イシュタル?お迎えできませんでした。
「どうして、こうなったんだろう…」
キャスターに教え込まれた
『あっはははは!!強い、楽しいなぁ!』
『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎!!』
ひび割れた禍々しい大鎌と、黒い葉脈の様なものが走る鉄柱が火花を散らす。元は蟲蔵だったこの場所には既に1匹たりとも蟲はおらず、それどころか互いの武器がぶつかり合うたびに上の屋敷だった物が吹き飛んでいく。
「ほんとに、どうしてこうなったんだろう…」
キャスターの持つ賑やかすぎる異界の中から魔術を使い、真正面から
どうしてこんな事になってしまったのかは、数十分前に遡る。
◇
「おはようマスター!だけど夜だからこんばんは? どっちにしろもう聖杯戦争の時間だよ!!」
「あの、キャスター? 今の私の状態分かって言ってる?」
私はジト目でキャスターに話しかける。
無理やり増や
「もちろん。なんてったって、ついさっきまでマンツーマンで教えてたし」
「それじゃあ!」
「だから、市民会館の龍脈から直接魔力を吸い上げて、そのままマキリの家に突撃してゾォルケン爺さん倒しに行こう?」
「……ふぁっ!?」
ちょっとまって。確かに市民会館は近くにあるけど龍脈に直接干渉?それって英霊ができる事じゃないよね!?よしんば出来たとしても、そんなの霊基がぐっちゃぐちゃになっちゃう気しかしないんだけど。
「大丈夫大丈夫、生前もやった事あるし! まあ、マスターにはここから一旦退去してもらう事になるけど…」
「生前もやったって…」
このキャスター、ほんとに大丈……ああうん。そういえば狂化持ってたっけこの子。納得。
「まあ、こんな事を話してる間にもう到着してるんだけどね!」
「問答無用かぁぁ!!」
渾身の叫びも虚しく、私は本来の世界に排出されてしまった。ついさっきまでの真っ白な世界から一転、夜の暗闇に包まれて浮遊感。だけど一向に地面にぶつかる痛みはない。なんで?
「全く、マスターは大マスターをもう少し大事にする」
「ごめんごめん」
「だ…れ?」
視界に映るのは金色…じゃなくて、虹色の髪。キャスターと色が左右反対のオッドアイ。そして、何故かこの子を見てるだけで心の奥底から湧き上がってくる謎の恐怖。
「マスターと契約した精霊、ティア。元は邪神ヨグ=ソトース。コンゴトモヨロシク、大マスター」
「副王様じゃないですかやだー」
それなら、キャスターとかこの子を見たときに浮かんだよくわからない恐怖も納得だ。ニャル子さんが (」・ω・)」うー(/・ω・)/にゃー なアレなんだから、私をお姫様抱っこしてるヨグ様が幼女だっておかしくないかもしれない。違うかもしれないけどそういう事にしておこう。
「さてと、準備も整ったしこれから二個ほど宝具の真名解放するけど、倒れないでね?」
「シャキッと立つ」
そう言ったティアさんに私は降ろされ、夜の街にパジャマのままスリッパで降り立った。これは…寒いし、誰かに見られたらかなりマズイかも。補導されて1発おじゃんの可能性が極大な気が。
そんな風に思う中、キャスターは召喚したての頃の大鎌を持ったタナトス(ペルソナ)のような服装に戻っていく。2回目だからか途轍もなく気持ち悪い感覚に襲われるだけで済んでるけど、悪霊とかがもれなく寄ってきそうな気配をしてる。
「それじゃあいくよー!」
「え、ちょっ」
心の準備ができてない。そう言おうと思った瞬間、メイン40サブも30という凛・桜レベルまで増やされた魔術回路が唸りを上げて魔力を生成し始めた。けど、今までの私を圧倒的に上回る量の魔力が吸い上げられるなんて事に、定着もしてない魔術回路と身体が耐えられる訳もなく…
「ーーぁっ」
爪の間に針が刺さった感じの痛みが全身に走り、思わず地面に倒れ込んでしまう。痛いという感覚が頭の中を駆け巡り、声を上げようにも口から洩れるのは声にならない悲鳴。涙で視界を滲ませながら、汚れるのも無視してアスファルトの上を転がり回る。
「真名解放ーー
そんな中聞き取ってしまったキャスターの宝具名。次の瞬間、龍之介のせいで我が家を襲った惨劇の夜を圧倒的に上回る濃密な血の臭いが周囲一帯に満ちた。
ねえ、今聞き間違えじゃなかったら
「よし。ティア、あれやるから合わせて」
「了解。真名解放ーー◽︎◽︎◻︎=◽︎◽︎◽︎◽︎」
多分私の脳が聞いてはいけないと判断したのだろう、ティアさんの宝具の真名は書くことができなかった。けれどしっかりと宝具は発動し、一瞬の後に明確な変化が訪れた。
「きゃあっ!」
私が悲鳴をあげちゃったのは、多分震度に換算すると3くらいの揺れが発生したからだけじゃない。その瞬間から、キャスターとのパスを通じて私に魔力が逆流してきたからだ。流石にこれは異常事態だろう。
「全部の起動を確認、よし! マスターはもう私の門の中に戻っていいよ。というか危ないから戻ってて?」
「外が気になるなら、共感知覚で盗み見れば良い」
「…うん、分かった」
暑くもなく寒くもないただ真っ白な布団くらいしか無い不思議な空間。自分が足手まといで弱点になるのは分かってるから、そこに私は再び足を踏み入れる。正直音もないから共感知覚使わないと発狂しそうだなぁと思っていたのだが、視界に広がったのは予想外過ぎる光景だった。
「…へ?」
よく見れば、質素な武具から絢爛豪華な武具まで詰まっているビルくらいの高さの立体駐車場っぽい大量の建物。よくわからないけど、なんらかの生物の残骸で作られている小山。なんでか森、そして川と滝。やたらメタリックな超巨大ピラミッドが数個。その付近は砂漠。ちくわ大明神の社。明らかに起動してるヘヴィーなオブジェクト。戦車。窓のないビルっぽい建物。自由の女神。キャメロット風の城。天空には燦然と輝く発光体が座して世界を照らしており、色とりどりの巨大な水球が浮かぶ空を何かが気持ち良さげに飛行している。
パッと見ただけで(異常に)賑やかになっていた異界の中は、自分の頭がおかしくなったのかとおもうくらい混沌とした状態になっていた。さっきまで何も無かった筈なのに。
『ようこそマスター、私の真の工房へ』
「ツッコミどころが多過ぎるわ!」
どこからか響いてきたそんな声に、私は全力でツッコミを入れるのだった。というか、
「というか、間桐の家にいってヒャッハーするって話だったけど、私蟲蔵の場所とか地下って事しか知らないよ? 家の場所は知ってるけどどうするの?」
『そんなの、上の屋敷を吹き飛ばしてみるに限るよ!! 後で元通りに立て直せば済む話だし!!』
うちのサーヴァントぇ…
冒頭にモドレナカッタ…
ここのイオリは本編のその後、および多少のIFルート後の状態です。