ガンダムアーキテクトレイヴンズ 自堕落な一個人 作:人類種の天敵
また今日も夢に見る、過去の記憶。
白い閃光と幾度となく交差する黒い機体。
穴と形容すべき機体で白い閃光を翻弄し、手持ちのマシンガンを乱射する。
不意に両機を緑色の閃光が包む。
壮絶な悲鳴を上げてバラバラになる黒い機体、向かう先は海底。
俺は、その機体へと鋼鉄の腕を、
「……………」
伸ばした先にあったものは、ジリジリと喧しく鳴る、AMIDA型の目覚まし時計。
「…………朝か」
ボリボリと頭を掻いてベットから立ち上がる。
日曜日の朝9時を表示する枕元の携帯にはホビーショップ店からの着信履歴が、そうだ、今日は。
「いらっしゃいませ〜。あ、烏丸君に真凛ちゃんだ〜」
「やっ♪来ちゃったよっ、氷那乃ー」
「……朝10時つっても客の1人ぐらい居ても良いはずだけどな……」
ホビーショップ リトルサン、休日の朝っぱらから客足がガラガラの模型店に入り、頼んでいた商品を受け取る。
「可変式の大型スラスターとぉ〜、小型のギミックが数個ね〜」
「確かに受け取った。後はこれを装着するだけだ」
持って来たホワイト・グリントの各パーツをケースから出して模型店の中にある作業台に置く。
氷那乃が完成させた各部ギミックを慎重に脚部や腕部の穴に挿入すると、それらはぴったりとハマって簡単には取れなくなった。
「ん、ぴったりだ」
「それにしても〜、ガンプラには見えない機体だよね〜」
後手を組んでホワイト・グリントを眺める氷那乃は呟き、真凛はウンウンと頷く。
当たり前だ、これはおよそガンダムのプラモデルでは無いのだから。
「武器も完成してるし、後は依頼人に渡せば完了だ」
フィオナとアナトリアの2人には既に連絡をしていて、今こちらへ来ている途中らしい。
スマホを一時切ると、店の自動ドアが開く音がして、氷那乃の「いらっしゃいませ〜」という間伸びた挨拶が客を迎える。
「見つけた」
「………よー、お前か、ボクっ娘弟。今日はどうした」
新しいお客さんは、大きめのリュックサックをからったジャンパー姿の美少年……に見える美少女、九十九 瑞穂のようだ。
「あんたを、探してた。……ガンプラバトルをするために」
そう言って彼女がケースから取り出したのは、ガンダムSEEDのストライクに自作のストライカーパックを装備した機体。
「ほほうほうほう、テストには丁度いいか……?」
先ほど完成したホワイト・グリントを見下ろす。
しかし、あのボクっ娘弟がバトルを俺に申し込むのは予想外だった、あっちも俺と同じで新しいガンプラのテストだろうか。
「いいぞ、場所はどうする?」
「コロニーBで」
対戦を受領すると、彼女はテキパキとガンプラセットの準備をする。
互いのGPベースにホワイト・グリントとストライクが設置されてホログラムコックピットと仮想世界のフィールドが構築される。
「ホワイト・グリント、出る」
「セイバーストライク、出るっ!」
塗装を終えていない灰色のホワイト・グリントが空を駆る。
「………さて、と。こいつはどこまでやれるかな」
ホワイト・グリントの特徴は大型スラスターによるオーバードブースト時高推力にものをいわせた超高速機動と、遠距離から高精度ライフル+アサルトライフルによる削り合いだ。
普段使うような地上メインじゃない、相手を思いっきり振り回せ。
相手に追っかけさせて追っかけさせて息切れを狙い、遠距離から淡々と仕留める。
切り換えろ。
大型スラスターの先端に搭載した分裂ミサイルのハッチを開き、ビルの上に着地して周りを見回す。
敵機はすぐに見つかった、南西方向。
その機体は、まるで3代目メイジン・カワグチのアメイジングフリーダムバックパックのような小型の翼を広げて、真っ直ぐにホワイト・グリントの元へ迫っていた。
確認できる武器は両手に持ったハンドガン、両肩はソードストライカーで用いるビームブーメラン『マイダスメッサー』を装備、ロケットアンカー『パンツァーアイゼン』は装着していない模様。
腰部にはフリーダムの腰部にあるようなレールキャノンに似た長方形がぶら下がっている。
エールストライカーとソードストライカーの中間ポジションの機体だろうか?
高機動でいて小回りにも効く、アタッカー機。
「とにかく、先ずは小手調だ」
分裂ミサイルを発射する。
それらは軌道の途中で8つに分裂して個々に瑞穂のセイバーストライクを追いかける。
『数だけならっ!』
セイバーストライクはジャンプしてそれらを全て避け、一直線に飛ぶ。
………その後ろを分裂したミサイル群が追撃する。
『誘導性が強い……なら』
両手に持ったハンドガンを後手で狙って撃ち、ミサイル群を落としていく。
全て撃ち落として着地、もう一度跳ぶ。
『今度は、ボクの番だッ!』
両肩のマイダスメッサーをブン投げ、二本のビームブーメランが飛翔する。
それらをクイックブーストで避けると、至近距離にセイバーストライクが、手にはダガーが握られている。
(接近戦になる……距離を取って)
ビルを蹴って近接戦闘を回避するために上空に飛ぶと、セイバーストライクは手に持ったダガー二本をあろうことかこちらへ投擲した。
「はっ?ぐぅ!」
咄嗟にコックピットを守ったはいいが奴が投げたダガーは肩部と左腕部に深く突き刺さった。
「………」
分かったことが二つ、あのストライクが投擲するダガーはガンプラのフレームを容易く穿つほどの威力らしいこと。
更に、ホワイト・グリントの“プライマルアーマー”が発生していない。
“ネクスト”……このガンプラACは防御性能の大半を“プライマルアーマー”に依存して装甲よりも機動力を底上げしている、その為、紙とは言わないまでも素の防御性能は低い。
(なぜだ)
フィオナ・イェルネフェルトから手渡された専用のジェネレーターも搭載した。
(………まだ何か、粒子を発生させるのに必要な条件が存在するのか?)
『気を抜くのは早い!』
またも投擲されるダガーを舌打ちして避ける。
ダガーを投げ捨てて両手が空いたセイバーストライクは、それを腰部の長方形上部へと持っていく。
ジャコン
「………………嘘だろ、なんだよその無駄なロマン仕様は。……カッコいいじゃねえかよ」
腰部の長方形はマガジンだった、弾薬箱だった、ロマンを詰め込んだ弾倉だった。
箱の上部ハッチが開いて一本のダガーが吐き出される。
それを逆手に掴んだセイバーストライクがすぐさま投擲、投擲、装填、投擲、投擲……。
「威力も高くて弾速も早い」
ドヒャドヒャドヒャ
「攻撃こそ最大の防御……か。つまり、撃たれ弱いってこったろ?」
地面を滑空し飛び跳ねる、ビルの屋上を蹴り飛ばして更に上空へ。
分裂ミサイルを射出して手持ち火器でセイバーストライクをじわじわと削る。
『ぐっ!まだ行ける!』
セイバーストライクが地面を跳ねる、いや、走る。
そのまま地面を飛んでビルを蹴り、勢いをつけて空を飛んだ。
『ぁぁぁぁ!!』
投げられたダガーとビームブーメランを避ける、そしてセイバーストライクは地面へと落下………………、
『すると思った!?』
しなかった。
奴はそのままダガーを逆手に握って空を自由自在に飛ぶ。
ちょこまかと空を駆るセイバーストライクへ分裂ミサイルを発射。
『仕留め……!』
ミサイルが8つに分裂してセイバーストライクへ直撃、どうやらセイバーストライカーが破損したらしい機体は緩やかに地面へと降りて行った。
「さて、終局か」
手持ち武器の火力を集中する。
するとセイバーストライクはビルの陰へと隠れてしまった。
「………」
10秒たっても奴はビルから出てこない。
仕方無しと分裂ミサイルをビルへ直撃させて燻り出す。
爆発、8つ×2、実に16発分のミサイルを至近距離で直撃したビルはゆっくりと崩れていき、辺り一面を下敷きにした。
砂煙が上がる瓦礫群の中で悠然と立つ機影が一つ、セイバーストライクに間違い無いだろう。
『……間に合った』
「?……なっ!?」
煙を突き破った砲弾がホワイト・グリントに直撃した。
衝撃に機体は動かず、地面に堕とされる。
「………なんだよ、それ」
砂煙が去り、姿を現したストライクは、先ほどのセイバーストライカーではなく、新たに各種装甲を備え、背中に巨大な砲身他を背負った重厚なシルエットをしている。
『超重装甲砲撃戦型ストライカーパック、パンツァーストライクだ』
パンツァー……戦車か、また厄介なものを。
サイドステップで距離をとりながらライフル、アサルトライフルを撃ちまくる。
全弾がコックピットへ奔るが、その殆どがパンツァーストライクの追加装甲やシールドに阻まれて虚しい反響音を残して弾かれた。
「……あ、これやべえ」
重苦しい音とホワイト・グリントを掠めた砲弾、背後にあったビルが一撃で倒壊し、奴の背負った主砲がヤバイ威力を持っていることを証明した。
『セイバーストライクはもう使えないから、今度はパンツァーストライクで相手するよ。さあ、やろうか!』
冗談じゃねえそんなガチガチ装甲に付き合ってられるかっ!!!
分裂ミサイルを連続射出、すべて着弾。
奴は無傷、主砲が放たれる、避けきれない、
…………………直撃。
「ごっ、がっ………かはっ!?」
『これで、止めだ』
負ける、負ける、負ける。
……………いや、負ける訳がない。
“戦場”を知らない奴に、負ける訳が、ない。
『?』
ホワイト・グリントの周囲を緑色の粒子が微かに漂い始める。
ホワイト・グリントはそばに倒壊しているビルに手を当てて立ち上がり、ゆっくりと構えた。
『何を』
腕、コア、脚、ギミックが展開され、バイザーをプライドのようにシャッターが降りた。
ズゥゥゥゥン………カァオォッ………!!!
1発逆転を果たしたパンツァーストライクと、絶体絶命のホワイト・グリントが、緑色の粒子と共に眩しい閃光の中に包まれた。
戦闘描写駄文してきた