Fragmental Memoir ~魔法剣士と神官戦士~   作:藤城陸月

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 にゃん太班長の『猫語尾』が難しい。
 原文でシロエも言っていますが、絶妙なとってつけた感の再現がこんなに大変だとは思わなかったです。
 …………せめて、『な』を『にゃ』にする基準を決めて欲しいです。


 本文以外でも、何故かにゃん太班長と呼んでしまう…………。そんな藤城です。


 今回、若干の設定の変更があります。
 詳しくは、後書きで。


 それではどうぞ──────




 二話 一日目から十六日目まで

「──────何というか、久しぶり……かな?班長」

『確かにそうですにゃ、リベクスち。

 こんな状況ですが───否、こんな状況だからこそ、話さなくてはならない事がたくさんありそうですにゃ』

「そうだね。

 ところで……僕は今、ススキノにいるんだけど、にゃん太班長は何処にいるんですか」

『それは奇遇ですにゃ、我が輩もススキノにいるのですにゃ。

 取り敢えずですが、何処かで落ち合うことにしますかにゃ』

「了解。待ち合わせ場所は…………ギルド会館でいい?」

 

 

 

 

 

 喧噪を掻き分ける。

 騒ぎは続いている。

 

 ──────そもそも、この世界における平穏とはどんな状態なのだろうか。

 

 角ばった印象を受ける街並みを走りながら考える。考え続ける。

 

 姉さん───『元いた世界』においては歳の離れた姉であり、『この世界』においては大規模戦闘ギルドの幹部である有名プレイヤー───によると、アキバの街も似たような状況らしい。

 今の〈冒険者〉には、『基準』という絶対が存在していない。

 

 ──────右も左も皆目分からない。

 ──────上下すらも定かではない。

 ──────自分の体が一番意味不明。

 

 こんな状況で、自分の事を肯定してくれる、自分と向き合ってくれる、きちんと『自分』という存在を定義してくれる──────そんな、自分とは異なる視点を持った存在がどれ程心強いのか。

 また、情報を整理するという観点でも、単純に情報収集の効率、速度、精度が大幅に上昇するという事に加えて、自分とは異なる視野、意見、価値観を持っている存在は非常にありがたいだろう。

 

 

「──────久しぶりですにゃ、リベクスち」

 

 不意に声を掛けられる。

 気がついたら、いつの間にかギルド会館の目の前。

 

 ──────尽きる事の無い不安で、どうしょうもなかった。

 ──────親しい友人、という確かな温もりが欲しかった。

 

「──────二年ぶりかな。本当に久しぶり、にゃん太班長」

 

 …………半ば意地で、感情が熱になって、目からあふれ出す事は我慢した。

 

 再会に涙は似合わない。

 カッコ悪いからではない。断じて。

 

 

 

 ──────細身の猫人族。

 猫人族特有の丸い頭部に三角形の耳。そして、ピンと張ったひげがアクセント。

 そんな人当たりの良さそうな外見の下に、鋭い牙と俊敏さを隠し持つ凄腕の盗剣士(スワッシュバックラー)

 仲間内では、『班長』や『ご隠居』と呼ばれる、大人の落ち着きを持った保護者であり、良き相談相手。

 

 そんな彼の名はにゃん太。

 目の前にいる、落ち着いた雰囲気を纏う男性のことである。

 

「──────何というか、にゃん太班長がいると安心するよ」

「それは良かったですにゃ。

 周りはこんな状況。だったら、まずは落ち着く事ですにゃ」

「了解。取り敢えずだけど、この後どうするかを決めた方がいいと思うんだけど…………」

「それもそうですにゃぁ。まあ、こんなところでも難ですから、場所を変えましょうかにゃ。

 手前味噌になるかもしれませんが、我が輩が借りているゾーンがありますにゃ」

 

 どうですかにゃ?

 穏やかな声に、二つ返事で応じた。

 

 

 

 ──────すぐに移動する事ににゃるなら、初めから我が輩の住処に案内すべきでしたかにゃぁ。

 ──────いや班長、住処って…………。まぁ、迷わなくて良かった、って考えようよ。

 ──────それもそうですにゃ。相変わらず、リベクスちは思いやりのある子ですにゃぁ。

 ──────…………照れるよ、班長。

 ──────それは申し訳ない事をしてしまいましたにゃ。

 

 

 

「──────ここが、班長のホームか」

「少し手狭ですが、雨風を凌ぐぐらいならできますにゃ」

「いや、こんだけ広ければ十分でしょう」

 

 調和を主とした、落ち着いた雰囲気の二間。

 強いて言うならば、若干配置に生活感が無いような気がするが、このゾーンは『ゲームだった頃』から借りていた、という事を考えると生活感に溢れている方が不自然だ。

 

「班長。暫らくだけど、ここにホームステイしていい?」 

「構いませんにゃぁ。

 そもそも我が輩たちは、この世界そのものにホームステイしているようにゃものですにゃ。

 確かに、ここは我が輩が借りているゾーンですが、我が輩だってホームステイしているのですにゃ。リベクスちがここにホームステイしたとしても今更というものですにゃ」

「ありがとう班長。

 ホームステイっていう言い方は、何というか素敵だね」

「にゃぁ。リベクスちが言い出したことではないですかにゃ」

「そういえば、そうだったね」

 

 

 

「──────それでは、これからの予定を話し合いましょうかにゃぁ」

「そうだね班長」

 

 

 

 

 

 ──────駄目だ、全く案が出ない。

 ──────そうですにゃぁ……。気付かない内に、疲れが溜まってしまった様ですにゃ。

 ──────そうみたいだね…………。体は全く疲れてないのにね……。

 ──────我々の体は〈冒険者〉、しかしながら、その体を動かしているのは()プレイヤーですにゃ。

       体は丈夫ですが、心は丈夫ではないという事ですかにゃぁ。

 ──────体は全く疲れてないけど、心はこんな状況に参っているってことか。

       いっそのこと、体も疲れれてしまえばいいのかな?

 ──────にゃぁ?……論点がズレている気がしないでもにゃいですが、それも一理あるかもしれませんにゃぁ。

       先ずは、ここを住みやすいようにすること、とかですかにゃ?

 ──────そうだね。…………といっても、僕にはどうしたら過ごしやすくなるのか、分からないけどね。

 ──────にゃぁ。ならば、我が輩がやっておきますにゃ。…………それに、自分の部屋ですにゃ。自分で片付けるのが筋というものですにゃ。

 ──────了解。こっちは聞き込み…………かな?

       そういえば、ギルド会館に寄ってないや。寄るついでに布団とかもってこようかな。

 

 

 ──────ただいま、班長。帰るのが遅くなってごめん。

       あ、凄い。なんというか、凄いアットホームな感じになってる。

 ──────お帰りですにゃぁ。

       ところで、お腹は空いていませんかにゃ?もう、晩御飯の時間ですにゃ。

 ──────あーー…………にゃん太班長。この世界の食べ物には味が無いようなんだ…………。

 ──────…………にゃぁ?

 

 

 

 

 

「─────先ずは、情報の整理ですにゃ」

「……(もぐもぐ)、そうだね班長」

 

 

 外は、既に夜の帳が下りている。

 ススキノの夜は非常に冷え込む。

 

 食卓を囲みながら話し合う。

 ()()()()()()()()()が本当にありがたい。

 

 

「今のところ分かったのは───」

 

 ① 食べ物の事

 ② 特技を含む戦闘関係の事

 ③ アイテムやステータスの事

 

「───ってことぐらいかな?」

「そうですにゃぁ。

 先ずは、一つ目の食べ物の事ですかにゃ」

「そうだよ班長!

 なんで食べ物に味がするの!?」

「まあまあ、お茶でも飲んで落ち着いてくださいにゃ」

「…………(ほっこり)、はぁ……」

「落ち着きましたかにゃ?」

「……はい。班長」

「にゃぁ。

 …………それでは始めましょうかにゃぁ」

 

 

 

 

 

「─────まぁ、こんなところですかにゃぁ」

「そうだね。もうそろそろ休まないと、明日の活動に問題があるかもしれないからね」

「そうですにゃぁ。それに、リベクスちのようなよいこは、もう寝る時間ですにゃ」

「……そうかもしれないね。

 まぁ、お腹もいっぱいだし、心も体もくたくた。明日何をすべきかはもう決めたし、布団も敷いてある」

 

 

 まぁ、なんと言うか──────

 

 

「──────これで、今夜も安心して熟睡出来る」

「それは良かったですにゃ」

「…………班長がいると、ホントに安心するなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 そうして、夜は更けていく。

 

 当たり前のように夜が明け、この世界での二日目が、誰にでも平等にやってくる。

 

 ──────目的を持つ者、持たないもの。

 

 それぞれが行動を始め、この『世界』の事が少しづつ分かってくる。

 

 流れていく時間は平等だが、この世界の仕組みそのものは平等ではない。

 

 ──────恵まれた者、そうではないもの。

 

 その差は、目に見える類の物ではなかったが、はっきりと示された。

 

 結果、生じた軋轢は〈大知人〉への八つ当たり、という形で現れることになる。

 

 ──────ススキノから逃げ出す。

 

 彼ら〈大知人〉がそう考えるのは当然の事であり。

 

 不満を持つ〈冒険者が〉それを阻もうとすることも、また当然だった。

 

 

 

 

 

 

 

「──────ただいま、班長」

「お帰りなさいですにゃ。

 …………どうしましたかにゃ?そんなに消耗して」

 

 十六日目。

 僕は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を行い、疲れ果てていた。

 

「ちょっと、質の悪い集団とヤり合っただけです」

「それは大変でしたにゃぁ」

「いや、ホントまいったよ──────」

 

 

 

 

 

 

 

「─────ところで、そこで気を失っている女の子は誰なんですか?」

「そうですにゃぁ……。

 ちょっと、質の悪い集団と諍いになった結果ですにゃぁ」




 一日目から十六日目(ダレカのセカイが出来る)まで──────


 今回も、読んでいただきありがとうございます。



 設定の変更:にゃん太班長の借りていたゾーンについて。
 原作では、『助けてくれた同居人(にゃん太班長)が借りてくれた』とあるので、『セララさんを助けた後から借りた』という解釈をするべきですが、本作では『初めから(ゲームだった頃から)借りていた』という解釈に意図的に曲解しています。
 物語の進行上、この解釈の方が都合が良かったための行為です。
 不快感を感じる方がいたら申し訳ありません。


 本編とはあまり関係ないのですが、にゃん太班長は布団派なのか、ベッド派なのか…………。


 取り敢えずですが、原作における二巻まで書くことにします。



 教職課程のレポートが終わらない…………。
 しかも、『直接愛を込める方式』とか…………どうしろと。






 そんな訳で(どういう訳?)、次回もよろしくお願いします。
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