第16話 危機一髪
「眠い…」
昨日はなかなか寝付けずに結局夜遅くまで起きていてしまった。
本当ならもっと寝ていたいけど、そろそろ準備しないと食堂でご飯を食べられなくなってしまう。
「真人は、いないか…」
もうみんなも食堂にいるんだろうか。
「僕も急がないと」
取り敢えず制服に着替えて歯を磨く。
それから今日の授業の準備をしてから寮の自室を後にした。
荷物を置いておくために先に教室に向かった。
教室に入ると、何故か鈴たちが楽しそうに話し込んでいた。
「あれ?みんなまだ食堂に行かないの?」
「おはよう理樹。お前を待ってたんだぞ」
「そうなの?」
「そうだよー!何かよく分かんないけどゆいちゃんが、理樹君は寝不足で疲れてるから教室で待っててやれって」
「そ、そうなんだー…」
「何かあったのか?」
「何でもないよ…」
夜中ずっと来ヶ谷さんの事を考えていて眠れなかったなんて言えない…
「ところでその来ヶ谷さんは?」
「姉御なら、何かよく分かんないけど先に食堂に行ってるって」
逃げたな…来ヶ谷さんめ。
ま、良いか。
「待っててくれてありがとう。じゃあ行こうか」
「ああ」
「レッツゴー!」
「ゴー!」
食堂に辿り着くと、もうみんなは席に着いていた。
「遅かったなー理樹」
「待たせちゃってごめんね」
「気にするな。じゃあみんな揃ったところで頂くとするか!」
僕が座ったのは来ヶ谷さんの右隣。
左隣には小毬さんが座っている。
自分でも思ったけどなんで僕はこの席に座ってしまったんだろうか?
来ヶ谷さんの隣は避けるべきじゃないか。
「どうかした?」
「なっ、なんでもないよ…」
「そうかな〜。ゆいちゃんはどう思う?」
やめてェェ!
お願いだからその人に話を振らないでェェ⁉︎
「さあ。私にはいつも通りに見えるが?」
え…?
話を振られた来ヶ谷さんはいつもと何も変わらない様子で答えた。
いやまぁ来ヶ谷さんならこんなもんかな?
「そうかなぁ〜」
1人で意識してた僕が馬鹿みたいじゃないか…
それから意識しないようにとしてみても、チラチラと来ヶ谷さんの方へ視線を向けてしまう。
「…」
気付けばチラ見は、いつの間にかにガン見になってしまっていた。
少しの間見つめていたら、来ヶ谷さんの体が小刻みにピクピクしだした。
どうしたんだろう?
それから来ヶ谷さんの様子は明らかにおかしくなっていった。
まずは食卓に置いてあったタバスコに手を伸ばす。
そしてそれを自分の味噌汁へとドバドバ投入し始めた。
「うわぁ…」
「ゆいちゃんっ⁉︎」
僕たちの声は聞こえて無いようで、来ヶ谷さんは真っ赤になった味噌汁を口に運ぶ。
そして数秒停止した後…
「うぅっ〜⁉︎…」
呻き声をあげて食卓をバンバン叩き出した。
それから僕の隣では同じような光景が何度も続いた。
来ヶ谷さんは、ご飯やトンカツなど結局朝食全部にタバスコをかけて食べるたびに呻き声をあげていた。
「これは…っ⁉︎」
照れてるのか⁉︎
いやいやいや、まさかね…?
だけどあれは明らかに動揺してるし…
なんかこっちも恥ずかしくなって来ちゃうなぁ〜
そんな事を考えていた僕は、気付くことが出来なかった。
朝食を全て食べ終えた来ヶ谷さんの視線が僕の方へと向いていたということに…
「ふんっ!」
「ゴホッ⁉︎…」
来ヶ谷さんの拳が僕の腹に深々と突き刺さった。
堪らず椅子から転げ落ちて床へと倒れ込んだ。
「理樹君⁉︎」
「なんだなんだ!」
「おいテメェッ!理樹になにしやがるっ!」
「理樹お前…。何しでかしたんだ?」
「大丈夫ですかーっ⁉︎」
「姉御っ⁉︎」
「理樹の奴…死んだな」
「何をしでかしたらああなるんでしょうか?」
肺の空気を強制的に吐き出されて必死に呼吸をしようと開けていた口へと、来ヶ谷さんの右手に握られていたタバスコが注ぎ込まれた。
「ゴガガガガァァー」
口内に激痛が走る。
口の中が熱い。
苦しい。
ていうか死ぬ!
周りの皆は声を出すのも忘れて呆然とその光景を眺めていた。
普通ここまでしないでしょっ!
どんだけ恥ずかしがり屋なのっ⁉︎
あっ、もうダメかも…
目が覚めるとそこはいつもの寮の自室だった。
窓の外を見ると、空はオレンジ色に染まっていた。
「もう夕方かぁ…」
どうやら今日は授業に出られなかったようだ。
口の中が痛い。
何もあそこまでしなくても…
「大丈夫だったかー!理樹?」
タイミング良く真人が返って来た。
「大丈夫だよ。まだちょっと口の中がヒリヒリするけど」
「あの野郎め。俺の理樹になにしてくれんだ」
「君の物になった覚えはないよ」
「理樹が冷たい…」
そんなに落ち込まないでよ…
「そういえばそろそろ恭介たちが来るって言ってたぜ」
「恭介たちが?」
「ああ。また作戦会議だってよ」
「ええっ⁉︎」
つい最近来ヶ谷さんがターゲットだったってのにもう次やるの…
勘弁して欲しいよ…
「よう!理樹っ!」
「調子はどうだ?」.
早速来たし…
「一応聞くけどどうしたの?」
「作戦会議だっ!」
「はぁぁー」
「おいおい、どうしたんだ?」
「だって昨日まで来ヶ谷さんだったんだよ?もうちょっと休憩しようよっ!」
「落ち着け理樹。俺にだって考えがある」
そう言うと恭介が長方形の箱を取り出した。
「考えって?」
「この中にはメンバーの名前が書かれた人数分の紙が入れられている」
「それは知ってるよ」
「だが今回は箱の中に紙は二枚しか入ってない」
「?」
どういうことだ?
「つまりこのクジはどれを引いても当たりメンバーしかでない」
そこまで言われて僕もやっと理解した。
この箱の中には二枚しか紙が入っていない。
きっとその紙に書かれている名前は、神北小毬、能美クドリャフカ、この二人だ。
「そういうことか!」
確かにこの二人ならほかのメンバーと比べても比較的楽にいけるかもしれない。
「ありがとう恭介っ!」
「ふっ、お前にこんなに喜んで貰えて小毬と二木も幸せだろう」
えっ?
何だろう?
恭介の口から今の会話の流れで聞こえてくる筈がない名前が出てきたような気がしたんだけど。
「もう一度言ってくれる?」
「小毬と二木も幸せだなって」
「は?」
「小毬と二木も幸せだなって」
「冗談だよね?」
こんなの悪い冗談に決まってる!
「本気だけど?」
「えぇ〜…」
小毬さんは兎も角、二木さんの何処が当たりなの?
二木さんが嫌いとかじゃないけどさ。
むしろ一度好きになった女の子だしね。
でもさー。
今回は優しい子で癒されたいっていうか。
勿論みんな優しい良い子たちなんだけど…
最近来ヶ谷さんの相手もして疲れたと言うか、
出来れば小毬さんかクドが良かったんだけど。
結局何が言いたいかと言うと…
「小毬さんが良いなぁー?」
「駄目だ」
「恭介のバカっ!」
「な、バカ⁉︎」
「まあ落ち着け理樹。二木も良い奴じゃないか?」
そんなことは分かってるけど…
「確かに二木さんは良い子だけど…」
「なら問題ないじゃないか?」
「うぅっ、」
「理樹は来ヶ谷の相手をしたばっかだからいっつもほのぼのしてるクド公とか神北が良いってことじゃねぇの?」
「さすが真人っ!」
「そんなに褒めんなよ」
「理樹の言いたいことも分かる」
「それなら、」
「だがここで甘やかしたらお前の為にならない」
なんそれっぽいこと言って来たんだけど…
「これはお前の為を思ってのことなんだ!」
うぅ。
なんか断りずらい雰囲気になっちゃったじゃないか…
「分かったよ!引けば良いんでしょ⁉︎」
「さすが理樹だ」
こうなったらやるしかない!
僕のこの右手で絶対に小毬さんを引き当ててみせる!
「はぁ!」
僕は箱の中のクジを思い切り引いた。
大丈夫。
今僕の右手に握っている紙にはきっと神北小毬と書かれているはずだ!
僕は紙開いた。
すると…
「やったー‼︎」
その紙には神北小毬と書かれていた。
書いてるうちに神北小毬編なのになぜか来ヶ谷さんがいっぱい出てきて自分でもあれっ?てなったカフェモカです。
今年の春アニメのエロマンガ先生楽しみ!(≧∇≦)
伏見つかさ先生のファンなんですよねー!
あの文章が個人的に好きなんです!♪( ´θ`)ノ
禁書とか読むときはめちゃくちゃ時間かかるんですけど、俺妹とかエロマンガ先生とかは本当に読みやすくてスラスラ読めます!
あんな一人称を書くのが僕の目標です!( ̄^ ̄)ゞ