ゲート・忍者来れり 作:体は大人!心は中二!
警察に任意同行した俺達は別々の取調室にて刑事さんの取り調べを受けていた。
「どこから来たの?出身は?」
狭い部屋の中にある机の向こうで強面の刑事が俺に質問をする。
とても答えずらい……異世界から来たなんて言ったら自来也と同じ尿検査を受ける事になる。
しかし、取り調べでは嘘をついてはならない。
それに、嘘ではないのだ、元日本人としてここは正直に答えよう。
「門を通じて異世界から来ました」
「おい、コイツも尿検査だ。
お茶を入れられないように注意しろ」
「分かりました。すぐに手配します」
ですよねー。
程なくして尿を検査する為の機材を持った人たちが現れ、男子トイレにて警察官に出すところを凝視されながら検尿カップに注いだ。
途中『で、でかい…』と言うお巡りさんの声は聞こえなかった事にしよう。
「陽性反応は…ありません」
「本当か?なら認知症の疑いがあるから病院に検査の手配をしろ。
あの白髪も一緒だ」
カップに入れた綿棒やスポイトで採取した尿を機材で調べたが陽性反応は当然出る事はなかった。
しかし、刑事さんはもう一つの可能性として脳の異常を考えたようだった。
別々のパトカーに乗せられた俺達は総合病院にて脳の検査を受ける事になった。
その結果……俺達は日本人を勘違いしている海外のスパイではないかと疑われるようになった。
異世界が海外に当たるのかは分からないが少しだけ真実に近づいたようだ。
「おまえ…どこの工作員だ?その顔は整形だろう?
もう少し日本人の勉強をしてから来るんだったな。
もうすぐ、防衛相の人間がやって来るから待って居ろ」
俺と自来也を同じ牢にいれ、出ていく刑事さん達。
彼はアジアの特定の国が嫌いなのだろう。
吐き捨てるように言って出て行った。
俺も前の世界にて直接的に迷惑をこうむった事があるから同意だがな。
つーかこの時代においてもやっぱり嫌われているんだな……。
日本はアジアの嫌われ者。
キムチは世界の嫌われ者。
自転車は宇宙規模の嫌われ者とよく言ったものだ。
「それで?いつまで大人しくしているつもりですかの?
もし、暁のおなご達が貴方の姿を見たら間違いなく戦争ものですぞ」
「あー。俺達は外国の工作員と思われているらしいから仕方がないだろう。
それに、俺達に会いに来るのは防衛相だ。
この国の防衛を司る人間ならば上層部の人間だ。
上手く事情を話してコンタクトを取れば、友好的になるだろうし、何かしらの利益にはなるはずだ。」
「まぁ、パトカーとやらの製造方法が分かれば我々でも作れそうですし、建築技術も向上しましょう。
ですが、相手は我々よりも僅かですが文明を先に行っていると思いますので足元を見られませぬか?」
「それは…その時だな」
「いい加減と思いますが……今は情報が少ないからやむなしですな」
それから数時間後。
ゾルザルのフルカスタムジョニーが火を噴いている頃、世界は門によって驚きに包まれた。
二人が警察のお世話になっている頃、交番の警察官が報告書をまとめる為に門を調べていた。
大きさや、素材などを大体記入した彼らは内部構造を調べる為に中に入った。
するとそこには長いトンネルがあった。
慌てて外に出て、門の後ろを確認するも、門の中でみたトンネルはない。
この摩訶不思議な未知の遭遇に門を調べていた警察官は驚いた。
不思議な門について、抱えきれなくなった警察官はすぐに上司に相談した。
この時の彼の行動は正しい。
しかし、彼は重大なミスをした。
大した規制もせず、民間人が沢山歩いている銀座の街で大きな声で無線を使って話してしまったのだ。
バサラ達が捕まった辺りから門を見物していた大学生~好奇心旺盛な女子高生に報告を聞かれてしまい。
『異世界人キタコレ!!』
『銀座の町に異世界に通じる門が出現!!パトカーに乗せられた二人は異世界人なのか!?』
みたいな感じでSNSなどのツールを利用して、世界に拡散。
もちろん観光に来ていた外国人や在日の外人も門の存在をSNSで拡散していた為、信憑性が高い情報として世界のネットニュースで取り上げられるようになった。
後日、世界の関心を集めたこの門は、日本の調査チームによって調べられることになるのだが、海外のスタッフを貸すので珍しい物を発見した場合は分けてほしいなどと沢山のオファーが届くことになる。
他にも……。
『あれは千年前に我が国から日本に盗まれた門ニダ!!即刻返すニダ!!』
『東京はもともと我が国の領土だったニダ!!つまりあの門は我が国の物ニダ!!』
『慰安婦問題について許してやるから、一番初めに門を調べる権利をよこせニダ!!』
『日本の独占利益は許さないアル。利益が出たら南京で虐殺した国民の賠償として我々にも寄越すアル
へ?学生を虐殺?天〇門事件?何それ?食えるの?』
『尖〇には手を出さないから門をよこすヨロシ』
『世界に向けて発表します。あれは、我々の指導者が設計し、パーツを一つ一つ組み上げて作っていた物です。
しかし、日本の工作員に奪われました。
我々はこの事を強く批判し、門の返還を要求します。
総統閣下バンザーイ!!!』
『催促するわけではないけど、アメリカにも一枚噛ませてくれるよね?』
『門で利益があり、我々にも共有してくれたら日本を信頼し、北方〇土を返還しよう』
等々、簡単であるがなかなかのアプローチに国会は大忙しになる。
勿論、豚足様や任期が終了すると共に処刑されたり逮捕される大統領の国のご意見は完全に放置された。
世界に異世界ブームが巻き起こる。