FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜 作:fortissimo 01
馬車で移動してから数時間が経過し、目的地のシロツメの街に無事辿り着いた。
「着いたー!」
「腹減ったな……」
「もう二度と馬車には乗らん……」
「ナツ、いつも言ってるよ」
四人はとりあえずルフィとナツが腹を空かせたのでレストランを探す事にした。しばらく街の中を進んでいくとレストランを見つけた。
「おい! ここ入ろうぜ!」
「メシー!」
「私ちょっとやる事あるから三人でどうぞ〜」
ルーシィはそう言うとルフィ達を置いて街の中に消えていった。
「行っちまった……」
「んだよ……皆で食った方が楽しいのに」
「あい」
ルフィ達は仕方なくレストランに入る食事をとる事にした。
「肉、うめぇ!」
「脂っこいのはルーシィに残しとくか」
「脂っこいの好きそうだもんね」
「これ、すげぇ脂っこい!」
ルフィ達はルーシィの分の食事をある程度残しながら食べていた。しかしルーシィの分の食事はどれも脂っこいものばっかりだった。
「私がいつ脂好きになったのよ!」
「おぅ、ルー……シィ?」
ルフィ達はルーシィの声がした方に視線を向けると、そこにはメイドの格好をしたルーシィの姿があった。
「やっぱり私って何を着ても似合っちゃうのよね〜」
「「「…………」」」
ルフィ達三人は呆気にとられる。ルフィは咥えていた肉をこぼし、ナツとハッピーは口の中のものをボロボロ落としていた。
「お食事はお住みですか、ご主人様?」
メイドに似せようと口調も少し変えてルーシィは言った。そんな様子を見たルフィ達は顔を合わせてヒソヒソ話を始める。
「ど、どうしよう〜! 冗談で言ったのに本気にしてるよメイド作戦!」
「今更冗談だって言えないしな……こ、これで行くか」
「ルーシィのあの格好面白いからこのままでいいや」
「聞こえてますがっ!?」
レストランで食事を終えた一同は依頼主の館に来ていた。
「立派な建物ね〜。ここがエバルー公爵の……」
「ううん、ここは依頼主の館だよ」
「まずは話を聞かねぇーとな」
「そうだな」
ナツは扉の前に行きノックする。するとドアが少しだけ開いた。
「どちら様ですか?」
「魔導士ギルド、『妖精のーー」
「! しっ! 静かに! ……すいません、裏口から入っていただけませんか?」
「「「「?」」」」
四人は疑問に思ったが深く追求せず、言われた通り裏口から入る事にした。入ると女性の人に依頼主の部屋まで案内された。部屋の扉を開くとそこには依頼主の老人が座っていた。
「魔導士の方々。どうぞ、そこに座ってください」
一同は言われるがまま老人の前のソファーに腰掛けた。
「先ほどは大変失礼いたしました……。私が依頼主のカービィ・メロンです」
「メロン!」
「美味そうな名前だな!」
「あい!」
「ちょっと、失礼よ!」
「あはは、よく言われるんですよ。それにしてもまさかあの有名な『妖精の尻尾』の魔導士さんに受けてもらえるとは……」
「そっか? こんなうめぇ仕事が今までよく残っていたと思うけどな?」
「(内容と報酬が釣り合ってないからきっと皆警戒してんだ……)」
「しかしこんなにお若いのに……ん? もしや君は『麦わらのルフィ』君か?」
「ん? そうだけど、おっちゃん俺の事知ってんのか?」
「おお、やはり! まさか麦わらのルフィが来てくれるとは……」
「それとここにいるナツは
「
「……で、こちらは?」
「私も『妖精の尻尾』の魔導士です!」
「その服は趣味……ですか? あ、いえいえ、いいんですがね」
「……なんか私帰りたくなってきた」
「ま、まぁとりあえず仕事の話をしましょう」
「おう!」
シクシクと悲しむルーシィを置いておき、カービィは苦笑いを浮かべながら仕事の話を話し始めた。
「私の依頼したいことはただ一つ……エバルー侯爵の持つ本、『
「焼失? だったら家ごと燃やせばすぐ片付くな」
「あい」
ナツは手に炎を宿しながら言う。ハッピーもそれに便乗する。
「そんな事したらダメでしょ! それになんで本を破棄なんか……」
「んな事どうでもいーじゃねぇか、20万だぞ、20万」
「いえ……200万Jお払いします。報酬は200万Jです」
「なっ!?」
「にぃ!?」
「ひゃ!?」
「くぅ!?」
四人は通常では考えられない依頼報酬に言葉を失う。
「おや? 値上がったのを知らずにおいででしたか」
「200万J!? ちょっと待て、四等分すると…………うおぉぉ! 計算できねぇ!」
「簡単です! オイラが100万、ナツとルフィが50万、残りはルーシィです!」
「頭いいな、ハッピー!」
「そんだけあれば、えっとえっと肉が一つ、肉が二つ…………数え切れねぇ!」
ルフィは涎を垂らしながら頭の中で肉に埋もれる自分を想像する。
「てか私の分が残ってないじゃないの!」
「よっしゃ! そうと決まれば行くぞ、野郎ども!」
「おう!」
「アイサー!」
「ちょ、ちょっとー!」
一同は意気揚々と屋敷を出て行く。
エバルー公爵の屋敷前にメイド姿のルーシィが立っていた。
「メイド募集のチラシをみて来ましたー! すいませーん、誰かいませんか〜!」
そんな様子を遠くからナツとルフィとハッピーは見守っていた。
「ルーシィ、頑張れよ〜」
「上手くやれよ〜」
「頑張れ〜」
三人は各々声援を送る。ルーシィは自分の容姿に自身満々だから必ず採用されると意気込んでいた。すると何やら地面から音が聞こえてきた。
「ん? 何かしら……」
ルーシィが不思議に思っていると突然地面からゴリラのようなメイドが飛び出て来た。
「メイド募集の広告を読んで来たの?」
「は、はい!」
「ご主人様! 募集広告を見て来たそうですが?」
メイドが大きな声でそう叫ぶと今度は地面から変な髭の男が飛び出て来た。
「ボヨヨーン! 我輩を呼んだかね?」
(き、来たー!)
ルーシィの前に現れたのはエバルー公爵だった。エバルー公爵は早速ルーシィに近づく。
「ふむ……どれどれ?」
エバルーはルーシィの身体を隅々までなめるように見る。
「よ、よろしくお願いしまーす(と、鳥肌が……! でもここは堪えるのよ、私!)」
ルーシィはエバルーの視線を必死に堪えながら作り笑顔を崩さない。するとエバルーは突然後ろに振り返り、溜息をこぼす。
「いらん、帰れ
「ブ……!?」
ルーシィは堂々とブスと言われた事にショックを隠しきれず項垂れてしまった。そんなルーシィをゴリラのメイドが抱える。
「という事よ、とっとと帰りなさいブス」
「ぐはっ!?」
又もやブスと言われ更にメンタルが壊されていくルーシィ。
「儂のようなえらーい男には……」
するとエバルーの周りの地面から次々とブサイクなメイド達が出て来る。
「美しい娘しか似合わんのだよ!」
「はぁ……!?」
ルーシィはそんなメイド達をみて終始口を大きく開けて呆然としていた。
ルフィ達の元に戻って来たルーシィは体操座りですすり泣きしていた。
「ルーシィ、使えねぇな」
「だな」
「違うわよっ! あのエバルーって奴、美的感覚がちょっと特殊なの!」
「言い訳だ〜」
「うぅ〜! 悔しい〜!」
ハッピーの言葉にルーシィは何も言い返せずただ悔しがるだけしか出来なかった。すると座っていたナツが立ち上がる。
「うし! こうなったら作戦Tに変更だ!」
「「おおー!」」
「えぇ! あの親父、絶対に許さん!……ところで作戦Tって?」
「突撃のT」
「それのどこが作戦よ!!」
エバルー邸内部に乗り込む為、ルフィ達は屋上から侵入する事にした。屋上の窓を熱で溶かし、窓の鍵を開けているナツは何処か不服だった。
「ったくよ……なんでこんなコソコソと。正面からぶっ飛ばせばいいだろ?」
「ダメよ、そんな事したら軍が動くわ」
「でもお前さっき許さんって言ったじゃねぇか」
「ええ、あいつは許さない! だからあいつの靴を片方何処かに隠しちゃうんだから! ふふふ……」
「うわぁ……ちっせ」
「やる事がきたねぇぞ、ルーシィ」
怪しく目を光らせながら不気味に笑うルーシィを他の三人は若干引いていた。その後、ルフィ達は窓を開け、屋敷内に潜入する。
「ここは……物置かしら?」
忍び込んだ部屋を見渡すとそこには色々な物が大量に置いてあった。ルーシィは部屋の出口を探す。
「うおおおおおおー!」
「ひっ!?」
すると突然ルーシィの目の前に骸骨を被ったハッピーが雄叫びをあげながら現れた。ルーシィは驚いた拍子に尻餅をついてしまった。
「ルフィ、ナツ、みてみて〜」
「おお! 似合ってる!」
「かっこいいぞハッピー!」
「遊ぶな!」
ルーシィは勝手に盛り上がる三人に喝を入れてから部屋の扉を少し開く。廊下を見渡し、誰もいないことを確認するとルーシィを先頭に四人は廊下に出た。
「なぁルーシィ、本を探すよりもあのおっさんを取っ捕まえて聞けばよくねぇか?」
「ダメ、さっきも言ったでしょ? あいつはあれでも伯爵、変な事をすれば軍が動くわ」
「めんどくせぇ……」
「それに見つからないように任務を遂行するのってなんだか忍者みたいでかっこいいでしょ? ニンニンって?」
「に、忍者……!」
「か、かっこいい!」
「ニンニン!」
そうルーシィは後ろの三人にニンニンと忍者のポーズをとると三人は目を輝かせながらルーシィと同じポーズをとる。そんなやりとりをしていると目の前の床が盛り上がった。
「侵入者発見ー!」
「排除します!」
床から目を光らせたゴリラのメイドを筆頭に次々とブサイク顔のメイド達が現れた。
「見つかったー!?」
「うぎぁぁぁー!」
『いやん! オバケ〜!』
いつの間にまた骸骨をかぶっていたハッピーが声をあげるとブサイクメイド達がそれに怯んだ。その光景はおぞましいものだった。
「「やかましい!」」
ルフィとナツはブサイクメイド達を吹き飛ばした。しかしゴリラメイドは空中に逃げて二人の攻撃をかわした。
「フライングバルゴアタック!」
「うおっ!?」
ゴリラメイドは自身の巨体を活かしてルフィを下敷きにする。しかしルフィは倒れずにゴリラメイドを受け止め、空中に放り投げた。
「ナツ!」
「おう! 忍者〜!」
マフラーで自分の顔を隠しながらナツは炎を纏った足でゴリラメイドを吹き飛ばした。
「まだ見つかるわけにはいかんでござるよ!」
「ニンニン!」
「ニンニン!」
「普通に騒がしいわよあんたら……。とにかく見つからないようにあそこの部屋に隠れましょう!」
ルーシィが指差した部屋に入るとそこには本棚がずらりと並んでいた。
「おおー! 本がいっぱいだ!」
「あい! でござる!」
「エバルーって意外にも蔵書家だったのね……」
「探すぞー!」
「おおー!」
「あいさー!」
四人は手分けして本を探すことにした。
「にしてもこの中から一冊を見つけるのは大変ね……」
「お、エロいの見っけ!」
「魚図鑑だー!」
ナツとハッピーは目的とは違う本で盛り上がっていた。
「おーい! かっこいい本見つけたぞ〜!」
するとルフィが金色の本を上にあげて言った。
「おお! 金色の本だ!」
「ウパー!」
「ウパー!? あんた達、真面目に探しなさいよ……って、え?
「日の出……って!」
『見つかったー!』
こうもあっさりと四人は依頼にあった本を手に入れた。
「そうと分かれば燃やそうぜ!」
「おう!」
「簡単だったね」
ルフィはナツに本を渡し燃やそうとする。
「ちょっと待って!」
「んあ?」
するとルーシィはナツから本を取り上げるとまじまじと本を見つめる。
「これ書いてる作者ケム・ザレオンじゃない!」
「ケム?」
「魔導士でありながら小説家だった人よ! 私大ファンなの! 作品全部読んだと思ったけどこれってもしかして未発表作って事!?」
「いいから、速く燃やそうぜ?」
「だ、ダメよ! これは文化遺産、燃やすなんてとんでもない!」
「仕事放棄だ」
どうしても燃やされたくないのかルーシィはナツ達と距離をとる。
「じゃあ燃やしたって事にして〜! これは私がもらうから〜!」
「嘘は泥棒の始まりだぞ!」
「そうだ、そうだ!」
ルフィ達はジリジリとルーシィの距離を狭めていく。
「ーーなるほど、なるほど……お前らの目的は日の出だったか」
『!』
声が聞こえると床からエバルー伯爵が飛び出て来た。
「ルーシィがもたもたするからボヨヨのおっさんが来ちまったじゃねぇか」
「ごめ〜ん!」
「ふん、魔導士共が何を躍起になって探しているのかと思えば……まさかそんなくだらん本だったとはな」
「くだらん?」
「(依頼主が大金を出してまで破棄したい本を、所有者であるエバルーまでもくだらないって……)てことはこの本は貰っていいのかしら!?」
「ダメー! 吾輩のものは吾輩のもの!」
「ケチ」
「うるさい、ブス」
「ぐはっ!?」
「ははは、ブスだってよ! ははは!」
「笑うな!」
またもやブスと言われルーシィは心を痛める。そんなルーシィを追い討ちするかのようにルフィが腹を抱えて笑っていた。
「燃やせばこっちのもんだ」
「ダメ、絶対ダメ!」
「ルーシィ! これは仕事だぞ!」
「じゃ……せめて読ませて!」
「「「「ここでか!?」」」」
ルーシィの予想外の行動にこの場の全員がツッコム。
「ええい!気に食わん! 偉ーい我輩の本に手を出すとは〜! 来い、バニッシュブラザーズ!」
エバルーがそう言うと突如本棚から隠された扉が開き、そこから二人組の男性が現れる。
「なんだ?」
「グットアフタヌーン」
「こんなガキ共が妖精の尻尾とはママも驚くぜ」
二人組の服には狼のようなマークが付いていた。
「あれは傭兵ギルド! 南の狼だよ!」
「こんなやつら雇っていたのか」
「ボヨヨ! 南の狼はいつも空腹なんだ……覚悟しろ!」
互いに睨み合いが続く中、ルーシィが突然立ち上がった。
「ルフィ、ナツ。少し時間を頂戴! この本、なんか秘密があるみたいなの!」
「ん〜……よくわかんねぇけどわかった!」
ルフィがそう言うとルーシィは扉を開け、部屋を出て行った。
「娘はわしが捕らえる。小僧どもを消しておけ!」
「「イエッサー」」
エバルーはルーシィを追うため床に潜って行った。
「ハッピー、ルーシィを頼む。ここは俺とルフィで十分だ」
「アイサー!」
ハッピーはルーシィが向かった方向に飛んでいった。
「うし! やるか!」
「おう!」
ナツとルフィは戦闘態勢に入ると、向こうの二人も構える。
「カモン! 炎の魔導士」
「ん? なんで知ってんだ?」
「先ほどバルゴを倒した時足に炎を纏っていたからな」
「能力系の魔導士と見て間違いない。そちらの少年は能力はわからんが魔導士であることに変わりはない」
「だったら覚悟は出来てるよな?」
ナツは手に炎を纏って威嚇する。
「それは無理な話。なぜならミーにとって火の魔導士は最も得意とする相手だからだ。魔導士など我々にとって無力!」
「だったら俺が相手だ! ゴムゴムの〜……銃!」
「何!?」
ルフィの手が伸びた事に傭兵は驚きながら背中に背負っているフライパンでガードする。しかし威力を殺さずフライパンが破壊されてしまう。
「な、何ぃ!?」
「へ! どうだ!」
「あ、兄者!? お、お前まさか悪魔の実の能力者か!?」
「ああ、そうだ! これで終わりだ、ゴムゴムの〜……」
とどめをさす為にルフィは両手を後ろに伸ばしながら傭兵に近づく。
「兄者はやらせねぇ!」
「俺の事も忘れんな! 火竜の……」
「なっ!? しまっ……!」
ルフィに気をとられていた傭兵は近づいていたナツに気がつかなかった。ナツは拳に炎を纏う。
「バズーカ!」
「鉄拳!」
「「ぐはっ!?」」
直撃を食らった傭兵達はそのままエバルー屋敷を突き抜けていった。
「あんま強くなかったな〜あいつら」
「妖精の尻尾の魔導士をなめんな!」
「まぁいいや、ルーシィを探すか」
「おう!」