僕は今、小毬さんと夜行バスの旅を満喫していた。
周りを見てみると、僕たち以外にもお客さんはたくさんいた。
その年齢層は様々で、大学生くらいの若者のグループや仲の良さそうな老夫婦、若い男女のカップルや子供連れの夫婦など色々な人たちがいた。
その中にはこんな貧乏旅行なんて全く似合わないような人だってさっきから何度か目にしていた。
こんな貧乏旅行にも何か魅力を感じるんだろうか。
僕はその辺さっぱりだからなぁ…
僕の隣に座っている人物はバスに乗ってからずっとそわそわしている。
「こんな夜遅くにバスに乗ったことなんてないよー!」
「そうだねー」
それさっき小学校低学年ぐらいの子も言ってたよ。
僕だって夜行バスでの旅行なんて初めてだし、少し新鮮だなとは思うけどね。
「見て見て理樹君っ!」
「うわぁー。凄い買い込んで来たね」
「これでおやつに困ることはないよっ!」
「あまり食べ過ぎないようにね?」
「はーいっ!」
なんてやり取りを僕と小毬さんは繰り広げていたわけで…
そんな幼い小毬さんを見て思わず口元がニヤけちゃったよ。
周囲からくすくす笑われて少し恥ずかしかったけど…
だけどそんな些細なことも、すぐにどうでも良くなってしまう。
小毬さんの笑顔はそれくらい素敵なものだった。
「私の顔に何か付いてる?」
「い、いやなんでもないよ」
「変な理樹君…」
少し微妙な空気になったとき、
「「まもなくパーキングエリアに到着します」」
良いタイミングで車内アナウンスが響き渡った。
「よぉし!休憩だよ〜理樹君!」
「そろそろ座りっぱなしも辛くなって来たから助かるよ」
少ししてバスは静止した。
「ご乗車中のお客様。足元にお気をつけてお降り下さい」
ガイドさんの指示に従ってみんながバスを降りて行った。
ガイドさんは乗客を一旦バスから少し離れたスペースへと引率してから、良く響く声で指示を出した。
「みなさん。今から20分間を休憩時間に当てますので、5分前には車内へとお戻りいただくようご協力お願い致します」
「どうする?」
「私、実は色々調べて来たんだよ〜!」
「そうなの?」
「うん!まずは限定お菓子を手に入れないとっ!」
「まだ買うんだ…」
自信満々に僕の手を引く小毬さん。
彼女はすぐにお目当ての物を見つけてレジへと駆け出して行った。
小毬さんが欲しがっていたご当地限定お菓子を手に入れた僕たちは、フードコート辺りをぶらついていた。
「ねえ理樹君、このお店凄く美味しそうじゃない?」
「確かに良い匂いがさっきから凄いよ!」
「ここ入らない?」
「えっ?でももう少しで20分経ったゃうよ?」
「何言ってるの理樹君?休憩は20分までって言ってたよ?」
「そうだったっけ?」
「そうだよ〜。早く行こっ!ね?」
何か大変な勘違いをしているような気がするんだけど…
ま、良いか!
「そうだね!僕もお腹空いたよ」
その時の僕は知らなかった。
この決断が後々大変な事を引き起こすということを……
そして僕たちは遅めの夕飯を食べ終えて店を出た。
「美味しかったねっ!」
「うん!食べて正解だったよ!」
だけどそんな楽しかった時間はすぐに崩れ去った。
集合場所に着いた僕たちを迎えるべきバスが見当たらない。
「これは?」
「色が違う…」
「これは?」
「模様が違う…」
「これは?」
「形が違う…」
まずい、
これはもしかすると…
「置いてかれちゃったみたい?」
「…」
そう。僕たちはこのパーキングエリアに置いて行かれてしまったんだった。
小毬ちゃんはヒロインの中でもHシーンがバッドエンドにあるという少し悲しいキャラクターなのでこの物語では彼女を幸せにしてあげたいですけどね…
理樹結ばれるのはどのキャラか。
この判断、凄く難しい…(・_・;