A letter to “ ”
大好きな貴方。
貴方はいつも頑張ってるよね。
それにいつも誰かを助けてる。
私が記憶を失ってナベリウスで1人取り残されていた時、スクナヒメが【双子】の作った黒の民に追い詰められた時、シオンさんをルーサーが手に入れようとした時。
他にもアフィンさん、オーザさん、リサさん、クラリスクレイスちゃん、サラちゃん、ジグさん…困ってる人が居たら助けられずにはいられない、とってもお人好しさん。
実はね、最初は「あぁ、この人も私と一緒だ」って思ったんだ。
だって貴方は自分の事より他の誰かの為に戦う事の方が多かったでしょ?
そうじゃない時はドゥドゥさんの所でメセタを叩きつけながら強化していたり、新しい武器の練習だったりテクニックの調整だったりで、ずっとずっと強くなるために頑張ってる。
あ、でもお洒落の為にアクセサリーや服も買い込んでたよね。ふふっ、一緒にショッピングしたの楽しかったなぁ。
話が逸れちゃった……それでね、貴方も私と同じで“みんなの為に”戦ってるんだって思ってた。
でも貴方と同じものを見て、聞いて、感じて。そして一緒に戦ってるうちにそうじゃないんだって気付いたの。
確かに貴方はみんなの為に戦っていたけど、私みたいにふわふわと曖昧な誰かじゃなくて、その時に助けたい明確な誰かのために戦ってた。
それにみんなも貴方であったり、他の誰かの為に戦ってる。支え合ってる。それに頼る事を貴方は知っていたんだね。だから装備の強化とかクラフトとか、自分に出来ないことは他人に頼ってた。
貴方はほんの少し強かったから目立っちゃっただけで。
ふふっ、私その事に気付くのに凄く時間がかかっちゃった。
私を庇って【双子】からダーカー因子を受けた貴方を見た時にようやくその事に気付いたんだ。
今、他の誰でもない貴方を助けたいって。
だからあの時貴方からダーカー因子を受け取り、そして全てを抱えて死ぬ事に迷いは無かったよ。
ナベリウスの奥地で殺されるために待ってると、貴方が来てくれた。私がダーカーを殺すように貴方も私を殺しに来たんだって思った。
でも貴方は私を救うことを諦めてなかった。
嬉しかった。でも同時に悲しかった。
深遠なる闇は顕現してしまった以上、私は死ななくちゃいけない。
だからその優しさが他でもない貴方自身を傷つけてしまう事が辛かった。
貴方と戦ってる間もずっとごめんなさいって心の中で叫んでた。
そして武器を突きつけられた時。
これでようやく貴方に恩返しが出来るって思った。私が死ねことで貴方は平和な世界を生きていけるんだって。
なのに
何故私は貴方の居ない世界を生きているの?
マトイは仮面を被れません。