「これは……ひどい有様でありんすね」
例の魔法が放たれた地点まで急いで来てみれば、地面は凹み、一部が硝子と化していんす。
相当な火力の魔法攻撃が放たれたのが見て分かるでありんすね。
ウィズは、ペタペタと地面に触れ、何やら色々と調べているようでありんす。
こういう時は、どうしても暇になってしまうでありんすから、探索系スキルが欲しくなるでありんすね。
後で誰かに教えてもらいんしょうか。
「で、ウィズ。これが何の魔法によって出来たか分かりんしたか?」
「はい……この破壊痕と、残留魔力から推測するに、爆裂魔法が使用されたみたいですね……」
「爆裂魔法?これが?こんな跡を残したのが〈
「はい。人類が扱える最大火力の攻撃手段にして究極の攻撃魔法ですね。」
それは可笑しな話でありんす。
〈
例え、〈
そんな魔法が人類の最大火力と言われているでありんすか?
この程度のクレーターしか作れない魔法が?
だとしたら、この世界の存在は、弱い……?
……いえ、違いんすね。
「ただし消費スキルポイントが少なくても50ポイントと尋常じゃない上、大概のモンスターに対してはオーバーキル、ついでに地形も変えてしまうので、ダンジョン内では使えません、とどめに消費魔力が異常に多いため、普通の人間なら一発撃てれば御の字、撃てても気絶してしまうと欠点ばかりのネタ魔法です。膨大なスキルポイントを持て余した高レベルの
「なら、その使い手が来ているということは、もの好きな不死者がこの近くに来たってことでありんすか?」
「私の知っている爆裂魔法使いは、魔王軍幹部に一人居るだけですけれど……この近くに来ている可能性は否定できないですね。ですが、違うとは思いますよ?彼女が爆裂魔法を放っていたのだとしたら、損害はこの程度では済まないでしょうし」
ほら、やはりそうでありんした。
この世界の魔法が、この世界の存在が、弱いわけではありんせんのね。
偉大なる御方々が余りにも強かったというだけのことでありんしょう。
そして、ここで魔法を使った者が、60レベルくらいの、爆裂魔法が使えるようになったばかりの弱い使い手だとすれば、全てに説明がつきんす。
「つまり……ねぇ、ウィズ。」
「はい、なんでしょうか?」
「私は思いんすが……爆裂魔法を使ったのは、そこで倒れてる娘なのではありんせんかえ?普通の人間が使うと魔力切れで倒れるんでしょう?」
「いや……いくら紅魔族とは言っても、人間ですし……むしろ紅魔族だからこそ、そんなネタ魔法を覚えるとは思えないのですが……」
紅魔族?
また知らない言葉が出てきんしたね。
でもまあ、爆裂魔法なんて覚えようとはしない種族だということはわかりんした。
じゃあ、この娘が爆裂魔法の使用者ではないのでありんしょうか……
わたしは、この娘がやったようにしか思えないでありんすが。
そう言いながら、眼帯の少女をじろじろ見回していると、その少女は杖を支えにして立ち上がりんした。
「さ、さっきから聞いていれば欠点ばかりだのネタ魔法だの、さんざんに言ってくれますね……」
「ちょ、めぐみん!?一体何をするつもりなの!?」
「いいでしょう!見せてあげますよ!」
「何言ってるのめぐみん!もう魔力空っぽでしょ!!何を見せるっていうのさ!!」
隣に立っていた似たような特徴を持つ少女───先の少女と比べて随分と発育がいいし、姉でありんしょうか───の制止も聞かず、バサッとマントを翻し、杖を空に掲げ、震える足で立ち上がったその少女は、わたしたちの方を赤い片目で睨み、言い放ちんした。
「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りしもの!」
と。
それも、ない胸を張り、堂々と、でありんす。
にしても、“めぐみん”でありんすか……。
「おちょくっているでありんすか?ふざけているでありんすか?」
「ち、ちがわい‼︎」
「紅魔族の皆さんは、たいてい変な名前を持っていて、変わった名乗りをするんですよ」
ウィズがわたしの疑問に小声で答えんした。
たいていが変な名前だったでありんすか……ふざけているわけじゃなかったでありんすのね。
「我が爆裂魔法を馬鹿にしたあなた達に、爆裂魔法を見せてや……りたいところですが、魔力がないので、今日はもう撃てません。また明日ここに来てください。本当の爆裂というものを見せてあげますよ」
「ダメ!ダメだよめぐみん!なんで一発しか打てない魔法をそんなにポンポン無駄打ちするの!?いざという時に困るじゃない!!第一、こんなところで爆裂魔法なんて意味もなく撃ったら、アクセルの街の人にすごく迷惑がかかるでしょ!!」
「ふ……そんなことを考えていては、一流の爆裂魔法使いにはなれませんよ。いいですか、ゆんゆん。真の爆裂魔法使いとは」
「ならないから!爆裂魔法使いになんて絶対ならないからね!!」
と、漫才のような言い争いを繰り広げている2名の紅魔族に、わたしは少し、懐かしさを覚えんした。
ナザリックで、わたしが馬鹿をやってはちびすけと言い争いになった時のことを思い出して。
……きっと、この二人はとても仲の良い親友なのでしょうね。
そう思うと、少し羨ましくも思えるでありんす。
「……まあ、爆裂魔法を使ったのが悪い存在じゃないようでよかったです。ね、シャルティアさ……あれっ?」
嗚呼、ナザリックが懐かしい。
帰るためにも、一刻も早く強くならなければならないでありんすね。
例えば、この世界で最強の攻撃手段を身に付けるとか。
「めぐみん、といったかぇ?」
「はい?」
「明日、楽しみにしているでありんすよ」
「……もちろん!度肝を抜いてあげますよ!!」