とあるカルデアの英雄王ギルガメッシュの噺。
たとえ同じ物だったとしても、人それぞれに拘りがあったりするんですよね。
※キャラ崩壊注意です。本当に気を付けてね。
元となった噺は恐らく読んで頂ければ分かる人には直ぐ分かると思います。
後書きには解説を用意させて頂きましたので、詳しく知りたい方がおりましたらそちらを読んで下さい。
どうも皆さんごきげんよう。
自分は
……最近、フレンド申請をなされる新人を見ると、頑張れよ後輩! なんて生意気言ったりしますね。
その後輩は1日も経たずにログインのカウントが止まるんですが、何故でしょうかね?
あ、ガチャのマラソン大会ですかい? 精が出るねぇ……
ではそろそろ皆さんに軽い落語を披露させて頂きたいと思います。
扇子ではなく筆を握った素人ですが、皆さんから苦笑いの1つでも貰えたら幸いです。
皆さん、最近はジャンヌだのエリザベートだのが種類を増やしておりますがどうですか?
世の中、似ているだけで全く違っていたり、似てないのに殆ど同じ、なんてややこしい事だらけで参りはしませんか?
少し違う話になりますが薬だと思ったら酒が飲め無くなる健康に良い毒だっただの、強敵だと思った紫の騎士が、実は只のダメ親父でしたー……なんて事も御座いますね。
世の中は、良い意味でも悪い意味でも裏切りに溢れているんです。
私もある1つの裏切りにあった王様の話を致しましょう。
かの有名な王様、ギルガメッシュ。
カルデアに召喚されてやって来たは良い物の、レイシフト以外にする事の無い退屈な場所です。
マスターを強引に連れてはあちらこちらの時代でその唯我独尊の態度で問題を振り撒きます。
「
そう言われますと霧の街ロンドンへ繰り出します。
マスターをお母さんと呼び、ナイフを手に持って怯えさせるジャック・ザ・リッパーは王のお気に入りです。
「せめて散り際で我を興じさせよ」
マスターを連れて凶悪な怪物共に向かってゆきます。
無限の財で気持ち良く薙ぎ払うから本人にはゲーム感覚なんでしょうが、マスターにとっては下手なホラー映画よりも恐ろしい体験でしょうね。
「雑種、今日は我をブリテンへ連れてゆけ」
今日も今日とて我様全開、我が儘100パーセントの英雄王。突拍子も無くレイシフトがしたいと言い出しました。
「我の嫁を迎えに行く」
はて?
ならばブリテンでは無く、紀元前のウルクでは御座いませんか?
「我の嫁は、麗しの騎士王だ」
英雄王に慢心どころかとっておきの最強宝具すら引き寄せる位の覇気を放って言われてしまっては憐れマスター、大人しく従うしか御座いません。
「元はと言えば貴様が我の嫁を召喚できないのが原因だ。随分待たせたが、セイバーよ、迎えに行くぞ!」
テンションの高いギルガメッシュと共にレイシフトしましたが、なにせ色々不安定なシステムです。
不慮の事故でマスターとギルガメッシュは同じ時代に別れ、辿り着いてしまったのです。
「……む? あの金が足りないが気高さが感じられる城は?」
ギルガメッシュが送られたのは、なんの偶然か円卓の騎士が集うキャメロット城の手前です。
「なるほど、やはり我の愛は時空すらも超越するか」
満足そうに納得すると、円卓の騎士が一人、湖の騎士ランスロット卿がギルガメッシュの前に現れました。
「……太古の王、ギルガメッシュとお見受けする」
「ほほう……我の名を知っていると言う事はサーヴァントか」
「我らがアーサー王がお待ちです」
「ふふ、律儀に迎えを出すとは……カワイイ奴め」
ランスロットに連れられ、アルトリアとご対面したギルガメッシュ。
「おお、我の嫁! ようやく会えたな!」
「……世迷い言を」
喜びの声を上げるギルガメッシュに、アルトリアは唾でも吐き出したかの様な顔で不愉快を顕にしている。
現在アルトリアさんは黒化していますが恋は盲目、ギルガメッシュの目には普通のアルトリアと何ら変わらなく映っております。
「ほれ、その顔を我に近付けて見せるといい」
「私は貴様と同盟を組むつもりだったのだが……」
完全に恋の暴走列車と化したギルガメッシュはアルトリアの声も聞かずに席を立ち、向かいに座る彼女の元へと近付く。
「照れ隠しも愛情の裏返しだが……
いい加減、我が求愛を受け取れセイバー」
――ギルガメッシュは机の上に置かれた料理の皿を床へと弾いてギルガメッシュは机に自分の手の平を置きましたが、直ぐに手の平は机から離れました。
「っう、っぐふぅ……!?」
怒りに震えたままアルトリア・オルタさんはギルガメッシュの頬に倒れる程のビンタをお見舞いしたのです。
「貴様の耳障りな戯言は我慢してやろうと思ったが……
食べ物を……粗末にするなぁぁぁ!!」
「は……ははぁぁぁ……!!」
そのあまりの迫力にギルガメッシュも急いで膝を折って頭を下げます。
「す、すまんセイバー……! 我が悪かった!」
恐怖で真っ青なお顔をしておりますが、心なしか両頬は赤く染まっております。
そしてアルトリアはギルガメッシュ目掛けて黒い聖剣を振り抜きます。
「ま、待て! やめろ、セイバー……! 戯れが過ぎ――」
「――問答無用。貴様が床にぶち撒けた料理の様に、貴様の血で城の壁を染めてやろう……!
至近距離から放たれた闇を避ける事は出来ずに英雄王は消滅し呆気なくカルデアへと戻って行きました。
それから少し経ってマスターがカルデアに戻ると、英雄王は普段の横暴な態度が少し鳴りを潜めておりました。
普通のアルトリアはツンツンでしたが、オルタのあのツンを超えた敵意に何か感じる物があったのでしょう。
「……マスターか…………丁度良い。これをくれてやるから我の嫁を呼べ。そして直ぐに我との食事を命じろ」
などと言って呼符を10枚もくれるんですから本当にどうかしてしまったんでしょう。
まあ貰ったのですから回すだけやってやりましょう。
一度目……ジルさんはダヴィンチちゃんへ……
二度目……カエサルさんもダヴィンチちゃんへ……
…………十度目……ああ、また外れです。
ですがこのまま手ぶらで帰れば何をされるか分かりません。
仕方が無い。
フレンドさんになるべく大人しいアルトリアさんをお借りしましょう。
リリィさんの純粋さならきっとギルガメッシュも心穏やかになってくれますよ。
「サーヴァントセイバー、召喚に応じて参上いたしました!」
どうもすいませんね……ウチの英雄王、ギルガメッシュが貴方とお食事を取りたいと言っておりまして……
「ギルガメッシュさんとお食事……ですか? いえ、問題ありません! 他の王と話す良い機会です! 早速言って参ります!」
心配ですねぇ……大人しくなったとは言え相手はあのギルガメッシュなんですから。
ちょっと覗きに参りましょう。
「ギルガメッシュさんは面白い方ですね!」
「そ、そうか……? そうだろう、そうだろう!」
すっかりリリィに毒気を抜かれておりますね。あんなにみっともない英雄王は初めて見ましたよ。
「……ふんっ!」
と、此処でギルガメッシュは突然、料理の乗った皿を落としました。
すると……
「あ、ギルガメッシュさん大丈夫ですか!? 直ぐに掃除しないと……! ちょっと、待ってて下さいね?」
「お、おう……我は幾らでも待とう」
だらしない顔をした英雄王を置いてリリィは出て行きました。すると英雄王はマスターを指でちょいちょいと呼びます。
「マスター……あの可憐な嫁はどうした?」
「はい! 英雄王が気に入るようにと、人懐っこくて可愛らしい騎士王を選びました!」
そこにリリィがタオルを手に戻って来ました。
「ギルガメッシュさん、今拭いて上げますね」
リリィがそう言うと健気にも汁の着いたギルガメッシュの鎧を拭いてあげます。
一瞬惚けるギルガメッシュですが直ぐに頭を振ってこう言いました。
「っは!? いかんいかん……!」
「我の嫁はオルタに限る……!」
お後が宜しい様で……
今回の噺に題名を付けるので有れば、“オルタのセイバー”でしょう。
元の噺は“目黒のさんま”。
お殿様が目黒で食べた庶民の焼いたさんまを大変気に入ったのですが、帰ったお城で頼んで食べると調理法も違えば味付けも違うさんまにがっかりしてしまって、「このさんまは何処のさんまだ?」と聞いて、日本橋魚河岸のさんまと聞くと1人で納得してしまい、「さんまは目黒に限る」と結論付けてしまう噺です。
自分の大胆リメイク(笑)で、だいぶ噺が変わってしまいまして……
ギルガメッシュはレイシフトした先のオルタに殴られ、それが今までどのアルトリアのツンツンな態度よりも気に入りましたが、マスターが気を使って優しいリリィを連れてくると満更でも無い感じになりますが、結論は1番良いアルトリアはオルタだ……と言う粗末な噺です。
皆様の感想、お待ちしております。