もしもの世界を生きる彼女と   作:マーマレードタルト

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今回は幕間みたいなものです。


白の領域防衛戦 wave終

 

ダーカーに知性はあるのだろうか?

 

上位存在のダークファルスには明確な知性があり、理解し合えるかを別とすれば話し合いも成立する。個体によって性格も違うし、快楽や闘争といった各々望みを持って行動する姿はもはや人間に近しいとも言えるかもしれない。

 

だがそれらの眷属達は?

 

侵し食らうと言った目的はあるだろう。自分にダメージを与えてくる存在を危険視し真っ先に狙う判断能力もある。種類によっては複数で連携することもある。

さて、ここに意思や知性は……自我は存在するのだろうか?

もしかしたら、どれもインプットされた動きなだけで全く無いのかもしれないし、程度はあれど動物のような知性を持ってるのかもしれない。

私たちは生態こそ知れど、その中身までは知り得ない。ダーカーと言う敵のことは知っていても、ダーカーという存在に付いては意外と知らない事が多いのかもしれない。

 

 

 

とある学者の論文より

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

解けていく身体。辺りには自分と同様に身体を崩し解けて黒煙を上げる同胞の死骸がある。

そう、“自分も同胞も皆死骸”なのだ。

なんて事はない、いつものようにアークスと戦い敗れただけだ。

もうしばらくすれば思考すら維持出来なくなるだろう。

 

“いやだなぁ…”

 

だれかが、こぼす。

 

”きえたくない…”

 

だれかが、なげく

 

“いやだいやだいやだいやだ”

 

だれかが、だだをこねる

 

“だぶるさまがいれば”

 

だれかが、くやむ

 

“このままじゃずっとおなじ”

 

だれかが、きづく

 

”つよくならないと”

“でもどうやって”

“ほうほう、わからない”

“いんしもっとあつめる”

“だぶるさま、いんしたくさん”

“みんなのあつめる”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

“それがいい”

 

みんなが、どういする

 

 

黒煙がうねり一箇所へ集まりだす。

吹けば飛ぶような薄いそれは戦場となった大橋全域から集まり、徐々に量を密度を増やし続ける。遂には黒い泥のようなものへと変化していった。

もはや消えかけの存在はどこにも無い。ただただ深く濃密な存在感を放つ、光をも吸い込む漆黒の泥沼がそこにはあった。

 

瞬間、ズルリと沼から伸びる人の手。

 

白く細い手は震えながらも淵を掴み、全身を引き上げようと力む。

長い時間をかけて先ずは肩まで、続いて頭、腰、脚と順に這い出す。

 

「ーーーーahーー」

 

母から生まれた赤子が産声を上げるように、未形成な喉を震わせ唸りを上げる。

 

「ahーァーーー」

 

それはこの世に自分が居るぞと刻むためであり

 

「ーァーーアーーあーーー!!!」

 

それ以上に自分で自分を認識するために必要不可欠なことだった。

 

「アハ……あははは」

 

沼から這い出たソレは膝立ちのまま辺りに自分以外何も存在していない事を確認。そして何より空腹を確認した。

 

あぁ、腹が空いた。

 

ぺろりと舌舐めずりを1つ。自分生み出した事で体積を大きく減らした沼を見下ろし顔を近づける。スンスンと何度か匂いを嗅ぎニンマリと笑みを浮かべ一言こぼす。

 

「イタダキマス」

 

ジュルジュルと、スープを啜るように沼を飲み下していく。小さくなったとは言え、小さな池くらいはあった沼がみるみるうちに減って行き、遂には一滴も残さず無くなった。

満腹には程遠いが小腹程度は満たされたようだった。

だがしかし全然物足りない。全てを無くし空になった自分は飢えに飢えている。もっともっともっと食いたい。

 

その目は白の領域の方へと向けられていた。

 

でも、今はダメ。今の自分じゃ殺せない相手が居る。だからまずは力を取り戻す。それからだ。

 

「ウフフ、あははは……アハハハ」

 

そう言って、それは転移して立ち去った。

 

かくして、人知れず望まれぬ悪は望まれて生まれ帰ってきた。

 




今回で1つの区切りです。小説を書くのは難しいです。
いきなり大規模戦闘なんて書くんじゃなかったと後悔してます_:(´ཀ`」 ∠):

この後もお話しは続いていきます。面白くて魅力的な話しをかけるように頑張ります。、

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