ダイの大冒険――幸せを求める世界   作:山ノ内辰巳

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美醜3話目。ヒュンケルとエイミの話、これにて完結です。


美醜 ③

 ヒュンケルの言葉にエイミは痛ましげに眼を伏せる。

 己が憎しみによって大勢の人を殺したという事実から、ヒュンケルは決して逃げようとはしない。パプニカの民に怨まれることや怒りを向けられることを、当然だと受け止めている。彼の中で、己の所業に対して許しを乞うなど、あり得ない事なのだろう。

 

 その姿勢は、エイミにとって「パプニカを襲撃した魔王軍不死騎団長」への怒りを増させるものではなかった。

 

 誰とて程度の差はあれど、罪を犯したならば言い訳をしたり、その罪に走った理由を正当化する心が働くものだ。けれどヒュンケルにはそれがない。城や街の、ヒュンケルを受け入れている者は皆、彼への怨みを捨てた理由として彼のその態度を挙げる。

 けれど、とエイミは思う。

 

 許されるはずがない―――その言葉。許されるという事を頑なに否定する彼の、心の叫びが聞こえた気がした。

 

 そう。ヒュンケルは、自身を『許されてはいけない存在だ』と思っているのだ。

 違うのに。そうではないのに。

 思いきり首を振って、否定できるものならしたかった。だが、エイミ自身にも説明が難しいものを、感情のままに伝えて届くはずがない。想いのうねりに翻弄されぬよう、彼女は自らの言葉を探した。

 

「…貴方の言いたいことは、わかるわ」

 

 小さな肯定。

「パプニカの民は、二度の大戦で魔王軍に大勢殺された。私だって正直、魔王軍は恐ろしいし、憎いわ…」

 今度はヒュンケルが頷く番だった。

「それが当然だろう。むしろ―――」

 俺には不思議だ。そう続けたヒュンケルの顔は、困ったように笑っていた。

「え?」

「君が…俺を好いてくれるということが、不思議なんだ」

「……それは」

 

「俺は、パプニカを滅ぼした男だ。アバン先生が俺を導いてくれたような…そういった恩など、俺と君との間にはないだろう。だと言うのに…」

 何故なんだ? と真っ直ぐに尋ねられる。エイミはヒュンケルの逸らされる事のない視線に、ドキリと胸が鳴ったのを感じた。

 理由を問われたが、答えの一つは先程も考えた事だ。ヒュンケルの罪を自覚し静かに向き合う真摯な態度…そこから積み重なった様々な出来事が好意を抱かせたのだ、と。そう答えれば彼は納得するだろうか。

 

 いや…と自答が返る。尋ねられ答えを返す…それだけでは、ヒュンケルが納得しても、エイミの目指すものには届かない。

 

 いい加減な言葉で返す事は出来ない。もとよりそんなつもりは無いとしても、この、憎悪の何たるかを知っている男の前では、全てを曝け出すべきなのだろうと、彼女は覚悟を決めた。

 

 ふ、と息を一つ吐く。

 

「そうねぇ…きっかけは、顔、かしら」

 苦笑しつつエイミは答えた。

「初めて貴方の顔をハッキリと見たとき、驚いたのよ……物凄い美形なんだもの」

「そ…そうか……」

 懐かしそうに目を細める彼女の様子に、ヒュンケルは思わず知らず、己の頬に手をやった。

 

 自身が女性に好まれる容姿をしている事は、ヒュンケルは一応自覚がある(弟弟子が自分につっかかるときは、必ず容姿にも文句をつけるためだ)のだが、それを武器にして女性の心を得ようとしたことは一度もなく、エイミにそんな風に言われると反応に困ってしまう。

 

 だが、困っているのはヒュンケルだけではなかった。

「貴方は、あまりにも恰好よくて…想像とまったく違っていたわ」

 エイミの苦笑が深くなった。

 

「きっと、『魔王軍についていた人間』なんて、悪魔のような容姿だと思っていたんですもの」

 

 彼女は俯き、小さく「ごめんなさい」と呟いた。

 ヒュンケルはやはり困惑で固まったままだった。彼女の謝罪の示すところが、あまりにも重かったからだ。

 

 

 

 エイミの脳裏で、大戦からの記憶がいくつも現れては消える……。

 

 魔物などという存在を消し去ってやりたいと、何度考えたかしれない。悲鳴と恐怖と絶望に包まれた真紅の王都は、決して夢でもなんでもなく、三年前の現実だ。避難が済んだ後、行った偵察で、焼跡をうろついている魔物たちを怒りにまかせて殺したのは、一度や二度のことではなかった。

 

 あの死霊の群れを指揮していた男―――人間だというなら、人類に対しての裏切り者として、いつか必ず一矢報いてやりたいと、願っていた。

 

「姫さまが、しょっちゅうダイ君の事を仰ってたけど、それは『聖なる島』の話だからだって思っていたわ」

 

 どこかで、自分とは関わりがない事だと思っていたのだろう。人は人。魔物は魔物。混ざり合う事などあるはずがなく、心を通わせる事など夢物語だと。

 そんな魔物に味方をする人間は、きっと残忍で卑劣で、堕落した存在なのだと―――それこそ伝説に言う悪魔のような醜悪な人物なのだと思っていた。無論、強くそう考えていたわけではないが、当時を振り返ってみれば、漠然とそう思い込んでいたのだとわかる。

 

「『フレイザードの元から姫さまを救い出してくれた勇者の一行』の剣士が、魔王軍の不死騎団長で…その人が自分を裁けと姫さまに言った時はショックだったわ……」

 様々な事が、余りにも想像と違っていた。

 

 魔王軍の将として魔物に味方した男が、高潔な魂の持ち主だったことも。

 そもそも彼は人間を裏切ったのではなく、人間に殺された父親への愛のために魔に属したのだという事実も。

 

 冷たい風に前髪がそよぐ。座り込んだままの身体は冷え切っているはずなのに、声には熱がこもっていた。

 

「憎んでた相手のはずの貴方が、どんな人間なのか、あの時見てしまったから…」

 

 取りも直さず、それは自分の中でヒュンケルが、『魔王軍の不死騎団長』という『仇』から、『ヒュンケル』という名の人間に変わった瞬間だったのだろう。

 そして……自分が衝撃を受けた理由を考えざるをえなくなった瞬間でもあった。

 

「さっき貴方の、顔のこと、ね…言ったけど……『どうして人間を裏切って魔王軍に入ってたのに普通の顔をしてるのかしら』って思ったのよ……。可笑しいでしょ? だったら私は貴方の容姿に何を求めてたのかしらね?」

 苦笑が漏れる。黙って聞いてくれるヒュンケルの表情は変わらない。

「姫さまの前で貴方が裁きを受けると言った時、本当に悔いているんだっていうのがわかって…その事だってショックだったわ。真っ当な、そうあるべき態度なのに。じゃあ私は貴方がどんな態度なら当然だと思ってたんだろう……って」

 醜悪で、人間を見下して、殺戮に罪悪感など感じず、けれど自身の命には執着する男―――それが『魔王軍の不死騎団長』に自分が期待していた人物像なのだと思い至った時、より以上の衝撃をエイミは覚えた。

 自分がヒュンケルに感じていたのは、故郷を破壊された者としての正当な怒りだったはずなのに。なのに、これは何だ?! 憎み、蔑みたかっただけではなかったか…?!

 

 裏切り者を裁くのだと、思っていたのに。

 正義が邪悪を討つのだと、考えていたのに。

 なのに、彼をこのまま憎むのは、彼がパプニカにした事を肯定する事になるのではないだろうか………?

 

 ヒュンケルを認めたくはないと思っていても、頻繁に耳に入って来るのは、勇者一行の中での彼の目覚ましい活躍だった。圧倒的な強さで敵を蹴散らしていくという武勇伝だけではなく、命懸けで仲間を救った話や、魔王軍の知己との訣別も聞いた。

 

 そうして時折姿を見せれば、彼はいつも陰にいた。会議などには顔を見せるものの、それ以外の時は可能な限り目立たぬように…人目に触れぬようにしているのがわかった。

 

 あれだけ華々しい戦果をあげながら、誇る事もなく、驕る事もなく、それどころか『アバンの使徒としての功績』だけを残して、自身の存在を消そうとしているかのようで。

 

(そうだ…。私は、そんなヒュンケルが居た堪れなかった……)

 

 功績をふりかざし、声高に権利を主張されれば反発しただろう。だが、実際には彼は与えるばかりで何も受け取ろうとはしなかった。人々に希望や未来への展望を与えてくれる立役者。だと言うのに、人々の中に彼自身は勘定に入っていなかった。

 

 違う、と思った。それでは駄目だ、と。

 

 それでは駄目なのに。償うというのなら、その償いを認める者がいなければ駄目なのよ、ヒュンケル。貴方は『裏切り者』じゃない『人間』なのよ!

 

 

 私は見ているから。私はアバンの使徒じゃないけれど。パプニカの人間だけれど。いいえ、パプニカの人間だからこそ。貴方がどんなに必死に償おうとしているのかを、ちゃんと見ているし、認めているから……!!

 

 

 記憶の海から意識を浮上させ、顔を上げれば、銀月と同じ輝きで彩られた秀麗な顔がエイミを見つめていた。

 綺麗な顔だわ…と、ふと思う。この顔が、以前は人間への憎しみに歪んでいたのかと考え、どんな風だったのかを彼女は想像した。

 そして答えはすぐに出た。怒りのままに魔物を屠った、当時の自身の表情が浮かんだからだ。思い出すだに酷い翳をまとわりつかせていた…。

 頭を一つ振る。

 

「色々…本当に色んなことを考えたわ。姫さまの出した答えを奉じつつ、怒りのままに貴方を刺したいって思ったことも一再じゃない。今だって、あの頃を思い出せば貴方を詰りたくなる。でも、最前線で身体を張って私たちの矛となっている人にする事じゃないって思って、悩んで、いつからか…私は貴方を目で追うようになっていたの」

 

 ずっと見てきた。パプニカの人間だからこそ。

 そうして…政に携わる者として、あの若き女王を補佐する者として、公正であることが求められる身であれば、あとはもう気持ちを整理するまで早かった。

 

 人類が争うのは魔物相手だけではない。同じ人間の治める他国に攻められ蹂躙されたとしても、外交の一環なのだ―――互いの利益の為に暴力を以て語り合う最悪の形ではあるが。

 その敵国の武将が、今度は味方し、囚われた主君を救い出すために手を貸してくれた……ヒュンケルの事はそういう解釈になる。彼だけでなく、クロコダインやラーハルト、ヒムといった嘗て魔王軍にいた者で後に勇者ダイに味方した者全てが、公的にはそう位置づけられているのだ。

 

 ―――身に受けた不幸も悲しみも怒りも、どこかの時点で受け入れなければ、相手を滅ぼしつくすまで終わらない。

 

 ならばどうする?

 

「人だとか魔だとかを取っ払ってしまうと、貴方自身に怒りは感じても、憎しみはもう…湧かなかったわ」

 

 『魔王軍の不死騎団長』でも『裏切り者』でもなく、彼をヒュンケルという個人として認識したその時に、どこか心がラクになった…。思い返せばそういう事なのだろう。

 

 あるいは疲れたのかもしれない…とエイミは思う。どれほどヒュンケルを憎んでも、喪われた者は返らない。仇討ちをしたとして、満足するのは自分の心だけだ。そうして、ヒュンケルの生い立ちを知り、彼の、身命を顧みずに敵軍から民を守る姿を見れば、嫌い続ける事も難しかった。ましてや、それらを肯定すれば、次に堕ちるのは自分であることをエイミは理性に拠らず悟っていた。

 

 

 

「そう…か……」

 初めて話されたエイミの心の変遷に、ヒュンケルは小さく点頭した。

「エイミ、君は…凄いな。俺と同じ所に嵌り込まなかった」

 全ての『人間』を『父親の仇』と見做してしまったヒュンケルは、人間を憎み蔑むための理由を探していた。誰もが持っているだろう弱さを悪意を以て解釈し、受けた優しさを偽善と断じようとした…その自覚がある。

 

「どうかしらね…私だって、あの時、大切な人がたった一人で、殺されてしまったのなら、貴方と同じように憎しみに狂っていたかもしれないわ」

 彼女の声には苦みがあった。憎み怨むという感情が、どれだけ負の力に満ちているかをお互いが知っているという事実が、妙な共感に繋がっていた。

 

 大切な人―――父バルトスの事を、彼女にああも話したのは先刻が初めての事だ。以前から知ってはいたのだろうが、こう極自然に受け容れてくれているのを見ると、不思議な感じだった。人と魔という違いを見ずに、地獄の騎士である父の事を語ってくれる人間は少ない。まして、エイミはパプニカの民だというのに。

 

「……ありがとう」

「え?」

「父の事を、そんな風にちゃんと見てくれて…俺が父を慕っている事も否定せずにいてくれて、感謝する」

「ヒュンケル…貴方……」

「俺が子供の頃の話をしても、君は普通に思い出話として聞いてくれた。父の事を良く言っても怒らないでいてくれた。……ありがとう」

 

 パプニカ宮中で知己は多く出来たが、昔の話をしたことなどついぞ無かった。尋ねられるわけでもないなら、話すべきではないと思っていたし、あえて過去を尋ねてくる者は、自分に隔意ある者ばかりで、魔物に育てられたという事実を蔑むための材料とされるのは御免だったからだ。

 

 しかしそう言った環境での「当たり前」は、薄紙のように精神に入り込んできた。いつしか父バルトスに育てられたこと自体が忌避される事であるように考える自分に気付き、愕然としたのだ。

 憎しみの為に犯した罪が、魔物に育てられた所為で犯した罪にすり替わりそうになる…それは紛れもない恐怖だった。そして、周りのほとんどの人間が己をそのように見ている事に気付いた時、ヒュンケルは無意識に自身をその他の人間と区切っていた。

 

 エイミは、その区切りを簡単に超えてしまった。人や魔などという違いは関係がないと。親であり、慈しんで育ててくれた者であるならば、子が愛するのは当然だと。

 

「だって、そんなの…当たり前のことだわ」

 

 あっさりと述べる彼女が有り難かった。

 エイミは言う。

「私が貴方に罪を見るのは、貴方が憎しみから人を大勢殺したから。……お父様のことや、貴方が属していたのが魔王軍だったことは関係がないわ。必要以上に卑下はしないで欲しいの」

 

 最後の部分は、同じような言葉で主君にも言われたことがあったなと思い出す。だが……

 

「どんなに言っても、貴方はきっと自分を責め続けるんでしょうけど…それでも、そんな貴方をちゃんと受け容れる者はパプニカにもいるわ。それを忘れないで頂戴」

 

 口を開く前に、エイミが言葉を次いだ。こちらをじっと見つめる大きな瞳に記憶が刺激される。……そう、ルース少年も同じ眼差しをしていた。ヒュンケルの正体にうすうす気づいていただろうに、怒りではなくどこか心配そうな、哀しそうな表情でヒュンケルを見つめていたのだ。

 

 息を一つ吐く。エイミの言葉の一つ一つが、重い。

 受け容れてもらえる―――許してもらえるという事は、ヒュンケルにとって望んで已まないことだ。けれど、

「だが俺は…許されるべきでは……」

 

 

 

「なら、私たちに永遠に憎めと言うの?」

 

 

 

 高地のしじまに、静かなそれは、とても良く響いた。

「あ……」

「言わないでしょう? …憎み続ける事の辛さを、貴方はよく知っているはずだもの」

 ヒュンケルは顔を覆う。

「ああ…ああ……」

 凛としたエイミの声とは対照的に、彼のその声は震え、掠れていた。

 ヒュンケルの腕にエイミの手がそっと触れた。

 

「憎むことってね…過去しか無いという事だと私は思うの。憎み続ける事しか出来ない人は、それだけ今迄が大切で…それに等しいだけの何かを、ずっと見つけられない人なんだと思うわ……。私は…そうじゃないから」

 

 心や、感情の程度は、人それぞれで。全員が満足できる方法などありはしない。

 誰よりも、ヒュンケルを許せないのはヒュンケル自身だ。

 

 ―――それでも人は、前を見て生きねばならない。

 

「前を見て……」

「ええ、そうよ。自分の心に折り合いをつけて、悲しいことや辛いことはその痛みを少しでも薄めようと努力して、受け容れて、楽しいことや嬉しいこと、遣り甲斐のあること、生きている意味…そういった未来を築くための光を見て、そうやって生きていくんだわ」

 辛いことや苦しさから目を背けるのは、当たり前のことだ。取り返しのつかない損失であればあるほど、その事実は認めがたく、けれど受け容れざるをえない。ならばその損失に、これから先を生きていくために意味を求めるのだ、人間は。

 

「姫さまが貴方に下した裁きは、そのまま、私たちパプニカの民全てへの言葉よ。憎しみに囚われず、より良い未来のために生きるための……」

 

 そのための、パプニカ全ての道筋を、エイミの主君は民に示した。だから皆「ついて行く」のだ。父を喪った悲しみに震えながらも民の前では頼もしげに笑顔を浮かべる、あの、細い身体で王道を歩む若き女王に。

 

 ヒュンケルが自身を許せないのならば、代わりに許そう。自分やルースといった、彼の人間性に触れた者だけでも。

 光のために生きると誓った男のために、光の中で生きるための、よすがとなりたい。―――それが、エイミに生きることの美醜を教えてくれた男への、彼女なりの想いの表し方だ。

 

「ヒュンケル、貴方も…ついて行くのでしょう?」

 示された道に、光のある方向へ―――皆と一緒に。

 

 じっと見つめられて、答えを求められて、だのにヒュンケルは頷けなかった。頷いてよいものか、わからなかった。

 レオナ女王の示した道は、明るい。光の…希望を求める者の歩む道だ。自分は勿論その道が正しい事を知っているし、その道のためならばどんな邪魔も排除しようと剣に懸けて誓う。だが……ついて行っても良いのだろうか?

 

「大丈夫よ」

 心を読んだその声に、びくりと肩を震わせ、ヒュンケルはエイミを見た。

「居場所が無いなら、作りなさいな。貴方は償わなければならないし、私たちは、貴方を受け容れなければならないのよ。離れていては、それは不可能だわ」

「エイミ…」

 大きな瞳が、強い光を湛えてヒュンケルを映している。

 月のものばかりでない光が、届き始めた。水平線の彼方が白み始めている。

 

「パプニカの民や貴方のお父様の死を無意味にしないで。姫さまの示した道を否定しないで。たとえ、光の中を歩くのが―――」

 

 かわたれ時の直前、今の今まで存在しなかった影が、岩肌から生まれ始める。光が届いたために、辺りは夜よりも暗く感じるほど。

 照らされて、より明らかになる罪のように。

 

「―――貴方にとって地獄だったとしても」

 

 

 

 私も一緒に地獄について行くから。

 

 

 

 ヒュンケルは、腕に添えられた細い手を取った。

 言葉は無い。ただ震えて握りしめる―――それが彼の返事だった。

 

(終)




 ヒュンケルにとっては、マァムのように慈愛で許されるほうが辛いだろうと、リアタイで読んでた頃に思って、ずっと心の内に残っていました。
 もちろん、あんな罪を犯しても、許す人はいるんだというのを示してくれたからこそ、マァムは彼の中で聖母なのですが。
 でもそこから先は。
 庇う人ではなく、見届けてくれる人が必要なんだと思います。
 山ノ内なりの、エイミさんの解釈でした。

 ではまた次作で。
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