FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜 作:fortissimo 01
妖精の尻尾
人口1700万人が住む永世中立王国ーー『フィオーレ王国』、魔法の世界。魔法は人々の日常に根付き、人々の日常を支えていた。そしてーー、そんな魔法の世界に魔法を駆使して生業とする者達が居た。人々はその者達をーー魔導士と呼んだ。魔導士達は様々なギルドに所属しており、人々からの依頼に応じて仕事をする。そして……とある街にとあるギルドあった。後々の時代に至るまで数々の伝説を残したギルド。
これはそのギルドに所属する魔導士達の物語ーー。
フィオーレ王国、ハルジオンの街。その街に止まっている列車の内部で駅員がオロオロしていた。
「あ、あの……大丈夫ですか? お客様?」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
オロオロしている駅員の目の前では桜色の髪をして、首にマフラーを巻いている少年ーーナツが列車の壁に寄りかかった状態で目を回していた。
「まぁ気にすんな」
「あい、いつもの事なので!」
少年の代わりに黒髪に麦わら帽子を被っている少年ーールフィと青い二足歩行の喋る猫ーーハッピーが答える。ハッピーは少年に視線を向ける。
「ナツ〜はやく行こうよ〜」
「も、もう絶対……列車なんて……乗らねぇ……う、うぷっ」
「お前本当、乗り物弱いんだな」
「情報通りならこの街に
ルフィとハッピーは列車を降りた。ナツは少し休んだら追いかけようと考えたーーが。
ガタッ!
「え?」
「ん?」
「あ」
不運にも列車は次の駅に向かって動き始めてしまった。
「た、助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!」
しかし現実は助けてくれず、ナツとルフィを乗せた列車はナツを乗せたまま走り去ってしまった……ルフィとハッピーをその場に残したまま。
「ハッピー駅弁食うか?」
「あい!」
ルフィとハッピーはルフィが大量に買った駅弁を食べて待つ事にした。
数分後ーー。再び乗りたくもない列車に乗って帰ってきたナツはハッピーとルフィと合流し、現在三人はナツを先頭に街の中を歩いていた。
「あの駅弁美味かったなぁ。また買おうかな」
「ルフィはよく食べるね」
ルフィとハッピーがそんな会話をしていると前で歩いていたナツが立ち止まり、こちらに振り返る。
「なぁ、ルフィ、ハッピー。
「火の竜ってイグニールしか思いつかねぇよ」
「そうそう」
「だよな! よっしゃ、なんか元気になってきたぞ〜!」
両手を空に向けながら叫ぶナツ。
「火の竜かぁ……」
ルフィは頭の中で自分が想像したイグニールの姿を浮かべていた。
「かっこいいなぁ!」
「おう! イグニールはかっこいいぞ!」
「おーし! 俺も元気になったぞ〜!」
ルフィとナツはイグニールを探す気力を取り戻した。早速探しに行こうと再び脚を動かそうとした時ーー。
『きゃあ〜!
向かうの人だかりからそんな声が聞こえた。
「噂をすればなんとやらって奴だ!」
「あい!」
「あそこか! よっしゃあ!!」
ルフィはナツ達を置いてその人だかりに向かって走っていく。
「あ! ルフィずるぃぞ!」
「待ってよ〜!」
ナツとハッピーは急いでルフィを追いかける。ルフィは先に人混みを掻き分け、どんどん奥に進んでいく。
「火竜! 火竜!」
火竜をはやく見てみたい一心で人を掻き分け、ついに人だかりの中心に着いた。
「火竜イグニール!」
ルフィは下げていた顔を上げる。しかし視線の先にはドラゴンではなく一人の男性がいた。
「あれ?」
「イグニール!」
ルフィが微妙に固まっているとナツ達が追いついてきた。ナツもその男性を見て微妙に固まる。
「こいつお前の父ちゃんか? おっさんにしか見えねぇぞ?」
「俺もおっさんにしか見えねぇし、イグニールじゃねぇし、誰だお前?」
「お、おっさん……ゴホン!
ドヤ顔をしながらナツとルフィとハッピーに言う。すると三人は一斉にため息をつく。
「また嘘の情報だったな」
「クソ〜! 今度こそ見つけたと思ったのになぁ〜」
「あい」
そういいながらルフィ達は人混みを抜け、何処かに行く。
「はやっ!?」
「ちょっと! あんた達、失礼よ!」
「謝りなさいよ!」
『そーよ! そーよ!』
「お? なんだオメェら?」
ルフィ達は何処かに行こうとしていると野次馬の女性達がルフィ達を捕まえ、先ほどの場所まで引きずり戻された。
「ほら、謝れ!」
「まぁまぁ、彼らとて悪気はなかったんだから……許してあげよう」
そう男性が言うと何処からか3枚の色紙とペンを取り出し何かを書く。そしてその色紙をルフィ達に差し出す。
「僕のサインだ。受け取るといい」
「食いもんじゃねぇからいらねぇ」
「え!?」
「ちょっとあんた達〜!!」
ルフィの一言で野次馬の女性達がルフィ達に襲いかかる。すると男性が炎を出し、それに乗る。
「まぁまぁ、あまり虐めないであげてくれ。彼らはきっと田舎から来たんだ。じゃ僕は行くよ。夜は船上でパーティーをやるけど来てくれるよね?」
『行きまーす!!』
「ふふっ……ではレディ達また後で」
そう言い残し男性は炎に乗って何処か行ってしまった。野次馬の女性達はルフィ達を置いて男性を追いかけに行った。
「……なんだったんだ、あれ?」
「う〜ん、わからん!」
「あい」
取り残された三人は立ち上がりながらそう言う。
「ーー本当、いけすかないわよね」
「「「ん?」」」
すると知らない金髪の女性が話しかけてきた。
「誰だオメェ?」
「さっきはありがとね」
レストラン、店内。皆が静かに食べている中、ある一席は静かではなかった。
「ぼべぇ、びーばぶだば!(オメェ、いい奴だな!)!」
「ぼんぼ、ぼんぼ!(ほんと、ほんと!)!」
「うんうん」
ルフィとナツとハッピーはテーブルの上に満遍なく置いてある食べ物をどんどん食べていく。ルフィ達の反対の席では先ほどの金髪の女性ーールーシィが苦笑いしていた。
「はは……どういたしまして。それよりルフィとナツとハッピー……だっけ? もう少しゆっくり食べなよ……何か飛んできてるから」
「ばっでぶめぇからとばらねぇよ!(だってうめぇから止まらねぇよ!)」
ルフィの言葉に再度苦笑いをするルーシィ。するとルーシィは先ほどの男の事を話す。
「あいつ、
「へぇー」
「こう見えて私、魔導士なんだー」
「ぼうなのか(そうなのか)」
ルーシィを見ずにテーブルの食べ物を食べながら答えるルフィ。しかしルーシィは構わず語りだす。
「まだギルドに入ってないけどね……あ、ギルドって言うのは魔導士達が集まる組合でね、魔導士達に仕事や情報を仲介してくれる場所なの。魔導士ってギルドに入らないと一人前って言えないものなのよ」
でもね、でもね! とさらに話に燃え上がるルーシィ。
「ギルドって世界中にいっぱいあって、やっぱり人気なところはそれなりに入るのが難しいのよ。私の入りたいところには物凄い魔導士達がいてね……あ〜! でも入りたいけど難しいだろうなぁ〜! あ、ごめんね? 魔導士の世界の話とかわからないよね! でも私は絶対そこに入るんだぁ。そこなら大きな仕事ももらえそうだもん!」
「お、おうそうか……」
「オメェよく喋るなぁ〜」
「あい……」
三人は若干引き気味に言った。ルーシィはそんな事は知らなかったが。するとルーシィが何か思い出したように話をしだした。
「そういえばあんた達誰か探していたようだけど……?」
「あい、イグニール!」
「ここに来るって聞いて来たけど別人だったな」
「火竜って見た目してなかったもんな、あれ」
「見た目が火竜ってどうなのよ、人間として……」
「ん? 人間じゃねぇよ。イグニールは本物のドラゴンだぞ?」
「え?」
ナツの言葉にルーシィは固まる。そして思いっきり立ち上がり、テーブルを叩いた。
「そんなの街中にいるわけないでしょ〜!!」
ルーシィの言葉にナツとルフィとハッピーは互いの顔を見る。
「「「はっ!?」」」
「今気づいたって顔するな!!」
ルーシィは三人のバカっぷりに思わずため息をつく。
「はぁ……じゃあ私そろそろ行くね。助けてくれてありがと。ゆっくり食べてね」
そう言うとルーシィは荷物を持ち、テーブルの上に料理のお金を置く。
「「「…………」」」
ルフィとナツとハッピーはそのお金を凝視する。そして、席を立った。
「ありがとうございます!!」
「ごちそう様でした!!」
「でした!!」
涙を流しながらその場でルーシィに向かって土下座する。
「ちょっと! 恥ずかしいっ!! ……はぁ、それじゃ元気でね」
そう言い残し、ルーシィはレストランを出て行った。
「いや〜! 食った食った〜!」
「腹いっぱいだぁ〜!」
「あい!」
ルフィ達がレストランを出た頃にはもう外は日が沈んでいた。するとルフィ達の前を女性達が横切った。
「見てみて! あの船、
そう一人の女性が海上に浮いている船を指差す。ルフィ達は構わずその場を立ち去ろうとしたーー。
「
「知らないの? この街に来てるすごい魔導士なの! なんたってあの
「「「ん?」」」
立ち去ろうとしたルフィ達の脚が止まる。ルフィ達は海に浮いてる船を見る。
「
「あのおっさんが?」
一方その頃船ではもう事件が起こってしまった。
「ようこそ、奴隷船へ。君は今から商品になってもらうよ」
「くっ……!」
「あ……返して!」
「ふっふっふ……ふん!」
男はそのホルダーを海に向かって投げた。
「あぁ!」
「さて、君の武器である門の鍵は捨てた事だし……まずは奴隷の烙印を押させてもらうよ」
「これが
そして男がルーシィに近づいた瞬間、突如天井が破れる。
「え!?」
「何!?」
何事だとおっさんとルーシィは何かが落ちてきた場所を凝視する。
「ふぅ〜着いた着いた」
「…………」
そこには麦わら帽子を被った男、桜色の髪をしてマフラーを身に付ける男、ルフィとナツの姿がそこにはあった。
「ルフィ! ナツ!」
「う……やっぱ無理!」
「かっこ悪!」
ルフィは平気だがナツは乗り物に弱いのでその場に倒れこんでしまう。
「あれ? なんでお前こんなとこにいんだ?」
「えっとそれは……」
「まぁいいや。俺たち、こっちに用があるからな」
ルフィは拳をおっさんの方に向ける。
「昼間のガキ共!?」
「ハッピー!」
「あいさー!」
するとハッピーが羽を出しながらルーシィに近づいた。
「ハッピー! ……ってあんた羽生えてたっけ?」
「細かい話は後だよ! 逃げるよ!」
ハッピーはルーシィを掴んで飛んだ。そのまま陸のあるところまで目指す。
「えっ!? ナツとルフィは!?」
「三人は無理!」
先ほどのやり取りに固まっていたおっさんは正気に戻る。
「はっ! 評議員に俺たちの事がバレたらヤベェ! 逃すかぁ!」
男は炎の魔法をハッピーとルーシィに向けて放つ。しかしハッピーはその攻撃を全て躱す。やがておっさんの魔法の射程範囲を超えたのか魔法を放たなくなった。
「ちぃっ!
「やるじゃない! ハッピー!」
「ルーシィ、一つ言い忘れてた」
「何?」
「時間切れ」
ハッピーがそう言うとハッピーの羽が消失する。当然二人は海に向かって落下する。
「このクソ猫!」
「あい」
「あいじゃない!」
ルーシィ達がそんな会話をしている一方、船ではルフィとナツがおっさんとその幹部と対峙していた。
「相手はガキ二人! それに一人はノックダウンしている! お前らかかれぇ!」
『おう!』
おっさんの掛け声に幹部達はルフィに襲いかかる。一人の巨漢の男が拳を振り上げる。
「おらぁ!」
「ぐほっ!?」
「……え?」
ルフィは体格差をものともせずに巨漢の男を思いっきり吹き飛ばす。おっさんはその様子を呆然と眺めていた。
「へっ……こいよ」
ルフィの挑発に乗り数人の幹部達が攻撃をするが全員返り討ちにあった。
「くそ! なんだこのガキ!」
「あれ? 麦わら帽子……?」
幹部達がルフィとナツを取り囲むと急に船が陸のある方へ流される。
「な、なんだ!?」
そして船は砂浜に打ち上げられた。
「ルフィ〜! ナツ〜! 大丈夫ー!?」
ルフィが砂浜の方を向くとそこにはルーシィとハッピーの姿があった。
「大丈夫だ〜!」
ルフィは無事を知らせる為、大きく手を振る。すると隣で倒れていたナツが立ち上がる。
「揺れが……止まった」
すると崩れた船の中からおっさんと幹部達が出てきた。
「ちくしょう! やりやがったな、このガキ共!」
すると幹部がナツに襲いかかる。しかしナツは先ほどのルフィと同じ様に殴って吹き飛ばす。
「俺は
「なにっ!?」
「
ナツの言葉におっさん達とルーシィは驚く。しかし固まっていたおっさんは炎を出す。
「へっ! それがどうした!!」
「!」
おっさんが放った炎はナツに命中する。ナツがいた場所は炎が燃え上がっている。
「へへ……大したことーー」
「ーー不味い……お前ほんとに炎の魔導士か? こんなまずい炎初めてだ」
「な、な、な、何!?」
おっさん達は目を見開いた。何故なら目の前で炎を
「な、なにあれ!?」
「ナツに炎は効かないよ」
「不味いけど……食ったら力が湧いてきた」
「自らの体を竜の体質へと変換させる
ナツはおっさん達に近づく。するとおっさん達の幹部が懐から銃
を取り出した。
「銃!?」
「死ねぇ!!」
複数の銃弾がナツに向かう。しかしルフィがナツの前に移動し、その銃弾を代わりに受けた。
「ルフィ!!」
ルーシィは悲痛の声を上げ、手で顔を隠す。
「大丈夫だよルーシィ。ルフィに銃弾は効かないから。ほら」
「え?」
ハッピーの声にルーシィは再度ルフィの方に視線を戻す。そこでは銃弾が当たった身体の部分が
「へっ……効かーん!」
「ひぃっ!?」
ルフィは銃弾を放った男のすぐ顔の横に先ほどくらった銃弾を弾き飛ばす。
『何〜!?』
「の、伸びたー!?」
「ルフィには銃弾や物理攻撃は一切効かない。身体がゴムの様に伸び縮みする……それが悪魔の実《ゴムゴムの実》の能力」
「あ、悪魔の実!? ほ、本当に実在するんだ……」
「お、思い出した! 麦わら帽子に赤い服の男、桜色の髪に鱗の様なマフラーをつけている男。間違いねぇ! こいつら“麦わらのルフィ”と“サラマンダー”だ!」
おっさんの幹部がそう言うと周りの者達が動揺する。その隙にルフィとナツは一気に接近する。
「ゴムゴムの……」
「火竜の……」
ルフィの腕が後ろに伸び、ナツの手に炎が現れる。
「ピストル!」
「鉄拳!」
『ぎゃあぁぁぁ!!』
二人の攻撃におっさんと幹部達は吹き飛ばされる。
「すごい二人共! でも……」
ルフィとナツは暴れるのをやめず、どんどん街が壊されていく。
「やり過ぎよぉ!」
すると騒ぎに駆けつけた軍隊の姿が見えた。
「やべぇ! 逃げるぞ!」
「おう!」
「あい!」
ルフィの掛け声にナツとハッピーが答える。ルフィは腕を伸ばし、ルーシィを抱えながら逃げる。
「な、なんで私も!?」
「だってお前うちに入りたいんだろ? なら、来いよ!」
「!……うん!」
ルフィ達は妖精の尻尾に向け、走って行った。