僕らは死んでしまうことを知っている   作:β.A

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美代 悠真

「これがなけりゃ多分もっと馬鹿みたいにスカスカな高校生活を送ってた。」

 

お前は以前、そう言ってたな。

お前と同じ意見なんて少しあれだが僕も同感だ。こんな期限付きの高校生活じゃなければ馬鹿らしい、でも思い返せば楽しかったと言えるような日々を送っていただろう。

 

「それはそれでいいんじゃねーかな。」

 

それ、という言葉が指すのがそのスカスカな高校生活のことだのしたのなら。

お前が選択したやりたいことをやり尽くす高校生活ではなくて馬鹿らしい高校生活を僕は選ぼう。

 

 

幼稚園の頃、じいちゃんが寿命で死んだ。そのときの葬式では皆泣いていて、皆が泣いているのを見て僕も泣き出したのをお吠えている。こんなに泣かせるのならいっそ泣いてくれるような人を作らないで生きようと決めた。

高校に入り僕は友達なんて作らずに高校生活を送るつもりだった。教室の端で本を読んでいる居るか居ないか分からない存在のまま死のうと思っていた。

そう決めてからは死に対してそこまでの恐怖を覚えることもなかった。

 

「な、お前名前は?」

 

この馬鹿に声をかけられ、挙げ句には放課後を毎日過ごすことになるまでは。

名高の残りは一年で、僕の方が先に死ぬのが分かっているというのに放課後を一緒に過ごす内に死に対いする恐怖が膨らみ始めた。死ぬことに抵抗を覚えた。

僕の寿命は明日の朝10時。あと12時間。

僕は制服、制カバン、小説以外なにもなくなった部屋で一人ベッドに座っていた。もう二度とこの勉強机で勉強をすることはないのかと思うと高校受験が懐かしくなる。一ページも書いていない大学のノートに近くにあったペンで一文短く書き机の上に戻す。

名高なら見るだろう。そうだ、アイツにオススメの本を言ってなかったな。教えてやるか。

ベッドのシーツを伸ばし枕を整え部屋の電気を消した。部屋を出ると母さんと父さんが丁度二階に上がってきたところだった。

 

「悠真、もう寝ましょうか。」

「父さん仕事でもう疲れたよ。」

「お疲れ、父さん。」

 

今日は両親と寝ることになっていた。

あくまでいつも通りを演じてくれる両親はやはり無理をしているようで目が赤くなっている。

泣くのをこらえてまで僕の望みを叶えようとしてくれている母さんと父さんに僕はいつものようにおやすみと口にして布団にはいった。

電気を消して母さんの鼻をすする音が聞こえる。

以前言っていた、私の子にさえ生まれなければもっと生きられていたかもしれないのに、と。

 

「……母さんと父さんの息子で、良かったと思ってるから。」

 

これは僕自身の後悔と母さんと父さんの後悔を消すための唯一のいつも通りじゃないことば。

 

「ありがとう。おやすみ。」

 

明日の朝御飯は塩辛そうだ。

 

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