――久々に夢を見た
まあ、悪夢だったがな。こっちに来る前の家族の夢だ
俺には姉がいた。そして兄がいた。ふたりが二人共別々の進路を進み、最後に家に残ったのは俺だけ。成績の優秀で東大に主席で入学した兄、文武両道で自衛隊に入隊した姉。何をしても普通並の俺。
姉は俺を可愛がってくれたが、それが余計な負担になっていた。
俺は俺で兄や姉は別人。そんなことは親もわかっていただろう、だがそんな兄や姉がいれば多少は期待したんだろうな。だから――家に俺の居場所はなくなった。最後は自室に篭ってたまに家の外に出かける、そんな日常の中にトラックが突っ込んできた。ただそれだけ。
ピンポーン
ベッドに寝転び睡眠の惰性に身を任せていた最中に邪魔が入った
特に宅配は依頼していなかったから新聞か
なんにしたって朝の6時に訪問するとは非常識も程がある
ピンポーン ピピピピピピピピピピピピ・・・
「うるせェェェエエエ!!!!!!!!!!」
「ひうっ!」
すっげー間の抜けた声が聞こえたな。・・・嫌な予感がする
まあいい、面倒事もゴメンだしいい加減出てやるか
「はぁ・・・なんだ?新興宗教か?」
誰に言うでもなく自問自答に入る俺はゆっくりと玄関に向かって歩き始める
1歩また1歩と歩みを進めるたびに体がだんだんと重くなる。完全に生理的に拒絶している
「お待たせしましたみんなのアイドル響だよ✩」
自分でやってて気持ちが悪い。
そんな言動をスルーして満面の笑みで
「響!」
と叫び抱きついてくる。見えたのは顔と銀髪。
「ああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
やめろぉぉぉぉおお!!!!!俺のトラウマを開くなぁぁぁあぁあああああ!!!!!!
「俺のそばに近寄るなぁぁぁぁああああ!!!!」
「キャッ!」
「逃げるんだよォォォオオオオ!!!!ザ・ワールド!」
時間を止めてまでも逃げ出す俺。まあ、どうしてこうなっているのかと言えば前述したとおりだ。過去のトラウマだ。ここでは全くもって関係性はないのだがな
あのクソ姉と名高い沙織のせいだ
side沙織
「逃げるんだよォォォオオオオ!!!!ザ・ワールド!」
「あ、れ?いない・・・もう、なんなのよぉ」
久しぶりに会おうというのに、弟に逃げられるなんて・・・そんなにひどいことしたかしら?そもそも彼を弟という風に呼ぶのには深いわけがある。
そう、あれは今から2週間ほど前の話
上司に調べておけと言われたリストの中に「黒羽響」という名前が載っていたことから始まった。
作者「さて、またなんか変なふうになってきましたね」
響「おい、待て。俺に勝手にトラウマを植え付けるな」
作者「まあ霊長類最強みたいな名前だしね」
響「なんにしたって会いたくもないなぁ・・・」
作者「随分とまた落ち込んでるな」
響「そりゃあんなのと会えばこうもなるさ」
作者「・・・(ニヤリ)」
響「?作者どうした・・・?!!」
沙織「響~♥」
響「ぃやめろぉぉぉぉオオオオオ!!!!!!!!」