クドの机を綺麗にした僕は、とりあえず自分の部屋に戻ることにした。
「真人」
「ん?どうした理樹?」
「相談があるんだけど…」
そういうと僕の雰囲気がいつもより暗いのに気が付いたのか、真人の目つきに少し真剣さが感じ取れた。
「何かあったのか?」
僕はさっき起きたことを真人に全部話した。
リトルバスターズのメンバーの中で僕が知っている限り虚構世界のことを覚えていると確信できるのは、真人、恭介、謙吾の三人だ。
恭介が言うにはこの三人は確実らしい。
他にも確認したわけじゃないけど覚えていると思われる人物は他にも何人かいるらしい。
「クド公がいじめられてんのか?」
「うん、多分来ヶ谷さんへの嫌がらせのためにリトルバスターズのメンバーを巻き込んでるんだよ」
「じゃあ今回の犯人もあの三人なのか?」
「正確には二人だけどね」
これが僕の思った通り来ヶ谷さんへの嫌がらせだとしたら他のメンバーにもいつか被害者が出てしまう。
「とりあえず恭介と謙吾も呼んで四人で話し合おう」
「それが良いな」
早速二人にメールをすると1分もかからないうちに二人ともやって来てくれた。
「理樹、能美がいじめられたというのは本当か⁉︎」
普段はクールな謙吾も友達がいじめられたからだろう、彼にしては珍しく怒りが表情に出ていた。
「落ち着け謙吾。理樹もそのことで俺たちを呼んだんだろう」
恭介が謙吾をなだめる。
恭介は無表情だった。その表情からは何も読み取れない。
だけど彼も確かに怒っている。
恭介が仲間をいじめられて怒らないはずがない。
「だけどなんで俺たちだけを集めたんだ?他のメンバーはどうした?」
「謙吾は覚えてない?前にもこんな事があったじゃないか」
「そういうことか」
「うん。きっとこれは来ヶ谷さんへの嫌がらせなんだ。だからきっと他のメンバーもいつか標的にされてしまうかもしれない、出来るだけ心配させたくないんだ」
「だけどよー、来ヶ谷なら一人でせっせとそのいじめっ子をぶっ飛ばしてそうだけどなー」
真人がこの中の誰もが考えたであろうことを口にした。
「それは俺も思ったんだがどうなんだ?」
謙吾も疑問を口にしたところで恭介が僕も考えていたことを代わりに言ってくれた。
「考えられる可能性は二つある。一つ目は来ヶ谷がすでに対処したが相手が懲りずにまたいじめを行っているという可能性」
だけどこの可能性低い。
「来ヶ谷さんならそんな気が起きないほどのことをするはずだよ」
「ああ。もし来ヶ谷が手を下してもまだいじめを行っているような奴ならそいつは相当強いハートを持ってる奴だ」
その後、恭介は顔を青くして言った。
「だがそんな奴はこの世に存在しない…」
「「確かに…」」
全員一致で納得した。
今目の前で顔を青くしている恭介はメール一つで心を折られ、グラウンドに突き刺されていたし。
「なら来ヶ谷はまだ気付いてないってことか?」
「多分ね」
「この事は来ヶ谷さんには黙っておこうと思うんだけど」
「それが良いな」
「こっちでドアぶっ壊されても困るしな」
「そうだな」
「最悪あの二人が無事じゃ済まなくなりそうだしね」
ここは現実。あそこは虚構世界だったから多少の無茶を通せて来たけど現実じゃそうもいかない。
「あの時はついなんの準備もなく突っ込んで行っちゃったから来ヶ谷さんが来なかったら何も出来なかった」
「じゃあまずは準備だな」
そうして僕たちの作戦は始まった。