僕らは死んでしまうことを知っている   作:β.A

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美代 悠真

この世界は生まれたその瞬間から寿命を知らされる。

 

「なぁ、お前あと残りどれくらい?」

「あー、60年はあったと思うけど」

 

だからこんな会話は当たり前で、高校に入学したての僕は周りが当たり前のように残りの年数を数えているのをただぼんやりと眺めていた。

新しい友達ができたら挨拶の次に余命を聞く。だからお見合い写真でまず必要な条件は長く生きられる、っていう条件らしい。まあ、余命少ないやつとは関わりたくないのは当たり前の心理だ。

余命数年の奴と誰が友達になりたいと思う?だから僕の考えでは、というか一般論的には皆70代後半を寿命と考えて余命を言う。いわゆるサバを読んでるわけだ、悲しいことに年齢ではなく寿命で。

 

「な、お前名前は?」

 

声をかけられそちらへ目をやるといかにもクラスの人気者、というような男子が僕の目の前に立っていた。

 

「……美代、悠真」

「ミシロ、か!俺は名高」

「下の名前は?」

「あ、わり。俊、名高俊。よろしくな」

 

にこにこと人の良さそうな笑顔のソイツはその日中に案の定クラスをまとめ入学祝だとかなんとかでカラオケを主催していた。もちろん僕は行きたくも行くつもりもないから黙って教室を出てその足で塾へ向かった。

 

「げ」

「お、ミシロじゃん!お前カラオケ来なかっただろー!」

「ごめん、塾で」

「すげ、お前塾もう行ってんの?俺ら高一だぜ、はやくね?」

「いいだろ、別に」

 

ちょうどカラオケ帰りの名高に捕まりそのままずるずる話し込み結局、近くのハンバーガーチェーン店に二人で入る。

 

「何がいい?俺、注文してくるよ」

「じゃあ……コーラのMで」

「オッケー」

 

名高が荷物をおいてレジに並ぶその後ろ姿を眺めながらふと机の上に名高のスマホが伏せて置いてあるのに気付いた。

 

「……開きっぱなしじゃねーか、不用心だな」

 

表を向けるとスケジュール帳のアプリが開いたままの状態。少しコイツの予定とか気になって画面を滑らせる。

 

「コイツ、めっちゃ真面目だな」

 

一日も欠けていない日記を眺め日付をどんどん先へと進める。

 

「っ?!」

 

丁度12ヵ月進めたところで手が止まった。そのマスには一言だけ書かれてあってその一言と言うのは、あまりにも。

 

「わりーな、レジ混んでてさ……って」

「わ、ご、ごめん!開いたまんまで、だから、ほんと」

「……見た?」

 

彼はなんでもないように僕にそう訊ねて席に座った。

 

「あと、一年って……」

「見てんじゃねーかよぉ!」

 

軽く笑ってドリンクを飲む名高。

僕にはなんでそんなに落ち着いてられるのかが不思議でたまらない。

今日から丁度12ヶ月後のマスに書いてあった<最後の日>の文字が頭の中でぐるぐると回る。

 

「な、ミシロ」

 

俺の友達になってくれね?

そう目を伏せていった名高に僕は首を縦に振るしかできなかった。

 

 

 

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