FAIRY TAIL 〜Dの意志を継ぐ者〜   作:fortissimo 01

9 / 19
遅くなりました!


ゼレフ書の悪魔

「どこだぁ! 鎌のやつ!」

 

ドアを破壊しながら薄暗い通路を走りルフィ。目の前にある大きな扉を破壊し、中に入る。中に入るとそこには一人の大男が立っていた。

 

「見つけたぜ、ガキ」

 

「あ? 誰だお前」

 

すると次の瞬間、男はルフィに近づき斧を振り下ろそうとする。

 

「ふんっ!」

 

「いっ!?」

 

振り下ろされた斧をなんとか躱すことができたルフィ。斧が振り下ろされたところの地面は真っ二つに割れていた。

 

「あっぶねぇ……おいお前、危ねぇだろ!」

 

「ふんっ」

 

「なぁ、お前鎌の奴しらねぇか? 俺あいつをぶっ飛ばしてぇんだ」

 

「エリゴールを……? それは無理なことだ。何故なら、この斧手のモーガン様が貴様を殺すからだ!」

 

「っ!」

 

モーガンはそういうと再度斧を振り下ろす。攻撃のスピードが速くなり、ルフィはなんとか斧の攻撃を避ける。しかし、斧に気を取られモーガンの片方の腕に胸ぐらを掴まれる。

 

「やべ、捕まっちまった」

 

「ふんっ!」

 

モーガンはルフィを投げ飛ばす。投げられたルフィは壁に思い切り叩きつけられる。

 

「貴様ら正規ギルドの雑魚共がのうのうと生きてるだけで重罪だ! そうやって俺の前で這いつくばっていろ!」

 

勝った。そうモーガンが確信した瞬間、ルフィはすぐさま立ち上がり、汚れた服を叩く。

 

「なに……効いてないだと!?」

 

「雑魚雑魚うるせぇな。俺たちは雑魚じゃねぇよ、べぇー!」

 

モーガンに向けて舌を出す。そして次の瞬間、ルフィはモーガンに向かって猛ダッシュする。

 

「そんな斧で俺を殺せると思うな!」

 

「むっ!?」

 

ルフィの拳を斧で防ぐモーガン。ルフィの力が勝ったのかモーガンは少し吹き飛ばされる。吹き飛ばされたモーガンは怒りの表情を浮かべる。顔には血管が浮き出ている。怒りの表情を浮かべながらルフィに殺気を放つ。

 

「なめるなよ……クソガキが!! 雑魚にはこの俺に逆らう権利すらない! この俺は鉄の森、最強の『斧手のモーガン』だぁぁ!!」

 

「そっか。俺はルフィ、よろしく」

 

モーガンの気迫をもろともせず、ルフィは自分の名前を名乗る。その行為がモーガンにさらなる火をつけたか、斧で切りかかってきた。

 

「死ねぇ!」

 

「へっ、おりゃ!」

 

「ぐぅお……!?」

 

モーガンの攻撃をジャンプで避けるとルフィはモーガンの顔面を蹴る。その拍子にモーガンのマスクがバラバラに壊れる。

 

「クソガキが……死ねぇ!」

 

「やーだよ!」

 

モーガンは全力で斧を振り下ろす。しかしその攻撃をルフィは冷静に横に飛びやり過ごす。避けたルフィはそのまま片足を天井に向けて伸ばす。

 

「ゴムゴムの……戦斧(オノ)!」

 

「ぐはっ……!?」

 

ルフィは思いきりモーガンの脳天に足を振り下ろす。モーガンの頭が勢いよく地面に激突すると、その周囲の地面が割れ、そのまま崩れてしまった。そのまま気絶したモーガンとルフィは一階に落ちる。

 

「びっくりした……」

 

「お、ルフィ!」

 

「あ、ナツ!」

 

するとそこにはナツと気絶してるカゲの姿があった。

 

「そいつどうしたんだ?」

 

「何か襲ってきたからよ、ぶっ飛ばした」

 

「そっか」

 

「ナツー! ルフィー!」

 

すると急いだ様子でエルザとグレイがこちらに向かってきた。

 

「お、エルザー!」

 

「お手柄だ、二人共」

 

「え? なんで?」

 

「説明してるヒマはねぇが、俺たちはそいつを探してたんだ」

 

「へ、へへ……エリゴールさんの居場所は教えーー」

 

カゲがそこまで言うと耳の近くに剣が刺さる。

 

「ひぃ!?」

 

「四の五の言わず魔風壁を解いてもらおうか?」

 

エルザは手に剣を持ち切っ先をカゲに向ける。

 

「「お、おっかねー……」」

 

その光景を見たルフィとナツは冷や汗をかく。

 

「いいな?」

 

「くっ……わかっ……ぐはっ!?」

 

瞬間、カゲが突然血を吐いた。カゲが倒れるとそこには鉄の森のメンバーの一人が血のついたナイフを持っていた。

 

「カゲ!?」

 

「おい、嘘だろ!? クソ、唯一の突破口が!」

 

「っ!!」

 

エルザとグレイがカゲに駆け寄る中、ルフィは壁に潜むメンバーを睨む。

 

「ひ、ひぃ……ぐばっ!?」

 

怯んだ瞬間、ルフィは壁ごと殴り飛ばす。破壊された壁の向こうにいる男の胸ぐらを掴む。

 

「仲間じゃねぇのかよ!? ふざけんなぁ!!」

 

「これが……こいつらのやり方かよっ!」

 

ルフィとナツは怒りをあらわにさせる。そんな緊迫した状況にルーシィとハッピーが到着する。

 

「お、お邪魔だったかしら……?」

 

「あい」

 

 

 

 

 

 

「て事は、エリゴールの狙いは定例会!?」

 

エルザから聞いた鉄の森の真の目的にルーシィは驚愕する。鉄の森の目的は他の町で行われるギルドマスター達の集い、定例会でララバイを使った大量殺人だった。

 

「あぁ、けどこの魔風壁がある限り外に出られねぇ」

 

「こんなもん!」

 

ナツが魔風壁に突撃する。するとバチっとナツが風に弾かれた。

 

「ぐへぇ!?」

 

「な?」

 

「カゲ頼む、力を貸してくれ」

 

エルザはカゲを抱き起こし、呼びかける。しかしカゲは目を開けず、気絶したままだった。

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

今度はルフィが突撃するが結果はナツと同じ、弾かれてしまった。

 

「くそっ! もう一度!」

 

「やめろ、ルフィ! 力じゃどうにもできねぇんだよ」

 

グレイは忠告するがルフィは言うことを聞かず、魔風壁に突撃する。そして弾かれる。身体は風に切り裂かれ、ところどころ血が流れている。

 

「まだまだぁ!」

 

「ちょ、ちょっとやめてよルフィ! そんなことしたらあんたの身体が!」

 

そんなルフィをルーシィは腕を引っ張り、止める。

 

「離せ、ルーシィ! こんなもんぶち破ってやる!」

 

「だからやめなさい!」

 

「あの鎌野郎をぶっ飛ばさないといけねぇんだ!」

 

「だからって考えもなしにこの風に突っ込まないでよ!」

 

ルーシィの言葉を無視し、ルフィはどんどん魔風壁に近づく。するとルフィは何か思い出したようにルーシィの肩を掴む。

 

「な、何よ?」

 

「お前の星霊で何とかできねぇか? ほら、あのダルマみてぇな奴の時みたいに」

 

「その手があった! 星霊界? ってとこ行って向こう側に行けるんじゃねぇか?」

 

ルフィとナツは一度エバルー屋敷の時、星霊界を通ってルーシィ達のところに行けた事を思い出す。

 

「ダルマって……。あのね、星霊界は普通人間が入ると死んじゃうの、息が出来なくて。それに門は星霊魔導士がいる場所でしか開けられないの。だから出るとしても外に星霊魔導士が一人いなきゃだめなの! だからその提案は無理なの。わかった?」

 

「わかんねぇ! はやくやってくれ!」

 

「出来ないって言ってるでしょ!」

 

ルーシィはルフィの頭を軽く叩きながら言う。

 

「後一つ! 人間が星霊界に入ること自体が重要な契約違反なの。まぁあの時はエバルーの鍵だから良かったけどね」

 

「エバルーの鍵……? あぁーーーーっ!?」

 

ルーシィの言葉に何か反応したハッピーは突如大声を出す。

 

「ど、どうしたのよハッピー」

 

「ルーシィ、思い出したよ! おいらルーシィにこれ渡さないといけないんだった」

 

ハッピーはバックの中に一本の金の鍵を取り出した。

 

「そ、それバルゴの鍵じゃない!? ダメでしょ勝手に持ってきちゃ!」

 

「ちがうよ、バルゴ本人がルーシィへって」

 

「えぇ!?」

 

「こんな時にくだんねぇ話してんじゃねぇよ」

 

「バルゴ?」

 

「……あぁ、あのゴリラメイドか」

 

「でも今それを渡されても……」

 

「バルゴって地面潜れたでしょ? それで魔風壁の下を通って外に出られないかなと思ったんだけど……」

 

『それだ!!』

 

ハッピーの言葉にその場の全員は声は揃えて言う。そうと決まれば! ルーシィはハッピーから鍵を受け取る。

 

「よーし……! 我……星霊界との道を繋ぐ者。汝……その呼びかけに応え門をくぐれ! 開け! 処女宮の扉、『バルゴ』!」

 

鍵から光が溢れ、徐々に形が出来ていく。光が止むとそこにはピンク色の髪をしたメイド姿の綺麗な女性が現れた。

 

「お呼びでしょうか、ご主人様」

 

「あ、あれぇ!?」

 

「お前痩せたなぁ」

 

「元気だったか?」

 

バルゴの変化に驚くルーシィを置いて、ナツとルフィはバルゴに話かける。

 

「はい、あの時はご迷惑おかけしました」

 

「や、痩せたっていうか別人でしょ……。あんたその格好……」

 

「私はご主人様の忠実なる星霊。ご主人様の望む姿にて仕事をさせてもらいます」

 

「な、なるほど」

 

「おれ前の方がいいなー強そうだったし」

 

「そういう事でしたら……」

 

「わー! しなくていい、しなくていい!」

 

嫌な予感がしたルーシィはバルゴにやめるよう命令する。

 

「ごめんバルゴ! 契約は後! あんたの力で穴を掘ってこの風の向こう側に行ける!?」

 

「はい、可能です」

 

「じゃあ今すぐお願い!」

 

「わかりました……姫」

 

「姫、姫……悪くないわね」

 

姫と呼ばれ、ルーシィは何故かうっとりした表情になる。

 

「悪くないのか……」

 

「あれが自意識過剰って奴だよ、きっと」

 

「そこ、うるさい!」

 

ルフィ達はバルゴの力を借り、地面に穴を開け向こう側に行くことに成功した。

 

「出れたぞー!」

 

「急げ!」

 

「すごい風!」

 

「姫! 下着が見えそうです」

 

「自分の隠せば」

 

ルーシィのスカートを抑えるバルゴに向けてそう言い、役目を終えたバルゴを閉門する。するとナツが背負っていたカゲが突然笑い出す。

 

「ふ、ふふ……今からじゃ追いつけるわけねぇ。お……俺たちの勝ちだ」

 

「まだ決まった訳じゃねぇだろ! 俺達は絶対勝つ!」

 

ナツはカゲの胸ぐらを掴み、怒鳴るように言う。するとハッピーは辺りを見渡す。

 

「あれ? ルフィは?」

 

 

 

 

 

風を纏い、かなり速いスピードで飛行するエリゴールは本当の目的地である、ギルドマスター達が集う『クローバーの街』に向かう。

 

「待ってろよ、じじぃ共……!」

 

『ーーーー!』

 

「ん……? なんだ?」

 

エリゴールの耳に微かな声が聞こえてきた。しかしエリゴールは気にせず飛行を続ける。

 

『ーーーー!』

 

「……やはり何か聞こえる……叫び声?」

 

エリゴールは後ろから聞こえて来る声が気になり、停止する。すると声はどんどん近くなってくる。

 

「……つ……たぞ!」

 

「! ま、まさか……」

 

エリゴールは冷や汗をかきながらゆっくりと後ろに振り向く。するとーー。

 

「ーーみつけたぞ! 鎌野郎!」

 

「ごはっ!?」

 

振り向いた瞬間、エリゴールの腹にルフィが頭突きをくらわせる。そのまま二人は地面に落下する。ダメージをくらったエリゴールは腹を抑えながら立ち上がる。

 

「な、何故だ……! 何故俺がこの道を行くとわかったんだ!」

 

エリゴールがそういうとルフィは立ち上がり、エリゴールと向き合う。

 

「へへ……勘!」

 

ルフィは堂々と言い放つ。その言葉を聞きエリゴールは鎌を強く握りしめ、怒りを露わにする。

 

「か、勘!? ふ、ふざけた野郎だ…………いいだろう、教えてやる。俺の風魔法の恐ろしさをな!」

 

「っ!」

 

エリゴールはカマイタチをこちらに飛ばす。ルフィはそれを躱しながらエリゴールに近づく。

 

「消えろ!」

 

「うおっ!?」

 

エリゴールはルフィの方に手を向けると強い向かい風を起こす。ルフィは吹き飛ばされる。

 

「ははは! この間抜けが! ……ん?」

 

するとエリゴールは足に違和感を感じた。足を見るといつの間にかルフィの伸ばした手が足を掴んでいた。

 

「へへ、それっ!」

 

「いてぇ!?」

 

ルフィが足を引っ張るとエリゴールは体制を崩し、頭から地面に叩きつけられる。

 

「こ、このやろう……!」

 

頭を抑えながらエリゴールは風を止め、自身に風を纏い空中に逃げる。

 

「ゴムゴムの……スタンプ!」

 

「うおっ!?」

 

ルフィは空中に逃げたエリゴールに足を伸ばして攻撃する。想定外の攻撃にエリゴールは顔をかすりながらもかわす。手応えを感じたルフィは休まず攻撃を行う。

 

「(ちっ……空中にいてもあいつの攻撃範囲内だ、クソ! 厄介だぜ、悪魔の実の能力者!)なら、これでどうだ!」

 

エリゴールはそう言うとルフィの真下に魔法陣が浮かび上がる。

 

「ストームブリンガー!」

 

「うおぉ!?」

 

すると魔法陣から駅を囲んでいた風と同じぐらい大きい風が出現する。ルフィはその竜巻に飲み込まれ、地面から足が離れる。竜巻はルフィを崖のある方に飛ばす。

 

「ぎゃあぁぁぁ!! 落ちるー!」

 

「ははっ! そのまま崖に落ちて死にな!」

 

崖に落ちていくルフィを見て笑い声を上げるエリゴール。

 

「ぎゃあぁぁ……なんちゃって!」

 

ルフィは空中で体制を整える。両手を上に伸ばし、地面を掴む。

 

「ゴムゴムの……ロケットっ!」

 

両手に力を入れ、まるで弾丸のように崖からこちらに気づいていないエリゴールに向かって飛び出す。

 

「からの、ゴムゴムの……鎌!」

 

「何っ!? ぐわっ!?」

 

弾丸並みのスピードでエリゴールにラリアットを当てる。無防備の状態で攻撃を受けたエリゴールは血を吐きながら地面にそのまま落下する。

 

「こ、こいつっ!」

 

「にしし……どうだ、鎌野郎!」

 

フラフラと立ち上がりながらルフィを睨む。

 

「少々お前のことを見くびっていたよ……。だからここからは……本気だ!」

 

そう言うとエリゴールの方に風がどんどん集まっていく。エリゴールが何か仕掛け来る前にルフィはエリゴールに攻撃をする。

 

「ゴムゴムのピストル!」

 

腕が伸び、エリゴールに命中する……と思っていたがーー。

 

「ふん!」

 

「くそっ! ……って痛!?」

 

エリゴールは手を前に出し、ルフィの拳を弾いた。ルフィは痛みを感じながらすぐさま腕をこちらに戻す。

 

「はぁはぁ……全く手応えがねぇな」

 

「ふふ……自分の左手を心配したらどうだ?」

 

エリゴールにそう言われ左手に目を向ける。左手には無数の切り傷があり、地面に血が垂れる。

 

「わかったか、麦わら。テメェが攻撃をすれば俺の風がテメェを襲う。お前は物理攻撃が効かないが斬撃系は効くようだしな……くくっ」

 

「…………」

 

「お前に勝ち目はねぇよ。ここがテメェの『墓場』だ」

 

「墓場?」

 

ルフィは又もやエリゴールに向かって走る。

 

「やれるもんなら好きなだけやってみろ!」

 

「へっ、バカが! 逆上した奴ほど殺しやすい奴はいねぇ……。ここで死ね、麦わら!」

 

エリゴールはカマイタチを作り、それをルフィにぶつける。左肩に右腕、右足に命中し、そこから血が溢れる。命中したルフィは体制を崩す。

 

「ふっ……」

 

「ゴムゴムの……」

 

「何っ!」

 

ルフィは足に力を入れ、倒れないように踏ん張る。そしてエリゴールに近づきながら右手を後ろに伸ばす。エリゴールは一瞬驚くが、すぐさま自身に風の鎧を纏う。

 

「へっ、殴れるものなら……殴ってみろ!」

 

触れれば先ほどと同じダメージを受ける。エリゴールは攻撃を止めた瞬間に鎌で切り刻むと考え、にやっと笑みを浮かべる。しかしーー。

 

銃弾(ブレッド)!!」

 

「!!!?」

 

予想は外れ、ルフィは思いきり右手をエリゴールの顔面に当てる。風の鎧を突き破った右手はエリゴールにダメージを当てるが、同時に無数の切り傷ができる。エリゴールは吹き飛ばされ、ルフィは地面に膝をつく。

 

「はぁはぁ……ここが俺の墓場?」

 

ルフィは血を多く失い、ふらふらになりながらも立ち上がる。

 

「そんなんで……俺の墓場って決めるな。お前みてぇな仲間を大切にしねぇ奴に俺は負けねぇ!」

 

ルフィが立ち上がるとエリゴールも頭を抑えながらなんとか立ち上がる。

 

「ここは、俺の死に場所じゃねぇ!」

 

「はぁはぁ……それでこそ潰しがいがあるもんだ! いいだろう、本気で殺してやるよ。『ストーム・デスサイズ』!」

 

そう言うと風が鎌に集まる。鎌に風が纏われる。あの鎌に斬られれば確実に死ぬ。しかしルフィは恐れず、エリゴールに向かう。

 

「「うおぉぉぉ!!」」

 

エリゴールとルフィの激しい攻防が続く。鎌を振り下ろせば豆腐のように地面が切り裂かれる。ルフィはなんとか避け、エリゴールに攻撃を与える。エリゴールは激怒し、鎌を薙ぎ払う。ルフィはその攻撃をジャンプしてやり過ごす。

 

「……へっ!」

 

「はぁはぁ……このクソガキが!!」

 

まだまだ余裕だと言わんばかりの表情を浮かべるルフィ。それを見たエリゴールは顔に血管を浮かべる。

 

「いったはずだ……ここがテメェの!」

 

「!」

 

するとエリゴールは風の力で一瞬にしてルフィに近づく。

 

「死に場所だぁ!!」

 

エリゴールは全ての力を鎌に集中させ、振り下ろす。纏っていた風が爆ぜ、砂埃が舞う。そして徐々に砂埃が晴れていく。するとエリゴールの持っていた鎌の刃が粉々に壊れた。

 

「なぁ!? 俺の大鎌が!? テメェ、何をしやがった!?」

 

「へへ……()()()()()()()()()()()。お前の鎌、もうダメみたいだな?」

 

「なっ!?」

 

エリゴールが呆然と立ち尽くしているとルフィはエリゴールのローブを掴み、逃げられないようにする。

 

「覚悟しろよ……? ゴムゴムの……」

 

エリゴールは目を見開く。砂埃で気づかなかったが、右腕が捻れながら後ろに伸ばされている。

 

回転弾(ライフル)!!」

 

「!!!?」

 

ルフィの攻撃はエリゴールに命中する。エリゴールは数メートル吹き飛ばされ、地面に伏せる。

 

「お、俺が……負け……だ……と」

 

「はぁはぁ……へへ、俺の勝ちだ!」

 

エリゴールが気絶し、ふらふらになりながらもルフィは拳を上に向ける。

 

「ルフィーー!!」

 

「あ、ルーシィ達だ! おーい!」

 

ルーシィ達を見つけたルフィは手を大きく振る。ルーシィ達はルフィに駆け寄る。

 

「ちょっとルフィ! あんたボロボロじゃない! 大丈夫なの?」

 

「ルフィ、大丈夫?」

 

「おう、平気平気!」

 

「流石だな、ルフィ」

 

「ったく……おいしいところ全部持っていきやがって」

 

「やったな、ルフィ!」

 

「にしし……!」

 

ルーシィとハッピーはルフィの傷だらけの体を心配する。ナツとグレイとエルザは良くやったと肩を叩く。そんな様子を少し遠くからカゲヤマが見ていた。

 

「(こいつら……モーガンさんだけでなくエリゴールさんまで!? なんなんだよこいつら……これが妖精の尻尾!?)……ん?」

 

ふとエリゴールの方に視線を向けると近くに落ちていた禍々しい笛に見つけた。

 

「つかよ、お前服はどうしたんだよ?」

 

「ああ、風でバラバラになっちまった」

 

「なんか変態みたいだぞ」

 

「お前が言うなよ」

 

「んだとぉ! この炎! 俺が変態だとぉ!?」

 

「変態に変態って言って悪いのか!? 氷野郎!!」

 

「うーん、そうだな、ルーシィ服くれ」

 

「なんで私なのよ!?」

 

「痛ぇ!? 何すんだよ!」

 

「あんたが何すんのよ、変態!」

 

「ふふ……ともかく見事だ、ルフィ。これでマスター達が守られた。ちょうどいい、このまま定例会に行き笛の処分と今回の事件の処分についてマスターに指示を仰ごう」

 

「クローバーはすぐそこだもんね」

 

皆は魔導四輪車に向かうと、カゲヤマが魔導四輪車に乗り込み発進していた。

 

「カゲ!」

 

「あぁ、あいつ!」

 

「油断したな、ハエ共! 笛はここだ! ざまぁみろ!」

 

カゲヤマは笛をこちらに見せ、高らかに笑いながらギルドマスターがいるクローバーの町に向かった。

 

「あんの野郎ぉ!」

 

「恩知らず〜!」

 

「とにかく追いかけるぞ!」

 

文句を言いながらも全力疾走でクローバーの町に向かった。

 

 

空は日が落ちた頃、ルフィ達はようやくクローバーの町にたどり着いた。すると少し遠くの場所でカゲヤマとマカロフがいた。

 

「いたぞ!」

 

「よっしゃ!」

 

「ぶっ飛ばしてやる!」

 

ルフィとナツとグレイはそのままカゲヤマ達のところへ向かう。

 

「しっ、今いいところなんだから見てなさい」

 

「「「いいっ!?」」」

 

しかしそれをつるっぱげのオカマの者に止められる。

 

「なんだこのおっさん」

 

「おっさんとは失礼しちゃうわもう! でもあなた達タイプだから許すわ〜」

 

「な、なにこの人!」

 

「マスターボブ!」

 

「あらぁ〜エルザちゃん、大きくなったわね〜!」

 

「えぇ! この人が青い天馬(ブルーペガサス)のマスター!?」

 

「ほら、騒いでねぇで観なよ」

 

近くの木に寄りかかっている帽子を被った男性がいう。

 

四つ首の猟犬(クアトロケルベロス)のマスター!?」

 

「マスターゴールドマインさん!」

 

ゴールドマインはエルザ達に静かにするように人差し指を口に近づける。エルザ達は言う通り、静かにマカロフの様子を見ることにした。

 

「ん? どうした、吹かんのか?」

 

「ぁ……!」

 

カゲヤマはゆっくりと笛に口を近づける。

 

「(吹けば、吹けばいいんだ! ……それで全てが変わる!)」

 

「ーー何も変わらんよ」

 

「ぇ……?」

 

笛を吹こうとしたカゲヤマに優しく言うマカロフ。

 

「弱い人間はいつまでたっても弱いまま。しかし弱さの全てが悪ではない。元々人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある、仲間がいる。強く生きる為に寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶち当たるし、遠回りするやもしれん。しかし、明日を信じて踏み出せばおのずと力が湧いて来る、強く生きようと笑っていける。……そんな笛に頼らずともな」

 

にやっとマカロフはカゲヤマに笑ってみせた。

なんだ……全部わかってたのか。

カゲヤマは笑みを浮かべながら地面に膝をついた。

 

「……参りました」

 

カゲヤマが降参すると隠れていたエルザ達がマカロフに近づく。

 

「「じっちゃん!」」

 

「「マスター!」

 

「じーさん!」

「ぬおっ!? 何故お前達がここに!?」

 

エルザはマカロフを抱きしめる。

 

「流石です! 今の言葉、目頭が熱くなりました!」

 

「かたー!?」

 

「流石じっちゃんだな。はっはっはっ!」

 

「そう思うならバシバシやめぇい!」

 

ルフィはマカロフの頭をばしばしと叩きながら笑う。皆、勝利を喜んでいると笛から黒い霧が出て来た。

 

『カカカ……どいつもこいつも根性のねぇ魔道士どもだ』

 

「笛が……喋った!?」

 

『もう我慢できん、ワシが自ら食らってやろう……貴様らの魂をな!!』

 

黒い霧が笛を包みこむ。霧は広がりどんどんでかくなる。霧が晴れるとそこには木の巨人と化したララバイの姿があった。

 

「でかっ!?」

 

「怪物だー!?」

 

「な、なんだこいつ!? 知らないぞ、こんなの!」

 

「あらら……大変」

 

「こいつは……『ゼレフ書の悪魔』だ!」

 

『腹が減ってたまらん。貴様らの魂を食わせて貰うぞ』

 

「魂!? 魂ってうめーのか!?」

 

「知るか!」

 

ルフィはよだれを垂らしながらララバイに聞く。そんな呑気なルフィの頭にグレイはげんこつをくらわせる。

 

「一体どうなってんの? なんで笛から怪物が……?」

 

「あの怪物自体がララバイそのものなのさ。生きた魔法……それがゼレフの魔法だ」

 

ゴールドマインの言葉にルーシィ達は驚きを隠せない。

 

「生きた魔法!?」

 

「ゼレフって、あの大昔の!?」

 

「黒魔道士ゼレフ。魔法界史上もっとも凶悪だった魔道士。その何百前の負の遺産がこんな時代に現れるなんて……」

 

マスターボブは冷や汗をかきながら言う。するとララバイが顔を近づける。

 

『さぁて、どいつの魂から頂こうか?』

 

マスター達やルーシィとカゲヤマとハッピーはびくびくと震える。そんな様子を見たララバイはにやっと笑う。

 

『決めた、全員まとめてだ!』

 

「いかん! 呪歌だ!」

 

「ひっーー!!?」

 

ララバイが口を開き呪歌を吹こうとする。ギルドマスター達は聞きまいと耳をふさぐ。しかしそんな中ルフィはララバイに飛びかかる。

 

「ゴムゴムの……スタンプ!」

 

『んごっ!?』

 

ルフィの技がララバイの顎の部分にあたり、無理やり口が閉ざされる。ララバイはルフィを睨む。

 

『貴様ぁ!』

 

「……と、槍!」

 

『グハッ!?』

 

ルフィの攻撃がララバイの胸に直撃。ララバイはダメージを負い、後ずさりをする。

 

「足が伸びた!?」

 

「異様な力……まさかあれが噂に聞く悪魔の実の能力か!?」

 

ララバイは空中にいるルフィに向かって手を振り下ろす。

 

『小癪な!』

 

「危ない!」

 

「換装!」

 

するとエルザが黒い翼の生えた鎧を纏い、ララバイに近づく。

 

「はぁっ!」

 

『ぬおっ!?』

 

エルザに足を斬られ、ララバイは体制を崩す。

 

「おお、あれは黒羽の鎧!」

 

「対象の攻撃力を増大させるあの!」

 

「それになんだあの換装のスピードは!?」

 

「あれが妖精女王(ティターニア)、エルザ・スカーレットの騎士(ザ・ナイト)か!」

 

「まだまだ! 火竜の……」

 

倒れたララバイの顔に飛びかかりながら右手に炎を纏うナツ。

 

「鉄拳!」

 

『うおっ!?』

 

ナツに殴られララバイが後退する。

 

「拳であの巨体を!?」

 

「本当に魔道士か!?」

 

『調子に……乗るな!!』

 

ララバイはギルドマスター達に向けて口を開く。口に光が集まる。

 

「おっと!」

 

「こっちにくる!?」

 

『消えろ!』

 

「「ビームだ!」」

 

口から光線を放つララバイ。そんなララバイを見て興奮するルフィとナツ。そんな中、ギルドマスターやルーシィ達の前にグレイが立つ。光線が爆ぜ、砂埃が舞う。砂埃が晴れるとそこには無傷のギルドマスター達とルーシィ達、そして氷の盾を造形し防いだグレイの姿があった。

 

「アイスメイク……(シールド)!」

 

「おお! 氷の造形魔道士か!?」

 

「造形魔法?」

 

「魔力に形を与える魔法だよ。……そして、形を奪う魔法でもある」

 

ハッピーの言葉にゾッとするルーシィ。

 

『ぐぬぬ……貴様らぁぁ!!』

 

ララバイは怒り、グレイ達に向かって拳を放つ。

 

「はあっ!」

 

その攻撃をエルザは手を切り落として防いだ。

 

『グワァァァ!!?』

 

「今だ、お前達!」

 

エルザの掛け声と同時にルフィとナツとグレイはララバイに飛びかかる。

 

「右手の炎と左手の炎を合わせて……火竜の!」

 

「ゴムゴムの……」

 

「アイスメイク……!」

 

ララバイに接近した三人は瞬間、各々が持つ一撃を放つ。

 

「ーー煌炎!」

 

「ーー攻城砲(キャノン)!」

 

「ーー槍騎兵(ランス)!」

 

三人の攻撃が直撃し、ララバイは地面に倒れた。足から徐々に塵になっていく。

 

『ば、バカ……な……!!』

 

自分を倒した者達を見つめたままララバイは消滅した。それと同時に周りから歓声の声が上がる。

 

「見事! ようやったわい!」

 

「まさかゼレフ書の悪魔をこうもあっさりとは!」

 

「すごいぞ、妖精の尻尾!」

 

「皆、すごい!」

 

「これが……妖精の尻尾、最強チーム!」

 

「ほらぁん、アンタはお医者さん行かなきゃ‥…ね?」

 

「は、はい……」

 

抱きついてきたマスターボブに謎の恐怖を覚えたカゲヤマ。

 

「いやぁ、妖精の尻尾には借りができちまったなぁ」

 

「なんのなんのー! ふっひゃひゃひゃひゃ……ひ……は!?」

 

「ん?」

 

ふとマカロフが笑うのをやめ、固まる。その様子を見た者達はゆっくり振り返る。すると、そこには瓦礫の山とかした定例会の会場があった。

 

「ぬわあああっ! 定例会の会場が粉々に!?」

 

皆が気を取られている間、マカロフは忍び足でそっと離れる。そして皆がゆっくりこちらに振り向く。

 

『妖精の尻尾を捕まえろー!!!!』

 

その言葉と同時に妖精の尻尾のメンバーは逃走を始めた。

 

「にしし! 皆、逃げるぞ〜!!」

 

「あい!」

 

「ごめんなさーい!」

 

「お前の炎のせいだぞナツ!」

 

「あぁん!? テメェの氷のせいだろがグレイ!」

 

「マスター、申し訳ありません……」

 

「いーのいーの、どうせもう呼ばれないでしょ?」

 

ルフィ達は後ろを振り向かずただただギルドに向かって走るのであった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。