ダイの大冒険――幸せを求める世界   作:山ノ内辰巳

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最初に謝っておきます。改行がめちゃくちゃ多いです。気にされる方、ごめんなさい。



言霊の使いかた

 一人の魔道士に乞われアポロはそちらに向かう事となり、申し訳なさそうにポップを振り返った。

 ポップは慌てて「適当に見学させてもらうから」とアポロを促した。休日で時間を持て余しているポップと違い、アポロは忙しい仕事の合間を縫ってポップを案内してくれたのだ。いつまでも相手をさせるわけにはいかない。

 再び始まった兵士たちの訓練では、先に自分が伝えておいたアドバイスを実践しようとしている者も見える。

 それなりに有用な助言が出来たようだと、ポップは満足気に一人で頷いた。

 

「ポップ!」

 

 親友の呼ぶ声が聞こえ、ポップは振り向いた。

 嬉しそうに笑いながらダイが駆け寄ってくるのに、彼も目を細める。今日はパプニカ王城に来た直後に会ったばかりで、ダイは勉強に行ってしまい、自分は図書館に寄った後、色んな人に捕まってしまったのだ。

「よう、ダイ」

 軽く手をあげて笑みを返すポップに、いつものように半ば抱きつく形でダイが飛び込んでくる。正直、青年期のとば口に差し掛かったダイに抱きしめられるのは、鍛えているとは言っても魔法使いであるポップには結構な衝撃なのだが、三年前、十二歳の頃と同様にじゃれ付かれるのが嬉しかったりもする。

 訓練をしていた兵士たちが、何人か手を止めてダイに敬礼をするのを、ダイはポップにくっ付いた状態のまま「こんにちは!」と手を振った。大魔道士殿と勇者様が親友なのは世界中の人間が知っている事だが、こうして間近で仲の良さを見せられると、畏敬の念よりも微笑ましさが勝るらしい。少し緊張していた若い兵士たちの顔にも笑みが浮かんで、何となく訓練場がほっこりとあたたかくなった。

 

「探してたんだ。珍しいね、ここにいるの」

 ベンチに腰掛けながら、ダイの言葉にポップは「ああ」と訓練している魔道士たちに視線をやった。パプニカにはしょっちゅう寄るが、ダイに会う以外は、図書館で本を借りるか、女王陛下やその護衛をしている兄弟子と会っていることがほとんどのため、練兵場の方には滅多に足を運ぶことがない。ダイが珍しいと言うのも当然だ。

「アポロさんに言われてさ」

「アポロさん?」

 パプニカ三賢者筆頭の名前を出すと、ダイはきょとんと首を傾げる。当のアポロは、依然として先程呼びに来た魔道士と何か話し込んでいるのが離れた門に見えた。

「そ。ちょっと前に魔法兵団の訓練内容で相談に乗ってな。実際に訓練に取り入れてみたって言われたから、見に来てたんだ」

 練兵場の南隅にあるベンチからは、魔道士たちの訓練がよく見える。パプニカの兵士なら簡単な呪文は全員が扱えるが、それでもやはり、剣が得意な者と魔道士タイプの者で分けてやらねば訓練に支障が出る。今日は南側が魔道士タイプの者たちの訓練に割り当てられていた。

 魔道士タイプの兵と言えば、その理想形は三賢者たちになるため、彼ら三人は兵士たちによく技術向上のためのアドバイスを求められるのだそうだ。

「で、話のタネにオレが先生に習った方法とか、最近やってる事とかを簡単に説明したんだ」

 まさかルーラを覚えさせるために、身体に岩を括りつけて水の中に放り込むなどという、マトリフ師匠のやり方を伝授するわけにはいかないため――ポップはとりあえずこれも一応は話したのだが、アポロには思い切り引かれた――どうしてもアバン先生に教わった事が中心となってしまったが、それはそれで、魔法初心者の武器屋の息子が実践できた方法なのだから、万人に応用がきく。

 ポップが魔法使いとしての修業をする際、最初にアバン先生に教わったのは自分の中にある魔法力を感じとる事だった。これを上手く放出するのが初歩の初歩で求められる。呪文というのは、その魔法力に方向性と形を与えるものだ。

 どんな呪文の使い手でも最初はこの段階を踏む。そして基礎というものは、しっかりと固めれば固めるほど後に積み上げるものが安定する道理だ。

 

 ポップは、瞑想という方法で自分の中の魔法力の流れを読むことを毎日のように続けている。

 

「この後どんな呪文を使いたいか、とかな。目標を決めてから瞑想すると、力の使い方がわかりやすいんだ」

 力を深く探り、感じとるのが鋭敏になるほどに、扱う時の術の精緻さが増すことに気付いてからは、余程の事がない限りサボる事はあり得なかった。二代目大魔道士の実体験に基づくその言葉にアポロも通じるところがあったのか、深く同意したらしい。

「瞑想ってそんなに大事なんだ……」

 ポップの説明を聞いていたダイが感心して漏らす。ああそう言えばこの勇者は、昔から瞑想が苦手だったなとポップは苦笑した。

「そーだぜ。お前も頑張れよ?」

 ダイのしかめっ面を見たいポップの冗談に、案の定、ダイは「うえぇ」と情けなく顔を歪めた。

 実際には剣で戦う方がずっと得意なダイにしてみれば、呪文の精度はそう重要なことではないだろうけれど。そこを補うためにポップがいるのだから。

 からかいながら、ポップはくしゃくしゃと親友の頭を乱暴になでた。

 

 

「じゃ、じゃあさ。最近やってる事っていうのは?」

「あん?」

「言ってたじゃないか。『先生に習った方法とか、最近やってる事とか』って」

 これ以上、瞑想のことで話をされたくないのだろう。ダイは別の事を聞きたがった。

「ああ、それか」

 頷いてポップは魔道士の一人を探す。

 ほどなく訓練場の西側の壁に向かって杖を向ける初老の男性の姿をみとめて、ダイに示した。

「ほら。あの杖を持ってるおっちゃんがいるだろ?」

「うん」

 ダイは点頭する。ポップが指した男性は、袖に線が三本入ったローブを着ている。あれは確かパプニカ軍内においては中隊長の階級を示すはずだ。

 赤茶色の髪をした彼は、杖の先にメラで炎を顕現させていた。すぐに壁にそれを放つのではなく、炎を維持しながら杖術の型をゆっくりと行っていく。集中しているのは遠目からでもわかる。

 魔法使いにとって杖は手の延長だ。放つまではその魔法力は身体の一部として扱われ、その身を焼いたり凍らせたりする事がないのと同じで、彼の持っている杖も燃えはしない。それは良いのだが、杖に炎を維持したままで動くことにどういう意味があるのかは、ダイにはわからなかった。

「お前は闘気を剣に伝わせたりしてるだろ?」

 ぽかんと見ているダイに、ポップが説明する。

「あ、うん」

「それと原理は一緒でさ、あのおっちゃんのメラ、少しずつ大きくなってきてるのわかるだろ?」

 ダイが再び目を向ければ、小さく拳大に宿っていただけの炎が人の頭部くらいの大きさにまでなっている。

「動きながらでも呪文への集中力を切らさずに威力を凝縮できれば、敵に接近されても便利だからな」

 ポップの説明にダイはただ頷いた。あの状態で敵に間合いを詰められても、メラを放つことなく杖を振って、炎と打撃を同時に叩き込むことも出来るというわけだ。

「あのおっちゃん、かなり腕が良いからな。あれで炎を小さく見せたまま威力を上げて、自由自在に動きまわれたら完璧なんだけど。そこまでは無理でも、初級呪文で中級くらいの威力を出せるくらいに凝縮できるようになればさ」

 どこか嬉しそうなその説明に、ダイはやはり頷くだけだった。

 

「じゃあ、ポップもああいう訓練してるの?」

 ふと疑問に思ってダイはポップに尋ねた。最近やってる事と言うからにはそうなのだろうか、と。

 だがポップは、ふるりと首を横に振った。

「いや、オレの場合は元々呪文の凝縮ってのは得意だからな」

 ダイに答えながら、ポップは立てた指先に小さな小さなギラを作り出す。余りにも小さな光なので、素人目には何の威力もないように見えるが、少しでも魔法を使えるものなら、その指先にあるのがベギラマ級の閃熱呪文だとわかるはずだ。しかも普通は掌にあらわれる光を指先に凝縮しているのだから、一旦放たれれば、その熱は岩の表面を溶かす程度ではなく、巨石を貫通するほどのエネルギーを秘めている。大戦中に強大な敵を相手にして、いかに呪文の破壊力を上げて効率よく戦うかと工夫を凝らしてきた結果、磨かれぬいてきたポップの戦いのスタイルだ。

「今は、攻撃呪文だけじゃなくて色んな呪文の凝縮を試してるんだ」

「攻撃呪文だけじゃないって、回復呪文とか?」

 尋ねるダイに、ギラの光を消してポップは「ん~」と小さく唸る。

「回復呪文はあんまり力を込めすぎると過剰回復になって危ないから、凝縮ってよりは範囲を絞り込むって感じかな……。他にはスクルトとかピオリムとかの補助呪文が結構使い勝手がいいってわかったぜ」

 スクルトは仲間の守備力を、ピオリムは行動速度を上げる呪文だ。確かにそういった呪文ならば威力が上がれば上がるほど便利だろう。

「もちろん攻撃呪文も試してるぜ。ベタンも放つ前に威力を集中させてやれば、オレの腕力でもクレーターを作れる。逆に、手じゃなく全身で放てば敵に掴まれた時に弾き飛ばせるって寸法だ」

 闘気を扱えなくとも、工夫次第では物理的なダメージを敵に与えられそうだと思いついた時には、ポップはかなり感動したものだ。なまじ、父親を始めとして周囲の男の知り合いが力自慢な分、腕力の無いことにはかなりコンプレックスを感じている彼である。誰の責任にも出来ない話ではあるが。

 その力自慢を通り越して馬鹿力第一人者としか言いようのない親友は、心底感心したという風に目をキラキラさせて「凄いや!!」とのたまってくれる。その邪気のない称賛を聞くと、鍛練の成果を報告しているだけにも関わらず何だか卑屈になりそうだった自分に気付いて、ポップは微苦笑を浮かべた。親友のこの純粋さには、本当に敵わないなと。

 

 

「んで、お前は? 最近は剣の稽古はしてるのか?」

 ポップが水を向けると、ダイはちょっと面映ゆそうな表情になった。

「剣は…おれが稽古をつけてるんだ。騎士団の皆に」

 時々だけどね、と注釈をつけながら説明されて、ポップは諒解した。

 今日ポップがしたように、ダイも時折パプニカの兵に剣を教えているというのだろう。二人が違うのは、ポップはアポロにアドバイスという形で協力するだけなのに対して、ダイは兵に直接指導が出来るという点か。

 ベンガーナに仕える立場のポップには、パプニカの兵を直接鍛えるなどという真似は出来ない。別に両国の仲が険悪だというわけではないが、守らねばならない『分』というものがある。

 その点ではダイは遠慮はいらない。将来パプニカの女王の伴侶になると目されており、現在もどの国にも属してはいない(強いて言うならデルムリン島だ)のだから。

「最初は『希望者だけ』って話だったのに、物凄い数になっちゃったから、結局全員に教える事になったんだ」

「へぇ。ま、そりゃそうなるよな」

「え?」

「勇者様に剣を習える機会なんて、普通は無いだろ。そりゃ誰だって教えを受けようとするさ」

 笑いながらポップは指摘する。自身の人気の高さをわかっていないダイが可笑しかった。それ以上に、ダイが人の輪に慕われ囲まれているのが目に浮かぶようで嬉しかった。

 ダイのような立場の存在が、力を忌避されるのではなく、ごく自然に憧れを抱いてもらえるように――そんな流れに持っていくのは、簡単なようで難しい。ダイ自身の人柄も勿論だが、周りが心を配ってきたのも大きいだろう。特にこのパプニカの若い女王陛下などが……

「その話を持ちかけたのって、姫さんじゃねぇのか?」

「あ、うん。レオナだよ。何でわかったの、ポップ?」

 ダイの返事に、ポップは微笑んだ。辣腕の彼女らしい、上手いやり方だ。

「ん? あ~…そういうのって姫さんが考えそうだって思ってさ」

 そう言えば、その女王陛下はいまどうしているのだろう? いつもならそろそろ無理やりにでも休憩時間を作ってダイに会いに来るのだが。

 毎回嬉々としてダイをお茶に誘うレオナの表情を思い出して、そろそろ練兵場から退散しようかとポップが考え始めた時だった。

 

「ポップ君、放ったらかしにして申し訳ない。ダイ君も一緒なんですね」

「あ…気にしないで下さいよアポロさん。話は終わったんですか?」

 先程アポロを呼びに来た魔道士は、もういなかった。アポロは軽く頷く。

「大した話ではないんだよ。今度、この練兵場の簡単な改修工事があってね」

 そのことで一寸…とアポロは笑う。人好きのする爽やかな笑みだった。

「改修工事って、今日レオナが話してた奴かな? 壁の補強とか…」

 ダイが言う。レオナは彼の稽古の評判のついでに話したらしい。

「え? お前、今日はもう姫さんと会ったのか?」

「うん。『いつもより早く休憩もぎ取れたから!』って。おれの勉強の後すぐに会って、さっきまで二人でお茶してたんだ」

「なんだ。そうか」

 もう逢瀬が済んだのなら、急いで練兵場から失礼する事もないな……とポップは小さく息をついたが、ダイの次の言葉に頭が痛くなった。

 

「ポップも一緒なら三人でお茶した方が楽しかったかなぁ」

「……お前、そこは気を遣わなくていい」

 

 

「え? なんで? 皆一緒の方が楽しいじゃんか」

「時と場合によるんだよ、そう言うのは!」

 二人のやり取りにくすくすとアポロが笑うのが目の端に映ったが、ポップとしては彼にも参戦してもらいたい気分だ。

「ったく変わらねぇなあ、お前は。で? 楽しかったか?」

 半ば投げやりに問えば、ダイは満面の笑顔で「うん!」と頷いた。

「レオナと話してるとすっごく楽しいし、勉強にもなるし、お菓子も美味しかったよ」

 最後がなきゃ完璧なのにな、とポップは内心で呟いたが、それはアポロもおそらく同じなのだろう。

「陛下はダイ君とお茶を飲まれるのを毎週楽しみにされてますから、ダイ君がそう言ってくれれば、凄くお喜びになりますよ。剣の稽古の事や改修工事の事以外も何か仰ってましたか?」

 苦笑しつつ言うアポロに、ダイは少し考える態で首を傾げた。

「あんまり長い時間じゃなかったから、そんなには…。あとは高い所の本を取りたいって言ったから抱っこして持ち上げたりとか、久しぶりに新しいネックレスを作ったらしいから着けてあげたりとか……」

 どうやらレオナは随分と積極的行動しているようだ。乾いた笑いを漏らすアポロに対して、ポップは素直に感心していた。ダイがそういった事に疎いものだから、彼女が頑張るしかないというのは、傍目には微笑ましい。

 それでもダイはレオナと二人きりでの時間をとても喜んでいるのだ。好意は充分に伝わっていると思っていいのだろう。

 問題は――

 

「レオナの身体って本当に抱き心地がいいんだよ。柔らかくって、あったかくって。それに、何だかとってもいい匂いがするし」

 

 ――ダイにそっち方面の常識が色々と欠けているという事だ。

 

  ぴしり

 

 一瞬、空気がひび割れる音が聞こえた気がして、ポップはちらりとアポロに視線を遣った……案の定、固まっている。だが、そんなアポロの様子にダイは気付かない。

「おれ、レオナを抱っこしたのって三年前に何度かあったけどさ。地上に帰ってきて抱きしめられた時とか、今日とかは、その頃と全然違うんだ」

 そりゃそうだ。とポップは心の中でツッコんだ。が、思春期を生きる年頃の女の子の身体についてここで語っても仕方がない。取り敢えず、アポロの『誤解』は解けただろうが、これ以上ダイに報告を続けさせるのは拙いだろう。

「ダイ、お前さ…そういう事を言うのは時と場所を選べよ。あと言葉も選べ」

 溜息を吐きつつ、ポップは告げる。アポロはまだしも、練兵場という男ばかりの場所(女性ばかりであっても問題だが)で話す内容ではない。女王陛下と勇者との間を誇張して受け取る人間が出てもおかしくないのだ。

「? おれ何か変なこと言った?」

「変なことじゃなくて……とにかくまずは言い回しがヤバいんだよ。何なんだよ『抱き心地』って」

 きょとんと訊き返してくるダイに、何だか腹が立ってしまうのは仕方がないだろう。他意はないというのは重々承知しているが、こういった機微をもう少し理解してほしいとも思う。

「せめて『三年前よりずっと綺麗な女性になった』とか、そういう風に…」

「レオナはいつだって綺麗だよ。ポップこそ何言ってんのさ」

 真っ直ぐな瞳で言われて、ポップは髪を掻き毟りたくなった。言いたい事のポイントが完全にずれている。

 レオナも気の毒なことだ。好意はしっかり伝わっているしお互いが大切に想い合っているのも変わらないのに、ダイの感覚は子供のように純粋で、そこから先は中々発展しそうにない。

(オレが十五歳の時って、もっとこう…。ああでも、こいつにはそういった『情報』自体が欠けてるんだよなぁ……)

 ダイの隣にいるアポロが、どんな表情を取るべきか迷っているのが痛々しい。理知聡明な賢者の彼が、先程から「あー」とか「うー」といった意味を成さない言葉のみを発している。

「別に姫さんの綺麗さを問題にしてるんじゃねぇんだよ。とにかく言葉を選べって言ってんだ!」

「おれ間違った言葉なんて…」

「だーかーら! 『抱き心地』とか…ああもう! お子様なんだからよ!!」

 投げやりな溜息と同時にポップが言ったその言葉は、ダイのプライドを刺激したようだった。

 

「なんだよ! お子様って!! おれ、何にも間違った事なんて言ってないだろ?!」

 肩をいからせて頬を膨らますその様子は、充分子供っぽいと評されて仕方ないのだが、

「うっせーよ! 言葉の意味じゃなくて使い方が駄目なんだって言ってるだろうが!? 誤解を招くような発言してんじゃねーよ!!」

 それに言い返す方もまた子供っぽいと思われてしかるべきだろう。幸か不幸か、彼らはその事に気付いていなかった。

「使い方って、じゃあわかりやすく言ってくれよ! おれお子様だからわからないんだからな!」

「あーはいはい! 自分でお子様だって認めてりゃ世話ないよな! とにかく! 姫さんのことでこれ以上お馬鹿な発言すんな!!」

 そのくだらない口喧嘩に、練兵場の多くの人間が注目しだしたのは当然の流れだ。

 そして――アポロが、これは嗜めるべきかと仲裁に入ろうとした時、それは起こってしまった。

  

「なんだよ馬鹿にして! おれ間違ってないだろ!! レオナの方がポップよりずっと抱き心地がいいよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誤解を招く発言はすんなっていってるだろうがああああああああ!!!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日行われたパプニカ練兵場の改修工事だが、その工程には何故か『クレーターの埋め立て』といった作業があったそうな。

 その作業を大魔道士殿が手伝っていただの、その日を境に勇者様に特別授業が組み込まれただの、女王陛下が随分とご機嫌だっただの、様々な噂が流れた。

 だが、真相を知る者たちは一様に口を噤み、練兵場で何があったのかは語られることはなかった。

 

(終)




別タイトルは『純真の使徒2』。
ダイ凄くいい子なんですけど、そういう方面をどこまで出して良いか迷います。興味があるほうが健全なんだとは思うのですがね。

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