なんとなくFate   作:銀鈴

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あらすじ通り分離したものです。
本編最終話までの内容が含まれています。


Fate/zero編
始まりのフェイト


閉じよ(みったせー)閉じよ(みったせー)閉じよ(みったせー)閉じよ(みったせー)。繰り返すつどに四度――アレ、五度?」

 

 縄で縛られて猿轡をされた私の目の前で、オレンジ色の髪の男の人が爪先を使って所謂魔法陣の様な物を描いていく。陣を書く塗料は、ほんの少し前まで私の家族だったモノから溢れ出た血液。

 何か間違えていた所でもあったのか再度繰り返される詠唱と連続殺人事件のニュースがBGM。死臭の満ちたリビングルームは劇場なんだろう。私は大きくため息を吐こうとして、鼻に入ってきた臭いで咳き込んで涙目になってしまう。

 

(ほんと、家出してでも冬木になんて居るんじゃなかった)

 

 肩辺りまで伸ばした黒髪に、まだ9歳ではあるけれど整った方と言えるだろう顔立ち。そんなどこにでもいそうな幼女たる私こと銀城(ぎんじょう)愛鈴(あいり)は、俗に言う転生者である。ほんの少しの魔術回路と前世の記憶が残っているだけの、別にホムンクルスでもフルブリンガーでも無いただの女の子だ。

 

「君さ、本当に悪魔っていると思う?」

 

 反応しないと即座に殺される気しかしないので、この短い人生の時間を伸ばすためにも必死に首を振る。

 話は戻るけど前世の記憶のおかげで、この余った血で壁に気持ちの悪いアートを書いた後、こんな質問をしてきた青年の名前だって…これからの展開だって知っている。

 

 青年の名前は雨生龍之介(うりゅうりゅうのすけ)。Fate/zeroという小説でキャスターのマスターとしての登場人物だ。そして私の立ち位置は、言わずもがな青髭のダンナにこの後殺される可哀想な女の子である。前世を合わせても20年と少し、合わせたとしても短い人生だった。

 

「うーん?なんか君の反応って演技っぽいんだよねー」

 

 その言葉に内心ギクっとした私を余所に、アニメは覚えてないけど原作にはあった古文書やら悪魔がどうのという事を龍之介はとてもいい笑顔で話していく。あんまり詳しくは無いけどこれでも前世は読書が大好きだったのだ、読み直した本の内容はかなりの割合で覚えている。

 住んでいる場所が冬木って時点でロクな人生は送れないと覚悟してはいたけど、海魔なんて触手の塊よりは龍之介の持つナイフで一思いにやってもらった方が苦しくないかも知れない。

 

「と言うわけで、もし本物の悪魔が出てきたら1つ殺されてみてくれない?」

 

 超COOLな青髭のダンナはそろそろ来ますね(諦め)ひょっとしたら助かるかも…なんて希望はもう無いけど、最後の抵抗として暴れてみる。自分でも笑えてくるこの行動に、龍之介も笑い始める。

 

「あは、あははははははっ!! どんな気分なんだろうねぇ! 悪魔に殺されるのって! まあどちらにせよーーーーん?」

 

 風が湧いた。血で描かれた魔法陣が燐光を放ち始め、強烈な風が室内を蹂躙する。それを手品を見る子供のように見ている龍之介と違って、私はどこか冷めた思考でそれを見つめる。うん、もう『超COOLだよアンタ!』を聴けたら…無理だね(察し)

 そんな心底下らない事を考えている私を雷が落ちた様な轟音と光が包み込む。

 

(まあ、サーヴァントが見れるだけマシな人生だった)

 

 聖杯の泥に飲まれるよりはまだ幸せだろう。閃光のせいで掠れる視界の中、青髭さんの登場を待つ私の手に鋭い痛みが走る。何かの破片でも触っちゃったんだろうか? まあどうせこれから死ぬ身、気にする意味なんてないか。

 

「問おう。あなたが私のマスターか?」

 

 聞こえてきたのは青髭のダンナの声とは似ても似つかない高く幼い声。という事は、別の鯖が召喚された?でもキャスターならメディアリリィ位しか…

 

「サーヴァントキャスター、召喚に従い参上した」

 

 完全に戻った視界の中、それらの予想とは全く違った人?がそこには立っていた。

 先ず目に入ったのは、背負った7つの棺桶と身の丈を大きく超えるヒビ割れた大鎌。腰ほどまである銀髪が風にたなびいており、黒いコートを翻し、四肢とその下には鎧の様な銀灰色の金属が見え隠れしている。何? なんなの? 私こんなロリロリした鯖知らない。

 

「なあ、あんt」

「えいっ」

 

 絶賛大混乱中の私の目の前で、龍之介の首が飛んだ。体勢が変わってるから、多分あの大鎌で†斬首†したのだろう。ちょっと待ってニュアンスがおかしかった。

 

「とりあえずヤッちゃったけど、まあいいよねうん。大海魔は見たかったけど仕方ない仕方ない」

 

 そう言ってこっちを向く、私より身長が低い長い銀髪の女の子。その紅と蒼の双眸に射抜かれるだけで、訳のわからない恐怖が込み上げてくる。

 

「あ、いや、私マスターには何もしないから! うぅ、助けてティア!」

「マスター、先ずは棺桶と大鎌を仕舞う」

「それだ!」

 

 這って逃げようとしていた私の前で、棺桶・大鎌と共に謎の恐怖が消え去った。安心して脱力した私の拘束を、改めて見ると普通に可愛らしい幼女が次々と外してくれる。あとさっきの声ってどこから聞こえたの?

 

「これでよしっと。全部がよかったねっては言えないけど、無事でいられてよかったねマスター」

 

 というか私がマスターって事は聖杯戦争参加しないとダメって事? あんなテロリストやら愉悦神父やら優雅(笑)がいる中に? 冗談じゃない。プリヤ時空に逃げたい(切実)癒し担当がウェイバー君しかいないじゃないか!

 

「と、とりあえず宜しくキャス、ター…」

 

 魔力の使い過ぎだったのか疲労なのか安心なのかは分からないけれど、その言葉を言い終わる前に私の意識は闇に沈んでいった。

 イリヤといちゃいちゃしてればどうにかなるかな…あいんつべるんってどこだろ…

 

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