FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜   作:fortissimo 01

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呪われた島とデリオラ
呪いの島、ガルナ島


「うわぁ〜懐かしい! ここって私とルフィ達と初めて出あった街よね!」

 

無邪気な笑顔でここ、ハルジオンを眺めるルーシィ。その近くではぼーっとその様子を見ているルフィ、ナツ、ハッピー。

 

「そんなに懐かしいか?」

 

「そんな昔の事じゃねぇだろ」

 

「ルーシィばーちゃん……」

 

「つーかよ、お前最初この依頼反対してたじゃねぇか?」

 

ルフィは手元にある依頼書をルーシィに見せながら言う。それはナツがこっそり盗んだS級クエストの紙だった。

 

「しょ、しょうがないじゃない! 報酬に黄金の鍵があるって知らなかったし……」

 

図星をつかれたルーシィはほんのり顔を赤くし、そっぽを向く。そう、この依頼の報酬は黄金の鍵。それはルーシィが求める黄道十二門の鍵の一つ。これは見逃せないとルーシィは張り切る。

 

「コホン……いい? まずは『ガルナ島』へ行く船を探すの」

 

「船!? 無理無理! 泳いで行くに決まってんだろ!」

 

「そっちの方が無理だから」

 

ガルナ島。依頼書には呪いの島と呼ばれている島だ。ルフィ達がハルジオンに訪れた理由、それは船でガルナ島に向かう為だった。ナツの無茶な作戦に呆れるルーシィはルフィの表情が曇っている事に気づく。

 

「どうしたのルフィ?」

 

「俺、泳げねぇぞ」

 

「え? あんたもしかしてカナヅチなの?」

 

「悪魔の実の能力者は皆カナヅチになっちゃうんだ」

 

「へぇ〜あんたも苦労してるのね」

 

ハッピーの説明を聞き、悪魔の実の意外な弱点を知る事になったルーシィ。泳ぐという選択肢がなくなった一行は片っ端から島まで出してくれる船を探す事にした。

 

「ガルナ島に行きたいだ? 冗談じゃねぇ、あんな所近づきたくないね」

 

「勘弁してくれ、名前も聞きたくない」

 

「何しに行くか知らねぇけどよ、あそこに行きたがる船乗りはいねぇよ。海賊ですら近寄らねぇ」

 

しかし、船を持つ者達は誰一人ガルナ島に向けて船を出してはくれなかった。

 

「全滅……」

 

「決まりだな、泳いで行こう。ルフィは俺が背負う」

 

「泳ぐ? それこそ自殺行為だ。この海には凶暴なサメがうじゃうじゃいるんだ」

 

「そんなもん、俺の炎で全部黒焦げにしてやる!」

 

「海で火は使えないでしょ……」

 

意気揚々とする準備運動をするナツ。そんなナツに呆れていたルーシィ。するとルフィとルーシィの肩に突然手が置かれる。

 

「みーつけた」

 

二人は素早く後ろに振り返るとそこにはグレイの姿があった。

 

「グレイ!」

 

「ど、どうしてここに?」

 

「じーさんが連れ戻し来いって頼まれてな」

 

「げぇ!? もうバレたか」

 

「今なら()()もまぬがれるかも知れねぇ、戻るぞ」

 

「は、破門!?」

 

「いやだ! 俺たちはS級クエストをやるんだ!」

 

「そうだそうだ!」

 

連れ戻そうとするグレイに反対するルフィとナツ。そんな二人にため息をこぼすグレイ。

 

「ったく……お前らの実力じゃ無理だからS級なんて書いてあるんだよ。それに、今回は仕事でいねぇがもしこの事がエルザとかに知られたら……」

 

「「「え、エルザに知られたら……」」」

 

グレイに指摘され三人の頭にものすごい形相で睨むエルザが浮かぶ。三人は次第に血の気が引き、表情が険しいものになる。ただ一人を除いて。

 

「んなもん知るか、俺たちはあの島に行くんだ!このまま引き下がってたまるか!」

 

「ルフィ……! マスターの命令だ、引きずっても戻してやらぁ! 怪我しても文句言うなよ!?」

 

「上等だ!」

 

「ちょ、ちょっとあんた達……!」

 

ルフィとグレイはお互い戦闘態勢をとりながら睨み合う。険悪な雰囲気にルーシィは止めようとする。するとハルジオンに船を止めていた一人の船乗りが一行に近づく。

 

「魔法……あ、あんたら魔導士だったのか? もしかして島の呪いを解くために……」

 

「あぁそうだ! その呪いを解くのが俺たちの仕事だ!」

 

「行かせねーよ!」

 

ルフィの服を掴むグレイ。船乗りは少し考えるような仕草を取ると一行に背を向ける。

 

「……乗りなさい」

 

「やったー!」

 

「船ゲットー!」

 

「あいさー!」

 

船乗りの言葉に喜ぶルフィ達。グレイは表情を曇らせ、船に乗ろうとするとルフィ達の道を塞ぐ。

 

「ちょっと待て! そんな事俺が許すと……」

 

「あ、エルザ!」

 

「え!? エルザ!?」

 

「てい!」

 

「ぐえっ!?」

 

エルザに気を取られている隙にルフィはグレイの頭を思い切り殴り、意識を途絶えさせる。犯行の張本人は清々しい表情を浮かべる。

 

「ふぅ……」

 

「ふぅじゃない!」

ルフィは倒れているグレイを背負うと船に乗り込む。

 

「おっちゃん! 船出してくれ!」

 

「え? グレイも連れてくの!?」

 

「グレイが戻ったらエルザが来るかもしれないよ?」

 

「それは嫌!」

 

「うしっ! 出航だー!」

 

一行を乗せた船は目的地であるガルナ島に向けて海を走っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

数時間が経過すると日はすっかり落ち、更に周りには濃い霧が視界を防ぐように立ち込める。しかし一行を乗せた船は迷わずまっすぐと目的地に向かうのだった。

 

「グレイのモノマネ! ……ぬわぁ! いつの間にー!」

 

「「あはは!!」」

 

「はは……うぷっ」

 

ルフィのものまねにお腹を抱えて笑うルーシィとハッピー。小さく笑うナツだったがほんの少し乗り物が揺れると気分を更に悪くし、バタッと倒れる。船の隅に縄で縛られたグレイは自分のモノマネをしたルフィを睨む。

 

「ルフィ、後で覚えとけよ……つーかおっさん! 何で船を出したんだ? いい迷惑だぜ」

 

矛先を船乗りに変えると船乗りの男は身体をこちらに向ける。

 

「俺の名はボボ……かつてあの島の住人だった」

 

「住人、()()()?」

 

「……逃げ出したんだ、あの呪いの島を」

 

「呪いの島!」

 

「はい、そこ目をキラキラしなーい」

 

「ねぇ、その呪いって?」

 

「……()()は君達にも降りかかる。島に行くと言うのはそう言う事だ。君達にその呪いが解けるかね?」

 

船乗りは着ているローブを取る。その男の片腕はとても人間とは思えない形と色をしていた。

 

「この()()の呪いを」

 

「おっさん、あんた……」

 

「の、呪いってまさかその……?」

 

「見えてきた、あれがガルナ島だ」

 

男の言葉に船の前方に目を向けるルフィ達。徐々に霧がはれると遠くに一つの島が見えてきた。

 

「ねぇ、おじさん……ってあれ?」

 

ルーシィは男に話かけようと振り向くが、そこには誰もいなかった。きょろきょろと辺りを見渡す一行。

 

「おっさん、落ちたのか!?」

 

「ど、どうしよう……!」

 

「ハッピー、どうだった?」

 

「あのおじさんいないよ!」

 

「どうなってやがる……」

 

皆で探しても見つからない男を心配するルフィ達。するとルフィの耳に何か音が聴こえてきた。

 

「なんだこの音……」

 

「音……?」

 

ルーシィも耳をすますと微かに聞こえてくる。しかも徐々にその音は大きくなっていく。聞こえる方に視線を向けると巨大な津波がこちらに向かってきていた。

 

『ぎゃあぁぁぁぁ!!??』

 

全てを飲み込まんとする大波に呆然とするルフィ達。

 

「でけー!?」

 

「ハッピー、この船持ち上げて!」

 

「無茶言わないでよ!」

 

「おぷっ……」

 

「グレイ! こいつを凍らせてくれ!」

 

「縄で縛られてるから無理に決まってんだろ!」

 

「なんで縄で縛られてんだよ!」

 

「お前が縛ったんだろうが! つか早くほどけ、死ぬわ!」

 

 

 

 

 

 

「ん……ここは?」

 

ルーシィが目覚めるとそこは砂浜だった。自分の周りには倒れているナツとハッピー、そして難破した船だった。状況整理をしているとナツが目を覚ます。

 

「着いたのか!? ガルナ島!」

 

「恐らくね、大波で海辺に押し寄せられたみたいね」

 

「あれ? ルフィとグレイは?」

 

ハッピーはキョロキョロと周りを見渡すが二人の姿が見当たらない。

 

「もしかして波に飲まれて!?」

 

「ここだよ……」

 

岩陰の方から声が聞こえるとそこには疲れきったグレイと砂浜に横になっている気絶したルフィがいた。

 

「ルフィ、グレイ!」

 

「無事だったんだ!」

 

「ったく、カナヅチのこいつ引っ張るのに苦労したぜ」

 

「ぐへぇ……」

 

やれやれと気絶しているルフィのおでこにデコピンをする。二人の無事を知ったナツ達は安堵するが、その端でルーシィは海を眺める。

 

「(それにしてもあのおじさん、一体何だったのかしら?)」

 

ルーシィは先程の船乗りの男の事が気になっていた。突然消えたあの船乗りに対して謎が深まる。そう考えていると先程まで気絶していたルフィが立ち上がる。

 

「復活! 野郎ども、行くぞー!」

 

「「おーう!」」

 

「……悩んでもしょうがないか」

 

ルフィ達はとりあえず依頼人がいる村に向かおうと足を進める。

 

「待ちな」

 

すると、座っていたグレイが服に着いている砂を落としながら立ち上がる。

 

「何だよ、ここまで来たらもう引き返せねえぞ」

 

「いや、俺も行く。お前らだけ先に二階に行くのもしゃくだし、破門になったらそれはそれでつまらねぇ……だから付き合ってやるよ、その依頼」

 

グレイの言葉に驚く三人だったが、次第とその表情は笑顔に変わる。グレイもにやっと笑みをこぼす。

 

「行こうぜ」

 

「にっしし、おう!」

 

 

 

 

 

依頼書を頼りに村に向けて歩いて数時間。目の前には巨大な門と立ち入り禁止の看板が立っている。

 

「でっけえ門だな〜」

 

「すみませーん! 開けてくださーい!」

 

ルーシィが大声で叫ぶと巨大な門の上から二人の男がにょきっと現れた。

 

「何者だ」

 

「あ、私達魔導士ギルド『妖精の尻尾』の者です! 依頼を見て来ましたー!」

 

「妖精の尻尾? 依頼を受理されたとの報告は来てないが?」

 

「何かの手違いで遅れてんだろ」

 

受理されてないと内心ドキッとしたがグレイのフォローで怪しまれずに話が進む。

 

「……全員、紋章を見せろ!」

 

そう言われルフィ達はギルドマークを見せる。

 

「おお、どうやら本物のようだ」

 

「よし、入りなさい!」

 

二人の男が頭を引っ込めると門である柵が上に上がり、中に入れるようになる。門をくぐるとそこには分厚いローブを着た人々がルフィ達の前に現れる。

 

「よくぞ来てくださった、魔導士の方々……ワシはこの村の村長です」

 

「おっさん達、そんなに着て暑くねぇのか?」

 

「ふむ……隠してもしょうがない、皆ローブを取るんじゃ」

 

男がそう言うとローブを着ていた者達は一斉にローブを脱ぎ始める。

 

「やっぱり……」

 

「うん……」

 

グレイとルーシィは村人達の姿に唾を飲む。その姿はあの船乗りの男と同じ、身体の一部が異形の物と化していた。

 

「驚かせてしまったかな? この島にいる者は皆このような呪いにかかってしまったのです」

 

「なぁ言葉を返すようだが何を根拠にそれを呪いって言ってんだ? はやり病だと考えねぇのか?」

 

「医者にも見てもらいましたがこのような病気はないと言われました……こんな姿になってしまったのは()()()()が関係しているのです」

 

「月の魔力?」

 

「元々この島は月の光を蓄積し、島全体が月のように輝く美しい島でした。しかし、何年か前に突然月の光が紫色に変わってしまったのです」

 

「紫? 白じゃなくて?」

 

「そんな月見たことねーぞ?」

 

「うん」

 

「月の光が紫に変わると私達の身体はこのようになってしまったのです」

 

「あ、皆見て!」

 

空を見ると雲で隠れていた月が現れる。その色は自分達が知っている白の月ではなく、不気味な光を放つ紫色だった。

 

「本当に紫!」

 

「これは月の魔力の呪いなのです……うっ!」

 

すると村長をはじめとする村の人々が突然うめき声を上げる。呻き声と共に村人達の身体が徐々に変わっていく。

 

「な、何!?」

 

「こいつは……!」

 

ルフィ達の目の前に人間とは思えない異形の者に変わり果てた村人がどんどんと現れる。村長も肌がすっかり青くなり、頭に小さな角を生やしている。

 

「驚かせて申し訳ない……これを呪いと言わずなんと言えばいいでしょう?」

 

「か……」

 

「「かっこいい!!」」

 

『……え?』

 

ルフィとナツの反応にきょとんとする一同。

 

「すげぇ角生えてる!」

 

「なぁ、俺たちの仲間にならねぇか?」

 

「え、えっと……?」

 

まじまじと村人達を見る二人。その頭上に鋭い拳骨が落ちる。

 

「「いでぇ!?」」

 

「少しは空気を読め!」

 

ルーシィの拳骨に落ち着きを取り戻す二人。村長は咳払いをし、話を続ける。

 

「……朝になれば皆元の姿に戻ります。しかし中には元に戻らず心まで失った者が出てきたのです。心をなくし魔物と化した者は殺す事に決めたのです」

 

「そんな……!」

 

「放っておけば皆がその魔物に襲われる。心を失った者は恐ろしく凶暴、幽閉しても牢を破壊してしまうのです」

 

「なるほど、だからこの村の柵をあんなに頑丈に作ってるのか」

 

村長は懐から一枚写真を取り出す。

 

「わしも息子を殺してしまいました……心まで悪魔になった息子を」

 

涙を流す村長の手に持っている写真に載っている男は自分達をここまで送ろうとしていたあの船乗りだった。

 

「その人……! でも昨日……」

 

「しっ」

 

それ以上言うなと指を立てるグレイ。

 

「あのおっさんが消えた理由がようやくわかったぜ。そりゃ、浮かばれねぇよな」

 

グレイの言葉に三人の脳裏に同じ言葉が思い浮かぶ。幽霊ーー。

暗い雰囲気が皆を襲うとルフィはパシッと拳を合わせる。

 

「うしっ! おっさん、俺たちが必ず解決してやる」

 

「ほ、ほんとですか……!」

 

「にっしし、任せとけ!」

 

「私達が必ず何とかしてみせます!」

 

「ありがとうございます……私達の呪いを解く方法は一つ」

 

村長は指を天にある月に向け、一呼吸する。

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

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