この素晴らしい世界を御方に!   作:syun zan

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シャルティア、話を聞く。

リッチーのウィズの家で一晩を明かした翌朝。

わたしはウィズにこの世界に関する知識を教えてもらうことにしんした。

 

「……なんで私が教えなきゃいけないんでしょうか」

「嫌なら教えてくりんせんでも構いんせんですけど、もし教えてくりんせんなら今晩はもう少し激しくしんすよ?」

「えっ、それなら……って、なんでそういうことをする前提なんですか!」

 

うーん。ウィズは何やら教えたくないようでありんすね。

一体何故でありんしょうか。

はっ。……そういうことだったでありんすか。

 

「激しくヤるほうがお好みなら、最初からそう言ってくれれば良かったでありんすのに……」

「い、いいえ!そんなことはないです!教えますから、優しくお願いします……」

 

 

           *

 

 

そんなこんなで、ウィズから幾つか魔王軍に関する知識を、聞き出したでありんす。

例えば、魔王城には魔王軍幹部8人がかりの結界が張ってあって、普通なら幹部全員を倒さなければ魔王を討伐しに行くことはできないという事とか。

 

「んー。ウィズは色々知っているでありんすね……それにしても、ウィズがレベル100超ぞろいの魔王軍の幹部だったということには驚いたでありんす」

「幹部って言っても、なんちゃって幹部ですけどね。賞金もかかっていないですし、シャルティアさんの力なら強引に結界の突破もできそうですし」

 

ウィズの話に出てきた幹部はどれも当たり前のように100レベルを超えているとのことでありんした。

そのうちの一人がウィズでありんす。

100レベル超の存在が8人がかりで張った結界と聞くと、非常に強固なようにも聞こえるでありんす。

幹部連中を倒していけば結界も弱体化するとのことでありんすし、目の前の魔王軍幹部を討伐してもいいのでありんすけど……それは少し勿体無いでありんすから、自力で破壊する方を目指したいでありんすね。

 

「とはいえ、ウィズも結界を破ったことがありんしょう?そんなウィズが従うぐらいでありんすから、魔王というのはよほど強大なのでありんすよね」

「うーん、どうなんでしょう。魔王はもうご老体ですし、強大というより厄介といった感じですかね」

「……厄介、でありんすか」

「もちろん、弱いわけではないんですけど……オーガとかなら片手で捻り潰せるらしいですし、なによりも魔王が魔王たる所以である『チート』は残っているそうですし」

 

『チート』。

確か、常識外で反則的な力のことでありんしたね。

ナザリック地下大墳墓に下賤な奴らが大挙して攻め込んできた時も、そいつらをまとめて撃退したナザリックの偉大な力は『チート』呼ばわりされていんした。

魔王は、そんな『チート』を持つでありんすか……

 

「つまり、魔王を倒すにはその『チート』をどうにかしなければならないでありんすね……チートの内容について、ウィズは知りんせんか?知っているのなら……」

「すいません、何分魔王は用心深いおじいさんなので……実の娘と、側近、後は魔王があの人に成る前の代から魔王軍の幹部をやっているような人達ぐらいしか知らないと思います」

 

うーん。幹部をやっているウィズなら対処法なども知っているかと思いんしたが、そう上手くはいかないでありんすね。

 

「そうでありんしたら、当面の目標は『チート』の内容について知っている幹部を探すことになりそうでありんすね……ウィズも一緒にきんせんか?」

「いえ、私はこの街でまだやりたいことがあるので……」

「なら、仕方ありんせんね」

「じゃ、じゃあ……」

「しばらくはここを拠点にして幹部探しでありんすね」

 

遠出をするときも、わたしの飛行速度と、〈異界門〉がありんすし。

せっかく手に入れた本拠地(ホーム)を出る必要はないでありんすからね。

しかし、そう言うと、ウィズは残念そうな顔をしていんした。

 

「……うん、そうですよね……」

「?なんで、そんな残念そうな顔を──」

 

そこまで言いかけたでありんすが、わたしの言葉はそこで止められんした。

尋常ではないエネルギーに灼かれ、全身の肌が沸騰するような激痛が走りんす。

それこそ、ワールドアイテムのような、世界を変貌させかねないほどの力を感じ、

わたしも、なんだか薄くなっているウィズも、そちらを向きんした。

そして、

 

「こ、これはなんでありんすか?あれほどの莫大な正のエネルギー、いえ、まさか、神気……?ウィ、ウィズ、何か知っているでありんすか!?」

「知りませんよ!こんな神気だなんて……それこそ神の奇跡級の大魔法でもなきゃ……」

 

ドカン、と。

爆音が大気を揺らしんした。

今度は、〈失墜する天空〉を思い出すような、熱気と魔力を感じんした。

 

「……一体なんなんでありんすか!この街は大魔法が当たり前のように連打される街なんでありんすか!」

「ふ、普段はこんなことはない駆け出し冒険者の街ですよ!」

 

……それはおかしな話でありんす。

駆け出しの街なら、そんな強大な魔力を持つ存在はいないはずでありんす。

一体どんな奴が駆け出しの街で大魔法を放っていくのか……気になりんすね。

 

「よっしゃ、何がそんな大魔法を放ったのか、見に行くでありんすよ!」

「ええ!危険なモンスターが出たとかだったら、この街が危ないですし、もらえる報奨金も高いですから!」

 

そうして、わたし達は音のした方へ走っていきんした。

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