これでも人間だけど文句ある!? あるなら掛かってこいやぁ!   作:血塗ろ/(・x・)\

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プロローグ

 

 

あるアパートの一室。暗い部屋に明かりが灯る。

 

「ただいま.........フィーアちゃあああん!!!疲れたよおおお!」

 

 靴を脱ぎ捨て、鞄も投げ捨て。青年は愛猫へと飛びついた。

 美しく真っ白な毛を遠慮なくワシャワシャとかき混ぜ、社内ではそこそこ評判の良い顔をだらし無く歪める。

 

「ああぁぁぁぁ~................マジでフィーアちゃんの毛並み最高.......ちょっと待っててね。今すぐ晩ご飯用意するから!」

 

「んなぁお」

 

 返事を返す愛猫の喉を撫で、青年は投げ捨てた鞄をリビングのソファに再度投げ捨てるとスーツの上着を椅子に適当に掛け、棚の引き出しにあるキャットフードを銀の器へと流し込んだ。

 青年がキャットフードを棚へ仕舞うと愛猫はノソリと動き、用意された夕飯を貪る。

 いつも通りのその姿に青年は笑顔を浮かべると自分の分は用意せずにソファへと座った。

 青年がズボンのポケットから取り出したのはスマートフォン。

 指紋認証でさっさとロックを外すと、迷いない動作で一つのアプリをタップした。

 

「いやー、漸く出来るわ.......毎回メンテ延長するもんだから休憩時間にも出来ないし」

 

 スマートフォンから、オーケストラのBGMが流れる。

 青年が開いたアプリは、『剣と魔法のログレス古の女神』。

 剣と魔法のログレス、というPCブラウザゲームのアプリバージョンだ。つい最近、アプリリリースから三周年も経ったゲームである。

 ダウンロードが終わり、青年がゲームスタートのボタンをタップする。

 ロードが終わり、画面に映ったのは街の中央にある掲示板。そして、そこ前に集まるようにした沢山のアバターたちだ。

 青年がそのアバターの集まりから離れた場所をタップすると、アバターたちの中から妖精のような羽根を生やした熊の着ぐるみが現れる。

 

「本当、この熊の着ぐるみ可愛いな........うーん、でも折角だしもっとカッコイイのにしてみようか」

 

 右下のメニューアイコンを開き、ステータス画面から青年は装備画面を開いた。

 このゲームは名前から分かるように魔物と戦うことをウリにしている。

 だが、それだけではなく装備品の着せ替えなども自由に出来るのだ。

 あーだこーだと言いながら青年は見た目の装備を変える。

 そして、漸く青年は装備画面を閉じた。

 ステータス画面に現れたアバターは、赤い騎士甲冑にも似たような服に白いピッタリとしたズボン、羽の髪飾りと髪飾りに似たような腕輪と靴を履いて浮かんでいた。

 

「よし、こんなんでどうだ。折角、ジョブ名だってヴァルキリーなんだし少し騎士っぽい格好もいいもんだな」

 

 ウシシ、と満足そうな主人の膝の上に、フィーアがノシノシと乗る。

 その太い尻尾でスマートフォンを叩かれ、青年は時計を見上げて慌てる。

 

「ヤベ、十二時か...........まぁいいや。飯だって明日食えば充分だし........風呂だけ入って寝るか、フィーア」

 

「なぉん」

 

 元気良く返事をするフィーアの頭を撫で、青年はよっこらせ、とジジ臭い掛け声をして立ち上がった。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーー

 

 

「う、うぅん........」

 

 モゾリ、とソレは動き、起き上がった。

 黒い髪に黒い目。

 そんな黒髪とは反した純白の翼の髪飾りが頭を飾り、赤い甲冑にも似た服と白いズボンはさながら王国兵のような服装をしている。

 そして何より、その背中。

 男が起き上がると同時に、何もなかった背中に赤と白の装飾が施された羽が現れた。

 

「いてて.............あれ、ここどこだ?」

 

 その凛々しい服装や神々しい羽とは違い、青年は寝ぼけ眼で辺りを見渡し、目を見開く。

 

「え、ちょ、ここどこ!!?」

 

 青年が倒れていたのは森の中。

 青く澄んだ空には、巨大なドラゴンの影が浮かび上がる。

 

「..............................おやすみなさい」

 

「な"おんっ!!」

 

 

 

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