東京レイヴンズIF~大鴉の羽ばたき~   作:ag260

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第一幕 始まり

俺の名前は土御門春虎(つちみかどはるとら)ちょっと運が悪いけどそれ以外は、特に特徴もないただの高校生だぜ☆

ゴスッ!

 

「痛っってぇな!?何しやがる!」

 

いきなり頭部を襲った衝撃にビックリしつつ頭をさすりながら振り向くと

 

「いや、急に意味の分からんことを誰もいない方向にしゃべり始めたからついにおかしくなったかと思ってな。」

 

と悪びれた様子も無く飄々としている奴がいた。

 

「って、冬児(とうじ)かよ。ヤンキーかと思ったぜ」

 

俺を殴ったこいつは阿刀冬児(あととうじ)

いつも額にヘアバンドを巻きその下からいつもは目つきの悪い双眸が覗いているのだが、今は呆れた視線を俺に向けている。

 

「アホか、ここら一帯のヤンキーがお前に喧嘩を売るか」

「なんでだよ。俺はただの高校生だぜ?」

 

別に見た目がゴツイとかそんなことは無いんだが。すると冬児がため息交じりに

 

「お前がここらのヤンキーから何て呼ばれているか教えてやろうか?」

 

何て言ってきやがった。

 

「はぁ?善良な村人Aとかか?」

悪鬼羅刹(モンスターオーガ)だ」

「なんでそんな物騒な名前が「心当たりがないとは言わないよな」

 

……脳内回送開始……

喧嘩を売ってきた不良を病院送りにする俺

コンビニ前にたむろしていた不良を邪魔だからと理由で病院送りにする俺

一時期荒れていて片っ端から不良を病院送りにする俺

etc etc

 

……脳内回送終了……

 

心当たりが多すぎるな。

 

「そんなことより腹減ったなー」

「話題のそらし方が雑すぎるだろ…まあ良い。確かに昼飯時だしなんか食いに行くか?」

「じゃあいつものうどん屋行くか」

「お前いつもあそこだな、飽きないか?」

「うるさいな。いいだろ好きなんだよあそこのうどん。…安いし」

「最後のが本音だろ…」

 

基本学生は貧乏なんだよバイトもしてねえしな…ちなみにいつも行くところはうどん一杯180円

+50円出せば大盛りになる。

そんな会話をしてたら店の前につきさっそく二人で中に入る。

店内は、意外と混雑しており店員がせわしなく動き回っていた。

 

「結構混んでるな」

「まあ時間が時間だしな。そんなことより早く食券買おうぜ」

 

ちなみにここは食券タイプの店だ。

これ以上混んで来たら面倒なので冬児の言うとうりさっさと買おうと券売機に金を入れ180円のざるうどんのボタンを押そうとしたら

 

「でさ~そいつがよ~」

「ははっマジかよ~」

 

ドンッ

絵に描いたようなチャラい高校生がぶつかった。

俺のざるうどんのボタンを押そうとしていた指はぶつかった衝撃で横にずれ隣のかけうどん(温)に吸い込まれ

ピッ

カシャ

無残にも券売機はかけうどん(温)の食券を吐き出す。

 

「NOォォォォォォ!!」

「うるせーよ。他の客の迷惑になるだろ。それに間違えたなら返品できるだろ」

 

そんな冷静に言わんでも…

でも確かにそうだなと、気を取り直してとりあえず近くの店員に声をかけようとしたが

 

『いらっしゃいませー』

『少々お待ちください』

『ありがとうございましたー』

 

すっごい忙しそうだった…

そんなことをしていると後ろから

 

「あのー早くしてくれませんか」

 

と声が聞こえ振り返ってみると中年のサラリーマンが立っていた。

よく見るとその後ろに結構な人数の列ができていた。

 

「す、すんません」

 

あわてて券売機の前から退く俺。その手の中にはかけうどん(温)が握られている。

 

……これを食うしかないのか…

 

「冬児、俺あのぶつかってきた野郎どもぶん殴ってくるわ」

 

俺が結構マジでいうと冬児が呆れた口調で

 

「まてまて。店の中で暴れたら迷惑がかかるだろ。あいつらもわざとぶつかってきたわけでもあるまいしそれにお前の運が悪いなんて今日に始まったことでもないだろ」

 

ヌゥ…確かにそう言われるとそうだな。

事実俺はマンガのキャラかって位に運が悪い。日常の些細な不幸なら可愛いもので、例えば車にひかれた回数なんか20回以上だ。20回目の事故の時に親父に

 

「20回車にひかれて全部無事なんてお前運が良いのか悪いのか分らんな」

 

なんて言われた。

確かに俺も大型車にひかれても擦り傷しかなかったのはすごいと思うが。

そんな物思いにふけっていると冬児が俺の肩に手を置き

 

「運が悪いことはあきらめるんだな。そして早くしないと座る席まで無くなるぞ」

 

そういわれて周りを見ると確かに座れそうな席が減っていたので仕方なくかけうどん(温)の食券を店員に渡し席についてうどんが来るのを待っていると

 

「おい春虎、見てみろよ」

 

と冬児が言ってきたので冬児の視線をたどり見てみるとそこにはテレビが置いてあった。

 

「なんだよ。面白いニュースでもやってたか?」

「ああ、今十二神将の仕事がやってるぜ」

「なに?」

 

十二神将という単語に反応してテレビを見ると確かに『霊災』現場が映し出されていた。

 

――万物に満ちる気すなわち霊気は常時揺らぎたゆたいながら安定を保っているが、時として霊気の揺らぎが極端に偏ることがあり著しくバランスを欠いた霊気は瘴気に変じ、よりその偏りを悪化させる方向に向かう。

自然界が持つ自浄作用の許容量を超えた回復の見込めない霊的・呪的偏向。これが陰陽法に定められた霊的災害、つまり『霊災』である。

そしてそれを修祓(しゅうふつ)する、『(はら)う』ことこそ、陰陽庁祓魔局(おんみょうちょうふつまきょく)に所属する陰陽師たち、すなわち祓魔官(ふつまかん)の任務である――

 

 

「お前なにキメ顔で言ってんだ?」

「いや、原作を知らない人用にと思ってな」

 

そういうのアリなのか?

 

「そんなことより、ほら!テレビ今なんか良いところだぜ」

 

その言葉通り画面の中では祓魔官たちが老木を囲み一斉に懐から小刀を抜きそれを呪文を唱えながら地面に刺した。

すると小刀の刃から青白い光が発し、光が伸びて老木を囲む環が完成した。

 

「ありゃ何やってんだ?」

 

隣の冬児に質問すると

 

「お前の家柄(・・)なら知っとけよ。あれは被害が周りに広がらないように結界を張ってるんだよ。しかしあの様子だと長くはもたなそうだな」

 

余計な皮肉とともに教えてくれたが、確かに画面の中の老木は激しくのた打ち回り今にも結界を破りそうな勢いである。しかし

 

『わりぃ。待たせた!』

 

結界を張る祓魔官の後ろに一台の大型バイクが乗り付けた。

バイクを駆るのは眼光炯々とした男で男は祓魔官の制服を着ておらずというか派手なアロハシャツに膝の抜けたジーンズという出で立ちは陰陽師にすら見えなかった。

 

 

「なんだあの兄ちゃんは?」

「お前ほんとに知らないんだな」

 

冬児は俺のことを残念なやつを見るような目で見つつ

 

「あの人が国内トップクラスの陰陽師で国家一級陰陽師…つまり十二神将だよ」

 

あの兄ちゃんが十二神将?神将とか言うぐらいだからもっと威厳がある人だと思っていたんだがな。

こいつほんとに強いのか等という俺の考えをよそに画面の中の男は腰に携えた日本刀を抜き

 

『五行の理を以て、鋭なる金気、沌せし木気を滅さん!金剋木!魔障退散!』

 

力強くしかし澄み渡るような呪文を唱えながら一気に刀を振り下ろす。

すると老木は何の抵抗もなく真っ二つになって倒れた。

 

「スゲーな!マンガみたいな倒し方だな!」

 

俺が興奮冷めやまらぬ感じで言うと

 

「まあ、国家一級陰陽師なんてほんとにマンガみたいなもんだろ」

 

なんて冷静に言いやがった。

男なら普通あんな場面を見たら熱くなるだろに…

 

「しかし最近この手の中継増えてないか?」

 

ここ一か月は週2ペースで見てる気がする。

 

「霊災そのものが多発してるらしいぜ。まあ、あくまで東京の話だがな」

「なんでそんなこと知ってるんだ?」

「あっちのお節介な知り合いが教えてくれるのさ」

「ああ、お前昔は東京(あっち)に住んでたんだったけ」

 

ちなみに冬児は東京ではバリバリの武闘派ヤンキーだった。

 

「お前に武闘派とか言われたくねーよ」

「なんで俺の心の声が聞こえてんだよ!」

「そんなことより、ほらうどん来たぜ」

 

俺のプライバシーがそんなこととは…

しかし時間を置くと伸びてしまうので俺もうどんを食べようと手を伸ばした。

 






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