ダイの大冒険――幸せを求める世界   作:山ノ内辰巳

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番外編:七つの夕べを超えて

 あれはいつだったかしら? 君が言ったのよね。

 

『パプニカは星が少なくなったね』

 

 私、あれは、あなたがデルムリン島の星空を懐かしんでるんだと思っていたわ。

 でも違った。

 

『パプニカに最初に来た時に見た夜空は島と同じだったけど、あれって、街が破壊されたからだったんだね。今は、空の星より街の方が明るいや』

 

 にこにこ笑って言ってくれた。復興を心から喜んでくれた。私、頑張ってきたのを君に認めてもらえたみたいで凄く嬉しかったわ。

 ねえダイ君、パプニカの街はあの頃よりもっと明るいわよ。いつか絶対に一緒に見ましょうね。そしてその後、デルムリン島で空の星を見るの。きっと綺麗でしょうね。そうそう! この時季だと天の川で伝説の恋人たちが待ちに待った逢瀬をするのよ。そしてそれを祝って、皆は願いを紙に書いてお祈りするの! 

 

 ダイ君、マァムやポップ君やヒュンケルも、皆あなたを探してるわ。私はその間、復興と発展を進めるわね。願い事? それは皆一緒だから書くまでもないわよ。

 必ず逢うのだから…書くまでもないでしょ。

 

 七つの夕べを超えて、七つの月を超えて、たとえ七つの歳を巡っても。ずっとずっと待ってるから。いつまでだって待っているから。

 

 ※※※※※

 

 あれはいつだったかなあ? レオナに言ったことがある。

 

『パプニカは星が少なくなったね』

 

 あんな言い方したもんだから、レオナはおれがデルムリン島の星空を懐かしんでるんだと思ったみたいだった。

 でも違う。おれは感動してたんだ。

 

『パプニカに最初に来た時に見た夜空は島と同じだったけど、あれって、街が破壊されたからだったんだね。今は、空の星より街の方が明るいや』

 

 本当に凄いと思ったんだ。焼け野原だったのに、フレイザードを倒した時のパーティーだってぼろぼろのお城で行われたのに、次に気が付いたら街に家がたくさん建ってるんだ。パプニカの人たちが力を合わせて道を拡げて店を開いて、夜は灯りがほとんどの家に点って…お城から見ると、地上に星があるように見えるんだ。

 そういうのってレオナがちゃんと指示したからこそなんだろうから、本当に凄いやって感動した。そしたらレオナ、嬉しいって笑ってくれて…とっても綺麗ったなあ。

 

 なあレオナ、パプニカの街はあの頃よりもっと明るいかな。きっとそうだよね。また一緒に見たいなあ……ここは暗いんだ。昼も夜もなくて。太陽も月も…星もなくて。あの綺麗な街の光を、いつか絶対にレオナと一緒に見たい。それでその後、デルムリン島にも行こう。おれとゴメちゃんしか知らない絶景スポットがあるんだ。そこで空の星を見たら本当に綺麗なんだよ。レオナはお姫様だから綺麗なものいっぱい見てるだろうけどさ、あの星空は最高なんだぜ! 

 

 レオナ、ポップやマァム、ヒュンケルも、皆…元気かな。レオナは仕事しすぎてないかな。息抜きに馬車で暴走したりしてないかな。お姫様なんだからあんまりはしたない事してなきゃいいけど…ううん、やっぱり元気ならどんなレオナでもいいや。

 必ず帰るから…そしたらいっぱい喋ろう。星を見て灯りを見て、皆と一緒に笑って泣いて遊ぶんだ。

 

 ここは日が無いんだ。ずっと『今日』なんだ。地上はどれくらい時間が経った? おれ、結構大きくなったよ。どうか…どうかもう少しだけ待っていて。必ず帰るから。帰ってみせるから。




七夕のダイレオ掌編です。
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