皆さんに楽しんでもらえる様に頑張ります!
第一話日常の始まり
しょぼしょぼする目をこすりながら僕はベッドから起き上がった。
うっかり足を滑らせないように二段ベッドの二段目から降りると僕より頭一つ分大きな身長をした筋肉質な男、井ノ原真人が筋トレをしていた。
すると僕に気づいたのか真人は首だけを回して声をかけてきた。
「おう理樹。起きたか。」
「うん。真人は今日も早いんだね。」
現在時刻は午前7時。決して遅いわけではない。むしろ学校近くの寮ぐらしにとっては十分な起床時間だろう。
しかし現在進行形で筋トレをしている僕のルームメイトである真人の事を授業中の居眠りは当たり前、成績も留年ギリギリで真人以上に遅刻が似合う知り合いはいないよ、なんて思っているがほぼ毎日早起きして筋トレをしている真人を密かに尊敬していたりする。
「筋肉が俺を呼んでいるんだ‼︎」
「いやいや、普通筋肉は喋ったりしないと思うよ?」
「理樹にもいつか分かる時が来るさ。」
「分かりたくないよっ!」
周囲の人が聞くとなんとも不思議な会話だけど僕はそんな会話をしていると心の底から安心出来た。
当たり前だと思っていた日々も永遠に続くわけではなく、突然崩れ出し気づいた時にはもう二度と戻れなくなっているかもしれないということあの世界で学んだと僕は感じていた。
だからこそ今を精一杯生きないといけない。
「理樹どうしたんだ?ぼーっとしてるけどよー」
「なんでもないよ。それより早く食堂に行こうよ!」
「確かに腹が減ったぜ」
「そうと決まれば急ごう!」
そういうと僕たちはそそくさと準備をして食堂へと向かって行った。
食堂には僕と真人以外のリトルバスターズのメンバーが揃っていた。
「おはよう。みんな早いね」
「みんなも早えーな。」
僕たちはいつもの席に集まっていたリトルバスターズのメンバーに挨拶した。
「おはようなのですー!」
「おはよー理樹君!」
「おはようございます。直枝さん」
「おはよう理樹君」
「おっはヨー‼︎理樹君!」
「遅いぞ理樹。」
「今日は遅かったな理樹」
「おはよう理樹」
「なんで俺だけ無視されてるんダァー⁉︎」
「うっさいボケッ!」
「ぐふっ」
真人が嘆き悲しんでいると鈴の飛び蹴りが見事に真人に直撃した。
「くっそーやりやがったなー」
「お前がアホだからだ」
人に飛び蹴りを直撃させておいて鈴はまったく悪びれている様子がない。
「うるせー!触りまくってアホうつすぞっ!」
「やめろっ!きしょいっ‼︎」
それだと自分がアホだと認めちゃってるんだけどね
真人は鈴の抵抗をものともせずにどんどん鈴との距離を詰めて行く。周りから観れば明らかに厳つい変態筋肉達磨がか弱い女の子を襲ってるようにしか見えない。
そこで今まで黙っていた恭介が遮るように言った。
「おいおい真人。まさか女相手に腕力で押さえつけるみたいな真似しないよな?」
「くっ」
そこでやっと真人は周りからは女子を力で押さえつけている変態筋肉達磨に見えている事に気付いたらしい。
「じゃあどうするんだよっ!恭介っ‼︎」
「まあ落ち着けよ真人。俺たちはいつもこれを使って戦って来たじゃないか。」
「これ?」
僕は恭介が言いたいことをすぐに理解した。これとは
僕たちが虚構世界にいた時によくやっていた遊びの一つだ。。
「まさかあれをやるの恭介?」
「そのまさかだぜ。さあみんなこいつらに武器になりそうなものを投げ込んでやってくれ!」
いつの間にか周りは他の生徒て囲まれていて、歓声がうねるように食堂中に響いていた。
「わふーっ!なんだか盛り上がってきましたー!」
「頑張って〜鈴ちゃーん!」
激しい歓声の中色々な物が宙を舞っていた。それは竹刀やバットなどの本格的に凶器になり得るものや消しゴムや卓球ラケットなどの今から本来の用途で使ってもらえない哀れな物まで様々だった。
「よしっ」
「俺はこいつだぁー‼︎」
二人は周囲に転がっていた物から自分の武器となる物を拾っていた。
鈴は演劇部の物だろうか、模造刀を手にしていた。
なんでみんな朝から食堂にこんな物を持って来ているんだろう?
対する真人はというと…
「なんで俺は猫なんて拾っちまったんだぁぁー‼︎」
さっき俺はこいつだぁー‼︎とか思いっきり叫んでたじゃないか‼︎
真人はしばらくこの世の終わりを知った人間の様な顔をしてその場に立ち尽くしていたが良い作戦でも思いついたのだろうか、急に不気味に笑い出した。
「ふふふ…」
「なんだこいつきしょいなっ!」
「何か良い作戦でも思いついたんじゃないかな?」
「何!真人がか?」
鈴が模造刀を構える。
「ほう。真人少年が作戦か。」
「真人が作戦っ…」
「真人が作戦だとっ…」
「わふっどんな作戦なんでしょーか」
「どーせくだらない作戦ですヨ。真人君だし。」
「どんな作戦なんだろー」
「作戦などと呼べる物が井ノ原さんに思いつくとは思えませんが。」
「理樹の言う通りだぜ。俺は今この瞬間、鈴に勝つ作戦を思いついたんだっ!!」
ドヤ顔する前に一部の人に激しく馬鹿にされてる事に気付こうよ真人…
「じゃあ行くぜっ!」
真人の自身満々の声で二人のバトルはスタートした。鈴は模造刀を中段に構えて真人の様子を伺っている。
先に動いたのは真人だった。周りのみんなも真人が考えた作戦がどんなものかとざわめいた。
真人が体の正面へと猫を掲げて叫んだ。
「身代わりっ‼︎」
ただのクズだ!
どんな作戦を思いついたのかと考えていたら猫を身代わりにするなんて…
「クズだね。」
「クズだ。」
「クズだな。」
「真人君かっこわるいー」
「男らしくないのです。」
「この外道め。」
「美しくないです。」
「クズですネ」
「この卑怯ものっ」
これにはみんなも大ブーイングだ。
「くっ、だがこれで鈴は俺に攻撃出来ねえ。このバトルは俺の勝ちだ!」
ダメだ。真人がどんどん堕ちていく。
「真人の考えることなんてろくなことがないが今回は鈴が劣勢だな。あの状況じゃ鈴も手を出せない。」
確かに謙吾の言う通りあの状況じゃ鈴が不利だ。だけど、
「ふふっ。めちゃくちゃ甘いぞ真人。いやもうくちゃくちゃだ。くちゃくちゃ甘いぞ。」
鈴は笑っていた。
なぜだ。この状況は鈴にとっては絶対的不利のはずだ。だが鈴は笑っている。
「確かに私は猫には手は出せないが、それなら猫には手を出さずにお前を倒すまでだ!」
そうは言っても真人の反射神経は伊達じゃない。鈴の動きに合わせて猫を突き出すことぐらいは容易なはずだ。
クズだけど。
「シッ!」
鈴は深く息を吸うと短い気合と共におよそ2メートルの距離を詰めた。あっという間にその小さな体は真人の懐へと入り込んだ。
「おらぁぁぁ!」
すかさず真人を猫を突き出した。
「うりゃぁぁぁぁ‼︎」
鈴の模造刀はそのまま猫に構わず真人へと向かって行く。
「なにっ⁉︎」
ズバーン‼︎
まさに雷光と言うべその剣速に、真人が1メートルは吹き飛んで行く。
「猫は⁉︎」
急いで真人が身代わりにしていた猫に視線を集めると猫は無傷だった。
「これが己の敵だけを見抜いて切る技、名付けて居合ライジングニャットスペシャルだ。」
ネーミングセンスは置いておいてもすごい技だった。それにしても…
「身代わりまで使って負けるなんて…」
「クズだ。」
「クズだな。」
「外道だ。」
「美しくないです。」
「かっこ悪いのです…」
「さっすが真人君!期待通りですネ。」
「さっすが鈴ちゃん!かっくいー!」
「くっそぉぉぉー!」
僕らの日常はこんなバカバカしくて、騒がしく、そして楽しくもある、こんな騒ぎが起こってから始まるんだ。そして今日もそんな日常は始まった。
どうでしたか?
僕は鈴とか沙耶とかが好きなんですが今のところは理樹が誰を選ぶかは決まってません。
皆さん楽しみにしていて下さい‼︎