FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜 作:fortissimo 01
鎧の魔道士
カービィからの依頼を終え数日後、少しずつギルドに慣れ始めたルーシィはクエストボードに貼ってある依頼書を眺めていた。
「えっと、魔法の腕輪探し……呪われた杖の魔法解除……占星術で恋占い……火山の悪魔退治!? 魔道士って色んな仕事があるんだなぁ……」
ルーシィは改めて魔道士に感心しているとミラが近づいてきた。
「気になった依頼があったら私に言ってね。今マスター、定例会だから」
「定例会?」
「地方のギルドマスター達が集まって定期報告する会よ。評議員とは違うの。うーん……リーダス、光ペン貸してくれる?」
「ウィ」
ミラは絵を描いていた大柄の男、リーダスから魔法アイテム光ペンを受け取る。光ペンとは空中に文字や絵を描く事が出来る代物だ。ミラは空中にわかりやすい図を描いた。
「魔法界で一番偉いのは政府との繋がりもある評議員10人。魔法界における全ての秩序を守るために存在しているの。犯罪を犯した魔道士をこの機関で裁く事ができるのよ。そしてその下にいるのがギルドマスター。評議会での決定事項を通達したり、各地方のギルドとの意思伝達を円滑にしたり、私達をまとめたり……まぁ大変な仕事よね?」
「知らなかったなぁ……ギルド同士の繋がりがあったなんて」
「ギルド同士の連携は大切よ? これをお粗末にしてるとーー」
「黒い奴らが来るぞぉぉぉぉ!!」
「ひぃぃぃぃぃ!? って、あんたかい!」
突然現れたルフィに情けない声を上げるルーシィ。
「はっはっはっ! 『ひぃぃぃ!』だっておもしれぇなルーシィ」
「ぷぷっ!」
「私は面白くないわよ……ってあれ? ナツはどうしたのよ?」
確かにルフィとハッピーしかおらずナツの姿が見当たらない。
「ナツならあそこです」
「ん?」
ハッピーが指をさした方向にはナツとグレイが口論していた。
「テメェ、ナツ! 今ダセェって言ったかこの野郎!」
「ダセェ奴にダセェって言って何が悪いんだ、氷野郎!」
「んだとゴラァ!?」
「やんのか!?」
とうとう口論から殴り合いに発展し、ギルドメンバーはそれをみて笑っている。
「いつもの喧嘩です」
「あらあら」
「あほね」
「ところでさっきの話、ルフィが言ってた黒い奴らは本当にいるのよ? 連盟に属さないギルド……闇ギルド。時には犯罪などに手を染める悪質な連中よ」
「うぅ、絶対そんな奴らに会いたくないな……」
「そんな事より早く仕事に行こうぜ、ルーシィ」
「……なんで私も一緒に行くのよ?」
「なんでって、俺たちチームだろ?」
「前回はおいら達で勝手に選んじゃったからね、今度はルーシィが決めなよ」
ルフィとハッピーがそう言うとルーシィはむすっとした顔で睨む。
「そんなのもう解消よ、解消!」
「えぇ!? なんでだー!?」
ルフィは意味がわからんと言わんばかりの表情を浮かべる。ハッピーも首を傾げ不思議そうにしている。
「だいたい金髪の女だったら誰でも良かったんでしょ!?」
「誰でもいいわけねぇよ、ルーシィだから選んだんだ。だってお前いい奴だしな」
「うっ……」
ルフィは純粋無垢な笑顔でルーシィに言うとルーシィは顔をほんのり赤くし、何も言わずそっぽを向く。
「もう、そんなストレートに言わないでよ……」
「どぅえきてるぅ〜!」
「巻き舌風に言うな!」
「オラァ!」
「ぐはっ!」
すると殴り合いをしていたグレイがナツをぶっ飛ばした。一息ついたグレイはこちらに近づいた。
「ふぅ……まぁ無理にチームなんて決める必要はないんじゃねぇか? 聞いたぜ、大活躍だってな。きっと嫌ってほど誘いが来るーー」
「スキあり!」
「ぐほぉ!? ナツ、テメェ!」
「仕返しだこの野郎!」
話している最中にナツに顔面を蹴られたグレイはまたもや殴り合いに発展する。ルーシィがその光景を見て呆れていると今度はロキが近づいてきた。
「ルーシィ、僕と愛のチームを結成しないかい? 今夜二人で……」
「イヤ」
即断るとロキはルーシィの肩に手を置き、至近距離でルーシィを見つめる。
「君ってほんと綺麗だよね……サングラスを通してもその美しさ。肉眼で見たら目がくらんじゃうな、はっはっ!」
「勝手にくらんでれば」
そう言われロキはまた口説こうとしたが、ルーシィの腰につけてる鍵の存在を知り、後ずさりする。
「き、君!? もしかして星霊魔道士?」
「え?」
「そうだよ〜。牛とかカニとか出てきたよ」
「なー!? なんという運命のいたずら!」
そういうとロキの目から涙が溢れる。そのままルーシィに背中を向けた。
「ごめん、僕たちはここまでにしよう!」
「何が始まってたのかしら……」
そのままロキは泣きながらギルドを飛び出していった。
「ロキは星霊魔道士が苦手なの。昔、女の子がらみでトラブルがあってね」
「ああ、やっぱり」
「ルーシィ、仕事行くぞ!」
「あんたはそれしか言わんのか。はぁ……しょうがないわーー」
「大変だー!!」
ルーシィの返答の途中でロキが息遣いを荒くさせながら帰ってきた。何事かと皆はロキの方を向く。
「あら、ロキどうしたの?」
「え、え、……『エルザ』が帰ってきた……!」
『えっ!?』
「「え、エルザぁ!?」」
「おおー! エルザが帰ってきたのかー!」
ギルドメンバーは皆『エルザ』と言う言葉に大きく反応した。皆のあきらかな反応にルーシィは首をかしげる。
「そのエルザさんって……?」
「今の妖精の尻尾では最強の女魔道士といってもいいわ」
「えぇ!? ものすごい人じゃないですか……」
最強……。つまりこのギルド内の女性で一番強いという事だ。一体どんな人なんだろう? ルーシィはそう心の中で呟くと遠くからズシィン、ズシィンと大きな足音が聞こえてきた。
「エルザだ……」
「エルザの足音だ」
「(皆の反応からしてエルザさんってすごく怖い人なのかな……)」
ルーシィはエルザがどんな人か想像してみる。巨大な女性が街を焼いている様子しか浮かばずルーシィはエルザという人物に怖がる。そしてドアが開くと綺麗な緋色の髪をし、鎧を纏った女性が巨大な何かを背負って入ってきた。
「今戻った、マスターは居られるか?」
「き、綺麗……」
予想を大きく外し、その美しさにルーシィは思わずエルザに見惚れた。皆がエルザにびびっている中ミラがエルザに話かける。
「おかえり、マスターは今定例会よ」
「そうか」
皆はエルザにビビっているのか率先して声をかけない。そんな中、ルフィはエルザに近づく。
「エルザー! 久しぶりだな! てかそれ何だ? すげぇでけぇな。食いもんか?」
「おお、ルフィか。久しぶりだな。これは食べ物じゃないぞ。これは討伐した魔物の角に地元の人々が飾りを施してくれてな。綺麗だったので、ここへの土産にしようと思ってな」
「へぇ〜!」
ルフィは他のメンバーと同じようにエルザと会話する。その様子を見てルーシィはぽかんとしている。
「皆がびびってる中あいつは平然と喋るのね」
「ルフィはそういう事はあまり気にしない子だから。それにエルザはルフィのことを気に入ってるのよ。エルザもルフィと久しぶりに話をして楽しそうだし」
そうミラがいいルーシィは二人の会話の様子をみる。そこではお互い笑顔で話しあっている姿があった。するとエルザが一度会話を止め、周りを見渡す。
「ところで……お前達、また問題ばかり起こしているようだな。マスターが許しても私が許さんぞ」
『うっ……!』
「カナ、なんという格好で飲んでる。ちゃんと服を着ろ」
「うっ」
「ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸殻が落ちてる。ナブ、そろそろクエストボードの前をウロウロせず仕事にいけ」
「マカオ」
「は、はい!」
「…………はぁ」
「なんか言えよ!?」
風紀委員長か何かで? ルーシィはツッコミたかったが状況が状況で心の中でしか言えなかった。
「全く、世話がやけるな。今日のところは何も言わないでおこう」
「(色々言ってましたが……?)」
「ところでルフィ。ナツとグレイはいるか?」
「あぁいるぞ、そこに」
ルフィが二人のいるところに指をさすとそこでは震えながら肩を組んでいる二人の姿があった。
「や、やぁエルザ。お、俺たち今日も仲よし……よくやってるぜ」
「あ、あい……」
「ナツがハッピーみたいになってる!?」
「そうか……親友なら時には喧嘩もするだろう。しかし私はそうやって仲良くしているところを見るのが好きだぞ」
「い、いや……俺たち別に親友って訳じゃ……」
「あい」
「こんなナツ見た事ない……」
グレイとナツがここまでビビっている事に驚きを隠せないルーシィ。こっそりミラが教えてくれた。どうやら昔、ナツがエルザのケーキを食べナツをボコボコに、グレイは裸で外を出歩きボコボコにされたらしい。ちなみにロキはエルザと知らず口説こうとしボコボコにされたらしい。
「ルフィ、ナツ、グレイ。三人に頼みたいことがある。仕事先で厄介な話を耳にしてしまった。本来ならマスターの許可をあおぐ事だがなんだが、早期解決が望ましいと私自ら判断した。三人の力を借りたい、付いてきてくれるな?」
「「えっ!?」」
「仕事だー!」
ナツとグレイは驚愕しながらお互いの顔を見合う。ルフィは仕事ができ一人喜ぶ。他のギルドメンバーはエルザがチームを組もうと言った事に驚きを隠せない。
「出発は明日だ、いいな?」
そういうとエルザは三人に背を向け、ギルドを後にする。
「こいつと……」
「チームだと……」
「くーっ! ワクワクするなー!」
ギルドが再びガヤガヤと騒ぎ始める。そんな中ミラは手を顎に当て何か考えている。
「どうしたんですか、ミラさん?」
「エルザとルフィとナツとグレイ……。今まで想像したこともなかったけど……これって妖精の尻尾最強チームかも……!」
「!?」