なんとなくFate   作:銀鈴

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キングハサン「首を出せい!」
島津の妖怪「首置いてけ!」
!?メトメガアウ-?!
\YU-JYO/

という夢を見たんだ…


王のUTSUWA そのし

「ふむ、まあ民の意見という物も必要よな。良いぞ、思うがままを話すがいいキャスター」

「ありがとね、征服王」

 

 一言お礼を言い、私もセイバーに向かい合う。あんな眼をされたから、流石に初めから否定はしたくない。

 

「一市民の私としては、別にセイバーの願いを否定はしないよ。その平穏への祈りは崇高な物だと思うし、セイバーの治める国を一度は訪れてみたいとも思う」

「ほほう、ではキャスターはセイバーの願いを認めるという事か?」

 

 私の渇望とも似通った部分があるし、そこは否定はしない。結局私が知ってるのは獅子王の治めるキャメロットだけだし。

 

「いいや全然。セイバーよりも圧倒的に下の、見下げ果てた王を知ってるからそれよりはマトモだと思うだけ。どっちかといえば、英雄王とか征服王みたいな王道の方が個人的には好きだよ」

 

 生きてた頃に旅した人間界の、世界の危機でも自分の私腹を肥やすだけのクソ王よりはセイバーの方が100万倍マシだ。

 でもセイバーの目から光が消え、私のマスターと同じような目に変わる。あまり言い過ぎると、多分セイバーをもう王とは見てないだろうライダーに怒られそうだけどギリギリまで攻める。

 

「でも過去に戻ってやり直したいなんて願い、年頃のヒトとしてはありふれた願いだもん。それにセイバーは認めないかもだけど、一部の例外を除いて王だって1人の人間。たった1人、王になる事を強制された女の子の妄想くらい、聞き流してあげようよ」

「ううむ、それはそうではあるが…」

 

 難しい顔をして考え込むライダーと、背後に大々と愉悦の文字を背負ってる様に幻視できる英雄王。気まずい沈黙の中ほんの少しだけ立ち直ったセイバーが、再燃した怒りを込めて私に問いかける。

 

「貴様は、貴様も私の願いを小娘の妄想と愚弄するのか、キャスター!」

「しないよ。さっきも言った通り、願いを認めはしないけどその根幹までは否定しないよ。一市民としてはね」

 

 時代がブリテンを殺しにきてたらしいし、マーリンも死ぬほどウザかったと思う。円卓はギスギスだし、人間関係には同情しよう。とりあえずマーリンはぐだーずの下で過労死してどうぞ。

 

「でもそんな願いが叶ったら人理が崩壊するって理屈は抜きにして、1人の英霊、1人の戦士として言わせて貰うなら……今の貴方が王なのは絶対に御免だよ、セイバー」

 

 騎士王の治世がどんなのだったかは分からない。それこそ民にとっては良いものだったのかもしれないし、どこぞのアーサー王が100万人いたり、傭兵だったり富豪だったり盗賊だったり歌姫だったりする世界線みたいにおかしなものだったのかもしれない。

 でも、あくまで今の青王様が王様の国は御免だ。

 

「征服王の焼き増しになっちゃうから深くは言わないけど…仮にも王が臣下と歩んだ過去を、自分が助けた人の事を書き変えたいなんて願うのは、私にはただの逃げにしか思えない。王ってのは背後で堂々と踏ん反り返ってるか、背中で全てを語るものだと思うから」

 

 私の場合前者が魔界を治めてた魔王、後者が獣人界を治めてた獣王様だ。そのどちらも人間界より環境が悪かったというのに、確実に安定しているいい国だった。人間界は察して。

 上げて落とすなんてサイテー?私の思ったままを言ってるだけだから、何も私は悪くない。って、ああそういえば。

 

「よいしょっと」

 

 また死んだようになってしまったセイバーの前で、私は自分の身体に腕を突っ込む。えっと、確かここら辺に吸収したバサスロットさんの霊基の情報があったはず…

 

「キャスター、お主何をしておるのだ?」

「ん? 今回の聖杯戦争に円卓の騎士が居たって事は言ったでしょ? ちょっとその意思だけは関係もあるし伝えたいと思って」

 

 っと見つけた見つけた。でもまあ能力を完全に再現なんて出来ないから、見た目だけを完全にコピー。私の手に現れた長剣を、身体から抜いて俯くセイバーの目の前に突き刺す。

 

「セイバー、顔を上げて。この聖剣…いや、魔剣を見て。これが、貴方が理想の王であろうとし続けた結果だよ」

「っぁ、……嘘、だ」

 

 セイバーのメンタルが更に崩れていく音が聞こえる。こんなに心が死にかけでも、自分に仕えた騎士の事を忘れはしなかったらしい。

 私が突き刺したのは『無毀なる湖光(アロンダイト)』を見た目は完全に、性能はほぼ再現できてない物。だけどそれは円卓に関係する者でもなければ作ることはできず、しかし誰にでも呪いに歪んだと分かる物。これを知らないとか抜かしたら、全力で殴ってただろう。

 そんな事を思いつつ、私の知る知識と霊基から読み取った知識を合わせてセイバーに告げる。

 

「今回の聖杯戦争に参加したバーサーカーの真名は、湖の騎士ランスロット。聖杯戦争に参加した動機は、発狂できるから。そんな願いを抱くようになった原因は、セイバーが理想の王を貫き過ぎて彼の不忠の罪を許してしまったから」

「違う、私は…」

 

 絶望の底といった感じのセイバーに、私は淡々と本を朗読するように続ける。誰にも止められないし、バサスロットさんの事だけは言っておきたい。さしずめ今の私は†処刑人†いや、やっぱりなんでもない。どっかのアサシンと私は違う。

 

「自分の中で決着をつけられぬまま問題を片付けられ、そのせいで彼は『良心の呵責に苛まれ続ける』っていう最悪の生き地獄に晒された。多分、私が倒さず放っておいたらーー」

「キャスター、もうやめてやれ。見ていて余りにも哀れだ」

 

 セイバーの目の前で、バサスロットさんの事を語る私の肩に大きな手が置かれた。その手の持ち主は、勿論ライダー。蹲るセイバーに向けて、憐れみの目を向けている。

 

「そうだね…ごめんなさい、少し言いすぎたかも。でも私の意見は兎も角、彼を下した者としてこれだけは伝えておきたかったから…」

 

 そう言いつつ、もう帰るとマスターに念話で伝える。何か抗議の念が帰ってきたし、マスターがアイリスフィールに謝ってるけど今更だろう。

 というかこんな状況でもセイバーを視姦してる英雄王さん、貴方流石に趣味が悪くないですか? ほんとロリコンって怖い。助けてロイド。

 

「しかし、これはもう宴という雰囲気ではないなぁ…」

「ですねぇ…」

 

 何かよく分からない言葉を口から漏らしながら、蹲りマインドクラッシュを受けたようになってるセイバー。そのセイバーを視姦してる英雄王。元凶の私。主催者のライダー。うん、もう宴とか続行できないね。

 

「そういえばキャスターよ、なんだかんだで流れておったが、お主の願いを聞いておらんかったな」

「あ、そういえばそうだったね」

 

 側からみたらセイバー虐めに発展しちゃったせいで、私の聖杯にかける願いを言っていなかった。うん、まあ汚染された聖杯にかける願いなんてありはしないけど。

 

「私は、聖杯にかける願いなんて存在しないよ。叶えたい事はあるけど、それは聖杯じゃ絶対に叶えられない物だから」

「はぁ? いや、うむ。納得した」

 

 ニヤリと笑って言った私の答えに、征服王はなんとなく察してくれたようだった。

 

「私は、この地に現界して聖杯戦争に集まった英雄豪傑と、武を競い合えるだけで十二分に満足だもん。それにもう1つの願いは、マスターの人並みの幸せ。聖杯なんかが関わったらその時点で破綻するからね」

「後者は予想外ではあるが、やはりお主はそうか。望みは至極単純、それ故に話す意味がありゃせんわい」

 

 ライダーは大きく溜め息を吐き、ボリボリと頭を掻く。そんなにおかしいことかな? というか、話す意味がないって…いやそうだけども。

 

「最後はどうにも締まらない感じになってしまったが、お互い言いたいところも言い尽くしたよな? 今宵はこの辺でお開きとしようか」

 

 とても残念そうに、杯の中のお酒を飲み干してライダーは言う。そしてキュプリオトの剣を抜き、

神威の車輪(ゴルディアスホイール)』を具現化させた。

 

「さあ坊主、引き上げるぞ」

「え、あ、うん」

 

 ウェイバーくんが戦車に乗り込み、雷鳴と共に去って行くのを見ながら私も残ってたお酒をグイッと飲み干す。さて、私はマスターを呼ぶ前に色々やらないと。

 

「英雄王、今宵の宴に参加させていただき誠にありがとうございます。いつか、飲ませていただいたお酒に迫る物を作れるよう、励みたいと思います」

「ふっ、雑種程度には到底辿り着かぬ領域だろうよ」

 

 ペコリと頭を下げる。一応、こうしておかないと後が怖い。超怖い。でも組み込まれてる神性の中に、酒造関連の神もある以上頑張りたい。

 

「セイバー、私もお酒が入ってて言い過ぎた。ごめんね」

 

 そう言ってから、私もマスターを呼び寄せる。転移魔術は疲れるけど、この状況から逃げるには一番だと思う。アロンダイトのコピーは置いていく。

 

「それじゃあ、色々とお騒がせしました」

「うちのサーヴァントがごめんなさい」

 

 そう形だけ謝って、私達は例の貯水槽に転移した。だけど、うん。今日は流石にマスターの特訓とかはお預けかなぁ。流石に、あんまり気分が良くない。

 帰り際に、窓から銃口が覗いてたのは見なかった事にしようそうしよう。

 




本編の方の続編とか何を書けばいいのか分からなかったけど、イオリの子供の話とかもあり…か?
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