FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜   作:fortissimo 01

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零帝

「貴様……何者だ?」

 

仮面越しから鋭い棘のような視線がルフィを捉える。ルフィはその視線に臆する事もなく仮面の男と向き合う。

 

「俺はモンキー・D・ルフィ、妖精の尻尾の魔導士だ!」

 

「魔導士……そうかやはりあの村の奴らの仕業か」

 

魔導士と聞きどよめく信者達。その中、シェリーはルフィにビシッと指をさす。

 

「あ、あなた! 早くアンジェリカから退きなさい!」

 

「アンジェリカ? ……あ、このネズミお前のだったのか? 悪りぃ悪りぃ」

 

ルフィはすぐさまアンジェリカの上から降りるとアンジェリカを軽く叩き起こす。目覚めたアンジェリカは素早くシェリーの後ろに行き、ガクガクと震えながらルフィを見つめる。その様子を見たユウカはにやっと笑う。

 

「それにしてもこの人数を相手に随分と余裕だな」

 

「何で余裕なんだよ!」

 

「キレんなよ」

 

ユウカがトビーを抑えている様子を見てルフィは目を見開く。

 

「い、犬が二足歩行でキレてる!?」

 

「おおーん」

 

「照れんなよ」

 

キラキラとしたルフィの視線に照れるトビー。すると突然周囲に冷気が漂い始めると仮面の男が前に出る。

 

「……とにかく、魔導士に俺たちの計画の邪魔はさせん。お前達、さっさとあの村を消してこい」

 

「そうはさせるかぁ!!」

 

仮面の男の命令で移動しようとした三人の後ろから大声と共に炎が現れる。炎の中からはナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイの姿があった。

 

「こいつら……あいつの仲間か!?」

 

「あ、お前ら! どこ行ってたんだよ」

 

「あんたが先にどっか行ったんでしょうが」

 

「んな事はどうでもいい、とりあえず良くやったルフィ」

 

グレイはゆっくりと仮面の男に近づく。

 

「リオン……てめぇ自分が何やってるのか分かってんのか?」

 

「ふふ……久しいなグレイ」

 

仮面の男は付けていた仮面を外し、露わになった鋭い両眼でグレイを見つめる。

 

「何ぃ!?」

 

「知り合い!?」

 

「何の真似だよこれは!?」

 

「村人が送り込んできた魔導士がお前だったとはな。知っててここに来たのか? それとも偶然か?」

 

「何の真似かって聞いてんだよ!」

 

怒りをあらわにするグレイは地面に氷を生やし攻撃する。しかし、リオンは片手を出すと氷が出現しグレイの氷を相殺する。

 

「あいつも氷魔法!」

 

「ここは俺一人で十分だ、行け」

 

命令を聞いた三人は素早い動きでその場を立ち去る。

 

「お前ら待ちやがれ!」

 

「ナツ!」

 

ナツはわずかな匂いを頼りにいなくなった三人を追いかける。それに気づいたリオンはナツに手を向けようとする。しかし突然伸びた腕により失敗に終わる。

 

「っ!」

 

「へへ、邪魔はさせねぇぞ」

 

「貴様……能力者か」

 

にやっと笑うルフィに身体を向けるリオン。ナツは止まらず走り続ける。

 

「あいつら任せたぞ、ナツ!」

 

「おう、任せろ! 行くぞハッピー、ルーシィ!」

 

「あいさー!」

 

「ちょ、ちょっと待ってー!?」

 

ナツと一緒に二人もこの場を去る。この場にはルフィとグレイ、リオンの三人だけになった。ルフィは拳を鳴らし、リオンを睨む。

 

「うっし! それじゃやるか」

 

「二対一……か」

 

「……ルフィ、悪い」

 

「ん? グレイ……?」

 

俯くグレイの顔を覗こうとするとドンっとグレイはルフィを押す。地面にはいつのまに氷の地面が広がっていた。

 

「どわぁぁぁ!?」

 

ルフィは高台から滑り落ち、下にある森に落ちていく。

 

「何のつもりだ? グレイ」

 

「これはウルの弟子である俺の責任だ、俺一人でケリをつける」

 

「っ……ウルの弟子、か!」

 

「ぐわっ!?」

 

腕を振るとグレイの足元から巨大な氷が造られ、グレイの身体を打ち上げる。

 

「よくそんな事が言えるなグレイ……忘れたとは言わせんぞ? ()()()()()()()()()()()

 

リオンの目には激しい怒りの感情が伝わってくる。グレイはその瞳を見て言葉を詰まらせる。

 

「っ! リオン……」

 

「お前がデリオラに挑んだからウルは死んだ!」

 

「くっ……アイスメイク、鉄槌(ハンマー)!」

 

リオンの攻撃をかわし背後に回ると氷の鉄槌を造形し、それをリオンに振り下ろす。しかしリオンからは避ける気配が全くしない。

 

(エイプ)

 

「っ!」

 

右手を上げると巨大な氷の猿が鉄槌を壊し、グレイを吹き飛ばす。

 

「お前は何も変わらないな、あの時と同じ弱い! アイスメイク、氷竜(スノードラゴン)!」

 

「うおぉ!?」

 

地面から昇る氷の竜の尻尾にグレイは地面に叩きつけられる。身体を動かせそうとも動かずにいるとリオンが側に行き、倒れるグレイを見下ろす。

 

「そのまま無様に地面に這いつくばれ。己の無力さをその身で感じていろ」

 

「ま、待て……リ、オン……」

 

静止の声も届かず、グレイはただただ遠くなる友の後ろ姿を最後に気を失った。

 

 

 

 

 

 

「っ……!」

 

気絶したグレイは目を開けると目の前には麦わら帽子があった。

 

「お、起きたか」

 

ルフィは顔を向けず、グレイが目覚めた事に気づく。何故自分はルフィに背負われているのか戸惑う。

 

「る、ルフィ……お前なんでここに?」

 

「ルーシィがいねぇと村の場所わかんねぇからここから村を見つける為に戻ったんだ」

 

「り、リオンは……」

 

「知らねぇ、俺が来た時はあの場所にお前しかいなかったぞ」

 

「そうか……ルフィ、さっきはすまなかった」

 

「いいよ、別に気にしてねぇし! あ、でも今度は俺にも戦わせろよ!」

 

にっししと笑うこちらに向けて笑顔で語るルフィは今のグレイにとっては眩しすぎた。グレイはルフィから目線をそらすとポツリポツリと口を開く。

 

「……俺は、助ける事が出来なかった。同じ弟子だった友を」

 

「弟子?」

 

グレイはルフィに自分にあった事を全て話す。この島の地下にデリオラという悪魔が封印されている事。それを自分の師であるウルが命と引き換えにして封印した事。そしてその封印を壊そうとする友であるリオンの事。

全てを話し終えたグレイは自然と涙を流す。

 

「ルフィ……俺は弱い! 自分が……情けねぇ……!」

 

目に手を当て、静かに泣くグレイ。ふとルフィは自身の足を止め、ため息をこぼす。

 

「ったく妖精の尻尾の魔導士がよ……そんな情けねぇ顔すんな!」

 

「っルフィ……」

 

「一度負けたくれぇでぐじぐじすんな。どんな時でも諦めずに走り続けるギルド、それが俺たち妖精の尻尾だろ?」

 

「……あぁ」

 

そう呟くとグレイは口元を緩め、静かに目を閉じ意識を手放す。

 

 

 

一方その頃、海では一隻の船が呪いの島ガルナ島に向けて進んでいた。舵を取るのは傷だらけの海賊の船長だった。

 

「あ、あの〜……この先は呪われた島って言われてて」

 

「構わん、船を進めろ」

 

「は、はいぃ!」

 

海賊はビクビクしながらも舵をとる。甲冑を着た赤髪の女性は先に見える島を睨む。

 

「さて……覚悟しろ、お前達」

 

 

 

 

ルフィはグレイを抱えながら走り続けるとようやく村の門が見えてくる。

 

「ふぅ〜やっと着いた!」

 

ルフィがそれを見つけると同時に村の門が開く。

 

「お、ちょうど門が開いた!」

 

ルフィはそのまま村に入ろうと森を走り抜ける。村の中に人影を見つけ、ルフィは両手を振りながら村に入る。

 

「おーい! お前らー! 大丈……」

 

ナツ達を見つけ近づくと突然地面がめり込み、誰が作ったかわからない落とし穴に落ちていく。ルフィは腕を伸ばし、穴を脱出する。

 

「誰だこんなところに落とし穴作ったのは!?」

 

「「こいつです」」

 

「あんた達も楽しそうに作ったでしょ!」

 

ナツとハッピーがルーシィを売るとルーシィはナツ達の胸ぐらを掴む。

 

「あー知らねぇ! あー知らねえ!」

 

「おいら記憶喪失になっちゃった。全然覚えてないです、はい」

 

「あ、あんた達……!」

 

ぷるぷるとこみ上げる怒りで顔を真っ赤にさせるルーシィ。しかしそんな状況ではないととりあえず怒りは内にしまうことにした。

 

「でも良かった、二人共無事みたいね」

 

「いや、グレイはさっきの仮面野郎にやられちまってこんな感じだ」

 

『雑だなおい』

 

片足を掴み、宙吊り状態でナツ達にグレイを見せるルフィに思わずその場にいたもの達がつっこむ。

 

「ていうかあの仮面野郎と一緒にいた奴らはいねぇのか?」

 

「ああ、あいつら追いかけてたら急にいなくなりやがったんだ。追いかけようとしたんだがルーシィが村が心配だって言ってな」

 

「うん……けど村を襲うって言ってたはずなのに遅いわね」

 

「う○こしてんじゃねぇのか?」

 

「ああ、う○こか。じゃあしょうがねぇな」

 

「平然と下品な事を言わないでくれる……?」

 

恥ずかしそうに顔を赤く染め、ルフィ達から少し離れるルーシィ。

 

「な、何だアレは!?」

 

村人の一人が空を指差す。そこには先程のネズミ、アンジェリカとその背中に乗る三人がいた。

 

「あ、あいつ!」

 

「何かバケツ持ってない?」

 

すると飛んでいるアンジェリカが持つバケツからゼリーのような物が落ちてくる。

 

「ゼリー?」

 

「危ねぇルーシィ!」

 

「きゃっ!?」

 

ゼリーに触れようとするルーシィをルフィは抱きとめて飛ぶ。触れようとしたゼリーが地面に落ちるとその場で茂っていた草が一瞬で溶けてしまう。

 

「ひっ!?」

 

「あれ絶対ヤベェ奴だぞ」

 

ルフィは空にいるアンジェリカ達を睨む。するとアンジェリカは先程とは違い、村に全体にゼリーをばら撒くようにバケツを振る。

 

「うわぁぁ!?」

 

「やめろぉぉ!?」

 

「助けてぇぇ!」

 

ゼリーは村の建物を溶かしていく。その光景に村人達は混乱する。

 

「は、墓だけは……!」

 

「おいじいさん、危ねぇ!」

 

村長は息子の墓を守る為墓がある方に向かう。その頭上にゼリーが飛んでくるのを見たルフィは腕を伸ばし、村長をこちらに引き寄せる。

 

「こんなのどうやって防げばいいのよ!?」

 

「ルフィ! 村の奴等を中央に集めてくれ!」

 

「おう、わかった!」

 

「ハッピー!」

 

「あいさー!」

 

ナツとハッピーはゼリーに向かって飛ぶ。

 

「右手の炎と左手の炎を合わせて……火竜の煌炎!」

 

右手と左手の炎が合わさり、強力な爆炎がゼリーに放たれる。ゼリーに命中するとゼリーを爆散させる。

 

「おお!」

 

「すげぇ!」

 

「何とかなった……けど村が」

 

ルーシィは辛そうに村の現状を把握する。家という家は全て先ほどのゼリーによって溶かされてしまった。するとアンジェリカに乗っていた三人はルフィ達の前に現れる。

 

「零帝様の敵は駆逐しなければなりません。慈悲として一瞬の苦しみだけを与えようとしたのに……どうやら大量の血を流したいそうね」

 

「あ?」

 

「村人、50……魔導士3……15分といったところか」

 

「おおーん」

 

「おいらもいるぞ! 4人だ!」

 

「お前らなんかに簡単に負けるかよ」

 

4人は戦闘態勢に入り、三人も構える。そんな中村長は三人に激怒する。

 

「よ、よくも……ボボの墓を!」

 

「村長! 危ないです!」

 

「俺たちはここから逃げましょう!」

 

「グレイさんは任せてください!」

 

「おう、任せた!」

 

村人はグレイを背負い、出来るだけ遠くに避難する。

 

「逃がしませんよ……皆殺し、そう決まっています」

 

シェリーがアンジェリカに乗るとアンジェリカは尻尾を回転させ、地面から離れるとルフィ達の真横を通り過ぎていく。

 

「あいつ、村の奴らを!」

 

「あれ、ルーシィは?」

 

「「ん?」」

 

三人はキョロキョロといなくなったルーシィを探す。もしやと思い真横を通り過ぎたアンジェリカを見つめる。

 

「何かしがみついちゃった〜!?」

 

「バカだ」

 

「うん、ありゃバカだ」

 

「バカだね」

 

涙を流しながら絶叫するルーシィに三人は呆れる。ルーシィは涙を拭くとアンジェリカの上に乗るシェリーを睨む。

 

「このぉ! 止まりなさいよ! 村の人に手出すんじゃないわよ!」

 

「おっほほ! あなた一人にこのアンジェリカは止められませんわ!」

 

「ふっふっふ……そうかしら? こちょこちょ……」

 

「ちゅ!?」

 

不敵な笑みを浮かべながらルーシィはアンジェリカの足をくすぐる。

 

「あ、アンジェリカ? きゃあぁぁぁ!?」

 

くすぐる事で平常を保てないアンジェリカはそのまま森に墜落していった。

 

「ありゃシェリーの奴キレるぞ」

 

「キレてねぇよ!」

 

「何でキレんだよ!」

 

「知らねぇよ!」

 

「知ってろよ!」

 

「「何でお前らがキレてんだよ!」」

 

ルフィとトビーがキレながら会話する光景を思わずナツとユウカが止まる。

 

「ハッピー、ルーシィが潰れてねぇか見てってくれ」

 

「うん、わかった!」

 

ナツの言葉にハッピーはその場を離れアンジェリカが墜落した方に飛んでいく。無事飛んでいくのを確認するとルフィとナツは敵と向き合う。

 

「んじゃあ俺たちは!」

 

「こいつらを!」

 

「「ぶん殴る!」」

 

ルフィはユウカを、ナツはトビーを殴りかかる。ユウカは後ろに飛びかわし、トビーは吹き飛ばされる。

 

「おぉう!」

 

「へぇ……凶暴な奴等だな。妖精の尻尾、麦わら、炎の魔導士……お前達、麦わらと火竜(サラマンダー)か」

 

「おおーん!」

 

ユウカが余裕そうにルフィ達を観察するとトビーはけろっと立ち上がる。

 

「ナツ! そっちの犬任せた! 俺は眉毛野郎をやる!」

 

「おう!」

 

ルフィはトビーをナツに任せ、ユウカに殴りかかる。

 

「波動!」

 

「っ! 何だ、この!」

 

ルフィの拳はユウカの前に現れた水色の壁のような物に防がれる。

 

「俺の魔法、波動の前ではいかなる攻撃も効かん」

 

余裕そうに語るユウカ。ルフィは今度は先程より威力を上げ、波動の壁に殴りかかる。

 

「お、すり抜けた……って痛っ!?」

 

貫通したかと思うと今度は貫いた腕に痛みが走る。

 

「波動の波に逆らうからだ、早く引かねば貴様の腕はバラバラになるぞ?」

 

「誰が、引くかぁ!」

 

「な!? こいつ!?」

 

ルフィは引くどころかむしろ身体全体を波動の壁に入り込ませる。ルフィは徐々に手を伸ばすとユウカの胸ぐらを掴む。

 

「捕まえた! ゴムゴムの……!」

 

ユウカを両手で掴み、動けなくさせるとルフィは頭を後ろに伸ばす。限界まで引き伸ばすとユウカに向けて頭を振る。

 

「鐘!」

 

「ぐおぉっ!?」

 

ユウカのおでこにルフィの頭が命中する。ごんっと鈍い音が響くと、ユウカは数メートル吹き飛ばされ気絶する。

 

「ふぅ終わった」

 

「ルフィ、終わったか?」

 

「おう……どうしたその犬?」

 

振り返ると地面にはビクビクと痙攣するトビーがいた。

 

「自分攻撃食らって勝手に痺れちまったみてぇだ」

 

「バカだな」

 

「ああ、バカだ」

 

痙攣するトビーを哀れむように見下ろすルフィ達。

 

 

 

一方その頃、ハッピーがルーシィを探していると砂浜で座り込むルーシィを見つける。

 

「良かった、ルーシィ潰れてなくて……え!?」

 

岩の陰で見えなかったがルーシィの前には赤髪の女性、エルザが立っていた。ハッピーの存在に気づくとエルザはギラッとそちらを睨む。

 

「……ハッピーか」

 

「え、エルザ……」

 

ずんずんとこちらに近づくエルザ。エルザがいる事に対する驚きと恐怖で動けないハッピー。エルザはハッピーに手を伸ばすとハッピーの悲鳴が島に響き渡る。

 

 

 

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