ガンダムアーキテクトレイヴンズ 自堕落な一個人   作:人類種の天敵

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紫色のZガンダム

1週間程学校を休んでいた俺は久し振りにガンプラ学園に登校した。

教室に入ると、教室の至る所から視線やひそひそ声(何を言ってるか聞こえてるが)が聞こえる。

大方、1週間も休んでた俺のことでありもしない噂を流してるんだろう。

はっきり言ってどーでも良いので席に着いたらヘッドフォンをして九十九神社の大会に出場するファイターの中で最も強いと思うガンプラファイターの公式試合動画を観ることにした。

 

最初に選んだのはブラジル出身のファイターとゲリラ戦に定評のあるファイターだ。

 

動画を見る限りブラジル仕込みの格闘術を使ってくるファイターは遠距離で倒せるが、相方のガンダムEz8のカスタム機を扱うファイターが思いの外戦略眼が良く、慎重に立ち回りをしなければならないかもしれない。

 

「このEz8カスタム……ミサイル搭載型トラックを侍らせてんのが面倒くさいな」

 

この機体の戦闘を見るに、別地点に移動させたト○カ製のトラックからミサイルを連射して敵の注意に隙ができた瞬間180㎜砲でトドメを刺すのが必勝パターンなのだろう。

更に徹底的に実弾防御に重きを置いてるのか、大型の盾を掲げている。

 

「それにしても胸部装甲デカすぎ……名前もワンダフルボディだし…。狙ってやってる?」

 

前世でもワンダフルボディと名のつく敵機はいたが、あっちは操縦者の技量が粗製(笑)

のポンコツだったため、簡単に潰すことができた。

が、こっちのワンダフルボディは技術はそこそこでも先読みや未来予測の動きがいい。

戦場での経験が豊富な証拠。

実力は経験6、技量4の塩梅かな。

実弾系のマシンガンやミサイルを多少喰らっても安定性を損なわない装甲は少し厄介か。

 

「おい、お前。何見てんだよ」

 

Ez8カスタムーーー機体名《ワンダフルボディの》の動画から脚部が逆脚の赤いケルディム機の動画を視聴していると肩を叩かれた。

相手は同じクラスの阿部、昨日俺がザコと評価付けたガンプラ学園の生徒だ。

阿部が片眉を顰めてこっちを睨みつけているが、俺の感想は「あ、もうSHR終わって1時間目が始まってるな」だった。

 

「お前には関係ないだろ?」

 

「あ?喧嘩売ってるのか?ならガンプラバトルで勝負だ!」

 

「は?」

 

なんだその無茶苦茶なこじつけ……。

阿部の意味不明なガンプラバトルな申し込みに半ば呆れてしまう。

 

面倒くさいな……と思って阿部を見ると、ガンダム作品の中でもZガンダムに出てくるMSを好むこいつの手にはいつの間にか紫色のZガンダムが握られている。

しかし、こいつ……前回は紫色のMk-2ガンダムだったよな…紫色好きすぎるだろ。

 

「悪いけど、先客がいるから」

 

手を振って断る。

今日は肩慣らし+互いのガンプラの性能を知るために真凛とバトルするつもりだからだ。

 

「な、なに!?誰とだよ」

 

「そりゃ、真凛の奴……ん?」

 

そこでふと気付いた。

真凛の奴、遅刻だ…………。

 

「あら?阿部くんと烏丸くん。1時間目はガンプラバトルの授業ですよ。お互い相手がいないならやってはどうです?」

 

おそらく阿部は新しいガンプラを俺とのバトルで試したい。

しかし俺は真凛とバトルしたいが真凛がいない(理由は遅刻)。

互いに互いを牽制し合っていると第三者の教師が乱入からのガンプラバトルを提案。

……まあ、肩慣らしなら良いか。

 

「はぁ、分かった分かった。さっさと始めようぜ」

 

リュックサックからケースを取り出し、ラファールカスタムと別のケースに入れている各種武器を出してラファールに取り付ける。

 

F-1カーのような鋭く尖った胴体、スラッとしたスタイリッシュな腕部、それらに比べてゴツゴツと無骨な重量感を晒す脚部。

頭部には精密狙撃用のゴーグルと一対のくの字レーダーが取り付けられ、本体メインアイの複眼が不気味に光っている。

 

更に背中部のジョイントに繋がれる折りたたみ式のスナイパーキャノン。

右腕に握る重レールガン、左腕で構えるのはなだらかな曲線美が特徴のレーザーライフル。

 

「???」

 

以前対戦したラファールとは姿形が変わっていることに阿部は目を丸くしている。

それを尻目にラファールをGPベースにセットしてガンプラバトルの準備を終え、阿部の使うZガンダムを観察した情報を整理する。

 

Zガンダムとは言っていたものの、翼状に展開されたテール・スタビライザーなどの特徴はZガンダム派生型のグレイ・Zに近い。

 

武器構成は本家同様のガトリング内蔵のシールドの他に大型のビームランチャー。

更に追加オプションで小回りのきくハンドガンを腰部に、ミサイルポッドを肩部と脚部に増設している。

グレイ・Zの火力を更に高めようという意識がありありと見て取れるが、アレ…可変できるのか?…いや、出来なかったらΖじゃないんだろうけど。

Ζっていうよりは少しスリムになったΖΖじゃないか?

 

バカみたいに火力を底上げしても無駄に火力が高いだけで使いこなせなきゃ意味ないだろ。

考え無しの火力が意味がないって教えてやるよ。

 

「ヴァイオレットΖ!!てめえを塗りつぶしてやるよ!」

 

「ラファールカスタム。全て焼き尽くす……ってこれ、毎回毎回言わないといけないのか」

 

先日真凛から渡されたガンプラバトル時に口上を挙げるカンペを握りつぶしてため息を吐きながら、ラファールカスタムを勢いよく飛ばす。

 

(……早いとこ適当なファイターを見繕って俺はセコンドに就きたい)

 

紫色の機体と黒色の機体が戦場に飛び出した。

 

今回のフィールド設定は《ジャングルフィールドC》。

右側が森林生い茂るジャングルで左側が障害物のない草原とで半々になっているのが特徴で、狙撃機の俺としては開始直後にジャングルの中に身を隠して狙撃の隙を伺うのが理想だ。

対して阿部は短時間で俺を補足して撃破しないと攻撃のチャンスは皆無だ。

なぜなら俺は謎の狙撃手《ONE・リトルドラゴン》との狙撃戦に勝利したスーパーリンクスだからな。

 

「場所は……ジャングルのすぐ側。ハッ、早速ツいてる」

 

ジャングルに身を隠すと同時、アンカーを射出して周りの木々を薙ぎ倒し、それらを束ねてラファールカスタムの胴体部から重ねて覆い隠す。

後は阿部が動くまで待機。

狡猾な狙撃手と言われる程に徹底的に嫌われた《ONE・リトルドラゴン》曰く、狙撃手とはつまり存在しない者。

研ぎ澄まされた一射を放つまで存在を偽り続けろ……だ。

 

ジャングルに身を隠して以降集音センサーと索敵レーダー以外機能させていないラファールカスタム。

俺はというと、喉が渇いて水分を取る以外は完全に目を閉じて耳に意識を傾けていた。

 

「zzz」

 

……もちろん嘘だ、実は昨日寝る時間が結構遅かったから連日の疲れが溜まっててつい……。

軽く数分眠り込んでいる際に騒音に目を覚ますと、ジャングル上空を旋回するウェイブライダー状態のヴァイオレットΖを視認する。

 

『ふざけてんじゃねえぞ!どこだ!烏丸ァァァァァ』

 

(うるさぁ…。つい居眠りしちゃってて怒らした原因の俺がいうことじゃねえけど)

 

『ハッ、良いぜ!てめえがその気なら!』

 

ドドン!ジャングルの一部が唐突に焼かれ、地面が揺れる。

動かない俺に対して業を煮やした阿部がジャングル一帯を全て絨毯爆撃するつもりのようだ。

 

「位置がバレる前に終わらそう」

 

上空から一斉にMSモードでミサイルを斉射したヴァイオレットΖの頭部にスナイパーキャノンの照準を合わせる。

先ずはピタリと頭部に固定し、阿部の行動を、どんな機動パターンを起こすのか、ヴァイオレットΖの軌道を頭の中で先読みし、ヴァイオレットΖがミサイルを斉射した硬直をウェイブライダー状態に変形することで硬直をキャンセルしようとするーーーその変形の瞬間を狙い撃つ。

 

キュィィィ、キュイ、キュィ。

 

本体の頭部複眼を覆うゴーグルバイザーが照準倍率を上げていく。

阿部の行動にも随分慣れ、何度か微調整を行なった後、引き金に指をかけた俺の脳内には頭部を破壊されたヴァイオレットΖの未来が描かれていた。

 

ズーーードンッッ!!!!

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!』

 

頭部損壊ーーーー。

それもMS形態からウェイブライダーへの変形途中という最も中途半端な場面で。

故に満足にブースターを拭かせないヴァイオレットΖは碌な機体制御もできず、重力に引かれるままジャングルの中へと墜ちていく。

 

「墜ちた気分はどうだ。……って、聞こえてるはずがないか」

 

自動で空薬莢が廃莢され、次弾が装填される。

そして間抜けな姿で地面に不時着しているヴァイオレットΖの右肩部ミサイルポッドに狙いをつけ、発射。

ミサイルポッドの誘爆で紫色の右腕があっけなく外れ、奴の武器は最早ガトリングと左側のミサイル、ハンドガンくらいだ。

 

『ぅがっ!?ど、どこだ!』

 

「へぇ、メインカメラが無くたって直感と受けたダメージから狙撃地点を洗い出すか。……まあ、もうそこに居ないんだけどよ」

 

一方阿部は攻撃を受けつつも俺の狙撃地点を割り出してガトリングを乱射して牽制しているつもりのようだが、既に俺は狙撃地点から離れ、阿部の攻撃は何も意味を成していない。

寧ろ自分から居場所を教えてくれてありがとうってものだ。

 

「レーザーライフルまでいかないな、これ。……ったく、もうちょっと頑張れよガンプラ学園生。じゃ、あばよ」

 

レールガンが軽く震え、長い砲身から物凄い速さで弾丸が飛び出し、ヴァイオレットΖが晒す無防備なコックピットに吸い込まれた。

速度は…………………………………………、うん、撃ったら当たった…以上。

 

『バトルエンディッド』

 

「くそぉぁぉぉぉぉ!!」

 

「…………」

 

……え、マジか……たった3発で勝つとか、マジか……マジか。

 

「覚えてろおおおおおおおお」

 

泣き噦り、右腕部と頭部の外れた紫色のZガンダムを手に、阿部は教室を飛び出した。

多分壊れたガンプラの修理だろう。

 

『バトルエンディッド』

 

「………」

 

「お疲れ様。アナ」

 

「ぃぁぁぁぁぁあアナちゃん強すぎて勝てねぇぇうああああとやばのやこやさや」

 

「田中くんが壊れた!メディック!メディーーーーック!!」

 

「上空でひたすらに引き撃ち……。回避行動は最小に留め、かつ全弾避ける。プラフスキー粒子の消費量も……かなり低い。アナちゃん。ビルド能力は幼稚園児の粘土工作レベルなのに……一体何者なの…」

 

別の奴と戦っていたホワイト・グリントは人形のように無表情な顔に物足りないと不満顔。

俺もあいつも、前世では傭兵として生きてきたわけだ、殺しに離れるにつれ自分の腕が鈍っていくのを日に日に感じるのは苦痛だ。

その為にガンプラバトルで鈍らないように感覚を維持するしかないのだが、いかんせんこの学年の奴らは全員弱すぎる。

酔っ払いオヤジことドン・カーネルやザコ中のザコ、ダン・モロと同等レベルにしか感じ得ない。

下手をすれば世界的に有名な学園の癖に破壊工作しかしない変人のチャンピオン・チャンプスでも全員抜くことができる気がする。

 

「あら?アナ。少し不満そうね」

 

だからこそ、実力の伴わない相手では感覚維持にならないどころか逆に本来のレベルを落としてしまう可能性が高い。

今のホワイト・グリントはかつての自分の実力に追いつこうとするものの、全然追いつけていない現状にもどかしさと苛立ちを覚えている。

 

(大会までに俺も幾らか感を取り戻す必要があるかもしれない)

 

今日は月曜日。

今日から数えて5日後に大会がある。

とは言っても1日目に予選で2日目の日曜日に本戦がある。

苦戦することはまずないが、備えはあって困るものでもないし、実はというと、最近欲求不満になってきた、周りが雑魚すぎるからだ。

 

これを解消する為にはホワイト・グリントとタイマンをするのが1番だ。

 

「ホワイト・グリ……アナ。少し、いいか?」

 

さて、伝説の傭兵はどう答えてくれるのやら。




世界の大会で発見!こんなところにリンクスが

ドン・カーネル・サンダースJr.
使用機体 Ez8カスタム『ワンダフルボディ』
前世では操縦もロクに出来ない酔っ払いオヤジ。
ビルドファイターズでは手動操作が主流なので無駄に経験豊富なドンさん感激(ただ、主人公やアナトリアの傭兵は思念で操作出来る)。
ミサイルを搭載したトラックはト○カ製。
180㎜方の他にも秘密兵器があるようだが→→→ドンさんの実力の凡そ9割と言って分かる人はドミナント。
サンダースJr.はおまけのようなものというかなんというか……。

《ONE・リトルドラゴン》本名 王小龍
主人公に心も身体も落とされたリリウムたんに企業から追い出された不死身のジジイ。
ジジイがいなくなり、リリウムたん主導でクレイドル着地地点の救護活動や落とす前に避難を終えていた為、ORCAルートは比較的死傷者が出ずに終了した。
人類が宇宙に進出後はシュミレーションなどを介して主人公に狙撃の技術を叩き込む。
主人公のハーレムエンド結婚式にはリリウムたんの保護者枠で出席、ジジイの癖に大声で泣き喚いて旅団や他リンクス、ネオニダスから微笑ましいものを見る目で見られた。
その後、主人公とリリウムたんの子供が生まれ、血の繋がっていないながらも、可愛い孫と評し、毎日笑顔の爺バカとでもいうべきお爺ちゃんになる。
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