モンスターストライク・コンバット   作:織戸

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 ヤマタケやっと落ちた(笑)


他の契約者2

 アグナムートと契約した少年、凪枝(なぎえだ)來斗(らいと)

 

 彼はいつものようにモンストをやってたらスマホが急に光り出し、1体のモンスターが現れた。

 それがアグナムートだ。

 

 契約してくれ、と何度も連呼され意味のわからないまま首を縦に振ってしまったことを思い出す。

 

 押されてしまった、というのもあるがアグナムートが美人過ぎるから要求を断れなかったというのもあった。

 アグナムートがこれほどなら他のモンスターもあまり変わらないだろうと思ってた矢先の出来事。

 

「こ、これがモンスター・・・!」

 

「そうよ」

 

 目の前に立つモンスター、フロッギーを前にして來斗は思わず身を引きかける。

 

「木属性モンスター フロッギー。大人しくモンスター界に帰りなさい」

 

 持ってる剣の先端部分をフロッギーに向け、アグナムートは言う。

 

「イイダロウ。キサマガオレニカッタラ、ナ!」

 

 持ってる棍棒をアグナムートに向けて振り下ろす。

 

 ドゴォンッ

 

 地面が陥没するほどの威力。

 

「アグナムート!」

 

 土煙がモクモクとあがる中、來斗は巻き込まれたであろう彼女の名を叫ぶ。

 

「問題ないわ。あなたは下がってなさい」

 

 が、彼女はあっけなく無事だった。

 

「でも」

 

「契約者であるあなたが死んでしまったら、元もこもないのよ」

 

 早く、そう言われて來斗は自分の右手の甲を見る。

 そこには赤い線で刻まれた紋章が描かれている。契約の印だ。

 

「・・・わかった。絶対死ぬなよ、アグナムート」

 

「死ぬわけないじゃない。この先、こんなモンスターと幾度となく戦っていかなきゃいけないんだから」

 

 走ってその場を去る彼にアグナムートは小声で、ニヤけながら言った。

 

「ニゲタカ。アノニンゲンハメンドクサソウダ、アレカラシマツ――――」

 

「させるわけないでしょ!」

 

 剣に炎を滾らせ、フロッギーにむかって振り下ろす。

 

「ヌウッ!」

 

 棍棒でガードするフロッギー。

 だが思った以上に威力だ高かったらしく、少し苦悶の声を漏らす。

 

「ガアッ!」

 

 力任せに薙ぎ払う。

 

「ゼアッ!ラァッ!」

 

 ブオンッブオンッ

 

 横、斜めと攻撃をどんどん繰り返す。

 アグナムートは軽い身のこなしで攻撃をかわしつづける。

 

 ガッ

 

「・・・!?」

 

 自分の後ろに何かが当たる。

 

 壁だ。

 気が付くと真後ろに建物の壁があった。

 

「ムチュウデキガツカナカッタヨウダナア」

 

 ゲロゲロ、と笑い声をあげるフロッギー。その際一緒に動く長い舌の気持ち悪さがアグナムートを少しイラつかせる。

 

「シネェ!」

 

 今まで攻撃した時より倍の力を込めて棍棒を叩きつけようとする。

 逃げ場がないアグナムートはやむを得ずこの攻撃を受けることにした。

 

「くっ!」

 

 その小柄な体のどこに大男、もとい大蛙の攻撃を防げる力があるのだろうか。

 剣はキリキリ、と鳴り地面は軽く凹む。

 

「ホウ、ヨクタエタナ。ナラコレデドウダ?」

 

 片腕で棍棒を振るっていたフロッギー。

 だが、両手持ちに切り替える。

 

 それが示すは、力が倍増することに他ならない。

 

「っ!!」

 

 ミシミシと今にも潰れそうになるアグナムート。

 

「ハッハー!ツブレロツブレロォ!!」

 

(このままじゃまずい。どうにか、どうにかしないと・・・!)

 

 攻撃を受け止めながら逆転の手段を試行錯誤しているアグナムート。

 もう何もできまいと勝利を確信するフロッギー。そこへ―――――

 

 ガッ

 

「・・・・?」

 

 フロッギーの頭に何かが当たる。

 当たった何かは地面に硬い音をだしながら転がっていく。

 

 その正体は石だ。

 石がフロッギーの頭に当たったのだ。

 

「!チッ・・・!?」

 

 当たった部分から、少量だが血が流れ落ちる。

 

「はあ、はあ」

 

 石が飛んできた方向に視線を向けると、そこにはアグナムートの契約者、凪枝來斗が立っていた。

 

「來斗!?」

 

「ごめん。やっぱ心配で戻ってきちゃった」

 

 苦笑いする來斗。

 

「キサマァ・・・」

 

 こめかみに太い血管を浮き上がらせ、攻撃目標をアグナムートから來斗に切り替えるフロッギー。

 叩きつけから解放されたアグナムートは急激な脱力のあまり、膝を着いてしまう。

 

「ニンゲンゴトキガコノオレニキズヲ・・・!ユルサン!」

 

 このままではマスターが、來斗が殺されしまう。そう感じたアグナムートは

 

「は、早く引き返しなさい!」

 

 逃げてもらいたい一心で喉が張り裂けそうなくらい叫ぶ。

 

「嫌だ」

 

 だが彼は首を横に振る。

 

「お願いだから!」

 

「嫌だ」

 

「早く!!」

 

「嫌だ!!」

 

 どうしても首を縦に振らない來斗。

 なんで?と、アグナムートは訳がわからなかった。

 

 人間がモンスターと出くわしたら逃げ一択。そう知っていたのに。

 なのに目の前の人間、凪枝來斗は一度こそ逃げたものの二度目は逃げない。

 

 理解ができなかった。

 

「どうして?なんで・・・なんで逃げてくれないの?」

 

 だから理由が知りたかった。

 

「・・・アグナムートは、アグナムートはモンスターである前に、その、ひ、一人の女の子だから!だから!女の子を一人おいて男が逃げるわけにはいかないんだ!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

 理由を聞いて素っ頓狂な声をあげるアグナムート。

 

 それもそうだろう。逃げない理由が女の子をおいていけない、という理由なのだから。

 

「あ、あなたバカじゃないの!?確かに私は女だけど、モンスターなのよ!?」

 

 顔を真っ赤にして言うアグナムートに來斗は

 

「モンスターがなんだ!女性を守るのは男の(さが)だ!」

 

 彼もまた顔を赤くしながらそう言った。

 

 ☆

 

 

「ハハハハハハハハハ!!!!」

 

 その様子を屋上でみてた通とルシファー。

 通は大声で笑い、ルシファーはため息を吐いていた。

 

「死ぬ、笑い死ぬ。腹筋がものすごく痛い」

 

「笑い過ぎよトーリ」

 

「ごめんごめん。でもさ、戦いの真っただ中なのにそんなこと大声で言うやつ普通いるか?いないだろ?ハハハハハハ」

 

「アグナムート、顔をさらに赤くしてあたふたしてるわね」

 

「うん、この前のルシファーを思い出すな」

 

「射るわよ?」

 

「はいごめんなさい」

 

 指先(じゅうこう)を自身に向けられ冷や汗を流す通。

 

「さ、笑ってないで続きを見ましょ」

 

(指を下げてくれないかな)

 

 

 ☆

 

 

「ヌラァ!」

 

 來斗にむけてフロッギーは棍棒で攻撃する。

 

「來斗!」

 

 渾身の力を足にこめてアグナムートは疾走。

 そして瞬時に來斗を抱きかかえてその場を離れる。

 

「ありがとう。助かったよ、アグナムート」

 

「ほんっと、あなたバカなの?人間ならまだしも、モンスターに向かって「女を置いていけない」なんて」

 

「男に生まれたからには当然さ」

 

「なら仮にあなたの契約者が私じゃなくてあのフロッギーしかも女性だったら同じ事をした?」

 

「え。それは・・・うーん、迷うな」

 

 想像すると正直鳥肌が止まらない。

 來斗はそう思った。

 

「ほらみなさい。アグナムートというモンスターがもしフロッギー(あれ)だったらあなたは戻ってこなかったんじゃない。男がどうのこうのって言ってたけど、聞いて呆れるわ」

 

「なら言い方を変えよう。君だから戻って来た。これじゃダメ?」

 

 その言葉にまた顔が赤くなりだすアグナムート。そこへ、

 

「ニガサンゾォ!」

 

 フロッギーが大股で歩み寄ってくる。

 

「~~~っ!は、話はあとで聞くとして、今度こそアイツを倒すわよ!」

 

 アグナムートの長く赤い髪が揺らぎはじめ、彼女の持つ剣が炎に包まれる。

 

「うおっ」

 

 その瞬間、來斗の右手に刻まれた紋章が輝きだす。

 

「いくわ・・・ってあれ?」

 

「どうした?」

 

「なぜだか知らないけど力がみなぎってくるの。ほら」

 

 そう言ってアグナムートは來斗に自分の持ってる剣を見せる。

 見れば剣を纏っていた炎がさらに勢いを増している。

 

「もしかして、これのせい?」

 

 紋章をアグナムートに見せる。

 赤い線が輝きを現在進行形で強めている。

 

「なぜだかわからないけど、これなら水属性だろうと光属性だろうと一撃で屠れる自信があるわ!」

 

 両手に持ち、構え、走る。

 

「シネエ!」

 

 棍棒を振り下ろしてくるフロッギー。

 アグナムートはその棍棒を剣で受け―――――否、切断する。

 

「ナニィ!?」

 

「はあっ!」

 

 ズバッ!

 

 フロッギーの左肩から右腰にかけて一直線に斬る。

 切り口には炎が燃え盛っている。

 

「ガ・・・ハッ・・・!」

 

 よろよろとよろめき、フロッギーは地面に大の字になって倒れる。

 

「ニン、ゲン、ナンカト、ケイヤクシタモンスターゴトキニ、コノオレガ、タオサレル、トハ、ナ・・・」

 

 フロッギーの体は黄色の粒子と化し、消える。

 それはモンスターがモンスター界に戻っていった事を意味する。

 

「帰った、わね。やっと」

 

 一安心して気絶するアグナムートを來斗が支える。

 

「お疲れ様。アグナムート」

 

 來斗は優しく囁いたのであった。

 

 

 ☆

 

 

「おかしいわね」

 

「何が?」

 

「私の知ってるアグナムートは、フロッギー如きに遅れをとるようなモンスターじゃなかったはずだけど」

 

 顎に手を添えて考えるルシファー。

 んー、変な物でも食べた?とかかな。

 

「にしても、あれが本来の戦いってやつじゃないのルシファー。攻撃しては避け、また攻撃しては今度はガードして、そして最後はきめにいく、あの姿がさ」

 

「私だって敵がもう少し強ければああなるかもしれないけど現状、弱いやつばかりなんだもん」

 

 もん、て・・・。

 

 まあルシファーが余裕でいられる分、こっちは安心できるしいっか。

 

 ルシファーが本気で慌てふためくモンスターが出てきたらその時は人類の終わりと認識していいかもしれない。

 そんな日がこなきゃいいんだけど。

 

「見るもん見たし、帰るかルシファー」

 

「そうね。早くあのクレープ食べたいわ」

 

 先に歩くルシファーを後目に俺はアグナムートと契約した男を見る。

 

 あくまで俺の勘なんだが、アグナムートが弱いと感じた理由ってもしかして―――――

 

「トーリ何してるの?行くわよ」

 

「はいはい、今行きますよ」

 

 




 人物紹介

 凪枝來斗

 アグナムートと契約した男の子。契約の印である紋章は右手の甲にある。色は赤。
 性格は正義感が強く、悪い奴は見逃せないタイプ。いわば思いっきり主人公気質。


 アグナムート

 未進化状態で人間界に降臨。
 善意に溢れ、間違った事は見過ごせない性格。
 マスターである來斗と似ている。

 一言

 來斗が思いっきり主人公みたいな感じですがこの物語の主人公は通です。そこらへん間違いがないようにお願いします。
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