なんとなくFate   作:銀鈴

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fgo新章楽しい。
新宿の邪ンヌと黒王様の差分下さい。
そしてホームズじゃねえか!知ってたけど


zeroに至ってほしい物語 其之陸

「我が手に輝く、全ての令呪を以って命じる。

 ーーーー貴女の総てを私に継承して! キャスターッ!!」

 

 キャスターによって致命的な部分が切り替えられた私は、葛藤の果てに言ってしまった。キャスターと事前に打ち合わせてた事ではあるけど、あらゆる意味での恩人を消滅させ、取り込む最悪の宣言を告げてしまった。

 

「『是非もなし』」

 

 令呪という聖杯からマスターに与えられる、サーヴァントに対する3度の絶対命令権。それを全て消費した事によって、私とキャスターを桁外れの魔力が包み込む。納得した様に頷いたキャスターが、銀色の魔力に解け私に吸収され、それによって何でもできる様な気分がどこからともなく湧き上がり……

 

「あ、が、ぁあ゛ア゛あ゛あ゛あ゛ア゛ぁぁァァァッ!!!」

 

 全身を灼く激痛が私を現実に引き戻した。

 キャスターの霊基を取り込んだせいで、私の細胞の1つ1つが元の自分ではない何かに書き換えられていく。当たり前だ。幾ら神代のキャスターが手ずから調整していたとはいえ、所詮私はただの人間。英霊を受け止めるには、器が些か以上に足りていなかった。

 

 勝手に魔術が暴走し自分の観測を始め、明らかに私が変貌する様を見せつけてくる。

 まず叫ぶ私の髪の毛から、ストレスか魔力の暴走かは分からないけど色素が完璧に抜け落ちた。更にそこに魔力が充填され、キャスターと同じ綺麗な銀髪(プラチナブロンド)に色が変化する。

 次に左眼の視界が赤に染まった。黒い日本人らしい目に魔法陣が刻まれ、明滅しながら鮮やかな紅に変色する。

 そしてこの黄金の世界を維持する為に不完全な身体から魔力が搾り取られ、異界からそれ以上の魔力が供給され訳のわからない感覚が私を犯していく。

 

「くだらん。ただの茶番ではないか」

 

 そんな最悪な状態の中、私の耳にギル様の声が聞こえた。声の聞こえた方向を見ると、明らかに不機嫌な顔のギル様が『王の財宝』の波動を背負いこちらを睥睨していた。

 どうやら私はいつのまにか、異界から弾き出され戦場に投げだされてしまった様だった。

 

「しばし様子を見ようと思っていたがやめだ。見るに耐えん。消え去るがいい、雑種!」

 

 侮蔑を帯びた目でこちらを見るギル様が、痛みに絶叫する私に『王の財宝』から原初の武器群を投射する。これは今の私にはどうしようもない。こんな激痛を受け続けるくらいなら、もういっそ殺されちゃえば楽かもしれない。

 そう諦めに絡めとられ早々に命を散らそうとした私の前に、見覚えのない筈なのによく知っている障壁が発生し宝具群を弾いた。

 

『うん、これならいけそう。ティアの方はどう?』

『問題ない。むしろ調子がいいくらい』

 

 続いて発射された第二波、第三波も同じ薄紫色の障壁が受け流し私を守ってくれた。今聞こえたのは幻聴かもしれないけど、それでも少しは気力が湧いた…かな。

 そう納得した瞬間、私の変異が加速した。

 

「…へ?」

 

 溢れ出る魔力で髪が編まれ、一気に腰ほどの長さまで成長した。

 バキバキと人体から鳴っちゃいけない音が発生し、身体の中身が破壊され、結合され、発狂しそうな激痛と共に新たな物体として再構成される。

 更に変貌は身体的なモノだけに止まらず、精神的な部分にまで侵食してきた。私の知らないキャスターの記憶が流入し、私の記憶に継ぎ足され、それによって壊れ燃え尽きそうになる精神が無理矢理に継ぎ接ぎされ再生させられる。

 それが繰り返される事、都合27度。再生される頭の中で、何かが致命的に狂って再生されたのがわかった。

 

「マ、ズイ」

 

 地獄の様な責め苦の中、私が発する事のできた言葉はそれだけだった。このままじゃ「私」が壊れるという確信が私を貫く。

 けれど、考え事をする余裕がないほど辛く苦しいのに、私の頭は勝手に記憶を再生し始めた。

 

「なに、こ、れぇ……」

 

 暗転。

 次の瞬間目一杯に映し出されたのは、現代ならばどこにでもありそうな路地。時間は夜なのか、異様に世界が暗い。

 自分の精神が引き返せと絶叫するけれど、この記憶の再生は止まらない。

 そして私はある事に気づいてしまった。今私が見ている光景は、とてもとても高さが低い。それこそ、寝転がっているみたいに。

 

『73zs、ztj5q#…』

 

 よく分からない声が聞こえた方向に、記憶の中の誰か何故か目だけを向ける。

 そこに立っていたのは、明らかに目がイッている中年の男性。これといった特徴は見受けられないけど、その手に持った()()()()()()が異様に目についた。……血塗れの包丁?

 

『vz』

 

 記憶の中の誰かが掲げた震える手は、恐らく自らの血で真っ赤に染まっていた。上手く力が入らない様で這って逃げる誰か。その視界に横転した自転車と、血の池が映りこむ。そしてゆっくりと、こちらに恐怖を与える様に歩いてくる中年を視認した時、私は強制的に理解させられた。

 

「これ、もしかしなくても、私の記憶…?」

 

 言葉には言霊が宿っていると聞いた事はあったけど、まさにその通りだった。そんな事を言ってしまったせいで、忘れていたかった私の記憶が完全に蘇った。学校、部活、遅くなった帰り、連続殺人、犯人、黒魔術に傾倒、女子供を好んで襲う、寄り道、激痛、血血血血、そして訪れた結末。

 これは遠い遠い昔の記憶。今の今まで私が忘却の彼方に追いやり、目を背け封印していた、前世の私の死の記憶。

 

「やめて」

 

 スカートから伸びる白い足を斬り裂かれ、記憶の中の私が絶叫する。これ以上見たくなくて目を背けるけど、この記憶の再生は未だ止まらない。

 この記憶は、私が死んだその瞬間まで止まる事はない。

 

「やめてやめてやめて」

 

 身体をひっくり返され、頭を道路に強く打ちつけた。嫌だ嫌だと首を振り逃げ出そうとしても、意識しかないこの状況じゃ何も出来はしなかった。

 それと同時、私がまだとても小さかった頃の記憶も蘇る。この焼きついた記憶のせいで、いつも怖くて怖くてお母さんにしがみついて泣いていた記憶。

 

「やめてやめてやめてやめてやめて」

 

 脂ぎった中年の顔と、その手の凶刃が街灯の光を反射してキラリと光る。

 だけどここに頼れるお母さんはいない。私が取り込んだから、お義母さん(キャスター)も存在しない。だから1人でこのトラウマに立ち向かわなければいけない。いけないんだけど……そんなのは無理だ。私なんかがこれに堪えられる可能性は、どう考えても0だった。

 

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!」

 

 崩壊へと全力疾走する精神だったけど、混ぜ込まれ一部同化した英雄(バケモノ)の魂がそれを許さない。この程度で壊れてどうすると、無理矢理に気力で持ち堪えさせられる。

 

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてッ!!」

 

 そして記憶の中の私に凶刃が振り下ろされ、振り下ろされ、振り下ろされ振り下ろされ振り下ろされ振り下ろされ…プツンと映像が途切れる。記憶に焼き付いているのは、下卑た中年の笑みと鮮明な死の記憶。

 いつだったか、身体が生きてても心が死んだと認識したら、人は身体の動きをも止めるって話を聞いた事がある。それが本当か、迷信かは知らないけど、もしかしたら私はここから帰る事は出来ないんじゃなかろうか? 嫌だ。怖い。誰か、誰でもいいから…助けて。

 

『マスターッ!!』

 

 そんな不安に押しつぶされる寸前、聞き覚えのある大声がガンと頭に響き、私の意識が戦闘中の現実に引き戻された。

 

「ぅ…ぁ、きゃすたー?」

『そうだよマスター。いきなりマスターの意識が消えたから、すっごく心配したんだよ!』

『おかえり、大マスター。意識のサルベージ、苦労した』

 

 私の頭の中で、2つの声が別々に響いた。その不思議な感覚に戸惑い、けれど今最も聞きたかった声が聞けた事による安堵が口から漏れそうになり…

 

『だけどもう、限界。避けて、マスター!』

 

 キャスターの警告が頭に響き、カシャンと何かが砕ける音を私の耳が捉えた。そして突然私の左眼に文字が踊り、半透明の赤い線が私の全身を貫いた。

 

===《宝具/威力 高/範囲 大/王の財宝/脅威度 大》===

 

 その表示を認識した時、私の身体が反射的に動いた。

 自らの宝具たる大鎌を展開……できなかったので、異界からスペアの大鎌を呼び出し装備。身体に染み付いた動きで回避しつつ、その全てを斬り伏せた。

 

「半端者の雑種風情がっ!!」

 

 その事が癪に触ったのか、ギル様が更に宝具を射出してくる。それをヒラヒラと躱し、大鎌で斬り払いつつ私はキャスターに問いかける。

 

「キャスター、なんで宝具使えないの!?」

『アレは特別性だから…その、調整中』

「コンマイかっ!!」

 

 そして何個か原初の宝具を斬り払いったところで、使っていた大鎌が砕けた。即座に別のスペアに切り替えるけど、成りたての半端者がいつまでも保つ訳がない。

 

「英霊を取り込み、自らを無理矢理に押し上げた存在など、存在するだけで不愉快だ。潔く逝くがいい!」

「煩いんだよ金ピカ!」

 

 私は英雄王の言葉に、敬意とか全てを忘れて怒鳴り返す。

 そう、アレを思い出して私は確信した。私は、絶対にあんな死に方はしたくない。あの感覚は2度と味わいたくない。なのに英雄王は、私を殺そうとしてくる? アレよりも酷い殺し方で?

 

「私が目障りなら、貴方が消え去ればいいんだよ!!」

 

 巫山戯るな。傲慢も大概にしろ。私はお前達(英霊)みたいに強くないただの子供なんだ。そんな事を言うならお前が消えればいい。死に絶えろ、死に絶えろ、全て残らず塵と化せ。絢爛たる輝きごと、一切合切滅んでしまえ。

 

「痴れ者が……。雑種如きが、王に死ねと吼えるか!」

「幾らでも言うよ英雄王。貴方は人類の裁定者らしいけど、そんなの知るか! 今ここ、この瞬間じゃ、貴方が消えればいい!」

 

 裂帛の気合いと共に振り抜いた大鎌で、迫る宝具を薙ぎ払う。そのせいでまた大鎌が砕けたけど、その残骸を投げつけ壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)。その隙に新たな大鎌を取り出す。

 

『うわぁ…マスター、狂化入ってる?』

『マスターマスター、頭にブーメラン刺さってる』

 

 頭の中でどこか漫才じみた会話が聞こえたけど、とりあえずそれは意識から追い出し私はギル様に意見をぶつける。

 

「確かに私は成り立ての半端者(擬似サーヴァント)で、どうしようもない雑種で、救いようもない転生者(死に損ない)だよ。けどね、だからこそ死にたくない。よしんば死ぬにしても、無残に殺されるなんて事だけは、真っ平御免なんだよ!!」

「ふん、この時代にしては珍しいが凡庸な理由よな。今ひとつ面白みに欠ける。なれば、我が失せろと言ったのだ、疾く果てよ!」

 

 魔眼が示す未来の攻撃予測を大鎌でなぞり迎撃しながら、私は自分に新しく埋め込まれた知識を探る。キャスターの戦い方のままじゃ、同じように英雄王に負けるだろう。だから生き残るためには、新しい方法を探さないといけない。だけど今の私が使えるモノで、英雄王に対抗できる魔術なんて…

 

『そこは気にしないでいいよ、マスター。なんてったって私の身体だもん、多少の無茶ならどうとでもなるから』

『それに細かい制御は、大マスターだけじゃなくて、私達もサポートする。心配無用』

「分かった。ありがとう…キャスター、ティアさん」

 

 そう言う事なら話は早い。自分に掛かる負荷さえ無視できる覚悟があれば、対抗手段はそれなりに捻出できる。こんな英雄(バケモノ)と同じような思考をしている自分自身に途轍もなく気持ち悪さを覚えつつ、最後の一線を私は踏み越えた。

 

「第四宝具、解放『雷炎の複合鎧衣(ドレスアーマー・オブ・ヘパイストス)』」

 

 溢れ出る魔力によって暴れまわる、腰ほどの長さの銀髪(プラチナブロンド)。生気がなく虚ろな生来の色の右眼と、反対に戦意と生きる意志が満ち溢れた紅の左眼。キャスターと瓜二つの幼い身体、それが今の私の姿だった。

 

「第二宝具、接続『もう1つの世界(アナザーワールド)』」

 

 私が発動しようとしてる魔術によって、生来のもの、キャスターに増設されたもの、そしてキャスターを取り込んだ事で激増した魔術回路が焼き切れる寸前まで稼働する。

 

「天昇せよ、我が守護星ーーー鋼の恒星(ほむら)を掲げるがため!」

 

 そして私は、空間が歪んで見えるほどの魔力と燃え盛る巫女服を纏い、満を辞して戦闘に身を投じたのだった。

 転生者(死に損ない)の書き綴る、出来損ないの英雄譚を歌いあげよう。




Q.つまりどういう事?
A.覚醒銀城ちゃんが、ガチバトル参戦しました。
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