FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜   作:fortissimo 01

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しばらく投稿できず申し訳ないです……。


火竜とゴムと猿と牛

クエストから一向に帰ってこないマカオを探しに、ナツとルフィとハッピーは馬車に乗りハコベ山に行く事になったのだがーー。

 

「な、なんでお前がいるんだ?」

 

「いいでしょ別に?」

 

何故かルーシィも一緒に馬車に乗っている。ハッピーも何故と言わんばかりの顔でルーシィを見ている。ルーシィはそんな事お構いなしという雰囲気で座る。

 

「それにしても……」

 

ルーシィは自分の隣で現在爆睡中のルフィに視線を移す。

 

「ずっと寝てるわね」

 

「あい! 寝たい時は寝る、それがルフィですから!」

 

「ふぅ〜ん……あ!」

 

するとルーシィは何か閃いた顔をすると、ルフィの頬を引っ張る。

 

「うわぁ! ほんとルフィの身体、ゴムみたいに伸びるわね! おもしろ〜い!」

 

「ゴムゴムの実のゴム人間だからね〜」

 

ルーシィはルフィの頬を伸ばしたり縮めたりしている。そんな事をされている事に気づかず、ルフィはいまだ爆睡中。

 

ガタッ!

 

「ん?」

 

「痛ぇ!?」

 

突然馬車が止まったのでルーシィは思わず伸ばしていたルフィの頬を離してしまい、猛スピードでルフィに帰ってきた。その衝撃でルフィは目を覚ました。

 

「ん! 止まった!」

 

酔いが覚めたナツは歓喜する。

 

「すみません……ここから先は進めないです」

 

「え?」

 

ルーシィは馬車のドアを開けるとーー。

 

「え、え?」

 

目の前には激しい吹雪が吹き荒れる白銀の世界が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

ルフィ達はマカオを探すため雪が降り積もる山道を歩く。

 

「な、何よこれ!? 山とはいえ今は夏季でしょ!? なのに何よこの吹雪……くしょん!」

 

「薄着だからだろ? お前バカだなー」

 

「うんうん」

 

「あんたらも似た様なもんじゃない!」

 

ルフィ達に指を差しながら叫ぶルーシィ。確かにルフィとナツの衣装は正直ルーシィよりも薄着だ。ルーシィは堪えられずナツが背負っている毛布を取ろうとする。

 

「その毛布貸してよー! いいでしょー!」

 

「うるせー奴だな」

 

「あい」

 

「うぅ〜……あ、そうだ!」

 

毛布で絡まっているルーシィは何か閃いたのか腰についているホルダーから銀の鍵を取り出した。

 

「開け! 時計座の扉、ホロロギウム!」

 

そうルーシィが唱えるとルフィ達の目の前に置き時計の姿をした星霊、ホロロギウムが現れた。

 

「うぉ! 時計だ」

 

「いっかす〜!」

 

「かっこいい〜!」

 

ホロロギウムを見てルフィ達は目をキラキラと輝かせる。ホロロギウムの中には毛布に包まったルーシィが入っていた。

 

「…………!」

 

「何言ってんだお前?」

 

「全然聞こえねーぞ?」

 

ホロロギウムの中で口を動かすルーシィ。何か言っていると思われるがルフィ達にはそれが聞こえない。すると唐突にホロロギウムの口が開いた。

 

「『私、ここにいる』……と申しております」

 

「何しに来たんだよ……」

 

「『マカオさんはこんな場所になんの仕事をしにきたのよ?』と申しております」

 

「知らねぇでついてきたのか? マカオは凶悪モンスター“バルカン”の討伐の為ここにきてんだぞ」

 

ナツが依頼の内容を話すと中に入っているルーシィの顔がさーっと青くなる。

 

「『私帰りたい!』と申しております」

 

「はいどうぞと申しております」

 

「あい」

 

「じゃあな〜」

 

嘆くルーシィを放って、ルフィ達はマカオを探すため雪道を進む。

 

「マカオー!」

 

「何処だーー!」

 

ルフィ達は大声でマカオの名を叫ぶ。雪道を歩いていると、ふとルフィ達の頭上から音が聞こえてきた。

 

「「ん?」」

 

ルフィ達が見上げると巨大な猿が襲いかかってきた。ルフィとナツはその猿の攻撃を躱し、距離を離す。

 

「バルカンだ!」

 

ルフィとナツはすぐさまバルカンを撃破しようと戦闘態勢に入る。するとバルカンは辺りを見渡すといきなりその場を離れた。

 

「あ!」

 

「どこ行くんだよ!」

 

バルカンはある場所に向け走り続ける。その場所とはーー。

 

「人間の女、みっけ!」

 

「ひっ!?」

 

ホロロギウムとルーシィがいる場所だ。バルカンはひょいとホロロギウムを持ち上げ逃走する。

 

「ほえ〜、あいつ喋れるんだなぁ〜」

 

「あいつに聞けばマカオの場所がわかるかもな」

 

「あい!」

 

「『てか助けなさいよぉぉぉぉ!!』 と申しております……」

 

「「「あ……」」」

 

「ウホホッーー!」

 

バルカンはホロロギウムとその中にいるルーシィを担いで雪の山に消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハコベ山、バルカンの住処である洞窟の真ん中でバルカンがホロロギウムの周りで踊っている。

 

「『なんでこんな事になってるわけ!? てか、この猿テンション高いし!』 と申されましても……」

 

ホロロギウムの中に入っていたルーシィは現在の状況を嘆いている。するとバルカンが中に入っているルーシィに顔を寄せる。

 

「人間の女〜!」

 

「ひぃ!」

 

ルーシィはどうする事も出来ない状況。しかしホロロギウムの中に入っておけば安心なのでは? などとそんな浅はかな希望は簡単に打ち砕かれた。

 

「すいません、時間です」

 

「え? ちょっ!?」

 

突如ホロロギウムが消え、毛布にくるまっているルーシィは外に出される。

 

「延長よ! 延長ー! ねぇちょっとー!?」

 

必死に助けを呼ぶがホロロギウムは完全に帰ったのか返答の声が聞こえない。そんなルーシィに目をギラギラとさせ、鼻息を荒くしたバルカンが近づいてきた。

 

「うほ!うほ! 女!」

 

「こうなったら……!」

 

ルーシィは鍵のホルダーから黄金の鍵を一つ取り出した。

 

「開け! 金牛宮の扉、タウロス!」

 

「MOooooo!」

 

雄叫びと共に現れたのは背中に斧を背負った巨体の牛が現れた。

 

「タウロスは私の持つ星霊の中で一番の怪力なんだから!」

 

「MO! ルーシィさん、今日もナイスバディですなぁ」

 

「しまった、こいつもエロかった……」

 

タウロスは目をハートに染めながらルーシィを見つめる。

 

「俺の女、奪うな!」

 

「俺の女? それは聞き捨てなりませんな!」

 

バルカンとタウロスは両者睨み合う。ルーシィはその様子を黙ってみるだけだった。するとーー。

 

「うおぉぉぉぉー!! 猿ー!!」

 

「え? あ、ルフィ!」

 

暗闇の中からルフィがこちらに向かって猛スピードで走ってきた。バルカンは思わず身構える。

 

「覚悟しろよ! ゴムゴムのピストル!」

 

「MO!?」

 

「そっちぃ!?」

 

ルフィの腕が伸び、バルカンではなくタウロスに命中し、タウロスは吹き飛ばされる。

 

「ん? 怪物増えてねぇか?」

 

「それ、味方! 私の星霊!」

 

「Mo〜もうダメみたいですなぁ……」

 

「弱っ!?」

 

ルフィに吹き飛ばされたタウロスはがくっと気を失ってしまった。

 

「ルフィ〜! ルーシィ〜!」

 

「ずりぃぞ! ルフィ!」

 

遅れて暗闇からハッピーとナツがこちらに向かってくる。ルフィがナツ達の方に意識を向けていると、背後からバルカンが迫ってくる。

 

「うほっ!」

 

「ルフィ!」

 

「心配ねぇよ、ルフィなら」

 

バルカンはルフィの頭上に拳を振り下ろした。まともに命中した事にバルカンは歓喜する。しかしーー。

 

「効かないねぇ……ゴムだから」

 

「うほっ!?」

 

ルフィはバルカンの方に振り返り、バルカンを殴り飛ばす。バルカンは天井に激突し、つららと共に地面に伏せる。バルカンは怒りを露わにするとルフィに無数のつららを投げてきた。それに対しルフィは両腕を素早く動かす。するとルフィの手が無数に現れているように見える。

 

「ゴムゴムの……銃乱打(ガトリング)!」

 

ルフィはつららを一つ一つ吹き飛ばす。地面を蹴り、腕を後ろに伸ばしながらバルカンの懐に入る。

 

「ぶっ飛べ! ゴムゴムの……銃弾(ブレット)!」

 

「ごほっ!?」

 

ゼロ距離からの攻撃に防ぐ事が出来ず、バルカンは氷の壁にめり込み気絶した。

 

「「やった〜!」」

 

「くぅ〜俺も戦いたかったなぁ」

 

ナツ達はルフィの勝利を喜ぶ。するとルーシィがある事に気付いた。

 

「そういえばこいつにマカオさんの居場所聞くんじゃなかったの?」

 

「あ、忘れてた!」

 

「完全に気絶してるわよ」

 

「悪りぃ、悪りぃ」

 

そんな会話をしていると突如、バルカンが光に包まれた。

 

「な、何!?」

 

「眩しいぃ!」

 

光が治るとバルカンがいたところに中年の男性が傷だらけで倒れていた。

 

「マカオー!?」

 

「サルがマカオになったー!?」

 

「え、この人がマカオさん!? さっきまでエロザルでしたけど!?」

 

「バルカンに接収(テイクオーバー)されたんだ!」

 

接収(テイクオーバー)?」

 

聞きなれない魔法にルーシィは首を傾げる。

 

「身体を乗っ取る魔法だよ。バルカンはそうやって生き繋ぐモンスターだったんだ!」

 

その後応急処置を施し、マカオを持って来た毛布の上に寝かせた。

 

「長い間、バルカンと戦っていたんだね……」

 

「おい、マカオ! 死ぬんじゃねぇぞ! ロメオが待ってんだぞ! 起きろ!」

 

ルフィは必死にマカオを呼びかける。するとそれに答えるようにマカオの瞼がゆっくりと開く。

 

「マカオ!」

 

「気がついたか!」

 

「よぅルフィ、ナツ……。クソ、情けねぇ……1()9()匹は倒したんだ……」

 

「え!?」

 

「20匹目でドジって接収(テイクオーバー)されちまった……情けねぇ。これじゃロメオに合わせる顔がねぇ……」

 

「んな事ねぇ! 19匹も倒せれば上出来だ! 帰ろうぜ、ロメオのところに!」

 

「へっ……おう」

 

ルフィはマカオの手を強く握りしめる。マカオは笑顔をルフィ達に向ける。

 

「(あの猿、一匹だけじゃなかったの……? あの猿を19匹倒すなんて……)」

 

ルーシィは改めて妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士の強さを実感する。

 

「(すごいなぁ……敵わないや)」

 

「ルーシィ、にやけてどうしたの? 怖いよ?」

 

「ヒゲ抜くわよ、猫ちゃん!?」

 

 

 

 

 

 

夕日が沈みかけ、オレンジ色に染まるマグノリアの街。そこでは麦わら帽子を被ったロメオの姿があった。マカオが帰ってくるまでずっと階段に座っていた。そんなロメオの脳裏にある光景が映される。それは街の少年達に妖精の尻尾の魔導士をバカにされた時。『酒臭い』『腰抜け』など様々な言葉を吐かれた。そんなロメオは父に難しい仕事に行ってきてと頼んだ。それがこのような結果を招いてしまったのでは? とロメオに罪悪感がこみ上げる。ロメオは麦わら帽子を深く被る。するとーー。

 

「ロメオーー!!」

 

「!」

 

自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、顔を上げる。そこにはルフィとナツに肩を借り、申し訳なさそうな表情を浮かべる父、マカオの姿があった。

 

「父ちゃーーん!!」

 

「おおっ!?」

 

ロメオはマカオの胸に飛びつく。マカオは耐えられず後ろにこける。

 

「父ちゃん……ごめんっ! 俺……」

 

「心配かけてすまなかったな。ロメオ、今度クソガキ達にからまれたらこう言ってやれ。テメェの親父は化け物19匹倒せるのか!? ってよ」

 

「うん……うん!」

 

ロメオは嬉し涙をこぼす。すると被っていた麦わら帽子を取り、ルフィの前に来た。

 

「ルフィ兄、これ!」

 

「お、サンキュー!」

 

ルフィはロメオから麦わら帽子を受け取ると自分の頭に乗せる。そのままルフィ達はその場を立ち去ろうとギルドに向かった。

 

「ルフィ兄ーー!! ナツ兄ーー!! ハッピーーー!! ありがとうーー!!」

 

「おーう!」

 

「おう!」

 

「あい!」

 

「それと、ルーシィ姉もありがとーー!!」

 

ルーシィはロメオの言葉に振り返り小さく手を振った。

 

 

 

 

 

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