FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜 作:fortissimo 01
ここはマグノリア病院
公園の騒ぎの後、急いで運ばれたレビィ達。病院に運ばれたもの意識はまだ戻っていない。
「ひどい事するんだなぁ……ファントム」
眠ったままのレビィの顔を見て苦悶の表情を浮かべる。レビィとはギルドに入ってから小説の事ですぐ仲良くなった親友。親友のボロボロになった姿を見て、拳を震わせる。
「許せないよ、アイツら……!」
ここは幽鬼の支配者のギルド。中ではファントムのメンバー達が上機嫌に酒を飲んでいた。
「最高の気分だ!」
「妖精のケツはボロボロだってよ!」
「流石ベラミーだな、やる事がえげつねぇ!」
妖精の尻尾を罵倒する声がギルド中に響き渡る。
「いけね、こんな時間だ」
一人のメンバーが時計を見て依頼に向かう為立ち上がり、ギルドの入り口に向かう。
「また脅して金を二倍にしなくちゃーー」
ドアに手をかけた瞬間、爆炎と共に扉と扉周りにいたメンバーが吹き飛ぶ。
「ぎゃあぁぁぁ!!??」
「な、なんだ!?」
爆炎が晴れるとそこには妖精の尻尾のメンバーがほぼ全員揃っていた。
「妖精の尻尾じゃああっ!」
マカロフが声を上げるとルフィがファントムのメンバーに向かって走る。
「ゴムゴムの……鞭っ!」
脚を伸ばし、複数のメンバー達を蹴り飛ばす。飛ばした後、ルフィは拳をパキパキと鳴らす。
「お前ら、骨も残らねぇと思え」
「ほ、骨まで!?」
「う、うろたえるな!」
「火竜の鉄拳っ!」
動揺するメンバー達をナツが炎の拳で吹き飛ばす。ナツはそのまま周りにいたファントムメンバー達を殴っていく。
「誰でもいい、さっさとかかってこいっ!」
ルフィとナツにつられ、妖精の尻尾のメンバーも次々と攻撃をしかける。
「な、なんだこいつら……!」
「ま、マカロフだ! マスター・マカロフを狙え!」
マカロフを集中狙いするファントムメンバー。狙われる中、マカロフは魔法で身体を大きくし、その姿はまるで巨人のようだった。
「ふんっ!」
「ぐあぁぁ!?」
マカロフは巨人化した手を薙ぎ払い、ファントムメンバー達を吹き飛ばす。
「ば、化け物……!」
「……貴様らはその化け物のガキに手を出したんだ。人間の法律でテメェを守れると思うなよ?」
鋭い眼光を飛ばすマカロフ。それを受けたファントムメンバー達は自然と後退りをしてしまう。弱気になったファントムメンバー達を妖精の尻尾のメンバー達がどんどん倒していく。
「ジョゼぇぇ! 出てこんかぁ!」
「どこだ! ガジルとベラミーとエレメント4はどこにいる!?」
身体を戻し、徐々に前に進むマカロフ。エルザも敵を倒しながらマカロフと共に前に出る。マカロフは辺りを見渡すと天井に視線を向ける。
「エルザ、ここはお前たちに任せる」
「マスター!」
「ジョゼはおそらく最上階……ワシが息の根を止めてくる」
「……お気をつけて」
任されたエルザはマカロフと反対方向に走り、妖精の尻尾のメンバーがいるところに向かう。マカロフは一人、ジョゼのいる部屋に続く階段を登る。そんな様子を天井で眺めている二人がいた。
「あれがティターニアのエルザか。ギルダーツ、ラクサス、ミストガン、火拳のエースは参戦せずか……舐めやがって」
「別にいいだろそんな事。今んところマスタージョゼの計画通りに進んでるんだ……さて」
ベラミーは下で起こってる戦いを眺め、舌舐めずりをすると不気味な表情を浮かべる。
「漢っ! 漢っ!」
妖精の尻尾のメンバー、エルフマンが魔法で変化した拳でファントムメンバーを倒していく。
「漢だぁぁ!」
「なんなんだよあいつ!?」
「
エルフマンの攻撃にビビるファントム達。エルフマンは攻撃を続けようとすると、何か変な音がする事に気づいた。
「ん? ……なんだ?」
風を切る音、それと同時に
「スプリング
「ぐわぁぁぁっ!?」
弾丸の如きスピードで腹を殴られ、エルフマンは壁まで吹き飛ばされた。
「エルフマン!」
「ハハハっ! 随分好き勝手暴れてるじゃねぇか、クズ共」
「ベラミー!」
男ーーベラミーの参戦にファントム達の士気が上がる。少し離れたところで戦っていたルフィはベラミーの存在に気づき、足を止める。
「あいつがハイエナのベラミーか……!」
レビィ達を襲った事を思い出し、拳を強く握る。すぐさまベラミーの方に向かおうと足を動かすとーー。
「どこみてんだ麦わらっ!」
「!」
上からもう一人の男ーーガジルが腕を鉄の棒に変え、ルフィに攻撃を仕掛ける。何とか避けたルフィはガジルと距離を取る。
「ゴムゴムの……銃!」
腕を伸ばしガジルに攻撃をするルフィ。ガジルは鉄に変えた腕をクロスさせ、攻撃を受け止める。
「かってぇ〜……鉄みてぇだな、お前」
「ギヒッ……! 鉄の滅竜魔導士ガジル様が相手になってやるよ、麦わら」
ガジルと聞いてむっと視線が鋭くなるルフィ。目の前の人物がギルドを半壊させた男だとわかると、ベラミーの方に行くのは諦め、ガジルに拳を向ける。
「鉄竜棍!」
「ゴムゴムの……
お互いの技がぶつかり合い、軽い衝撃波が起こる。しかし鉄を思い切り殴った事にルフィの拳から少し血が出ていた。それを見たガジルはにやっと笑う。
「お前の攻撃は鉄に効かねぇよ」
「……そりゃーどうかな?」
「あん?」
笑みをこぼすルフィ。ガジルは何故笑っているのか考えていると、鉄の棒にヒビが入り、そのまま砕けてしまった。
「何っ!?」
「にしし、お前の鉄より俺の拳の方が強ぇし硬てぇ!」
「ほぞいてろ!」
ルフィの言葉に激情するガジル。よりヒートアップする二人をベラミーは呆れながら観ていた。
「何やってんだガジルの野郎は……」
「ベラミーっ!」
よそ見していたベラミーにナツが飛びかかる。
「火竜の鉄拳っ!」
火を纏った拳を振るうナツ。しかしベラミーは足をバネに変え、素早い動きで攻撃を避ける。
「俺の相手はテメェがしてくれるのか、サラマンダーっ!」
「お前がレビィ達を……っ! ぜってぇ許さねぇっ!」
怒りで全身に炎を纏うナツを見て、ベラミーは高笑いをする。
「許さねぇか。……アイツらはただ弱ぇだけのクズだ。俺はクズがいるとむしゃくしゃするんだよ……」
「テメェ……っ!」
たったそんな理由で襲われた事に更に怒りの炎を上げるナツ。激情するナツを見て笑みを浮かべるベラミー。そんな中、ギルドが大きく揺れ始めた。
「あぁ? なんだ?」
「これは……じっちゃん!」
ナツはマカロフの魔力を感じ、天井を見上げる。突然の揺れに動揺を隠せないファントムメンバー達。
「な、なんだ!? 何が起きてんだ!?」
「やべぇーな、これは」
「マスターマカロフの怒りだ」
「覚悟しろっ! マスターがいる限り我等に負けはないっ!」
エルザのかけ声に一気に士気が高まる妖精の尻尾だったが次の瞬間、ファントム達と妖精の尻尾達の間に天井の一部と共に何かが落ちてきた。
「な、なんだ!? 上から何か……」
両者何が起きたか分からず混乱する。煙が晴れるとそこにはーー。
「あ……わ、わしの魔力が……」
弱々しい姿をしたマカロフが倒れていた。
「じっちゃん!?」
「マスター!?」
「マスター、しっかり!」
妖精の尻尾のメンバー達は戦いを中断し、急いでマカロフに駆け寄る。その状況を見たファントム達はにやりと笑う。
「チャンスだお前ら!」
「マスターマカロフがいねぇ今ならやれるぜ!」
動揺する妖精の尻尾にファントム達は意気揚々と襲いかかる。最初の勢いとかわり、徐々に押され始めていた。どんどん傷ついていく妖精の尻尾を見てエルザは悔しそうな表情を浮かべながら立ち上がる。
「……撤退だ! 全員ギルドに戻れぇ!」
「エルザ!?」
「何言ってんだエルザ!」
「マスター無しではジョゼには勝てんっ! 撤退する、これは命令だ!」
「俺達ならまだーー」
「……頼む」
泣きそうな表情を浮かべるエルザに妖精の尻尾は納得は出来ないものの撤退を始める。その様子を天井に移動したベラミーとガジルは眺めていた。
「ギャハハ! 逃げろ逃げろ負け犬共っ!」
「ギヒッ……もう終わりか、つまんねぇな」
撤退する妖精の尻尾を馬鹿にするように笑うベラミーとガジル。そんな二人をルフィは怒りの表情を浮かべ睨んでいた。
「ルフィ、撤退だよ!」
「……あぁ」
ルフィを心配して来たハッピーがルフィの手を引く。渋々とルフィは二人に背を向け、ハッピーと共に撤退しようとする。その時、ベラミーとガジルの背後に大柄の男が一瞬にして現れた。
「よう、アリアか。うまくいったみてぇだな」
「全てはマスタージョゼの計画通り……素晴らしいっ!」
「いちいち泣くんじゃねぇよ、うぜぇな。……で? ルーシィとやらは捕まえたのか?」
「! ……ルーシィ?」
撤退するルフィはルーシィの名前を聞いて立ち止まる。すると撤退する入り口とは違う方に走り出すルフィ。
「ルフィ!? どこ行くの、そっちじゃないよ!?」
「悪りぃ、ハッピー。ちょっと俺行ってくる!」
走り出すルフィに混乱しながらもハッピーは後を追う。ルフィの走る方に一人のファントムメンバーがいた。
「よし、お前ついてこい!」
「へ? うわぁぁ!?」
腕を伸ばし、男の首根っこを掴んだルフィはそのままギルドの外に出て行った。
ルフィとハッピーはファントムの男を引きずりながら街の外れまで移動していた。しばらく歩くと立ち止まり、男の胸ぐらを掴む。
「お前、ルーシィがどこにいるか知らねえか?」
「ルーシィ? 誰だよそいつ」
男の返答にむっとしたルフィは男に思い切り頭突きをした。
「いでぇ!?」
「嘘つけぇ! さっきルーシィを捕まえたって言ってたぞ! 早く言え!」
「えぇ!?」
ルーシィが捕まったと聞いてハッピーは驚き、声を上げる。男の返答も待たずに今度は拳を振ろうとするルフィ。
「ひっ!? ほ、ほんとに知らねえんだ……ただこの先本部がある! そ、そこにいるかも知れねぇ!」
「そっか、わかった! 行くぞ、ハッピー!」
「あいさー!」
ファントムの男を置いて、ルフィとハッピーは全速力でファントム本部に走って行った。
「……ん?」
ここはファントム本部。暗い独房のような所で手を縄で縛られた状態でルーシィは目覚めた。
「ちょ!? 何コレ……てかどこ!?」
「お目覚めですかな? ルーシィ・ハートフィリア様」
「!……だ、誰!?」
男の声がする方、扉に視線を向けると扉が静かに開き一人の男が入ってきた。
「初めまして、私はファントムロードのギルドマスター・ジョゼと申します」
「ファントム!?」
目の前にいる男がファントムのギルドマスターに驚きを隠せないルーシィ。その時、ルーシィは自分の身に起きた事を思い出す。
「(そっか……私病院の外に出た時ファントムの奴らに捕まって)」
「このような不潔な場所に拘束してしまい申し訳ありません。大変失礼ですが捕虜の身であられる事をご理解いただきたい」
「これ、ほどきなさいよ! 何が捕虜よ……レビィちゃん達をよくもっ!」
「貴方の態度次第では捕虜ではなく、
「最高の客人? 何それ、わけわかんないわよ! あんた達なんで私達を襲うのよ」
「私達? あぁ、妖精の尻尾の事ですか? ……ついでですよ、ついで」
「つ、ついで?」
不気味に微笑むジョゼに背筋に悪寒が走るルーシィ。
「私達の本当の目的は
「そ、それって……」
「そう、貴女の事ですよ? ハートフィリア財閥の令嬢、ルーシィお嬢様?」
ジョゼがそう言うと、恥ずかしくてなったのか徐々に顔を赤くさせるルーシィ。
「な、なんであんた達がそんな事知ってんの……?」
「理由は一つ、貴女を連れてくるよう依頼されたのでね」
「そんな事誰に……?」
「決まっているでしょ? 依頼されたのは他ならぬ、貴女の父親なのです」
その言葉に息が詰まるルーシィ。
「そんな……嘘……なんであの人が……」
「それはもちろん、可愛い娘が家出したら探すでしょ普通」
「わ、私帰らないから! あんな家絶対帰らない!」
「おやおや、困ったお嬢様だ」
「今すぐ私を解放して」
「それはできません」
ぐぬぬとジョゼを睨むルーシィ。すると何かを思いついたのか顔を少し赤らめる。
「……ねぇ、トイレ行きたいんだけど?」
「これはまた古典的な手ですね」
「いや……マジで、ほんと助けてー」
「ふむ……どうぞ」
少し考えた素振りを見せるとジョゼはルーシィの隣にバケツを置いた。
「ほっほっほ! 古典的故に対処法も多いんですよ」
「しょうがない……バケツかぁ」
「ってするんかい!」
もぞもぞと動くルーシィを見て、ジョゼは動揺しながら背を向ける。
「ぐぬぬ……なんてはしたないお嬢様なんでしょ!」
「あら、意外と紳士なのね……ありが、とっ!」
「ネパァーー!?」
背を向けたジョゼの股間に思い切り蹴り上げるルーシィ。謎の悲鳴を出しながら地面に伏せるジョゼ。
「古典的な作戦も捨てたもんじゃないわね! それじゃ、お大事に!」
股間を押さえ悶えるジョゼにウインクをし、ジョゼが入ってきた扉に向かうルーシィ。すると何か違和感を感じたルーシィは扉の前で立ち止まり、冷静に外の景色を見る。外に広がるのは空だった。下を見て、地面と今いる場所ではとても着地出来そうにないと理解する。
「高ぁ……!?」
「はぁ……はぁ……よくもやって、くれましたね」
先程の攻撃のダメージがある程度収まり、フラフラした状態でジョゼは立ち上がった。
「ここは空の牢獄……逃げる事はできませんよ。さぁお仕置きですよ……幽鬼の怖さを教えてやらねばなりませんね」
「ぐ……!」
ジョゼの言葉に後退りするルーシィ。このまま後ろに下がると扉から落下してしまう状態だった。ジョゼはにやりと笑い手をルーシィに向ける。
『……!!』
「!」
強い風と共に何か聞こえたルーシィ。少し考えた次の瞬間、目を閉じた状態で独房から飛び降りた。
「な!?」
動揺するジョゼ。慌てて行動しようとするが先程のダメージがまだ残っており、動けずにいた。
「(聞こえた、間違いない……助けに来てくれたんだ!)」
真っ逆さまに落下しながら、聞こえてきた声の主の名前を叫ぶ。
「ルフィーー!!」
「ーーうおぉぉぉ!!」
すると少し離れた場所から全速力で走ってきたルフィ。このまま走っていると間に合わないと思い、ルフィは思い切り手を伸ばす。
「ゴムゴムの……キャッチっ!」
伸ばされた手は見事ルーシィを掴んだ。
「ふー危ねぇ危ねぇ」
「ナイスキャッチ、ルフィ!」
一緒に来たハッピーはルーシィが無事な事に喜ぶ。その後、ルフィはルーシィを自分の方に引き寄せる。
「やっぱりいると思った!」
「急にルーシィが降ってきたからびっくりしたぞ。お前なんで空から落ちてきたんだ?」
「はは……色々とね……」
「? ルーシィ大丈夫か?」
「ルーシィ?」
手に縛られた縄をほどきながらルフィとハッピーは暗い表情をするルーシィを心配する。
「ごめん、ごめんね……全部あたしの、せいなんだ」
涙を流しながらルーシィは二人に謝る。
「な、なんで全部お前のせいなんだよ!? お前なんも悪い事してねぇだろ!」
「ごめんそれでも私、ギルドにいたい……妖精の尻尾にいたいよ」
「な、何言ってんだよルーシィ」
「ルフィ、戻ろうよ……」
ずっと涙を流しながら謝罪するルーシィ。動揺しながらもハッピーの言葉に従い、ルフィはルーシィを背負いギルドに戻った。