ソードアート・オンライン~桐ヶ谷和人の幼馴染~   作:隆斗

2 / 15
ということでクリスマスの番外編です。
何とか今日中に仕上げられました。
出来れば本編でやりたかったんですが、そこまで進まなそうなので番外編にしました。
時間軸的にはGGO編が終わった後のある日の現実世界べの話と仮想世界での話です。
出来るだけネタバレが無いようにしますが、あった場合はすいません。
クリスマス感が薄いですが、どうぞ。


番外編 クリスマス

 

 

 

 

 

 ガンゲイル・オンライン———通称GGOでのある事件が終わった後のある年のクリスマス。

 私——————茅場優良は、現在アンドリュー・ギルバート・ミルズことエギルが経営するカフェ《ダイシー・カフェ》に居た。

 本当なら今頃は和君とクリスマス一色の街を腕を組んで歩いたり、二人で炬燵にくるまってのんびり過ごしたりできる予定だったのだ。

 でも、今日和君は最近始めたバイトのシフトに急遽入れられたらしく、そっちに行ってしまった。

 ……むぅ、和君のバカ。

 

「おいおい、そんな怖い顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぞ」

 

 膨れっ面の私にこの店の店主であるエギルがカウンター越しに声を掛けて来た。

 

「……じゃあ、和君連れて来て」

 

「無茶言うな……」

 

 それが無茶な事だというのは、分かっている。

 でも、そう言わずにはいられない。

 やっとお互いに素直になってホントの意味で通じ合う事が出来たのに、和君は今私の傍にいない。

 

「それで、何で和人のヤローはこんな大事な日にお前さんの傍にいないんだ?」

 

 一時間程エギルには愚痴を聞いて貰っていたが、そう言えば肝心な事は言っていなかった。だから聞いて来たのだろう。

 

「バイトだってさ」

 

「いや、あいつバイトならすでに————」

 

「最近始めたんだって。そして今日は急に入ったんだって」

 

「俺が言いたいのはそこじゃないんだがな……」

 

「?」

 

 エギルの言いたいことが良く分からない。何が言いたいんだろう?

 

「まあその事はひとまず置いておいてだ、今日はまだ時間があるんだから取り敢えずポジティブに考えてみたらどうだ?」

 

 実は今の時間は十時をちょっと過ぎた頃。

 開店前で準備中の時に無理言って入れてもらって、その上に口まで聞いて貰っているのだから彼には頭が上がらない。

 

「……でも、今日と明日はずっと一緒っていった」

 

 私がそう呟くとエギルに苦笑された。

 そしてコト、という音と共に目の前に置かれるショートケーキ。

 

「クリスマスプレゼントだ。ジンジャエールも今日はタダでいい」

 

「……ありがと」

 

 父親の様な彼に感謝しつつ貰ったケーキを食べる。

 口の中に広がる生クリームの甘みと、イチゴのほのかな酸味が何とも言えずとてもおいしかった。

 

「………ねえ、私の愛って思いのかな?」

 

「……例えば」

 

 ケーキのお蔭で幾分か落ち着いた私は、取り敢えず和君が今日私と一緒に居ないのは私の所為と考え、自分を見直してみる。

 そしてエギルは私の質問に恐る恐る聞いて来た。

 

「例えばこれ」

 

 そう言って彼の前に出したのは私のスマホ。そしてその画面には大きなハートマークとその下にある九十六という数字。

 

「おいおいこれって————」

 

「そう、和君の心拍数」

 

 何でもない事の様に言うと、エギルは私からちょっと身を引いた。

 

「他にもあるよ。現在の位置情報とか、盗聴器とか」

 

「……お前、一応聞くが和人はこの事は—————」

 

 最早ドン引きしているエギル。

 そんなにおかしなことかな? 盗聴は兎も角心拍数と位置情報位は普通だと思うけど?

 

「勿論知ってる。と言うより和君のスマホにも私のやつがあるし」

 

「……ハ、ハハハ」

 

 乾いた笑いしか返せなくなったエギル。

 暫くするとそれも止み、微笑ましいものを見る様な顔で言ってきた。

 

「じゃあ大丈夫だ。お前さんからの一方的なまだしも和人も了承している上に、向こうもお前さんに同じことをしてるんなら心配はいらねぇよ」

 

「そうかなー……」

 

 それでも未だに不安を拭えない私。

 

 カランコロン

 

 丁度その時入り口のベルが鳴り来客を告げる。

 

「いらっしゃい」

 

 そのお客に対してニヒルな笑みで対応するエギル。しかしそいつは何も言わない。

 私には関係ないと思い、残っているケーキを食べ始める。

 口にケーキを運んだちょうどその時、後ろから優しく抱き締められた。

 ほぼ毎日してもらっている事なのに、それだけの事なのに涙が出て来そうになった。

 ————ああ、自分はこんなにも依存してたんだ。

 そんな風にふと思うが、今はほったらかしにされたことに対する納得のいく説明を聞き出す時である。その後はお仕置き(と言う名の甘え)の時間だけど。

 

「……早かったね。バイトはもういいの?」

 

 つっけんどんな口調になってしまうのはしょうがない。

 それが分かっているのか彼は苦笑いした。

 

「ああ、元々給料を取りに行くだけだったからな。……ちょっと手伝ってたり寄り道してたら遅れちゃったけど」

 

 ふむ、取り敢えず言い分は分かった。だが未だに私は納得できない。

 

「……こんな事で納得すると思ってるの?」

 

「思ってない。だから続きも兼ねて家でゆっくり過ごしたいんだが————」

 

 ————いいか?

 

 無言で許可を求める彼に、素直に頷いてしまいそうになる。

 だがまだだ。まだ私の気は晴れない。

 椅子の上でクルッと回転し彼————桐ヶ谷和人と向き合う。

 

「許してほしかったら———して」

 

 わざとしてほしい所だけを聞こえないように言う。

 それでも彼には私が何を望んでいるのか分かったらしく苦笑いしながらも分かった、と言って私に顔を近づけて来た。

 段々と私と和君の距離が縮まり、あともう少しでキスできるといったところで—————

 

「お前さんたち、そういうのをやるなら家に帰ってからやってくれ」

 

 ————この店の呆れた店主の声で中断させられた。

 

「何だよエギル。別にいいだろ、今は俺達以外に誰も居ないんだから」

 

「そうだが、もしお前さんたちがシてる途中に、誰か入ってきたらどうする? 気まずいのはお前さんたちだぞ」

 

『うっ……』

 

「分かったんならさっさと帰れ」

 

 シッシとハエでも追い払うように私達を追い立てるエギル。

 私もこれ以上ここで厄介になるのはいい加減に悪い気がしてきたので、彼の言う通り御暇することにする。

 

「メリークリスマスエギル。ケーキ美味しかったよ」

 

「メリークリスマス。優良がお世話になった」

 

「MarryXmas二人とも。イチャイチャするのは構わないが、時と場所は考えろよ」

 

 そんなクリスマス定番挨拶をして私と和君は《ダイシー・カフェ》を後にした。

 

 

 

 

 

 《ダイシー・カフェ》から帰って来た俺と優良は、二人で俺の部屋に居た。別に今は家には俺達二人以外は誰も居ないので、居間でもよかった気がするが優良の要望により俺の部屋になった。

 そして現在俺達はベットに並んで座っている。

 未だに優良は機嫌が直らないらしく、俺と目絵を合わせてくれない。

 ————仕方ない、本当は夕方に渡したかったんだがな。

 

「……優良、これを受け取って欲しい」

 

 そう言って俺がポケットから取り出したのは、小さな正方形の箱。そしてそれは大体の人が知っているあれ(・・)を入れる箱だ。

 

「……うそ」

 

「嘘じゃない。まあ、流石に給料三ヵ月分じゃないし子供の遊びの様なものだけどな」

 

 箱の蓋を開けると宝石も何もついていない見るからに安物と分かる指輪が、部屋の光を反射して輝いた。

 

「和君これは————」

 

「ええっ……婚約指輪(エンゲージリング)、みたいなものかな」

 

 少しふざけて言うと彼女はそれをおかしそうに微笑んだ—————でも、彼女の顔はまだ優れない。

 

「……ねえ、和君。今日が何の日か知ってる?」

 

「いや、クリスマスだろ」

 

 急に居住まいを正してベットの上に正座する、彼女に吊られて俺も自然と正座になる。

 

「うんそうだね。じゃあ……なんで今日は朝から出かけちゃったの?」

 

「いや、それはだから—————ッ⁉」

 

 そこまで言って俺は気付いた。

 俺は彼女の為に良かれと思ってやったことだが、彼女は欲しかったのはそれでは無く『俺と一緒に過ごす時間』なのだと。

 必ずしも他人の為にと良かれと思ってやった事は、必ずしもその人の為になるとは限らないという事、だろう。

 

「……ごめん。優良の気持ちも考えずに、俺——————」

 

「……だったら、はめて下さらない? 王子様」

 

 優良のその言葉に俺は苦笑しながらも、箱から指輪を取出し彼女の手を取りそこにもっていく。

 

「そういう話は嫌いじゃなかったのか?」

 

 指輪をはめる最中、ふと思った事を聞いてみた。

 

「それは騎士とお姫様。王子様とお姫様の関係はいいの」

 

 俺にとってはどっちも変わらないような気がするが、まあ優良がいいならいいのだろう。

 そして彼女の雪、もしくは白魚の様に白くて綺麗な手に指輪が嵌る。

 

「さて、それでは次の要求ですが………」

 

「えっ? 今ので終わりじゃなかったのか?」

 

 手桐終わりだと思っていた俺は優良の言葉に心底驚いた。

 だがまあ、その間は優良と一緒に居られると思うと………うん、バッチコイだな。

 

「分かった。次は何打?」

 

「それはね~………えいっ」

 

 優良は可愛らしくタメを作ると俺を押し倒してその上に馬乗りになった。

 

「ちょっ⁉ 優ムグッ⁉⁉」

 

 ビックリした俺は彼女の名前を呼ぼうとしたところ、何の前触れもなく彼女にキスされた。それも結構濃いめの。

 

「ん…ちゅ…ぴちゃ」

 

「ちゅ…くちゅ…んぁ」

 

 俺と優良はそのまま一分程キスを続け、どちらからともなく唇を離した。

 

「優良………」

 

「和君………」

 

 濡れた瞳で俺を見つめて来る優良。そしてまた唇がゆっくりと近づいていき——————

 

「あっ、忘れてた」

 

「……へ?」

 

 優良が急に離れた為俺は間抜けな声を出すことになった。

 

「ねえ和君、トナカイとサンタクロースどっちを先に見たい?」

 

「? どういう意味だ?」

 

「いいからいいから。どっちか答えて」

 

「じゃあ……トナカイの方からで」

 

「了~解。じゃあちょっと待っててね」

 

 そう言って優良は俺の部屋から出て行った。

 そして約十分後、ノックと共に優良が再び俺の部屋に入って来た。

 

「どう…かな? 似合う?」

 

 —————トナカイのコスプレをして。

 いや、普通のコスプレ衣装ならまだいい。だが今優良が着ているのは、

 ノースリーブでへそ出し状態のモコモコしていてトナカイの体毛を再現したベスト

 者がネバ中が見えてしまいそうなほどに短く、先を白い毛で飾り付けた茶色のミニスカート

 そしてひざ下までの茶色のソックスと肘までの茶色い手袋、そして十センチ程の短く可愛らしい角

 もうオレの理性がヤバイ。今まで獣娘なんてどうでもよかったが、トナカイ姿の優良を見ただけで鼻血を吹きそうな位ヤバイ。

 

「ね、ねぇ何か言ってよ……」

 

 そして今の優良は、恥ずかしいのか顔を赤くしてモジモジとしていた。そして今彼女が着ているベストは一番上のボタンが空いていた。恐らく同年代より明らかに成長著しい胸を持つ彼女には、ベストの胸囲のサイズが合わなく苦しい為ボタンを一つ開けたんだろう。

 だがそれにより彼女の胸の谷間が露出。加えて、今の彼女は手を前で組んでモジモジしている為余計にその谷間が強調されていた。

 

「優良」

 

「何?」

 

「その格好、絶対俺以外の前ではするなよ」

 

「………」

 

 真面目くさった顔で独占欲全開の事を言ってしまった俺。それにより優良もポカーンとしている。

 

「フフフフフ……アハハハハ」

 

「……ど、どうした?」

 

 独占欲全開の言葉により嫌われてしまったか、と危惧していた俺の耳にいきなり優良の笑い声が聞こえてきてちょっと焦った。

 

「大丈夫、和君以外の前では着ないから。それで、感想は?」

 

「え、えっと………。お、襲いたいくらい可愛かったです」

 

「エヘヘ、ありがとう。じゃあ次はサンタクロースに着替えて来るね」

 

 頬を朱に染めハニカミながら、優良トナカイは俺の部屋を出て行った。

 そしてまたさらに十分後。さっきと同じくノックと共に優良は入ってきた。

 今度のサンタクロース衣装も先程のトナカイ衣装と露出度はあんまり変わんなかった。ただ二回目という事もあって俺の動揺はさっきより少ない。

 今度のは、

 赤をベースにして淵は白い毛におおわれており、首までしっかりと布で覆われているものの谷間を強調するように胸のあたりはダイヤ形に切り抜かれているノースリーブ

 下のミニスカートは先程の茶色い部分が赤になっただけだが、今度は何故か増えている網タイツ

 手袋は先程の茶色の部分が赤に変わってる

 そして今度は何故かソックスでは無く赤いブーツ

 なんだか網タイツの所為で先程よりも色香が増し、可愛さよりもエロさがアップしていた。

 

「何か………さっきよりもエロいな」

 

 バッ

 

 そんな効果音が似合いそうなほどに素早く、優良は胸元を手で覆ったりスカートを下げて少しでも露出を抑えようとしていた。

 ——————まあ、逆効果だけどな。

 

「………和君のエッチ」

 

 非難の目で見られて少し居心地が悪い。

 

「そ、それで……感想を言えばいいんだよな?」

 

「うん。どっちが良かった?」

 

 明らかな話題逸らしだと分かっている優良だったが、何処からともなく先程のトナカイ衣装を取出して俺の誘いに乗ってくれた。

 

「普段見れない新鮮な優良が見れたから、どっちも良かったぞ」

 

「う~ん…本当はどっちか決めてほしかったけど———……。ま、いっか」

 

 ちょっと不満そうだったから心配になったが、どうやら選択的には間違っていなかったらしい。

 

「じゃあ和君にはプレゼントを挙げます。…目を閉じて」

 

「おう」

 

 優良に言われた通りに目を閉じる。

 そしたら俺の唇に柔らかい感触があった。先程よりそれは短かったけど、先程と同じ位俺の心は幸せだった。

 そして目をゆっくり開けるとそこには満面の笑みを浮かべた優良の顔があった。

 

「メリークリスマス。和君」

 

「ああ、メリークリスマス。優良」

 




因みに本編でやろうとしていたのは、クリスマス限定のクエストの話です。
感想・評価・誤字脱字の報告を待っています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。