割と好き勝手にやっています。
それでも良いという方は第二十四話をお楽しみください。
永琳が抱える血まみれの大妖精を見て、私たちは息をのんだ。
「…大妖精!」
私と小悪魔は起き上がって大妖精の元に駆け寄った。
「…大妖精は大丈夫なのか?永琳?」
大妖精を床にゆっくりと下した永琳に向けて私は問いかける。
「…あんたらが遊んでいるうちに治療は終わらせてあるわ」
永琳が言いながら包帯がまかれた大妖精の状態を確認しながら言った。
「…よかった」
聞き捨てならない言葉が聞こえてきたが、今はそんなことに構っていられないためスルーするが、大妖精が無事ではないがきちんと生きていて安心した。
「…治療で出血は治まってるわ。だから安静にしていれば大丈夫よ……でも、あちらがそうさせてくれるかは別の問題だけどね」
永琳が言ったとき、私たちは気が付いた。
ギィ……ギィ……。
廊下の方向からこちらに向かってゆっくりと歩く音が私に耳に入ってくる。
「……」
足音が、永琳が入って来た時に閉めたドアの前で止まると同時に、私がドアを貫通する貫通力のあるレーザーをぶっ放す。
レーザーが触れたドアを焼却及び蒸発させ、ソフトボール台の穴を穿つ。
だが、その先に香霖はいない。かわたしたわけではない、初めからそこにはいなかったのだ。
「…!?」
私が驚き、初めから香霖はその場所にはいなかったと頭で処理する前に、私がいる場所の近くの正面の天井が破壊され、そこからいつ渡したかはわからないが、ミニ八卦炉をヒヒイロカネで修理してもらったときにいくつかの鉄くずと一緒に渡した、香霖が霧雨の剣となずけた剣を持った香霖が出現した。
「なっ…!?」
私が目で香霖が現れたことを確認し、香霖が何かをしようとしているのかを脳が処理して、自分が再度攻撃するよりも香霖の方が早いと分かり、脳から逃げろと指令が下されて体が動くよりも早くに香霖は私の頭をかち割るために霧雨の剣を振り下ろす。
「危ない!!」
一番近くにいた小悪魔が私に肩を掴んで引っ張ってくれたおかげで、私は服と肩の皮膚を霧雨の剣で少し切り裂かれる程度で済んだ。
「…そいつは非売品で、店の品じゃあなかったのかよ…香霖…」
私が皮肉を吐くが、香霖は無視したのか奴らと同じくなってしまったのかは知らないが、無言でこちらを向いた。
「……サンキュー、小悪魔」
肩の傷がどれだけの深さの傷なのかを確認しながら、私は呟いた。
「いいえ」
小悪魔が言いながら拳を握りしめる。
ズズッ…と私の肩にある切り傷が塞がり、元に戻った。
「……」
香霖が霧雨の剣を上段に構える。
しかし、妖夢のように手馴れて様になっている構えとは違う。まだ手探りのぎこちない動作だ。
私も手先に魔力を込め、いつでもレーザを放つことができる状態で構え、小悪魔もファイティングポーズを構えたまま、香霖が次にどのような動きをするかじっと待つ。
そうして静寂が訪れたのはほんの一瞬だった。
一秒にも満たない静寂の中で、香霖が先に動く。
香霖の右上、私たちから見て左上から振り下ろされた霧雨の剣は小悪魔の頭を切断し、私の左肩から右わき腹を切り裂く軌道を切り進む。
棒状の物を振れば唸るような音を発するが、剣は空気の抵抗などはほとんどないのだろう。全くの無音。
光に反射する霧雨の剣が気が付くと目の前にあり、とっさにしゃがんだ。帽子に霧雨の剣の刃がかする感触が帽子越しでも伝わってくる。
危なかった。身長が低くなかったら、胴体を切断されていたところだった。
「…魔理沙さんさがって」
私とは違い、刃の射程圏外ギリギリに下がってかわしていた小悪魔が言いながら突き進み、香霖剣を振ったばかりで隙だらけのに詰め寄る。
小悪魔は次に、私たちから見て右から左に薙ぎ払われえるように振られた霧雨の剣の剣ではなく、香霖の霧雨の剣が握られた右腕を手の甲で軽く弾き飛ばす。
香霖が体勢を崩し、立て直す前に間髪入れずに右手で右側から香霖の腕を勢い良く掴み、左手で香霖が握る霧雨の剣を奪い取った。
あっけなく武器を奪い取られた香霖が一度退こうとしたとき、香霖の足を小悪魔が蹴り飛ばすと、かなりの威力だったのか香霖が膝を床につく。
膝を床についた香霖の胸倉を掴み、小悪魔は香霖に背負い投げを食らわせた。
小悪魔が香霖に霧雨の剣を使わせないように適当に投げ捨て、背負い投げで倒れている香霖が起き上がる前に両手を背中側に回らせて動けないようにした。
「…驚いたな………お前こんなに強かったのか?」
抵抗する香霖を私も押さえ付けながら私は小悪魔に言った。
「…相手が霖之助さんで助かりました……武術の心得がある人ならこうもうまくはいかなかったでしょう」
小悪魔が香霖の顔の顎を強く殴ると、脳を揺らされた香霖の抵抗が脳震盪を起こしたことにより弱まった。
「…小悪魔、気絶させられるか?」
私が聞くと小悪魔がうなづき、私と小悪魔で香霖の腕を押さえる役割を交換して、小悪魔が香霖の首元に手を持っていく。
首を絞めるのかと思ってヒヤッとしたが、首を絞めるのには非効率な格好で香霖の首を小悪魔が触れる。
動脈を押さえているのだ。脳に血がいかなければ、いくら半分妖怪とは言えこれには弱いはずだ。
脳震盪を起こしたときよりも香霖の抵抗が段々と弱まっていく。
しばらくすると、香霖の体から完全に力が抜けた。
「……失神させました。…これで大丈夫でしょう」
小悪魔が手短にあった頑丈そうなロープで香霖の背中側に回させた両手をきつく縛った。
そのまま香霖の重たい体を部屋の隅に寝かせ、私たちは永琳に抱えられている大妖精の元に集まった。
「…皆さん……すみません……」
だいぶさっきよりも回復したのか、大妖精が呟く。
「…大丈夫だ…謝る事じゃないぜ……それより、無事でよかったよ」
大妖精の頭に手をのせて、サラサラな緑色の髪の毛をワッシャワッシャと撫でながら私は言った。
「…そうですね……特に何もなくてよかったです」
小悪魔も永琳もそう呟き、安心したように言う。
「……すまなかったな……こんな目に合わせちまって……」
「…魔理沙さん……?」
そう呟いた私に大妖精が不思議そうな顔をする。
「……とにかく、今は休め……時期に休む時間も無くなる」
私が言うと、大妖精はうなづいて目を閉じて眠りについた。
「…香霖は私が見張っておく、二人とも休んでていいぜ」
「…魔理沙さんはどうするんですか?」
小悪魔が大妖精を抱えて、部屋を出て行く永琳を見送りながら私に言った。永琳はウサギたちの治療をした後に続いてこれだ。何気につかれているのだろう。
「……。見張りながら休むから大丈夫だよ」
私が香霖をみはれる位置に陣取って座り込みながらこちらを心配そうに見てくる小悪魔に伝えた。
「……お言葉に甘えて、休ませてもらいます…けど……魔理沙さんはそれじゃあ休めないでしょう?」
「…私よりも、お前の方が休むべきだ…紅魔館で襲われたのを忘れたか?……それに大妖精にも言ったが、休め……休めるうちにな」
私が言うと、小悪魔がわかりましたとうなづき、永琳の後を追って廊下を歩いて行く。
「……」
二人分の足音が消えたと同時に私は詠唱を済ませ、物理的な結界と防音の結界の魔法を発動させた。
私から淡い光が放たれ、私と香霖を囲うように二重の光の線が床をなぞる。
「umringen(囲め)」
仕上げに魔法のスペルを唱えると結界が完璧に発動し、私と香霖を二つの結界が囲った。これで外にいる三人には物音ひとつ聞こえないはずだ。
「……甘いんだよ…香霖……寝込みを襲おうとしたのか、後ろから刺そうとしたのかは知らないが、あいつらに手出しはさせやしねぇぜ」
何かがひっかがる。あっさりとしすぎているのだ。こういうときには大抵何かがある。そう思った私の霊夢と一緒に異変を解決してきた長年の感は当たっていたようだ。
私が倒れている香霖を睨みつけながら立ち上がると、失神していたはずの香霖が赤いオーラが尾を引く瞳を見開いた。
たぶん明日も投稿すると思います。
その時はよろしくお願いします。