ラブライブ!+フォース ~病める時も側に~   作:愚民グミ

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前回からかなり時間が経ってしまいましたが、次話投稿です。今年の投稿はこれで終了です。皆様、良いお年を。


第2話「発覚~Perception~」

「♪きっと青春がきーこーえる!」

「♪そーの瞬間がみーたーいね!」

「♪隣にきーみーがーいーてー!」

「「「♪うーれーしいけーしき!」」」

「「「♪隣はきーみーなーんだー!」」」

「お前ら上機嫌だなぁ」

 

海未と話をした翌日の放課後、ダンスの練習を終えたμ'sは休憩をしていた。今日はチーズケーキを焼いてきたが、どうやらお気に召したらしい凛と麗と花陽ちゃんは並んで座り、歌を口ずさみながら食べていた。……しかし、背の小さな二人の横で190cmくらいの大男がテノールボイスで一緒に歌いながらチーズケーキを食べる姿は、物凄い違和感というかシュールさがあった。

 

「だってこのチーズケーキ美味しいにゃー!」

「滑らかな舌触り!濃厚なチーズの風味!優しい後味!どれをとってもパーフェクトです!」

「あんたはうるさい」

「うー!食べ過ぎないようにって思うんだけど、止まらないくらい美味しいです!」

 

凛、麗、花陽ちゃんの順に感想を言われた。今日はちょっと寝坊したから時間がなくって大急ぎで作ったんだけど、どうやら上手くいったらしい。

 

「おい真琴」

「 ? どうしました歩さん?」

「抹茶プリン 140kcal、アップルパイ 304kcal、杏仁豆腐 134kcal、チョコチップクッキー 488kcal、マーラーカオ 286kcalで、先日のプチシュークリームの山…今言った食べ物とカロリー量、これが何か分かるか?」

「え、えっと、俺がこの1ヶ月作ってきたお菓子ですか?」

「そうだ、分かっているようだな……お前、前に海未に絞られたのを忘れたのか?」

「い、いや、それでも量とか考えてますし、今だって週一くらいの頻度ですし……」

「それでも十分多いぞ。それに、隠れて凛や花陽に作ってやったり、口車に乗せて他の連中にも色々食べさせてたりしてるだろ?」

「い、いやほら、練習の後ってお腹空くし、それにあいつらの物欲しそうな目を見たら作らないわけには……」

「甘やかすな馬鹿者!少しの体重変化でパフォーマンスに差が出るというのを分かっているにお前と言う奴は!」

「でも歩さん!僕もよく作ってもらいますが、特に変化はありませんよ!」

「お前の場合は身長と筋肉にいってるからだろ!お前じゃ比較対象にならないに決まってるだろ!」

 

何時にも増して歩さんのお小言が飛ぶ。確かにライブ前だし体調管理は俺と歩さんの仕事だし、俺も分かってはいるけど、やっぱりあいつらのお菓子作って光線を浴びるとついつい作ってしまう。

 

「今回ばかりは歩の言うとおりよ!またA-RIZEとライブすることになってんのよ?もっと自覚持ちなさいよ!凛達も!凛は太りにくいっていったって食べ過ぎよ!花陽もまたダイエットしたいの?ちょっとは考えなさい!」

「あうう、だ、ダイエットはもうやだよぅ……」

 

プンプン!という効果音が聞こえそうな感じで一年生3人と俺を怒るにこちゃん。彼女の感情を表すように、チャームポイントのツインテールが激しく揺れる。

 

「えー!?そんなこと言ってこの間のプチシュー、にこちゃんのほうが一杯食べてたにゃー!」

「うぐぐっ!?あ、あれは、その、残すのも勿体ないじゃない?それにあたしの場合食べれば食べただけパワーアップするっていうか」

「それなら凛だって一杯食べればもっと練習頑張れるにゃー!」

 

大騒ぎしながら言い合いをするにこちゃんと凛。何と言うか、姉妹喧嘩のようだと思うと笑みがこぼれる。

 

「まぁまぁ、矢澤も間も落ち着けって。お前らちったぁ余裕ってもんが必要だぜ?ほれほれ、カルシウムとらねぇと心も身長も大きくならねぇぞ?」

「「身長は余計です(よ)!」」

 

今度は浮竹先生がいつものニヤニヤ笑いを浮かべて二人のことを煽る。因みに先生は甘いのが苦手なのでブルーチーズケーキになっている。

 

「うわー、先生よくそんなの食べれるねー」

 

穂乃果は信じられないと言った顔で、ブルーチーズケーキを食べる浮竹先生を見ていた。

 

「大人の味って奴だよ。あー、でもマジでこれ酒に合いそうだなぁ。剣持、まだこれあるか?」

「ありますよ。後で分けますね」

「おー、サンキュー」

「あ、うちも欲しいなー。なんか美味しそうやし」

「私も。パパがブルーチーズ好きだから後で分けてね」

「分かった」

 

希さんと真姫もブルーチーズケーキを注文する。良かった。どうやら皆も気に入ってくれたらしい……歩さんの視線は相変わらず痛いけど……。

 

「でも本当、ビックリするくらい美味しいわよね。この間のプチシューなんて、5種類の味があって気が付いたら無くなってたわよね」

「しかも生地は米粉を使ってたからモチモチで……うぅ、また食べたくなって来ちゃった……」

「絵里さんも花陽ちゃんも、また今度作ってきますよ……も、勿論ライブ終わったらですけど……」

「凄いよねー。私もよく作ってくるけど、あんなに手の込んだの作れないよ。いつ作ってるの?」

「え?3時半くらいから起きて作れば余裕だろ?」

「……え?」

 

……あれ?なんかことりに引かれた気がする。な、何故?

 

「まったくあんた達は……海未もなんか言って」

「……………」

 

にこちゃんが海未にも意見を求めるが、しかし海未は返事をせずケーキにも手を付けないでボーっと遠い目をしている。

……今日1日観察してたけど、授業や練習は集中してたけど、暇があるとずっと上の空といった感じで、さっきも階段を踏み外しそうになっていた。眠そうにまばたきする時もあった。

……やっぱり、昨日のことが原因だろうなぁ。あー……こんなことならはっきり言わなきゃ良かった……。

 

「海未ちゃんどうしたの?具合悪い?」

「ふぇ!?ほ、ほの、穂乃果!?キャッ!?」

「おいおい!」

「キャッチしました!」

 

穂乃果に話しかけられた海未は顔を赤くして、すっとんきょうな声をあげながら後退りして、危うく転びかける海未。俺は素早く海未の後ろに回って支えて姿勢を正させ、麗が海未の落としたケーキの皿をズザザーッ!とヘッドスライディングしながらキャッチした。その海未はと言うと、何と言うか口をパクパクさせて固まっている。

 

「だ、大丈夫?本当に何かあったの?」

「イ、イエ、ナンデモナイデスヨ?」

「なんで片言?」

 

……本当に大丈夫かよこいつ……。余りの動揺っぷりに、他の皆も心配そうに集まってくる。

 

「どうしたのよ海未?熱でもあるの?」

「よく見たら顔赤いじゃない!休んだほうがいいわ」

「い、いえ、大丈夫です!ほら、こんなに元気です!」

 

にこちゃんと絵里さんが心配してるが、とうの海未は腕立てをして自分の健康をアピールしている。

……でもそんな漫画だったらグルグル目してる感じの奴が元気なようには到底見えないけどな。

他の皆も、海未の体調を心配して休ませようとするが、海未は大丈夫ですの一点張りだ。

 

「強情ね。麗!強引だけど力ずくで保健室に連れて行きなさい!」

「分かりました!ご安心ください海未さん!体調が悪くて苦しいかもしれませんがもう大丈夫です!保健室で休憩すればすぐに元気になれます!いざ!保健室へ!」

「あ、じゃあ私も付いてくね」

「私も行くわ。何かあったら連絡するから」

「私も行くよ!」

「穂乃果、お前はダンスの振り付け確認あるからこのままここにいろ」

「わわわっ!?れ、麗!離しなさい!本当に大丈夫なんです!だから降ろしてください!って思ったより高い!?」

 

にこちゃんの命令を聞いた麗は、海未をヒョイッ!と横抱きにして保健室へと連行する。海未もまだ抵抗するが、意外な高さと(バカ)の筋肉の壁で阻まれて脱出できないらしい。ことりと真姫もいるみたいだし、まあ大丈夫か。麗一人で行かせると、海未が不治の病にでもかかったかのように学校全体に伝わってしまうからな。それくらいあの馬鹿の言い回しと声のでかさは凄いってことだけど。

 

「海未ちゃん大丈夫かにゃー?」

「ちょっと心配だね」

「ちょっと様子変やったしなー」

「また作詞で行き詰まってるのかしら」

「いや、そんな感じではなかったが……」

「ことりと真姫ちゃんがいるし、大丈夫だと思うけど……」

 

皆、麗に連れ去られる海未のことを心配する。まあ、あんな調子じゃなぁ。

 

「ねぇ、まこくん。昨日のこと、海未ちゃんにきいてくれた?」

 

皆の意識が逸れてるうちに、穂乃果がコソコソと小声で俺に話しかけてきた。昨日のこととは、勿論、海未が穂乃果を避けてる理由のことだろう。

さて、どう言い訳したものか。当然、俺の口からあいつの想いを言うなんてことは出来ないし、かといって嘘を伝えても変に勘のいい穂乃果が納得するかどうか……。

 

「うん、聞いたぜ。ちょっと悩みがあったらしいんだ。俺も山勘でその悩みを当てようとしたんだけど、結局答えてくれなかった。その悩み事態、あいつ自身もあんま自覚できてなくって、なんか隠し事してるみたいでお前に合わせる顔がなかったんだってよ」

 

……我ながら苦しいな。物凄くぼやかした言い方しか方法が思い付かない。でも嘘は言ってない。実際、俺が言った海未の想いはまだ推測の域だし、あいつも答えを出してないし。

 

「ええっ!?海未ちゃん自身もよく分からない悩み?」

「ああ、こう、モヤモヤしてるらしいんだよ」

「そうなんだ。うーん、自分で分からない悩みなんて何だろう?」

「何って、そりゃ……」

「もしかして、恋の悩みじゃねぇ?」

「「うわっ!?」」

 

突然、俺と穂乃果の間に、浮竹先生がニヤニヤ顔で入ってくる。やべぇ、完ッ全に油断してた。

 

「おいお~い。コソコソ二人で何話してんだぁって思ったら恋バナかぁ?そんなおもし…重要な話、何でこの恋愛マスターのおっさんに相談しないんだよ剣持?」

「あんたは恋愛マスターじゃなくってただの軟派教師だろ。大体、恋の悩みって決まった訳じゃない……」

「先生!海未ちゃん、恋しちゃったの!?」

「おい穂乃果!」

「あったり前だろ?親友にも相談しづらくって自分でも答えが出しづらくってモヤモヤしてる……んー、恋煩いの症状だねぇ。おっさんには分かる」

「浮竹先生!」

 

くそ!このエロ教師は!この人も勘が良いから言いたくなかったのに!そして、俺達の話は当然他の皆にも聞こえていて……。

 

「ええー!それホントせんせー!海未ちゃんだけ大人の階段登ってるってことにゃー!?」

「だ、駄目よ!アイドルは恋愛禁止なんだから!」

「そそそそうですよ!過去にも恋愛関係で解散したスクールアイドルもいたんですから!」

「えー?でも海未ちゃんだって女の子やし、恋愛は自由でええんやない?」

「うーん、これは本人を徹底的に問い詰めなくっちゃいけないわね」

「はぁ、先生、また適当なことを言ってこいつらを混乱させるのは止めてください」

 

あるものは驚き、あるものは恋愛禁止を声高に叫び、あるものは面白がり、あるものは先生の推測に呆れ果てた表情をする。ああもう!こうなるのが嫌だったのに!

 

結局、混乱が修まり、練習を再開したのはそれから30分後の話だった。

 

ゲシッ!

 

「うがっ!?~~~!てめ、剣持……!何も足を踏みつけなくても良いだろ……!」

「あんたが悪いんだからな!」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★

【side:海未】

 

「海未さん、本当に大丈夫なのですか!?具合が悪いのでしたらすぐに救急車を手配しますよ!」

「あんたは飛躍しすぎ。一応熱がないみたいだけど、ちょっと休んだほうが良いわ。なんか寝不足って感じだし」

「今日ずっと眠そうだったしね」

「うう、すいません……」

 

保健室に運ばれた私は、養護教諭の先生から寝不足と診断され、ベッドに寝かせられました。

終始、私の容態をまるで不治の病にでもなったかのような心配そうな表情で見守る麗が、若干五月蝿かったですが、それだけ心配させてしまうほどに、私は動揺していたみたいですね。

 

「とりあえず今日は休んだほうがいいわ。いくらライブが近いって言っても、コンディションが悪くちゃ意味ないもの。先生も別の用事でどっか行ったし、ちょっと寝てったら?」

「でしたらこの、飛鳥 麗にお任せください!海未さんが安らかに眠れるよう、僭越ながら僕が子守唄を歌わせていただきます!Twinkle Twinkle Little Star……「五月蝿い」(ゴスッ!)おごっ!?ま、真姫くん……君の肘鉄……日に日に強力になってないか……!?」

「あんたが毎度毎度バカやってるからでしょ」

 

みぞおちに真姫の肘鉄を受けて悶絶する麗。

確かに発音も完璧だし良く通るテノールの美声な歌声だけど、正直身ぶり手振りが五月蝿すぎて絶対眠れないなと感じるレベルでした。気持ちは本当に有り難いのですが、基本、万事全力全開な彼は子守唄を歌うのに向かないと思います。

 

「じゃあ私、保健の先生が戻るまで残ってるね。二人は練習に戻って大丈夫だよ」

「分かったわ。他の皆にも伝えておくわ。行くわよ」

「では海未さん、ことりさん!失礼いたします!」

「すいません、後はお願いします……」

 

真姫と麗を練習に戻るため、保健室を後にした。後には私とことりだけが残った。

 

「ねぇ、それで何があったの?海未ちゃん」

「え?」

 

二人が居なくなった途端、ことりがそう問いかけてきた。

 

「最近海未ちゃん、何だか様子変だったし。今日は特に変だったけど」

「うぐぐ……」

 

ま、まさかことりにまで気付かれていたなんて……そんなに分かりやすいのでしょうか?

 

「だ、大丈夫ですよことり。ちょっと最近作詞のほうが上手くいかなくってそれで悩んでると言いますか……」

「本当に?」

 

その時、ちょっと前屈みになって目線を合わせて小首を傾げることり。

あ、これはまずい、と長年一緒に居る経験則から、危険信号が脳内に鳴り響く。しかし、一歩遅かったみたいです……。

 

「海未ちゃん、私に本当のこと、教えて?ダメ?」

……気付いたら私は、ことりに全部話していました……。

 

「そうだったんだ。だからなんか穂乃果ちゃんのこと避けてるみたいだったんだ」

「あうう……」

 

全て打ち明けた後、ことりは少し驚いたようでしたが、私の方は、もう顔が燃えてしまいそうなほどに熱くなっているのを感じて、思わず布団を被って丸まってしまいました……。

 

「そっかー。海未ちゃん、穂乃果ちゃんのこと好きだったんだね」

「はうう……!」

 

昨日真琴くんにはっきり言われた時もそうですが、もう本ッ当に穴があったら自分から飛び込みたいほどに恥ずかしい!ううう……!

 

「……うん!決めた!」

「えっ?」

 

その時、唐突にことりがそう宣言した。え、何を決めたんでしょうか?そのことりは、にっこりと笑みを浮かべています。

……嫌な予感がします。

 

「海未ちゃん、穂乃果ちゃんに告白しよう!」

「え」

「私がお手伝いするから!目指せ!ラブラブカップル!」

「え……………えええええええええ!?」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★

 

「という訳で手伝って、まこくん!」

「……………マジで?」

 

夜になり、夕食の準備をしていたらことりから突然電話が掛かってきた。

話を聞くと、どうやらことりも海未の想いを知ったらしい。そして、海未の告白を手伝ってくれと言われた。

正直完全に予想外の提案に、ハンバーグを少し焼き過ぎてしまった。

 

「お、おいことり……」

「もうプランは決まってるから、まこくんには海未ちゃん達が二人きりになれるようにしてほしいんだ。早速明日決行だよ!」

「え!?明日!?」

「本当は今日にでも行って欲しかったんだけど、海未ちゃんが無理って言って駄目だったんだー。だから明日こそ告白させないと!」

「いや待てって!いくらなんでも早急すぎじゃ……」

「じゃあ詳しい話はまた明日!よろしくね♪」

「いや、だから待っ(ブツッ、ツー、ツー、ツー)……切りやがった……」

 

ことりは、一方的にまくし立てるように言うと、さっさと切ってしまった。……何なんだ一体?ことりのやつ、一体何を考えてるんだ?

それにしても、ことりのやつ、何だか変な感じだったが……気のせいなのか?

……考えても仕方ない。とにかく、明日ことりの話を聞こう。告白の手伝いなんて……一体何をするんだか……。

 

―――俺は、この時感じてた違和感について、もっと考えておけば良かった。この時、いや、もう既に、あいつらの運命は歪に狂い始めてたのかもしれない―――。

―――誰も知らない、誰にも知られてはならない、狂い捻れる、病める少女達の物語が始まる―――。




オリキャラプロフィール

名前:飛鳥 麗(あすか れい)
年齢・学年:15歳・1年生
所属:スクールアイドル研究部マネージャー
イメージカラー:白
身長:192cm(成長中)
特徴:うざい五月蝿い鬱陶しくって熱苦しい
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