魔等も一纏めにされている。

 幽霊という種族は幽々子や妖夢らが当てはまる。元々死んでいる為、成仏しない限り現世にとどまり続けることができる。ちなみに、西暦100溝年では妖夢は半人半霊ではなく、全身全霊――幽々子と同じ完全な幽霊になっている。

 最後に月人とは、太古の昔に地球を捨てて月に移り住んだ人々だ。身近な所だと綿月姉妹やサグメが当てはまる。私が渡した原初の石を解析し、穢れを浄化できるようになった事で、寿命の枷から解き放たれた。彼女達のテクノロジーは他の銀河の惑星連合と同等もしくはそれ以上の水準であり、月のサイズと文明の規模を考えると、異様に発展している。宇宙船地球号を建造する時にも、月人達の協力が必要だ。

 このどれにも当てはまらない例外は、紫、慧ノ子といった、いずれも能力を用いて不死性を発揮している妖怪だ。

 分類を終えた霊夢は、ノートを睨みながら呟いた。

 

「こうして羅列してみると、長命の種族に偏りがあるわね。……仙人、天人、魔法使いは一人もいないのね」

「確かに、奇跡でも起こさない限り難しいな」

『いっそのこと、他の種族になったりは出来ないのかな?』

「それは……考えたことが無かったわね」

 

 ユリの提案に、霊夢は少し考えた後。

 

「そうねぇ。実際になるかどうかは別として、この中で私がなれる可能性があるのは神ね」

『えっ、神様!?』

「なんでそう思ったんだ?」

「まず蓬莱人は永琳が許さないし、妖精は人間がなれるものじゃないわ。吸血鬼と幽霊は、私の立場的に人間にとって脅威と思われてしまうから駄目でしょ? 閉鎖的な月の民が私を受け入れるとも思えないし、私自身も幻想郷に住み続けたいわ。言って見れば消去法ね」

 

 霊夢が神か……ううむ、そんな未来はあり得るのだろうか? 人里における霊夢の人気と信仰を考えると、本人のやる気さえあれば不可能では無いが……。

 霊夢の未来を観測出来たらいいのだが、いずれ来る彼女の“完璧な死”を直視できないので、どの道が正しいのか分からない。だから私は未来に基づく事実ではなく、自分の考えを述べる。

 

「それなら、霊夢は博麗神社の神になるべきだな。未だに何を祭ってるのか分からんし、ちょうどいいだろ」

「一応祭神はちゃんといるんだけど、滅多に表に出てこないのよね」

『私は賛成! 守矢神社みたいに、神様が二人いてもいいと思う!」

「もしお前が神になるなら、私は信者1号になってお前を全宇宙に布教してやるぜ」

『私も負けないよ! 霊夢ちゃんの為なら、幻想郷中に伝道するからね!』

「ふふ、ありがとう」

 

 それからも色々議論を尽くしたが結論は出ず、今は千絵の修業に集中し、歴史改変が起きた後に再考することにして、霊夢とユリは修行の監督に戻っていった。

 

 

 

 日が傾いて来た頃に修行が終わり、霊夢達と別れて自宅に帰ってきた私を姉さんが出迎える。

 

「よう、おかえり」

「ただいま」

「お前を待ってたんだぜ?」

 

 その出迎えの言葉とは裏腹に、姉さんの顔は渋い。

 見当は付いているものの、先にベラベラ喋っても心証が悪くなるだけなので、私は何も知らないていで訊ねる。

 

「どうした? 私に何か言いたいことでもあるのか?」

「昼間に霊夢から話は聞いたぜ。西暦100溝年の事、なんで今まで黙ってたんだ?」

「姉さんはもうその時代には居ないんだ。話した所で意味が無いだろう」

「なんだよその言い草。私はお前の姉だぜ? そんなに頼りないか?」

「……悪かったよ」

 

 姉さんはどうやらかなり怒っているようだ。別に姉さんが気にする必要はないと思うが、ここは素直に謝っておくことにする。

 

「妹よ、私は決めたぜ。私も霊夢と同じように西暦100溝年まで生きる!」

「本気か?」

「ああ。お前の事は放っておけないし、霊夢が生きるつもりなら私だってやってやるさ!」

 

 この姉さんの宣言の直後、まるで眩暈のように大きく揺さぶられる感覚が発生する。これは……姉さんの歴史が変化したのか!?

 

「それでな? ――おい、どうした?」

「悪い、ちょっと待っていてくれ。すぐ戻るから」

 

 不審な視線を送る姉さんに構わず、私は時の回廊に移動する。

 歴史の観測自体はわざわざここに来なくてもできるのだが、観測に時間を要するので、一人の時間ではない限り、時の流れが存在しない時の回廊で行っている。

 

(さて、始めるか)

 

 未来視を開始すると飛び込んできた一つの情景。そこでは西暦100溝年の12月31日の博麗神社で、姉さんとユリが雑談をしている光景だった。記録上では、この姉さんは私が過去や未来――西暦215X年11月1日基準――から連れてきた訳では無く、時間の連続性、即ちこの時代まで生きてきた姉さんだった。

 

(おいおい、どうなってるんだ? 姉さんは少なくとも西暦1000万年までには亡くなっていただろ。何があった?)

 

 私は未来から遡って姉さんの歴史を観測して行き、その中で西暦100溝年まで長生きした要因と思われる、歴史上の出来事を観測して行く。

 少なくない時間――といっても西暦換算で1日程度だが――をかけて観測した私が抱いた感想は一つ。

 

(なるほど。太古の昔に存在した魔法文明で魔法を学び、まだ見ぬ魔法や失われた魔法を求めて宇宙中を放浪していたのか。姉さんが霊夢から未来を聞かされて、長生きする決意を深めた事で、私が干渉出来るようになったんだな)

 

 狭いと言うには語弊があるが、幻想郷の中に閉じこもっているだけでは魔法の研究に限界が訪れる。これまでの歴史では、私が同じ事をしても限界を超える事は叶わなかったが、今の強い意志と決意を抱き、未来を自覚した姉さんならば、道筋を作ることはできそうだ。幻想郷の賢者としての職権乱用ではあるが、まあこのくらいなら問題ないだろう。

 なるほど、どうやら永琳の言葉はあながち間違いではないらしい。姉さんは自らの強い意志で“奇跡”をつかみ取ったんだな。

 

(それにしても、やはり霊夢の未来は分からないのか)

 

 ユリがこの時代に居る時点で薄々分かっていたことだが、姉さんの歴史観測を通じて西暦100溝年に幻想郷が存在する事が確認できた。しかし霊夢が西暦100溝年に行った事により、歴史にどんな変化が起きたのか依然としてはっきりしない。何というか、霊夢の姿だけが煙のように掴むことができず、歴史の空白が至る時空に発生している。

 この不自然な空白こそが、逆に霊夢の存在を証明していると判断していいのだろうか。う~ん、分からないな。きっとこれは私自身の問題なんだろう。本当に歴史の空白が起きてたら、女神咲夜が放っておかないからな。

 このまま予定通りに歴史を進めていいのか不安が残るが、未来の私から情報が降りてこないので、恐らく問題ないはずだ。本当にまずい状況の時は、歴史改変を起こすように未来から警告が来るはずだからな。

 私は元の時空の1秒後に帰還する。姉さんから見たら瞬きの間に私の姿が明滅したように見えただろう。

 

「待たせたな。それでさっき何を言いかけてたんだ?」

「その前に今なんで一瞬だけ消えたのか説明しろよ。また私の知らない所で何かやってるのか?」

 

 姉さんの時間を取らせないように気を遣ったつもりが、逆に不機嫌になってしまった。

 次の姉さんの言動を考えた場合、ここは正直に話した方が良いので説明することにする。

 

「ちゃんと答えるよ。少し長い話になる。一旦座ろうぜ」

 

 そして私達はテーブルを挟んでソファーに向かい合うように座る。

 

「さっき姉さんが西暦100溝年まで生きるって宣言した後にな、姉さんの歴史の変動を察知したんだ。私は時の回廊に移動して、大体1日くらいかけて歴史の観測を行っていた」

「何? どんな変化が起きたんだ?」

「聞きたいのか?」

「当然だ。今更隠し事は無しだぜ」

「じゃあ結論から言うぞ。姉さんは私が消える直前、『霊夢の話では、私は西暦100溝年では既に死んでいるそうだな。私は何時、何処で、どんな理由で死んだんだ?』って言おうとしていただろ?」

「お、おう」

 

 面食らったような姉さんに私は話し続ける。

 

「姉さんは元々西暦1000万年頃までには亡くなる未来だったんだが、姉さんの宣言の西暦100溝年まで生きるビジョンが見えたんだ」

「西暦1000万って途方もない未来だが……まあいい。それよりも、何故私は死んだ? 捨虫の魔法で寿命は無くなった筈だろ? まさか、誰かに殺られたのか!?」

「それは無いぜ。そもそも弾幕ごっこ無しの姉さんを倒せる存在はかなり限られてるしな」

「じゃあどうしてだよ?」

「確かに捨虫の魔法には寿命を無くす効果がある。だが死ななくなる訳では無い」

 

 捨虫の魔法は不老長寿になる効果はあるが、不死では無い。魔法による強化が無い素の肉体は人間と遜色無いので、ちょっとした事故で死んでしまう可能性がある。まあそうならないように、白蓮程では無いが身体強化の魔法を常に掛けているがな。

 それに姉さんは現時点でも150年の研鑽を積んだ大魔法使いとして幻想郷中に名前が轟いており、生半可な妖怪なら軽く一捻りできるレベルの実力がある。

 

「姉さんの間接的な死因はな、知的探求心の喪失だ」

「なんだよそれ?」

「単純な話だ。幻想郷の中で行える魔法の探求に限界が訪れたからだ。末期の姉さんはな、地球の魔法使いとしては完成していたよ。五大元素すべての魔法を使いこなし、パチュリーが操る七大元素魔法も、アリスの人形を自動化する魔法さえも習得していた。紅魔館の大図書館の本を全て読破してたし、人里の本屋に並ぶ本は全部手に入れていたぜ」

「おお、凄いじゃないか!」

「だがな、魔法使いとして完成するということは、言い換えれば成長の限界が訪れた事と同義だ。魔法使いとは常に魔法を探求し続ける種族であり、倦怠、退屈、マンネリといった感情は魔法使いにとって身体を蝕む毒だ。そんな状態が長く続くと死に至る」

 

 この時の姉さんは、私が扱うタイムジャンプ魔法も習得していた。私が女神咲夜に必死に頼み込み、絶対に使用しないという条件で研究の許可を貰ったのだ。

 

「末期の姉さんは非常に達観していてな、自分が出来る事全てをやり切ったと納得して死を受け入れていた」

「俄かには信じがたい話だな……。そんなの私のキャラじゃないだろ」

「長寿の妖怪はな、皆精神が成熟しきってしまう。幾ら外見が若くても、精神性まで子供のようにあり続けるのは難しいんだ」

 

 今は毎日のように幻想郷中を飛び回ってはいるが、年を重ねていくにつれてパチュリーのように自室に篭りがちになる。それは決して悪い事ではないが、過去の姉さんを知ってる妖怪達からは驚かれていた。

 

「なんてこった……。確かに、私も人間時代よりはやんちゃなことをしなくなったが……。一体どうしたらいいんだ?」

「成長の限界という殻を打ち破り、魔法への情熱を取り戻せばいいのさ。私はな、姉さんを含む幻想郷の魔法使い達に新たな魔法の研究の機会を与えたいと思っている。具体的には太古の昔に栄えた惑星フォレトに行き、そこで魔法の研究をしてもらいたい」

「惑星フォレト? 聞いたことが無い星だな」

「ここから1億900光年離れたプロッツェン銀河にかつて存在した星だ。今は超新星爆発で消えてしまったが、紀元前38億9997万年頃にはフォレト人による文明が築かれていた。地球は科学によって発展したが、フォレトは魔法の力によって文明を築き上げた星でな、今の外の世界よりも発展していたんだぜ」

「魔法文明! なんだか面白そうだな!」

 

 私の簡単な解説に姉さんは目を輝かせている。

 

「あぁ。地球出身の魔法使いでは思い至らないような魔法が至る所に転がっているし、魔法が当たり前の世界という環境だからこそ、新たな魔法の発見もある」

 

 地球では魔法使いはマイノリティであり、科学の発展と共に幻想郷という小さな地域に追いやられてしまったが、フォレトでは科学者がその立場だ。

 支配階級から市民まで全員が大なり小なり当たり前のように魔法を扱えるし、文学作品に登場するような所謂“魔法の絨毯”も実用化されていたりする。更にフォレトでは、マナストーンと呼ばれる高純度のマナで構成された鉱石が大量に採れる為、それを利用した魔法や、地球で言う内燃機関搭載の乗り物が存在する。地球では起こりえなかった文明を経験する事は、幻想郷の魔法使い達に大きな刺激を与えるだろう。

 

「そこで魔法文明が滅亡するまで――具体的には紀元前38億9997万年9993年まで魔法の探求を続けた後、宇宙に飛び出して、異星人の魔法を探し求める旅に出るんだ」

「宇宙か! ワクワクしてきたぜ! ――あっ! まさか先月の13日に言ってた、知的好奇心を刺激するイベントってこれの事か?」

「まあな。これが私のざっくりとしたプランだ。最終的には幻想郷から旅立たなければいけない。かなり過酷な道になるだろうが、やってみるか?」

「勿論だぜ! 外の世界に行けるなんて今から楽しみだな!」

「西暦100溝年まで生きる為には、強い意志が必要になる。覚悟はあるか?」

「当たり前の事を聞くなよな!」

 

 姉さんは即答した。

 

「分かった。姉さんが魔法の研究をやりつくした時代に提案するつもりだから、それまではいつも通り過ごしていてくれ」

「おう!」

 

 姉さんは上機嫌で二階に戻っていった。

 あまりにも適当な計画に見えるかもしれないが、姉さんの性格的にあんまり細部まで設定するよりも、ざっくりとした注意事項だけ伝えて後は本人の裁量に任せた方が上手くいくからこれでいい。

 勿論姉さんが危険な目に合わないように、監視だけはするつもりではあるが。

 

(さて、私も部屋に戻るとするかな)

 

 私もリビングの灯りを消して、二階に上がっていった。

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