僕らは死んでしまうことを知っている   作:β.A

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名高 俊

帰宅部の俺達には何の用事もない放課後の帰り道。いつも通りハンバーガーの大型チェーン店に立ち寄る。

 

「なあ。」

「ん?」

 

片手にコーラのMサイズ、片手に文庫本、両耳にはコイツの無表情には似合わない程の爆音でロック。地味に音漏れまでしているその音楽にため息をつく。

お決まりのスタイルで本を読む目の前のミシロに声をかけた。

 

「いい加減さ、本読むのやめね?俺に構えよー。」

「あと五ページ。」

 

こうなったらもう何をしたって無駄だということはこの二ヶ月で身に染みるほど痛感した。

コイツは相当な本の虫だ。

 

「俺、一応あと十ヵ月なんだけど……。」

「それ出すのは反則だろ?」

「そうでも言わねーとお前こっち向いてくんねーじゃん。」

「お前が鬱陶しいからだよ、解れ。」

 

なんやかんやで本を読むのを中断し俺の方に目を向けたミシロ。本を読んでいるときも俺の言葉は一応耳に届いているのが嬉しい。

 

「名高さ、僕じゃないヒトと遊んだ方が楽しいんじゃないの。」

「それは俺が決めるから気にすんな。」

「あ、そ。」

 

以前ミシロに言われた言葉を思い出した。そりゃあミシロは無表情だし俺の話なんて右から左に流してる。それでも一旦脳まで、いやどっちかって言うとココロまで持っていってくれている。寿命があと少ししかない俺を憐れみもせずただ普通に接してくれる。

それ以上何を望めって言うんだ。俺は憐れまれながら残りを過ごすなんて真っ平ごめんだ。

 

「お前も本読んだら。」

「あー、オススメある?」

「自分で探すのも楽しみの一つだろ。」

 

店を出て第一声は本を読めとのこと。そういえばここ数年本なんてもの読んでなかった。せいぜい教科書だな。

 

「お前、残りいくらあんの。」

「……五十、四。」

「結構あんのな。」

 

俺の言葉に本の少し息を飲んだのが分かる。一拍置いてミシロが口を開いた。

 

「お前はどう思う。」

「何が?」

 

このシステムを。

いつもの無表情を本の少し歪めて吐き捨てるように言ったその言葉に少し眉を寄せる。

 

「んなこと考えたことなかった。」

「だろうな。」

「失礼だな、ならそう言うミシロはどうなんだ?」

「無くなればいい、そう思ってた。」

「思ってた、?過去形なのか。」

「このシステムがなけりゃお前なんかに会うこともこんな風に毎日より道を食うこともなかった。」

 

無くなればいい、か。

 

「どっちでもいいよ、俺は。」

「中途半端だな。」

「そのお陰でミシロと仲良くなれた、これがなけりゃ多分もっと馬鹿みたいにスカスカな高校生活を送ってた。

それはそれでいいんじゃねーかな。」

 

それはそれで楽しそうだ。

毎日毎日後悔を残さないように過ごすのは案外大変だ。後悔だらけの高校生活ってのも憧れる。

 

「馬鹿だな。」

「お前、聞いといてそれはねーだろ……。」

 

呆れたようなミシロの言葉に口を尖らせた。

 

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