落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~   作:火神零次

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蒼空の魔導書さん!コラボありがとうございました!
今回は、その後日談!爛と六花が元の世界に戻ってきたあとのお話です!
因みに、題名の部分は貸してもらいました(許可も勿論取りました)
また、一話終了の番外編の枠にこの話が入ります。季節ごとの行事の投稿も、一話終了にし、この番外編枠に入れるつもりです。


〜番外編〜
Sky Blue Grandprix後日談


「ふぅ、改めてお疲れ様、六花」

 

飲み物での好物である初恋ジュースを飲みながら、爛は車を運転する。

 

「よく、それを飲めるね。

 僕には無理だよ………」

 

 六花はそう言いながらも、爛の飲んでいる初恋ジュースの甘さを抑えた失恋ジュースを飲んでいた。

 

「そういえば、爛。

 あのDVDはどうしたの?」

 

六花はそう言いながら、バッグに手を伸ばす。

あのDVDとは、Sky Blue Grandprixに招待された爛たちは、その様子を撮ったDVDが贈られているのだ。

因みにSky Blue Grandprixとはカーレースのことである。

 

「ねぇ、爛」

「抱きつくのは帰ってからな」

 

言おうとしていることがバレてしまったことで、六花は頬を膨らませて爛を見つめる。

 

「いいもん。帰ったらジャンヌに言うもんね〜」

「それだけは勘弁して欲しいね……」

 

苦笑いをしながら、爛はそう言い放つ。

彼女の説教は刀華よりも長い。

正座には慣れているから良いにしても、同じように座っているジャンヌが足をシビらせて手伝ったほどだ。

 

「あぁ、それと。DVDはそのバッグの中だ。っていうか、本当にみんなで見るのか?」

 

恐る恐る聞いてみる。

正直に言うと、彼女等には見せたくない事がある。

 

「うん。僕と爛のラブラブっぷりを見せつけるためにさ!」

「何でこう自信満々に言うかな……」

 

ついつい頭を抑えてしまう。

 

「さて、そろそろ着くぞ」

 

もうすぐで爛たちの家だ。

どうしても爛の部屋に入るには人数が多いため、一軒家を買い、そこに住むことになったのだ。

因みに、食費などの管理は全て爛がしている。

 

「ん、じゃあ降りるぞ」

「分かった〜」

 

爛がそう言うと、六花もすぐに降りて玄関の方に向かう。

駆け足で行っている限り、早く見せたいのだろうと思っているはずだ。

 

「全く、六花は」

 

苦笑いをしつつ、爛は六花の跡を追う。

 

「ただいま〜」

 

その一言をいれる。

帰ってくれば、待っている人がいる。

 

「お帰りなさい、マスター」

「あぁ、ただいま。リリー」

 

温かい笑顔で迎えてくれる。

それだけで心は一杯だ。

誰もがそのはずだ。

 

「今日もお疲れ様です。皆さんは、中で待ってますよ」

「リリーの方もお疲れ。さて、今日は何を作ろうか。何か、要望はあるか?」

 

何気ない会話。

爛からの質問に、リリーはこう答えた。

 

「今日は、和食でも食べたいですね」

「そうか。そっちも良いなぁ」

 

今日はどんな感じの夕食にしようかと、爛はメニューを考えながら、皆が待っている部屋へと向かう。

 

「ただいま。皆」

 

みんなが待っている部屋に行き、帰ってきたことを話すと、皆して返してくれる。

 

「さて、今日はどちら様が座っていますか、と」

 

爛はいつも座る席に行くが、そこには必ず誰かが座っている。

さて、今日は誰が座っているかというと。

 

「あ、爛君」

「今日は刀華か……」

 

刀華だった。

意外と言うかなんというか、言葉に表せない感じになっている爛。

 

「ん」

 

刀華は此方に両手を広げて待っている。

 

「はいはい」

 

察した爛は刀華を抱き上げ、席に座る。

 

「ん〜♡ やっぱり、爛君の匂いは落ち着く♡」

「それは何より」

 

爛は刀華の頭を撫でていると、何かから声が聞こえてくる。

その声を聞くと、爛は冷や汗を流しながら身の危険を察知した。

 

「マ・ス・ター?」

 

後ろから声が聞こえた。恐る恐る顔を向けると、凄くいい笑顔で見てくるリリーが居た。

 

「あれは?一体?どういう?ものなのですか?」

 

口を開くことが出来ない。

可憐で美しい金髪の少女の後ろに、悪魔と呼んでも等しい者がいることも気づいた。

彼女が放っている気は、ぶつけている者に幻覚とも言えるものを見せる。

 

「とにかく、こっちに来てください。もうこれ以上、そういう事が無いようにしっかりと、調教させてもらいますね?マスター♡」

「━━━━━━━━━━」

 

何も言えない。言うことが出来ない。

彼女に連れていかれる。

 

「ちょっと待ってください。リリーさん」

 

いいタイミングで刀華が間に入ってきた。

 

「爛君を、どうするつもりですか?」

 

固有霊装(デバイス)を顕現させる準備は出来ている刀華。

リリーの返答次第では、刀華の刃がリリーを襲う。

 

「大丈夫ですよ♪刀華さん。戻ってくる頃には、マスターは私たちに堕とされるんですから♡」

(とんでもないことを言っちゃったよこの子!何!?一体どうなったらこうなるの!?)

 

リリーの口から出された言葉は完全に、危ないものだった。

今すぐにでも逃げ出したい。

だが、それが出来るわけでもない。

 

「えぇ、なら良いですよ♪」

(ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?)

 

刀華はそう言うと、爛の膝から降りて、リリーは爛の手を引っ張る。

 

「考え直して!お願い!お願いだから!ねぇってば!」

「マスター♡私との愛を育みましょう?」

 

爛は必死に抵抗するが意味が無い。

リリーは爛の抵抗を気にもせずに引っ張っていく。

 

〜翌日〜

 

ピンポーン

 

インターホンの音を鳴らす。

余ってしまった果物を渡しに来た颯真は、爛の家によっていた。

しばらくすると、玄関のドアが開けられる。

すると、死んだ人のような顔で、生気のない目をし、颯真を見てくるのは、爛だった。

 

「お、おい爛。どうした?」

「いや、大丈夫……どころで……何用だ……?」

「あ、いや、果物が余ったから、渡しに来たんだけど、また一週間後位に来る……」

「あ、ぁ……分かった……」

 

颯真は冷や汗を流しながら、爛の問いに答えるが、すぐに立ち去っていった。

そして、爛の状態から察した颯真は、しばらく爛をそっとしておこうとしたのだった。




次は、ハロウィンかぁ……

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