FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜 作:fortissimo 01
エルザが帰ってきた翌日、待ち合わせであるマグノリア駅では既にエルザ以外の者達が集まっていた。
「だぁぁぁ! なんでお前と一緒じゃなきゃいけないんだよ!」
「それはこっちのセリフだ! エルザの助けなら俺とルフィで十分なんだよ! テメェはさっさと帰れ! そしてエルザにボコられろ!」
「んだとぉ!?」
「やんのか!?」
ナツとグレイのいつもの喧嘩が始まる。そんな喧嘩をベンチに座って見ていたルーシィはため息をこぼしながら、手に持っている新聞で顔を隠す。
「他人のふり……他人のふり……」
「なんでルーシィがいるの?」
「だってミラさんが……」
それは早朝の朝の事ーー。ルーシィの家にミラが突然来たのだ。
「ルーシィ、エルザ達と一緒に行ってくれないかな? あの二人絶対エルザが見てないところで喧嘩するから止めてあげてね? あ、後これ! ルフィに渡しといて。あの子お腹が減ると手当たりしだいに食べちゃうから」
そういうとミラはルーシィにルフィ用の弁当を渡す。
「えぇ!? 私が!?」
「じゃあよろしくね〜!」
「え、えぇ……」
「止めてないし」
「だってぇ〜……ねぇルフィ! あいつらの喧嘩を止めてよ!」
ルーシィはハッピーの隣で早速ミラの弁当を食べているルフィに頼んだ。
「やっぱミラの弁当美味ぇな」
「きけぇい!」
ルーシィは無視した事を怒り、ルフィから弁当を取り上げる。
「あっ!? 何すんだよ、弁当食べてる最中に!」
「返してほしければ……あいつらの喧嘩を止めてきて!」
ルーシィはグレイとナツの方に指を指す。
「うおぉぉぉぉ! お前ら喧嘩はやめろー!!」
血相を変えたルフィは二人が喧嘩しているところに飛び込む。ルーシィはにやっと笑う。
「これでよし……!」
「ルフィがいいように利用されてる……!」
ルーシィの起点でなんとか喧嘩を止めることに成功した。ルフィが止めに入り数分が経過するとエルザが到着する。
「すまない、遅れたな」
「あ、エルザさ……ん!?」
ルーシィはエルザの方に視線を送るとエルザの背後には大量の荷物が荷台に積まれていた。
「荷物多!?」
「さぁ今日もはりきって行くぞー!」
「あいさー!」
「でたハッピー二号」
ナツとグレイはエルザが来たことにより先ほどと別人のように変わる。
「うむ、仲が良いのはいい事だ。で、君は?」
「こいつはルーシィだ! 牛とかカニとか出せてすげぇんだぞー!」
「ミラさんに頼まれて同行することになりました! よろしくお願いします!」
ルーシィはエルザに頭を下げる。エルザは顔を上げるように言う。
「ああ、私はエルザだ。よろしくな。そうか君か……傭兵ゴリラを小指一本で吹っ飛ばした魔道士というのは。力になってくれるならありがたい。よろしく頼むよ」
「は、はい……(なんか事実と異なりすぎてますがぁ!?)」
ルーシィが心の中でツッコミを入れているとナツが何か思い出したのかエルザの前に立つ。
「おい、エルザ! 付いて行ってもいいが条件がある!」
「お、おい……!」
「条件? 言ってみろ」
エルザがそういうとナツはにやっと笑う。
「帰ったら俺と勝負しろ!」
「ええ!?」
「お、おい早まるな!」
ハッピーとグレイは驚き、ナツにやめた方がいいと諭す。しかし、それに構わずナツは話を続ける。
「前やりあった時は確かに負けた……だけど今は違う。俺はあの頃とは違う! 今の俺なら……おまえに勝てる!」
ナツはまっすぐな目でエルザに言い放つ。エルザは少々驚くもすぐに心を入れ替える。
「ふっ……確かにお前は成長した。いささか自身がないがいいだろう……受けて立つ」
「よっしゃぁぁ! 燃えてきたー!!」
そう言いながら本当に燃えているナツ。ナツにとってはこの上ない報酬なのだろう。そして、目的地に向かう為列車に乗り、数分が経過した頃。
「う、うぷっ……」
さっきまでの威勢はどこへいったのか。ナツは乗り物酔いに襲われ、吐かないように必死に戦っていた。
「ったく……喧嘩を売った後がこれかよ」
窓の向こうの景色を見ながらグレイは呆れたように言う。
「毎度の事ながら辛そうね……」
「弁当でも食うか?」
「やめた方がいいと思うわ……」
ナツの隣にいたルフィはたくさんあったミラの弁当の一つを渡そうとするが、ルーシィに止められる。
「全く、しょうがないな。私の隣に来い」
「あい……」
ナツとルーシィを入れ替え、エルザの隣にナツを座らせる。そしてエルザは右手をナツの肩に置くと、左手で思いっきりナツの腹に腹パンをする。
「ゴフッ……」
「これで大丈夫だ」
「(やっぱりこの人も変だった!)」
目の前の光景にルーシィはまともな人は一人もいなかったと諦める。ルフィは構わず弁当を食べ、グレイとルフィの麦わら帽子の上にいたハッピーは見て見ぬフリをする。
「ところでエルザ……。そろそろ話してくれねぇか? 俺とルフィとこいつを連れてきた理由って奴をよ。ただ事じゃねぇんだろ?」
「うむ……。先の仕事の帰りだ。魔道士が集まる酒場へ寄ったのだが、少々気になる連中がいてな……」
エルザの話をまとめるとこうだ。
酒場で休憩していたエルザの後ろの席で酒を飲んでいたガラの悪い四人の男達が『ララバイ』と言われるものの話をしていた。その『ララバイ』には封印が施されているらしく四人組の一人である、『カゲちゃん』と呼ばれる人物が封印を解き、『エリゴール』という人物に届けると言っていたらしい。
「ララバイ?」
「ララバイ……子守唄……睡眠系の魔法か何かかしら?」
「まだそれはわからない……。しかし封印されてたとなるとかなり強力な魔法だと思える」
「だけどよ、それってそいつらが受けてた仕事かもしれねーじゃねぇか? ララバイの封印を解くっていうだけの」
グレイがそう言うとエルザは頷く。
「そうだ……だから私はあまり気にかけなかったんだ……『エリゴール』と言う名を思いだすまではな」
「エリゴール?」
「なんだそいつ? 悪い奴なのか?」
聞き覚えのない名前にルーシィとルフィは首を傾げる。
「ああ、闇ギルド『
「暗殺!?」
暗殺という言葉にルーシィはぞくっとした。
「本来、暗殺などの依頼は評議員の意向で禁止されているのだが、鉄の森は金を選んだ。結果、6年前に魔道士ギルド連盟から追放された。しかし彼らは命令に従わず活動を続けている」
エルザの説明を聞いてたルーシィは冷や汗が止まらなかった。
「……なんだか私、ものすごく帰りたくなったんだけど」
「おい、ルーシィ。汁出てんぞ」
「汗よ!」
「不覚だった……。あの時エリゴールの名前に気づいていれば全員血祭りにして何をするか白状させたものを……!」
「怖っ!」
「なるほどな。鉄の森がララバイを使って何か企んでいる……どうせろくでもない事だからその前に阻止するってことか」
「そうだ、一つのギルドを一人で相手をするのは少々心もとない……だからお前達の力を借りたということだ」
エルザがルフィ達に頼んだ理由がようやくわかると弁当を食べ終わったルフィが拳と拳を合わせる。
「んじゃあ、とりあえずそのエリゴールと鉄の森って奴らをぶっ飛ばせばいいんだな? 任せとけ! 全員ぶっ飛ばしてやる!」
「ふふ、そうだな。頼りにしてるぞ、ルフィ」
「おう、まかせろ!」
「ルフィ、どっちが多く倒せるか勝負するか?」
「いいぞ〜!」
ルフィの一言で皆の士気が上がる。そんな中、ルーシィだけはまだ冷や汗が止まらなかった。
「うぅ、来るんじゃなかった……」
「ルーシィ、汁」
「汗よ!」
「かあぁぁ……」
数分後、腹が一杯になったルフィはいびきをかきながら爆睡していた。いびきがうるさいのでルフィは空いてる席に移動させた。
「やっぱり寝るのかよ……」
「さっきまであんな意気込んでたのにね」
「変わらないな、ルフィは」
「あい、それがルフィです!」
「そういえば、エルザさんってどういう魔法を使うんですか? 私、ギルドメンバーの魔法はナツ以外見てなくて……」
ルーシィは先ほど買ったサンドイッチを食べながらエルザに質問する。
「エルザの魔法は綺麗だよ。血がいっぱいでるんだ〜……相手の」
「それって綺麗なのかしら?」
「エルザでいい。私はグレイの魔法の方が綺麗だと思うぞ」
「グレイはどういう魔法を使うの?」
「ん? 俺は……」
そう言うと手のひらの上にもう片方の手で拳をつくる。するとグレイの手のひらから冷気が溢れる。手を開くとそこにはギルドマークの形をした氷が現れた。
「おおー!」
「氷の魔法さ」
氷を見たルーシィはふと何か思ったのか、ナツとグレイを交互にみる。
「あぁ! だからあんた達仲悪いんだ! 炎と氷だから!」
「そうだったのか」
「どうでもいいだろ?」
無事目的地に着いた一行は駅を出るため出口に向かう。
「まだ鉄の森はこの街のなかにいるのか?」
「わからん。それをこれから調べる」
「雲を掴むかのような話ね……てかナツ重い!」
そう言いながらナツを支えるルーシィ。酔いがまだ覚めないのか目を回している。
「うぷっ……気持ち悪りぃ」
「ナツ、大丈夫〜?」
「ん? そういえばルフィはどこ行ったんだ?」
「え? ルフィなら……」
グレイがそう言うとルーシィは周りを見渡す。しかし何処にもルフィの姿が見えなかった。するとそこにいた者達は何かを察したのか先ほど乗っていた列車に目を向ける。
「まさか……」
すると列車はもうスピードで次の駅に向かっていった。ーールフィを乗せながら。
「発車しちゃった」
「「「しまったー!?」」」
「なんという事だ! 話に夢中になるあまりルフィを列車に置いてきてしまった! あいつの眠りが深いというのにっ! 私の過失だ、誰か私を殴ってくれ!」
「まぁまぁ」
エルザは自分のせいだと嘆く。そんなエルザをなんとかなだめるルーシィ。とりあえずルーシィ達はルフィを追いかける為、駅内を走った。
「かあぁ……んが?」
目を開けると周りには仲間達の姿が見えなかった。ルフィは寝ぼけながらも周りを見渡す。
「みんな、どこいった?」
「お兄さんもしかして正規ギルド、妖精の尻尾の魔道士かい?」
するとルフィのすぐ近くに白い服を着た男性が笑顔で立っていた。
「ん? そうだけどお前誰だ?」
「僕はカゲヤマ……妖精の尻尾、羨ましいねぇ〜」
「なんだお前うちに入りてーのか? それなら歓迎ーー」
ルフィがそこまで言うとその男、カゲヤマはルフィの顔面を蹴った。
「んな訳ねぇだろ! 正規ギルドが調子こいてんじゃねぇ」
カゲヤマは先ほどの笑顔から人を見下すような表情に変わる。
「俺らがお前ら正規ギルドのことを何て言ってるか知ってるか? ハエだハ……ぐげぇ!?」
するとルフィはカゲヤマの腹を殴り、ぶっ飛ばす。腹を収えながらカゲヤマはルフィを睨む。
「て、てめぇ……」
「いきなり顔面蹴るなんて失礼な奴だな、お前」
ルフィの顔には全くダメージがなかった。それもそのはず、ルフィはゴム人間のおかげで物理攻撃は効かないからだ。
「くそっ……うおっ!?」
カゲヤマは魔法で攻撃しようとすると列車が急に停車した。その拍子にバランスをとれず転んでしまった。何故停車したかと言うとエルザが無理やりレバーを下ろして停車させたからだ。
「なんだ? 急に止まったぞ……ん? お前なんか落としたぞ?」
ルフィはカゲヤマの前にある三つ目のドクロの笛のような物に視線を向ける。
「くっ……見たな!」
「んあっ?」
『ルフィ〜!』
「お、皆の声だ!」
皆の元へ行くために荷物を持ち、ここから出る準備をするルフィ。そんなルフィにカゲヤマは激昂する。
「て、てめぇ待ちやがれ! 鉄の森に手ェ出したんだ! ただ済むと思うなよ!」
鉄の森という言葉にルフィは反応する。
「鉄の森……? エルザの言ってた奴らか!」
ルフィは再びカゲヤマの方に体を向けると、両手を後ろに伸ばす。
「う、腕が伸び……!?」
「お前こそ、妖精の尻尾を相手にしたことただで済むと思うなよ」
「くそっ! ガードシャドウ!」
まずいと思ったのかカゲヤマは目の前に影を集め、防御体制に入る。
「ゴムゴムの……バズーカ!」
「ぐはっ……!?」
ルフィの攻撃は影を粉砕し、カゲヤマに直撃した。カゲヤマは列車の奥までぶっ飛ばされた。
「よーし、ぶっ飛ばせた! 皆のところに行くか〜!」
ルフィはそう言うと窓を開け、エルザ達を探す。すると列車より少し離れたところに魔導四輪車で走っているエルザ達がいた。
「おおー! いたいた……よっ!」
ルフィはそれを見つけると四輪車に向かって腕を伸ばす。
「お、ルフィだ……ん?」
その時、こちらでは四輪車の屋根にいたグレイがルフィを見つけた。するとルフィがこちらに腕を伸ばし、屋根を掴む。そして次の瞬間、ルフィがこちらに飛んできた。
「とぉ!」
「いてぇ!?」
グレイを吹き飛ばしながらルフィは屋根に着地する。
「ルフィ、無事だったか!」
「はっはっは! 平気平気!」
「おいこら、ゴム野郎!」
グレイは屋根の端っこを掴み、なんとか落ちずにすんだ。
「なーにやってんだグレイ、なんかの遊びか?」
「お前に落とされそうになったからこうなってんだよ……!」
四輪車を止め、エルザはルフィに駆け寄る。
「無事でよかったぞ、ルフィ!」
「鎧硬ぇ」
エルザはルフィを自分の胸に引き寄せる。しかしエルザは鎧を着ているため硬い感触が頭に当たる。
「一体何があったんだ?」
「ああ、カゲヤマって言う鉄の森の奴をぶっ飛ばしてきた!」
「なに!? さっきの列車に乗ってたのか?」
「ああ、なんか変な物持ってたぞ? 三つ目のドクロの笛みたいな奴だった」
「なんだそれ、趣味わりーな」
ルフィは列車内で起こった事を話すとルーシィは何かを思い出した。
「私、その笛知ってるかも……ララバイ、呪いの歌……死の魔法!」
「なに?」
「呪いの歌、呪歌のことか?」
「うん、確か禁止魔法に呪殺ってあったでしょ?」
「ああ、対象者を死にいたらしめる魔法だな」
「ララバイはもっと恐ろしいの」
その一方、エリゴール率いる鉄の森のメンバーが先ほどの列車を占拠する。列車を確認していると最後尾のところにカゲヤマが倒れていた。
「おいおい、なんてザマだ? カゲヤマ」
「え、エリゴールさん……すみません、先ほど乗っていたハエにやられまして」
「ハエだぁ? てめぇ、そんな奴らにやられたのかよ……」
エリゴールは呆れたようにため息をこぼすと大きな鎌でカゲヤマの耳をかすめる。
「ひぃ!」
「勘付かれたところでどうにかなる訳じゃねぇが……邪魔されるのも癪だ。教えてやるよ、ハエ共……飛んじゃいけねぇ森があるってことをな……」
「エルザー! 大丈夫かー!?」
「飛ばしすぎだ、エルザ! いくらエルザでも魔力がなくなるぞ!」
屋根の上に乗っていたルフィとグレイはエルザに声をかける。エリゴールの目的を知ったエルザは先ほどよりも速く走らせる。
「構わん、いざとなれば棒きれでも持って戦うさ……それに今の私にはお前達がいるさ」
「だけど……」
「……わかった! だけど無理すんじゃねぇぞ!」
「ふっ、ああ」
猛スピードで走らせて数分、煙が上がっているオシバナ駅に着いた一行は駅員に近づく。
「皆さん! お下がりください、危険です!」
「君、中の様子は?」
「え? なんだね、君ーー」
「ふん!」
「ぐほっ!?」
「中の様子は?」
「え? ぐほっ!?」
エルザは次々と即答できない駅員を頭突きで沈めていく。
「即答できる人しかいらないって事かしら……」
「どうだ? だんだんエルザがどんな奴かわかったろ」
「分かってきたけどあんたが服を脱ぐ理由はさっぱりわかんないわ……」
「あれぇ!?」
ルーシィに指摘され、グレイは自分がパンツ一丁であることを認識する。
「おーい、ナツ。起きろ〜! 重いぞ」
「う、うぷっ……気持ち悪い」
ルフィは背負っているナツの頬を叩きながら言う。
「今回のナツは全く使い物にならないね」
「真顔でゲスい事言うわねこの猫ちゃん」
その後、ルフィ達はなんとか駅内に突入する。
「軍の小隊が鉄の森を捕らえにいったらしいがまだ帰ってこないらしい!」
「それって……! あぁ!?」
すると目の前には軍の小隊が全員地面に伏せてた。
「やはりか、相手は魔道士ギルド。軍では話にならなかったか」
「よぅ、会いたかったぜ。妖精の尻尾のハエ共」
声がした方に顔を向けると柱の上に鎌を持った男、エリゴールが座っていた。その後ろには先ほどルフィと戦ったカゲヤマとその他の鉄の森のメンバーがい。
「えぇ!? 何この数!」
「貴様がエリゴールだな! ララバイを使って何を企んでいる!」
「へっ、まだわかんねぇのか? ここは駅だぜ?」
するとエリゴールは柱からふわりと浮かぶ。
「飛んだっ!?」
「風の魔法だ!」
そして近くにある駅の放送機を軽く叩く。エルザはその行為にエリゴールが何をするか理解した。
「まさか、呪歌を放送する気か!」
「えぇ!?」
「その通り! この駅の周辺には何百、何千者の野次馬が集まってる。いや、音量を上げればこの街中に呪歌が響くな!」
「大量無差別殺人だと!?」
「これは粛清だ。権利を剥奪された者達の存在を知らず、権利を掲げ生活を保全している愚かな者達へとな……」
「何よそれ! そんな事したって権利は帰ってこないわよ! それに元々、あんた達が悪い事をし続けたからじゃない!」
「ここまで来たら権利なんていらねぇ……欲しいのは権力だ! 権力があれば過去を流して、未来を支配できる!」
「あんた、バッカじゃないの!」
ルーシィはエリゴールの言葉に怒りを抱く。するとそのルーシィに向かってカゲヤマが影で攻撃しようとしていた。
「残念だったな、ハエ共! 闇の時代を見ることなく死んじーー」
「ーーピストル!」
「まうっ!?」
カゲヤマが最後まで最後まで言う前にルフィは顔面に拳を入れる。
「カゲちゃん!?」
「あいつ、腕が伸びたぞ!?」
「何者だ、あいつ!?」
「テメェ、卑怯だぞ!」
「ハエハエってゴチャゴチャ五月蝿えな……。話は終わりか? じゃあ一人残らずぶっ飛ばすから覚悟しろよ、お前ら」
ボキッと手の骨を鳴らしながら威圧するルフィ。そんなルフィを見てエリゴールはにやっと笑う。
「ほぅ……威勢のいいガキだ。それに先ほどの攻撃、魔力を感じなかった……悪魔の実の能力者か」
「おい、鎌野郎! 待ってろよ、お前は俺がぶっ飛ばす!」
「はは、そいつは嫌だな。お前らここは任せたぞ」
エリゴールはそう言うと風を纏い、その場から姿を消した。
「うおぉぉぉ!! 待てー! 鎌野郎!」
ルフィはエリゴールを追いかけに行く。
「ルフィ!」
「ナツ、グレイ! ルフィと共にエリゴールを追いかけるんだ!」
「「む」」
「お前達の力を合わせればエリゴールにだって負けない」
「「むむ……」」
グレイと復活したナツはお互い嫌な顔を浮かべる。
「行ってくれるな!?」
「「あいさー!」」
エルザに言われ、グレイとナツは肩を組みながらルフィを追いかけにいった。
「あいつら、エリゴールさんを追いかけに!」
「任せろ!」
「俺も行く! あの麦わら帽子のガキ、許さねぇ!」
「待て、カゲ。あいつは俺が殺ろう。てめぇは残りの二人をやりな」
するとカゲヤマの背後にいた男がそう言う。その男は顔に鉄のマスクを付け、右手に斧が埋め込んでいる。
「モーガンさん! だけどよっ!」
「モーガン……?」
モーガンという名前に心あたりがあるのかその名前にエルザは反応する。
「なんだ? 俺に逆らうのか?」
「うっ……わかったよ」
カゲヤマは渋々了承し、影に入る。
「ふん……」
モーガンと呼ばれた男は後に続き、ルフィ達を追いかけに向かった。残されたエルザは鉄の森に剣を向ける。
「さて、向こうは任せてこちらも始めるか」
「ええ!? 女子二人でこの人数を!?」
ルーシィが戸惑っている中、エルザは先ほどの男のことを考えていた。
「(先ほどの男……あれは『斧手のモーガン』か。エリゴールと並ぶ鉄の森のエース……か。無事でいてくれ、ルフィ!)」
「どこだ、ここ?」
走っているうちにへんなところに来たのか、あたりを見渡すルフィ。
「くそっ! あの鎌野郎どこ行きやがった!」
「おーい、ルフィ!」
「ナツ、グレイ!」
するとグレイとナツが後に続いてきた。
「ったく、一人で先走りやがって。お前には計画性ってもんがねぇのかよ」
「はは、悪りぃ悪りぃ」
「そうだぞ! 俺にもエリゴールぶん殴らせろ!」
「そういう事じゃねぇよ!」
するとルフィ達の前に三本の分かれ道が現れた。
「ん? 分かれ道か」
「どっちだ?」
「道は三つだからそれぞれに進めばいいだろ」
「よーし、待ってろよ鎌野郎!」
「ぶっ飛ばしてやる!」
「まぁ、待て……いいか、ルフィ、ナツ。相手は危ねぇ魔法を放そうとしているバカヤロウだ。見つけ次第ぶっとばせ」
「それだけじゃねぇだろ? あいつらは妖精の尻尾に喧嘩を売ったんだ、くろコゲにしてやるよ」
「後悔させてやろうぜ、妖精の尻尾に喧嘩を売ったこと」
「「おぉ!」」
そう言い、ルフィとナツとグレイは互いに拳を合わせる。そして各々の道を進んでいった。