ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一   作:ソル@社畜やってます

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この話を読み終えたあとのお前たちのセリフは…「おい、レースしろよ」だ!


第10話 アルヴヘイム大陸一周レース(前編)

「あーあー、テステス…こほん。それではこれより記念すべき第1回!全種族対抗アルヴヘイム一周レースを開催だヨー!!」

マイクを握った猫妖精領主アリシャ・ルーが右手を握って高く突き上げながら言うと、観客席のプレイヤーたちは一斉に大きな声を上げる。

かねてから各種族の領主によって伝えられていた種族間対抗のアルヴヘイム一周レースがようやく開催されることになったのだ。

運営が主導となる各種イベントとは異なり、今回のレースは各種族領主であるプレイヤーが主導となっているために出場プレイヤーに合わせての開催日調整やその他観戦プレイヤーへの通達等、思いの外時間がかかってしまった。

スタート兼ゴールでもあり、領主とその他観戦プレイヤーのいるアルヴヘイム大陸の中心《世界樹央都アルン》では現在レース開始前のセレモニー-ほぼお祭り騒ぎのようなもの-が行われており、各領主による挨拶からレースにおけるルール説明、唯一出場を辞退した音楽妖精族(プーカ)による演劇と楽器演奏は多いに会場を盛り上げている。

そんな会場の裏では、出場プレイヤーたちが控えているのだが…

「今日こそは負けないわよ、レフィ♪」

「上等だ、かかって来いよオルモルディ」 

「たった4人で大丈夫っすか~?そんな人数じゃ優勝は無理だと思うっすけど?」

「ご心配なく。数で勝負しようとするような軟弱なそちら方とは違いますから」

早くも種族間による火花が散っていた。

とりわけ犬猿の仲とされている風妖精族と火妖精族のプレイヤーたちは一部を除いて睨みあっており、それぞれの種族であるルクスとクラインは苦笑いを浮かべている。

「なんだかスゴいね…」

「もうちっとこう、楽しくやるって考えてねえのか?」

「元々種族同士が争っていたからね。そう簡単にわだかまりが解けるわけないさ」

「そゃそうなんだけどよ…で、ルクスはあっちに参加しなくていいのか?」

クラインが指差す先の光景を見て、ルクスは困ったように笑いながら言った。

「遠慮しておくよ…」

クラインの差した先には、いつものアスナやシノンをはじめとした女性メンバーたちが集まっているのだが、その雰囲気は端から見れば種族間の争い以上に異常とも言えた。(ダジャレじゃないよ)

全員表情だけ見れば笑って話してはいるのだが、近寄り難いオーラを放っていてどこか女の怖さというものを感じさせる。

その理由は開催直前に知らされたレースの優勝品にあった。

優勝品とはいっても伝説級武具やアイテムなど形のあるものではなく、優勝した種族のプレイヤー全員の望みを一つだけ領主らの全面バックアップのもとで可能な限り叶える、というものだ。

それを聞いた女性陣の思惑はただ一つ、《優勝してキリト(リク)と一日中誰にも邪魔されることなくデートする》それに尽きる。

 

そんなことは露知らず。当の二人はというと、キリトは武器こそ違いはあるが同じ二刀流のアシュレイと熱く語りあっており。リクはユウキにべったりとはりつかれていた。

「ねえねえ!それレーヴァテインだよね!?」

「ああ。シノンにプレゼントしてもらったんだ」

「い~な~!僕も欲しいな~!」

「いやユウキ、お前は片手剣使いだろ」

そんな二人を横目で見たシノンは…

「(なにリクに抱きついてるのよ!そこは私だけのポジションだっつうの!気安く触るんじゃないわよ、この泥棒猫!)」

めっちゃ怒っていた…          

~数分後、央都アルン~

「さ~て、それじゃいよいよ出場選手の入場だヨ!カモ~ン!」

アリシャの言葉づかいと同時に世界樹の中から土妖精、鍛冶妖精、水妖精、闇妖精、火妖精、影妖精、猫妖精、風妖精の順にスタートラインへと歩いて行く。

さすがに各種族の顔とも言うべきプレイヤーが勢ぞろいしているだけのことはあって、ファンクラブが作られるような人気のプレイヤーが通る度に

「うおおおお!ストレアちゃ~ん!」

「エルルちゃ~ん!頑張れー!」「キャー!アシュレイお姉さまー!!」「リク様~!こっち向いてー!」

「シノンちゃ~ん!罵ってくださーい!」

「レフィく~ん!負けないでー!!」

…と、じつにカオスである。ちなみに最初に呼ばれた二人は投げキッスをしたり手を振ったりとちゃんと返したが、他の全員はガン無視である。むしろ集中力が削がれるから止めろ、とまで思っているのが約2名いた。

レースは前述の種族順で一斉にスタートし、ルグルー回廊を通って風妖精領、猫妖精領、音楽妖精領、とアルヴヘイムの各種族領地を時計回りに巡っていき、それぞれの首都のチェックポイントで待機している領事館のスタッフから確認のためのアイテムを受領、最後の火妖精領でアイテムを受け取った後に再びルグルー回廊を通って央都アルンへ一番最初に帰還したプレイヤーの種族が優勝となる。

 

そして元々このゲーム自体PvP推奨ということもあってか、妨害OKであるという点が重要になっている。

それこそ影妖精と闇妖精を除いた出場プレイヤーの多い他の種族が、数に任せた様々な妨害をしようとしているのは誰の目にも明らかだった。

表立ってはいないが、観戦プレイヤーの中にはトトカルチョに参加している者も少なくはなく、一番人気なのは風妖精と火妖精。次点で猫妖精と水妖精になっているあたり勝敗は数によって決まると考えるプレイヤーがほとんどになっている。

「(リク、ユウ…)」

あと数十秒でスタートするというタイミングで、闇妖精の1人であるアシュレイが小声で後ろの2人に声をかけた。

「(頼んだぞ…)」

「(任されました)」

「(ああ…)」

ユウはベレー帽を目深に被りながら、リクはレーヴァテインを更に強く握りながら静かに返す。

「開始15秒前~!」

アリシャの声に出場プレイヤーたちは或いは武器を手に、或いは全速力でスタートするために、或いは作戦のためにイメージをしながら、それぞれ構える。

そしてアリシャを含めたプレイヤーたちによるカウントダウンが始まった。

「5!」

「4!」

「3!」

「2!」

「1!」

「スタート!」

一斉にスタートしプレイヤーたちが一直線でルグルー回廊へと向かう。最速でゴールを目指す以上それが最善の方法だと誰もが思う。

しかし、そんな思考と行動をあざ笑うかのようにスタート地点上空と集団の上にその姿が浮かんでいた…           

~一ヶ月前、闇妖精領主館~

「妨害あり、か」

「う~ん…これ厳しいんじゃないかな?僕たち4人しかいないし」

「そうだな。少なくとも妨害をしている暇はなさそうだ…」

ラタトスクから配られたレースの詳しいルールが記された紙を見てリク、ユウキ、アシュレイはそれぞれ複雑な表情を浮かべていた。

下手に人数を増やすより少数精鋭にするという領主の判断がよりにもよって裏目に出てしまったことに困ってしまっていた。

ただ1人を除いては…

「確かに厳しくはありますが、作戦を立てれば優勝は十分狙えますよ」

ユウは本を片手にそう言うと、3人が反応する前に続ける。

「みそになってくるのは、この<ルグルー回廊を必ず通らなければならない>という点です。これが山を飛び越えてOKだったならば絶望的でしたが、これならばチャンスはあります」

「本当か、ユウ!」

「ええ、ただし僕の作戦はリクさん次第になります」

「俺次第、か?」

「はい。申し訳ないんですけど、これからあなたの属性剣を全部見せてもらってもいいですか?」

「関係あるのか?…まあ、構わないけど」 

一度領主館から出てリクは久しぶりに全てのソードスキルを繰り出す。

爆炎を纏った蹴りを放つ《紅蓮襲撃》

広範囲を炎でなぎ払う《魔王炎撃波》

超射程の炎を前方に放つ《覇道滅封》

数少ない連撃数の多い《天狼滅牙・飛炎(風迅)》

真空で斬り裂いてから蹴り飛ばす《旋狼牙》

疾風の衝撃波を放つ《絶風刃》

無数の真空波で斬り刻む《裂空刃》

氷塊を砕いて氷刃で攻撃する《絶破裂氷撃》

氷で敵を捕らえて、斬り砕く《氷月翔閃》

回し蹴りと共に竜の冷気を放つ《昇竜氷舞》

空中から落雷を放ちながら斬る《襲爪雷斬》

吹き飛ばして雷の追撃を加える《獅哮爆雷陣》(※2つ目の漢字が何故か表示されないので同じ意味の漢字で代用してます。ただしくは口へんに孔です)

連続の突きから斬り上げる《紫電滅天翔》

前宙しながら振り下ろして岩片を飛ばす《岩斬滅砕陣》

突き刺してから地面ごと打ち上げる《烈震天衝》

払うように殴りつけてから地面を叩いて岩を巻き上げて衝撃を起こす《魔王地顎陣》

下段から上段へ連続で突く《閃光裂破》

三日月の刃を三連続で放つ《星影連波》

残影を飛ばして戻りながら斬撃を繰り出して地面から衝撃波を起こす《爪竜斬光剣》

闇の力を集めて巨大な槍のように突き出す《魔人闇(マリアン)》

斬り下ろしと共に広範囲の闇の炎で滅却する《浄破滅焼闇》(※闇←これは「えん」と読む)

背後に回り込んで斬撃と蹴りのコンボを繰り出す《斬魔飛影斬》

「…これだけの数があるのか」

「いや、まだもう一つだけある」

リクはそう言いながら槍を手に持つと、て高く上昇した。以前キリトとのデュエルで一度だけ放ったことはあったが、その時点ではまだ自身が思う完成形にはなっていなかったため、密かに鍛え上げながら文字通りの奥義として秘密にしてきた技…

ソレを見たユウは満足そうに微笑むと、降りてきたリクに近づいた。

「これならいけそうです、リクさん」

「で、どんな作戦なんだ?」

「はい、それはですね………」      

~現在、央都アルン~

空高く上昇したリクの右手に握られているレーヴァテインが紫色の輝きを放ちながら巨大化し、ソレをリクはルグルー回廊へと向かっている集団の動く先を予測して勢いよく投げる。

「デモンズランス…ゼロ!」

紫光の槍の存在にプレイヤーたちが気づいたときには時既に遅く、集団のど真ん中に直撃した槍から広範囲に及ぶ爆風に加えて複数の小型の槍が残ったプレイヤーを追撃しようとホーミングする。

「くそっ!やってくれたな!」

「なんて威力よ…!」

完全に体制を崩されたプレイヤーたちの中から2人だけ、ユウキとアシュレイだけがほぼ無傷で速度そのままにルグルー回廊へ向かうのを見て、一部の風妖精と火妖精がそうはさせまいと飛行しようとした瞬間、青色の炎を纏っているような同色の巨大な握り拳…否、骨が一気に6つも上空から飛来して地面を砕き砂埃を巻き上げる。

「うわっ!」

「きゃっ!」

「今度は何なんだ!」

しばらくして砂埃が収まると、ルグルー回廊入り口の前に、二人の男が立っていた。

体躯の何倍もある6本腕の巨大な骸骨に身を包んだユウと、伝説級に匹敵する槍と古代級とほぼ同等の刀を持ったリク。

その姿をスクリーンで見た央都アルンの観戦者たちは言葉を失い、領主たちは興味深そうに見ていた。

ユウとリクの行動はすなわち、広範囲攻撃で他のプレイヤーを足止めしつつAGIに優れたプレイヤーのみを先に行かせて自らは入り口で《ルグルー回廊を通りたかったら俺達を倒してから行け》と時間稼ぎに徹するというものだったからだ。

「アッハハハハ!すごいことするネ!」

「いやはや、まったく…無謀だが少数精鋭であるが故のこれ以上ない作戦だな」

「やるじゃねえか、ラタトスク」

アリシャ、サクヤ、影妖精領主がそれぞれ感想を述べた先のラタトスクは、ワイングラスを片手に愛用の剣を持ちながら言った。

「当然だろ。俺が直々に選んだ奴らだからな」

ルグルー回廊の前では集団が各々の武器を構えてリクとユウを睨みつけつけていた。

単純に数だけで見ても2対70。どう考えてもまともに勝負することすら不可能に思える状況のはずだが、当の2人は笑みを浮かべて落ち着いた様子でいる。むしろ焦っているのは攻撃から残ったプレイヤーたちのほうだった。

先の攻撃で一対多の状況を覆せるような強力な攻撃手段を持っていることを見せつけ、種族を代表するプレイヤーの集団を前もってにしても微塵もビビることのない屈強な精神力をまざまざと見せつける。これもユウの考案した作戦の一つだ。

「ユウ」

不意にリクに呼ばれたユウは、プレイヤーたちの動きを見逃さないために失礼とは思いっきりながらも正面を見据えたまま言った。

「お前のその召喚魔法、俺のHPどれくらい削れる?」

質問の意図がわからなかったが、ユウは自身のステータスからすぐさま導き出して応える。

「…その気になればざっと8~9割、ですかね」

「じゃあ悪いけど、9割削ってくれ」

「………は?」

ユウは本気で意味がわからなかった。この状況でHPを削ることになんのいみがあろうか。アクティブスキルの《火事場》を発動させて火力を底上げしようというなら7割でいい。だが9割も削っては意味などない。

「本気で言ってますか、それ?」

「本気も本気だ」

チラッと見たその横顔は、ふざけている様子などまったく感じることがなかった。

「…わかりました。吹き飛ばないようにしてくださいよ」

骸骨の握り拳を振り上げる動作に、プレイヤーたちは攻撃を仕掛けてくるのだと身構えるが、その攻撃は何故か隣にいる魔剣士に直撃した。

「…は?」

「なにやってんだあいつ…?」

「仲間割れか?」

行動の真意がわからずにほとんどが呆然としている中で、数人だけはその行動の意図と恐怖を感じていた。

「…ストレア」

「…なに?キリト」

「お前、ほんっとにとんでもないもの生み出してくれたよな」

キリトの視線の先には攻撃を受けて尚も笑みを浮かべる、兄弟で、たった一人血の繋がった本当の家族で、頼りになるなかまで、そして最大のライバル。

普段仲間としているからこそわかる、味方としてのソレの強さも…ソレが敵に回ったときの恐ろしさも。

「………アクセスッ!!」

足元から紫色のオーラが噴き出し、減少していたHPが瞬く間に全快、プレイヤーの上限値を超えて限界突破する。

瞳の色が綺麗な紫色からまがまがしい紅色へと変色し、その出で立ちは人を遥かに超えたなにかを思わせる。

ユウはその姿を見て作戦会議での会話を思い出していた。

-僕達の役目は足止めです。出来るだけ長く足止めできればそれだけ優勝できる確率が上がります。

-わかった。でもさ…

あの時の言葉は

-別に全員倒してもいいんだろ?

ハッタリや誇張などでは決してなかったのだ。

「さあ…かかって来いよ、雑魚ども」

 




主人公
ラスボスにしか
見えないね  作者、本音の俳句     
魔王化したときのビジュアルなんですけど、遊戯王ARC-Vで初めて《覇王烈竜 オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》召喚したときの遊矢みたいなのを想像してください。わからないひとはニコ動orようつべに動画あると思うんで見てください。
どう見ても主人公してないから、ラスボスだから。
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