お気に入りしてくださった方々、ありがとうございます。励みにして頑張っていきます。
※注意 今回、同性愛について否定的な発言があります
「なんか海未ちゃん調子良いにゃー。何かあったの?」
「え?そ、そうでしょうか?」
ダンス練習の休憩の時、凛が海未に話しかけてきた。凛の言うとおり、今日の海未は調子が良い。さっきもストレッチ中に小さな鼻歌が聞こえてきたくらいだ。
「そうね。今日のダンスも、いつもより自信が溢れてる感じで良かったわよね」
「い、いえ、特に何かあったわけでは……」
「そういえば、何だかいつもと雰囲気が違わない?気のせいかしら?」
「うん、何だか綺麗になったっていうか、もしかしてメイクとかしてる?」
「ま、真姫や花陽まで何を言って……ってにこ?どうしました?」
「クンクン……海未、あんた香水使ってる?」
「 ! そ、それは……!」
「クンクン、本当やね。なんかええ匂いがするよ」
「ちょ、ちょっと希!やめてください!」
「どれどれー?わぁ!良い匂い!海未ちゃんいつの間に香水なんて買ったの?」
「メイクも前は私におまかせだったのにねー」
「あわわ、ほ、穂乃果は少し離れてください!こ、ことりもからかわないでください!」
凛の言葉をきっかけに一人また一人と皆が海未の周りに集まって騒ぎ始めた。やっぱり皆年頃ということもあってメイクには敏感らしい。
「じ、実はその……す、スクールアイドルですし、ちょっとおしゃれにも気をつけてみようかと、思い、まして……に、似合いませんか?」
「ううん!とっても綺麗になってるよ!」
「はぅ!……そ、そうですか?」
穂乃果から笑顔で言われて、顔を真っ赤にして照れる海未。……本当の理由は、穂乃果に少しでも意識して欲しいということだった。
昨日の昼休み、メールで俺を部室に呼んだ海未は、俺にメイクの仕方を教えて欲しいと言ってきた。あまりに唐突で予想外なことで聞き間違えじゃないかと思ってしまった。しかし海未の目は本気だった。顔を赤くして、らしくないと分かってると言うようなことも呟いていた。
『分かってるんです。でも、どうしてもこの思いを繋げたいんです。……力を貸してください、真琴くん』
……そんな風に頭を下げられたら断れる筈もなく(元々断る気もないけど)、俺は簡単だが海未にメイクを教えることにした。海未は俺の教えたことを一言も聞き漏らさないと言わんばかりの集中力でメモし、分からないところは質問してきた。そして今日、実際に朝からメイクをしているという訳だ。
「……本来なら、学校で化粧など説教ものだが……まぁ、練習くらいなら別に良いか……?」
「ええ!女性が美しくなることはとても良いことです!何より僕は海未さんの更なる上を目指す向上心!次のライブへの熱い情熱を感じます!これなら必ず次のライブも大成功ですね!」
「うーん、そうかぁ?確かに情熱だろうけどよぉ、これは……やっぱ恋でもしたのかっっってぇ!いってぇ!何で今足を踏んできたんだ剣持!」
「すいません、でかいムカデがいたんでつい」
「嘘つけ!だったらグリグリすんのやめろてめえ!」
「はーい」
「お前、ホンット俺の扱いだけテキトーだよなぁ……」
俺が偶然を装って稔先生の足を踏み潰しいると、ふと視線を感じた。視線の方向を見ると希さんと目があった。といっても希さんは海未の周りにいる皆から一歩離れてこちらを横目でチラリと見ている感じだが、その目が何か気になることがあると語っていた。俺はドリンクを持って希さんに近付いた。
「希さん、どうぞ」
「あ、ありがとー」
「……何か、気になることでもありましたか?」
単刀直入に聞くと、希さんは周囲を見る。他の皆はまだ海未を弄っていてこちらに気付いた様子はない。それを確認すると希さんは顎に指を当てながら、何か考えながらだからか、少し歯切れ悪く俺に質問してきた。
「あんな?大したことやないんやけど、穂乃果ちゃんやことりちゃん、海未ちゃんってなんか変わったことあった?」
「え?」
俺はその質問に少なくない驚きを感じた。海未の変化はあからさまだし、メイク関連を教えられそうなのがことりやにこちゃん以外だと俺だけだし、海未のことを聞いてくるのは分かるが、穂乃果やことりのことを聞いてきた(それも俺に)というのは、流石に驚いた。
「……占いか何かであったんですか?」
「んー……うん、ちょっとね。あの3人に変化の兆し有りってカードが言ってたんよ」
「成る程…でもなんで俺に?」
「君も一枚噛んでるって、カードが言ってたんよ。それに本人達が本当に悩んでたら、聞いても誤魔化されかねないし」
そう言って希さんが取り出したのは、「悪魔」のタロットカードだった。…………え?なんで悪魔が出たら俺が関係してるってことになるんだ?ちょっと納得いかないけど、まあ占いの結果とかそういうのじゃなくても、同学年だから希さんよりはあいつらに接する時間もあるからな。そりゃ俺に聞いてくるか。
それより気になるのが、希さんの表情だ。……何か嫌な予感でもあるのだろうか、いつもより表情が固く、笑顔もどこかぎこちない気がした。
でもまあ、やっぱり本当のこと言うわけにもいかないので、ここはぼかして伝えた方がいいな。
「……心境の変化みたいなのがあったらしいです。特に海未にあったらしくって、俺はその相談に乗ってたって感じです。あいつらの中では穂乃果から事情とか聞いたほうが良いと思いますよ。穂乃果が先に海未の異変に気付いて、相談してきたんです」
俺は希さんを安心させるため努めて明るく伝えた。勿論、嘘はついてない。が、対する希さんは、明らかに不満そうな顔を見せた。
「ふーん?そうなの?……ふーん……」
「え?あの、どうかしました?」
「んー、真琴君って嘘付くときって笑う癖があるんだって思っただけだよ?」
「え」
マジでか。まさか誤魔化してるのを見破られるとは思わなかった。うーん、表情には常に気をつけてたつもりなんだけどなぁ。
「ま、ええわ。君が関わってて現在解決中なら、うちから言うことないしね。……ただ……」
「ただ?」
「気をつけてね。何気ない一言や行動が大きな間違いになるかもしれんから」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★
【side:海未】
最近、創作意欲がどんどん出てきて、あっという間に次のライブで歌う歌の歌詞が完成しました。
今の今まで悩んでいたのが嘘のようにスラスラと詞が頭に浮かんできて、思わず鼻歌を口ずさみたくなる気分でした。
恐らく無意識に抑圧されていた、気付けていなかった私自身の思いをようやく認識出来たからでしょうか?心が軽くなったというのは、こういうことなのですね。
放課後になって、体力トレーニングのためにいつもの神社に集合することになりました。
その前に、お手洗いを済ませようとした私に真琴くんが、「穂乃果を校門とこで待っててもらうから、二人でゆっくりこいよ」と言ってくれた。彼のことだから、本当に穂乃果を残して他の皆を先に誘導してくれてるのでしょう。
彼には本当に感謝しています。やはり持つべきは友人なのですね。
バルブを捻ると蛇口から水が出てくる。早く穂乃果のところに行きたいと逸る気持ちを抑えて、鏡に映る自分を確認すると、そこに映る自分が頬を緩めて楽しそうにしているのが見えました。頬に朱が差し、いつもより柔らかい表情が作れる気がします。実際に頬に手を当てると、熱っぽいような、でも心地よい温もりを感じます。穂乃果のことを考えただけで、周りに聞こえてるような気がするほどに大きく、しかし規則正しく動く胸元が、苦しくなりますが、その息苦しさすら、今は愛しい。
これが、これこそが……。
「えー!?それホント!?」
「ホントホント、小泉さんが話してたの聞いちゃったんだー」
会話の花を咲かせながらお手洗いに来た二人組の登場に、私は驚きの余り壁に張り付くように顔を隠してしまいました。二人は私に気付かずに奥へと進んでいきました。
あ、危なかった。もしあと一瞬反応が遅れてたらこの緩んだ顔を見られるところでした。
にしても、今、小泉と、花陽の名字が呼ばれたような気が……。
「そっかー。あたし最近μ'sの影響でスクールアイドルのこと調べてたんだけど、まさかあのグループの子がねー」
「ねー。しかも彼氏作るってだけでも普通のアイドル並みに大騒ぎなのにおんなじグループの子となんてねぇ」
その言葉に、私は悪いとは思いつつも、注意深く二人組の会話に耳を傾けました。……今、「同じグループの子」というワードが出たような……。
「でも前々からなんかそんな噂もあったんだって。元々幼馴染みで距離も近かったらしいんだよ。ファンもネタにしてたらしいけど、本当だって思ってなかったみたいだよ」
「ははぁ~、でもそれがバレて……て訳か~」
「ねー。それでも良い!ってファンもいたみたいだけど、本人達が耐えられなくって辞めちゃったんだって」
「ふーん?でもさー……
ぶっちゃけ女の子同士って、なんか気持ち悪くない? 」
「ええー?ちょっとあんたひどくない?」
「じゃああんた私が、『ずっと好きでした!付き合ってください!』って言ったらどうする?」
「ないわー」
「でしょー?ぶっちゃけどんな感じなんだろうね?そう言うのって」
……………気付けば私は玄関に向けて駆け出していました。
違う。違う、違う。違う違う違う。
それは別のスクールアイドルの話で私じゃない。私のことじゃない。違う違う違う違う違う。私は違う。穂乃果は違う。私達のことじゃない。
違う違う違う。私達は、穂乃果は、私は!
『海未ちゃん!』
早く、穂乃果に会いたい。穂乃果、穂乃果の元に行きたい。
あの声を聞きたい。あの笑顔を見たい。あの目を見たい。
穂乃果、穂乃果、私は―――。
『ごめんね、海未ちゃん……私……』
違う!穂乃果はそんなこと、絶対に言わない筈!だって、だって私と穂乃果は……私達は………………、
ただの、「幼馴染み」でしか、「友達」でしかない……
いや、それはまだ分からない。私は自分の気持ちを自覚しました。そして、まだ答えを出していません。これからなんです、これから、私は穂乃果のことを……!
それに、ことりや真琴くんが手伝ってくれる筈なんですから。だから……。
そしてようやく玄関に到着。靴を履き替え、急いで外に出て、校門の方を見ると――――。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★
【side:穂乃果】
(海未、玄関到着の数分前……)
「海未ちゃん、遅いなぁ」
私は校門に凭れ掛かりながら、お手洗いに行ってる海未ちゃんを待っていた。
他の皆は先にいつもの神社に向かってる筈。私も一緒に行こうかと思ったけどまこくんに、
「あいつ、まだちょっと悩んでるみたいだから、お前の方からも聞いてみてくれ」
って言われた。だからこうして校門で海未ちゃんを待つことにした。
でも遅いなぁ。私も一緒にお手洗いいったほうが良かったかなぁ。そんなことを考えながら、私は、ふと顔を上げて校門まで続く並木道を見た。
もう夕方に差し掛かり、建物の影に隠れた夕日が、名残惜しそうに紅い光を投げ掛けて校門の並木道を照らしてる。そよそよと少し冷たいけど優しい風が葉っぱを揺らしてて、春の桜で一面のここも良いけど、葉が色を変えていくこの季節も、私は好き。
だって光を浴びて金色に光るこの道は、どこか私の知らない場所へと通じるトンネルのようにも見えるから。そんな「秋の表情」を見せる木々を見つめながら、私は鼻歌を歌っていると……。
「あの……」
不意に声をかけられた。
視線を木々から声の方向に向けると、そこには男の人が立ってた。多分、同い年くらいで、うちの学校の男子用制服とは違った紺色のブレザーを来ていた。別の学校の人かな?
「えっと、なんですか?」
「ああごめん、君、もしかしてμ'sの高坂穂乃果さん?」
「え!?なんで分かったんですか!?」
「そりゃ分かるよ。有名だし、何より俺、君のファンなんだ。いつも応援してるよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
嬉しいなぁ!こんな風にファンの人が実際に声をかけてくれると頑張ってる甲斐があるなぁ。
ニコニコと笑っている彼は、更に続ける。
「ぼららら……僕らのLIVE 君とのLIFEとかも好きなんだ。あの曲のPV、もう何回も見たよ」
「うわぁー!嬉しいです!ありがとうございます!そう言ってくださって!」
「あははは、本当に元気だね穂乃果ちゃんは。ねぇ、俺、もっと穂乃果ちゃんと話したいんだけど、良いかな?ここじゃなんだし、どっかの」
「え?」
ニコニコと笑顔を作ってる彼はそんな提案をしてきた。正直に言えば私ももっと話したいしファンの人は大切にしたいけど……。
「ごめんなさい、これから練習なんです。だからまた今度……」
「良いじゃないか、少しの間なら」
ニコニコとした笑顔を浮かべながら、彼は少し語気を強めにそう言ってきた。
「大丈夫だよ。そんなに時間はとらないし、俺はもっと君と話したいんだ」
「えっと、嬉しいし私もそうしたいんですけど……」
「……なんでかな?少しくらいおしゃべりに付き合ってくれないのかな?」
「だ、だからそれは練習が……」
「ああ、だったら僕もその練習場所まで付いてくよ。いっつも神田明神で練習してるよね?」
「え?なんでそれを……」
「そうだ、それが良い。そうと決まれば早速行こう穂乃果ちゃん」
男の人は、一方的に捲し立てるように言うと、スッと手を差し伸べてきた。掌を上にして、まるで手招きしてるみたいに。
なんでだろう。さっきまで頬を撫でるように吹いていた風が、ざわざわと煩くなってきて、背筋が風邪をひいたときみたいにゾクゾクする。風に揺られて、木々が耳障りなくらい唸ってて、さっきまで金色に輝いていた周りの景色が急に暗くなり始めた気がして……。
「どうしたの?早く、一緒に行こうよ」
そう言ってゆっくり近付いてくる彼。ニコニコと笑っているのに、その目だけが、異様に輝いている。全身にねっとりとした気持ち悪い何かが張り付く感覚がして……。ここから走って行きたいのに、脚がその張り付くものに阻まれてるように動かない……。
この人に手を取られたらどうなるんだろう?どこか、どこか知らないところに連れていかれるような、そんな予感だけがするのに、私は…………。
海未ちゃん、ことりちゃん、誰か、誰か助けて……。
「おい」
突然、静かな声が辺りに響いた途端、さっきまで煩かった風が、息を殺すように静まりかえった。
「っ!?痛っ!」
「なにしてるんだ?」
はっと驚いて男の人の肩を見ると、そこに手が置かれてて、男の人のブレザーがその手を中心に大きなシワを作ってるのが見えた。男の人がさっきまでの笑顔が嘘みたいに顔をしかめている。
肩に置かれた手から、何処から現れたのか、黒い人影の腕が伸びていた。男の人の後ろにいるからよく見えないけど、真っ黒な制服に、光を呑み込んでるみたいに艶のない黒い髪の下から、背筋が冷たくなるくらい鋭くて、黒い水晶玉みたいな光が尾を引いてるのが見えた。
「なぁ、なにしてるんだ、あんた」
その黒い人影は、聞いただけで鳥肌が立つくらい温度のない、平坦な声で男の人に問い掛けていた。
機械の声だって言われたら信じれそうなくらいその声は無機質で、でも、その声はこの数ヶ月で聞きなれた声で……。
「まこくん……」
私がその名前を呼ぶと、黒水晶の光がほんの少し揺れた気がした。
その瞬間、男の人は肩を掴む手を引き剥がして、後ろを振り向いた。文句を言おうとしたのか鼻息を荒げながら人影の方を見た男の人は、まるで石になったみたいにピタリと動かなくなって、うわごとみたいに人影の名前を呟いたのが聞こえた。
「剣持……真琴……?」
「 ? ……お前は……」
「っっっ!」
バッ、と男の人はすぐに人影の横を通り抜けて走り出した。すぐに小さくなっていくその後ろ姿を、人影はジッと見つめ続けていた。しばらくして、男の人の姿は完全に消えて、後には私と……。
「……大丈夫か穂乃果!?」
心配そうに私の顔を覗きこんでくる、まこくんの姿が、私達のマネージャーの顔がそこにあった。
「怪我はないか?何か今のやつにされなかったか?」
心配そうに私のことを見つめる黒い目が揺れている。
「え、あっ!だ、大丈夫だよ!全然怪我とかしてないよ」
「……本当か?」
「うん!へーきへーき!」
「…………………良かった…………………」
そう言うと、ホッとしたのか、まこくんはふー、と息を吐いて膝に手を付いていた。私は彼を思わずじっと見てしまった。さっきまでなんだか凄く怖い雰囲気を出していたのは、本当に今、目の前で脱力している彼と同じ
人なのかな?
そう思ってしまうくらいまこくんの出す雰囲気はさっきまでと変わっていた。風も元通りにさわさわと優しく木を揺らしていて、まるでさっきまでのことが嘘みたいに……。
「……あれ?」
……どうしたんだろ?手が、震えていた。鳥肌が立っていて、自分の意思と関係なく小刻みに動いてる。
……なんで?
「……穂乃果」
そっと、私の震える手を、私よりずっと大きくて暖かい手が包み込んできた。お父さんの手を思い出す固くて厚い掌の感触。顔を上げると優しそうに目を細めて微笑む私達のマネージャーの顔があった。
「大丈夫だ、もう心配ないんだ。俺がいるから、俺がお前を守るから。だから、なんにも心配ないんだよ」
ポンポン、と今度は手を包み込んだまま、優しく叩いてきた。子供をあやすみたいな仕草で、なんだか恥ずかしいけど、優しいその言葉とその手の暖かさを感じて、次第に私の手の震えは治まっていた。
まこくんはそれを確認すると、すぐに手を離してくれた。もう、さっきまでの震えはないみたい。
「……うん、もう大丈夫。ありがとうまこくん」
「いや、良かったよ。……なあ、海未はまだなのか?」
「え?あ、そう言えば……」
すっかり忘れてた。海未ちゃんを待ってたんだった。振り返って玄関の方を見ると、
「二人とも、お待たせしました!」
海未ちゃんがこっちに向かって小走りでやってきた。走ってきたからかな?ちょっと汗ばんでたけど、笑顔でやって来た。その海未ちゃんの姿を見て、もう私はさっきのことを完全に忘れることができた。
「もう!海未ちゃん遅いよー!」
「すいません。……それで、なんで真琴くんがここに?先に行ったのでは?」
「そりゃしんp……ごほん!ちょ、ちょっと自転車の修理頼まれてさ。それで残ってたんだよ」
そう言うと後ろから、「便利屋先輩ありがとうー!」という声とベルの音が聞こえた。見ると自転車に乗った生徒が二人、自転車を漕いで通りすぎて行くところだった。
「……相変わらず、頼まれたら断らないんですね、真琴くんは」
「そりゃあ困ってたら助けるのは普通のことだろ?」
ちょっと呆れたように笑う海未ちゃんにまこくんは当たり前のこと聞くなよって顔をしてた。「……そうですか」とまた溜め息をついてる海未ちゃん。
ってそうだ!
「それより二人とも、早く神社に行こうよ!時間!」
時計を見て時間を見ると結構時間が過ぎていたみたいだった。二人も時計を見て驚いた表情をしていた。
「行きましょう!ダッシュで!」
「う、うん!絵里ちゃん達絶対待ってるよ~!」
「ああ!急げ急げ!」
私達は大急ぎで走り出した。もうすぐライブだもん!今はすぐに練習しないと!私達は金色のトンネルを風のように通りすぎて、階段を降り始めた。
「…………剣持真琴…………なんでお前が……………」
本文中、うちのオリ主と穂乃果が良い感じの雰囲気を出してましたが、後でオリ主本人がフラグをへし折りますのでご安心ください。
間違ってもオリキャラとラブライブキャラがくっつくことはありません。あくまでメインはヤンデレこと→ほの←うみですのでご安心ください。……正直、未だにヤンにもGLにも届いてませんが……