翻訳の関係でおかしさが増しているとでも思ってください。
〈閃光/フラッシュ〉の効果が切れんすと、その風景は一変、石造りの街中を、馬車が音を立てて進んでいんすね。
周りには、大勢の人間やら
「……人間の街でありんすか?それにしては獣人のような亜人種もいんすし……わたしの〈不死の祝福〉には異形種、それもアンデッドの存在まで見えるでありんす。随分と可笑しな街……ま、それもわたしには好都合でありんしょう」
そんなことより、できる限り早く愛しの君の元へ、ナザリックに帰還できるように、
世界征服に向けて動き出さなければいけないでありんす。
……しかし、わたしでは何をするべきかさらさら見当がつきんせん。
デミウルゴスでもいれば違うのでありんしょうが、わたしは考えるのが苦手でありんすもの。
で、ありんしたら、ここは先人の知恵に従うべきでありんすね。
偉大なる智謀の御方がおとりになりんした策であれば、間違いなどあるはずありんせんもの。
……アインズ様は確か、冒険者などというものになっておられいんしたね。
ならば、ここにも冒険者なるものがありんしたら、冒険者になりんしょう。
「もし?そこの人間。ここで冒険者になるにはどこに行けば良いでありんすか?」
「に、人間?どういう話しかけ方を……いや、その紅い瞳は紅魔族か。紅魔の里から来たばかりだったらここのギルドを知らないこともあるか。」
「グダグダとしてないで、聞かれたことだけをさっさと答えんし?」
「お、おう……冒険者ギルドだったらここの通りをまっすぐ行って、右に曲がれば看板が見えてくるから」
「ふむ……情報提供に感謝するでありんす」
「……やっぱ紅魔族はおかしな奴らばかりなんだな」
「おい、そこのお前……今なんて言ったか聞かせてもらおうか」
「げぇっ!一難去ってまた紅魔族かよ!」
───冒険者ギルド───
アインズ様が作戦のため加盟されんしておられた組織にして、冒険者への職の斡旋などをする組織……でありんしたっけ?
ま、入りんせんことには何もわからないでありんすし、さっさと入るとしんす。
「あ、いらっしゃいませー。お仕事案内なら奥のカウンターへ、お食事なら空いているお席へどうぞー!」
中に入ると、短髪赤毛の人間が愛想よく出迎えてきんす。
冒険者ギルドだけではありんせず、酒場も併設しているようでありんすね。
そこかしこで鎧を着た人間が酒を飲んでいんすが、どれもこちらには絡んでこないようでありんす。
こちらのことをチラチラと見てるものは何人もいんすが、
そんな当然のことをいちいち気にはしてはいられんせん。
とにかく、冒険者になるためにカウンターに向かうとしんしょう。
受付には4人で男女二人づつが座っていんすね。
わたしとしては女の方と遊びたい気もしんすが……円滑に進めるために、魅了の効きやすさを考えると、異性の方が抵抗しづらいことは確かでありんす。
それに何よりも、待つということはあまり好みではないでありんすしね。
「冒険者登録をしたいでありんす」
「冒険者登録ですか?でしたら登録手数料が千エリスですが」
……ふむ、金銭を要求するでありんすか。
しかし、今のわたしは無一文でありんすし……
しっかり相手の目を見て
「目を見ろ」
「え?」
「千エリス、わたしに渡せ」
「はい、どうぞ」
「じゃあ、もういいでありんすよ」
なんだ、案外簡単に得られるものでありんすね。
魅了は解いたし、さっさと貰った金銭で登録するとしんしょう。
「はい、千エリスでありんす。」
「あ、はい。では、冒険者になりたいと仰るのですから、ある程度理解はしていると思いますが、改めて簡単な説明をさせていただきます。……まず、冒険者とは街の外に生息するモンスター……。人に害を与えるものの討伐を請け負う人のことです。とはいえ、基本はなんでも屋みたいなものです。……冒険者とはそれらの仕事を生業にしている人たちの総称。そして、冒険者には、各職業というものがございます。」
職業?
それも登録するとなるでありんすなら、それぞれのLvまで全て書き記すべきでありんしょうか?
だとしても、すべての情報を開示するのは愚策でありんすから……何を書くべきなんでありんしょう?
などと考えていると、受付の人間は、わたしの前にそれぞれカードを差し出すし、説明を始めんした。
「こちらに、レベルという項目がありますね?ご存知のとおり、この世のあらゆるモノは、魂を体の中に秘めていいます。どのような存在も、生き物を食べたり、もしくは殺したり。他の何かの生命活動にとどめを刺す事で、その存在の魂の記憶の一部を吸収できます。通称、経験値、と呼ばれるものですね。それらは普通目で見ることはできません。しかしこのカードを持っていると、冒険者の方々が吸収した経験値がここに表示されます。それに応じて、レベルというものも同じく表示されます。これが冒険者の強さの目安になり、どれだけの討伐を行ったかもここに記録されます。経験値を貯めていくと、あらゆる生物はある日突然、急激に成長します。俗に、レベルアップだの壁を越えるだのと呼ばれていますが……。まあ要約すると、このレベルが上がると新スキルを覚えるためのポイントなど、様々な特典が与えられるので、是非頑張ってレベル上げをして下さい」
……衝撃の事実でありんすね。
まさか、食事をすることで経験点を得ることができただなんて……帰ったらアインズ様に報告しんしょう。
ま、それはともかく。
ここの生き物は自身の能力をこのような媒体を使わなければ認識できないのでありんすね……。
やはり、至高なる御方々と、その手で創り上げられたわたし達は、一般の者とは異なるのでありんすね。
「まずは、こちらの書類に身長、体重、年齢、身体的特徴等の記入をお願いします」
そう言って受付が差し出した書類に、わたしはペロロンチーノ様に創り上げられた設定を書き記していきんす。
身長─140cm、体重─秘密、年齢─秘密、特徴─銀の髪、真紅の目……貧乳は、書かなくてもいいでありんすね。
「はい、結構です。ではこちらのカードに触れてください。それであなたのステータスがわかりますので、その数値に応じてなりたい職業を選んでくださいね、経験を積む事により、選んだ職業によって様々な専用スキルを習得できる様になりますので、その辺も踏まえて職業を選んでください」
おっと、早速きたでありんすね。
わたしのステータスなら、見せただけで人間は皆頭を垂れるかも知れないでありんすね!
そうすれば早く魔王討伐までいけるかもしれないでありんすし、さっさとカードに触れるとしんす。
「……はい、ありがとうございます。シャルティア・ブラッドフォールンさん、ですね。ええと……。
!?な、なぁ!?なんですかこの数値は!!筋力、生命力、魔力に器用度、敏捷性、知力に幸運どのステータスをとっても最上級、いえ、前代未聞の数値ですよ!?あらゆる数値がまんべんなく高くて全くの隙がない……一体あなた何者なんですか……っ!?」
わたしのステータスを見た受付が騒ぎ出し、施設内がざわめきんしたね。
ま、偉大なる御方に創造された身としては当然のことでありんすけど。
「す、凄いなんてものじゃない!これほどのステータスがあればどんな職業にも就けますよ!高い知力を必要とする上級魔道士《アークウィザード》。最高の防御力を誇る聖騎士《クルセイダー》。最高の攻撃力を誇る剣士《ソードマスター》。あらゆる回復魔法と支援魔法を使いこなす万能の上級神官《アークプリースト》など……最初からすべての上級職に……!」
「つまり、何の職業にも就けるってことでありんすか?」
「はい、いま現在確認されている全職業のリストをお渡ししますので、そこからお選びください」
そうして、わたしは受付に渡された資料に目を通すために、テーブルにつきんした。
ひどく硬いテーブルでありんすが、ナザリックと比べるのが間違いでありんしょうから、気にしんせん。
たった30Pしかない職業リストを眺め、どの職が最もいいか考えしんすけど……どれが一番強いかは、考えるまでもないでありんすね。
なにせ、至高なる御方々も仰られていたでありんすもの。
『モモンガさーん。欲しいスキルを全部取ろうと思うと、レベルが足りないよー』
『うーん、ドッペルゲンガーも再現できるスキルが8割ですし、どうしてもどこか諦めないといけないですよね』
『一度見たスキルを模倣できる
『いや、流石にそういうのはオンラインゲームとしてバランスブレイカーすぎるだろ。世界級アイテムにでも期待するんだな』
などということを!
つまり、この職業はワールドアイテムにも匹敵するということ!
「決めたでありんす。わたしは……《冒険者》になるでありんす」
「え、冒険者ですか?確かに《冒険者》はあらゆるスキルを習得できますが……必要なスキルポイントは多くなりますし、職業補正もないですよ?」
「多少の補正はステータスでどうにかしんす。それより、どのスキルも習得できるという方が大事でありんす」
「は、はぁ……。ま、まぁ。シャルティア様なら《冒険者》でも十分な活躍をなさるでしょう。では、《冒険者》……っと。冒険者ギルドへようこそシャルティア様。スタッフ一同、今後のご活躍を期待しております!」
受付はそう言って、にこやかな笑みを浮かべんした。
こうして、わた……わらわの異世界での冒険者生活が始まりんした。……よし。