FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜 作:fortissimo 01
悪魔の宴から一夜が明け、翌日の朝。
「うーん……傷、残ってるわね」
グレイの額にある深い傷跡を覗き込みながら言うルーシィ。
「別にかまわねーよ、傷なんてどこに増えようが構わねぇ。目に見える方はな」
「おー……いい事言うじゃん」
素直にグレイの言葉に感心するルーシィ。そんな二人のもとに大量の肉を持ったルフィが近づく。
「傷できたのかグレイ、俺の肉やるから早く治せよ」
「ああ、すまね……ってそれ俺の分の肉じゃねぇか!」
「いでぇ!? 何すんだこの野郎っ!」
「元気ねーあんた達」
すぐさま肉の取り合いをするグレイとルフィ。そんな光景に慣れてきたのかルーシィはぼーっと眺めているだけだった。
「な、何と!? 報酬は受け取れない!?」
一方その頃、エルザは村人達に報酬は受け取れないと伝えていた。
「あぁ、気持ちだけで結構だ。昨夜も話したが今回の依頼はギルド側が正式に受理した依頼ではない。一部のバカ共が先走って遂行したものだ」
「うーん……それでも我々を救ってくれた事には変わりません。ギルドの報酬ではなく、友人のお礼として受け取ってはもらえませんかの?」
ふむ……と腕を組み考えるエルザ。すると観念したようにため息を一つこぼす。
「そう言われては拒みづらいな」
「700万J!」
「おお!」
「よっしゃ!」
エルザの後ろでルフィ、ナツ、グレイは喜びを露わにする。
「しかし、それを受け取ってしまうとギルドの理念に反する。追加報酬の鍵だけありがたく貰うとしよう」
「「「いらねー!!」」」
「いるいる!」
嘆く三人をよそにルーシィはジャンプしたりと喜びを露わにする。追加報酬である鍵を受け取ったルフィ達に村人が声を上げる。
「ではせめてハルジオンまで送りますよ」
「いや、船はもう用意してあってな」
『?』
海岸にやってきた一同の目の前には立派な海賊船が待っていた。
「おおー! 海賊船!」
「すげぇ!」
「な、何でぇ!?」
「エルザの事だ、どうせ強奪したんだろ……」
「あい……」
各々驚いているとひょこっと髭を生やした男性が現れる。
「姉さーん! お待ちしておりやした!」
「うむ、ご苦労」
「手懐けてるし……」
「諦めろ、あれがエルザだ」
「出航だー!」
船に乗った一同はすぐさま出発する。すると海岸には村の者達が立っており、手を振っていた。
「皆さん、ありがとうございましたっ!」
「また遊びに来てねー!」
「妖精の尻尾最高ー!」
「またねー!」
心優しき悪魔達に見送られながらルフィ達はハルジオンに帰るのであった。その様子を別の場所から見送る者達がいた。
「行っちまったな……」
「な、泣いてなんかないもんね! おおーん!」
「何故泣く……?」
「いいんですの? せっかく分かり合えた弟弟子さん……すなわち愛」
「いいんだ」
シェリー達の前に立つリオンの表情はどこか笑っていた。ふとグレイの言葉を思い出すとリオンはシェリー達の方に振り返る。
「なぁ……ギルドって楽しいか?」
「帰って来たー!」
「「きたー!」」
長旅を終え、マグノリアに帰還したルフィ達は高らかに叫ぶ。
「しっかし、あれだけ苦労して鍵一個とは……」
「あい、せっかくのS級クエストが……」
「しょうがないでしょ? 正式なクエストじゃないんだし、文句言わないの」
「顔にやけてんぞ」
不満気なグレイとハッピーに対し、ルーシィはにやにやと笑顔を浮かべる。その手にはガルナ島で手に入れた金色の鍵が握られていた。
「得したのルーシィだけじゃないか〜。ねぇ、その鍵売ろう〜」
「何て事言うのかしらこの猫!?」
むっと頬を膨らませ、金色の鍵をハッピー達の前に掲げる。
「あのね、この金色の鍵……『黄道十二門』の鍵は世界中にたった12個しかないの。つまりめちゃくちゃレアなんだからね」
「えぇ!? すげぇ!」
「ふふん、そうでしょ!」
興味津々に鍵を見つめるルフィに胸を張るルーシィ。するとルフィの口元から涎が溢れる。
「じゃあそれ売れば肉食べ放題……」
「やめんかっ!」
瞬間的にルフィから離れるルーシィ。ルフィに対して鍵をあまり近づけないようにしようとルーシィは心に決める。
ギルドに近づくと前にいたエルザは立ち止まり、振り返る。
「さて、わかっていると思うが……ギルドに戻ったらお前達の処分を決定する」
『!!』
ビクッと肩を震わせるルフィ達。
「判断を下すのはマスターだ。無論、私は弁護するつもりはない。それなりの罰は覚悟して……ん?」
ふとエルザは言葉を止める。辺りを見渡すと町の皆はこちらを見ながらひそひそと話している。
「なんだ?」
「どうしたんだろう?」
その様子に首を傾げるルフィ達。不思議に思いながらもギルドに近づいていく。
「何だ……? ギルドの様子がおかしい……」
いち早く異変に気付いたのは先頭にいたエルザだった。どこか不安が漂う中、ギルドに着いた一同の前に衝撃的な光景が映っていた。
「なっ!?」
「嘘……何これ?」
「これは……!?」
「そんな……!」
「何で……!」
そこには巨大な鉄の棒で貫かれ、半壊状態の妖精の尻尾のギルドがあった。
「誰が……こんな事!」
「ファントム」
怒りに震えているとギルドの近くにいたミラが声をかける。その表情は申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「悔しいけど……やられちゃったの」
それは新たなる波乱の幕開けだったーー。