私は息を潜めてその瞬間を持つ。
まるで狩りを行う肉食獣のように、もしくはそれを狩るハンターの心境で、じっとその瞬間を。
月明かりもない暗い夜。闇が蠢くには打って付けと言えるだろう。
静まり返ったアリエス離宮のグレイトホールでは、今まさに二つの人影が向かい合っていた。
上階へと繋がる階段を降りてくる、ドレス姿の女性。
そして階下で彼女を待つのは貴族服とマントを身に纏う金髪の少年。
「何なの、急な用って? 人払いはしておいたわ。コーネリアも下がらせたし」
女性は少年に問い掛ける。
彼女の言葉からも分かるように、密会を申し出たのは少年からだ。
親子ほど年齢の離れた二人の関係、それは些か複雑だった。
「ごめんね、シャルルの居ないところで」
「アーカーシャの剣の件なら────」
「うん、いや……シャルルの事なんだ。
君に出会ってから、シャルルは変わってしまったよ。互いに理解し合っていくのが楽しくなってきたみたいだ。このままだと、僕達の契約はなかったことになってしまう。僕だけ残されちゃう」
「え?」
「神話の時代から、男を惑わすのは女だってお話」
「っ!」
女性は少年の口から発された言葉に含まれた不穏な空気を感じ取り、また口元に微かに浮かんだ歪んだ笑みに気付いた。
本能が囁いたのか咄嗟に身構えようとする女性。
だが次の瞬間────
「マリアンヌ様」
「っ!?」
背後から掛けられた声に、驚きを押し殺しながら振り返る女性。彼女の視界に映り込んだのは、彼女自らが下がらせたはずの警護官達の姿。
「貴方たち、下がりなさいと────」
女性は語気を強めた。
整えられた舞台上に出現した予期せぬ部外者の存在に、さすがの彼女も焦りを抱き、目の前の少年から意識を逸らしてしまう。
そう、彼等は閃光のマリアンヌという名の獲物を狩る為の贄だった。
少年は待っていた。彼女が自分から意識を逸らし、隙を晒す瞬間を。
だから少年は隠し持っていたアサルトライフルを取り出し、その銃口に獲物を捉えると、一切の躊躇いなく引き金に指を掛けた。
火薬を用いた旧式の銃器とは違い、現在の銃器は全て電磁式。火薬式よりも遙かに反動が小さく、例え小柄な少年でも目標を蜂の巣にすることは容易だろう。
その光景を想像してか、少年は狂気の笑みを浮かべ、引き金に掛けた指に力を込めた。
刹那、放たれた無数の銃弾が女性を、その背後にいる護衛官共々撃ち抜き、彼女達を深紅に染める。
それが本来訪れるべき未来。
しかしその瞬間、本来あり得るはずのないイレギュラーは起こった。
闇の中を駆る黒き影。
ザシュッ。
「え?」
最初にその異変に気付いたのは、今まさに勝者となるはずの少年だった。
彼は自らの胸から突き出た鋭利な金属を驚きの表情で見つめる。
「こふっ……な……なんで?」
喉の奥から込み上げた生温かな液体を口角から溢れ出しながら、自分の身に起こった出来事を理解する事ができず、少年は誰にともなく問い掛ける。
けれどあの閃光のマリアンヌ様ですら驚愕の表情を浮かべて立ち尽くしている現状、彼の問いに答えられる人物は居なかった。
そう、唯一ただ一人、私を除いては。
「ふふっ」
思わず笑いが込み上げる。
人は誰しも勝利を確信した瞬間、もしくは勝利を得た直後が最大の隙となることが多い。
敵を倒してハッピーエンドだと喜んだ直後、背後からの攻撃を受けてヒロインが死亡するなんて展開の物語はよく見かける。使い古された手法だね。
けど実際にこうも簡単に決まってしまうなんて、これはもう笑うしかない。
しかしあれだ、閃光のマリアンヌ様もこんな顔をするんだね。驚愕の表情なんてレア過ぎるよ。私のスニーキング能力はなかなかのものだと自負しているが、それでも私の存在に気付かないぐらい気を抜いていたのかな?
それならこの程度の策で暗殺されてしまうのも頷ける。いくら義兄だからって気を許しすぎだと思うよ。
ま、相手に戦闘能力も生殖能力もないから、艶のある話に発展する心配はないけど。例え母マリアンヌが、どこの馬の骨とも分からない男相手に、不貞を働いたとしても興味はないが。
さて、唐突かもしれないが、ここで私ことリリーシャ・ヴィ・ブリタニアについて語ろうか。
何を隠そう私だって昔は──多少外見は優れているが──どこにでも居る普通の女の子だった。
うん、どこからともなく「嘘だッ!!」っていうツッコミが聞こえてきそうだね。
いやいや、本当だよ?
父親が帝国の唯一皇帝だとか、母親が二つ名を持つ元化物クラスの騎士だとか、生まれた時から皇族──やったねつまりはお金持ちだよ──だとか、私が手出しできない条件を除いての話。まあ、尤もそれさえも物心が付くまでの本当に僅かな期間なんだけどね。
私は同じ境遇であるはずの兄妹よりも自我や人格の形成、精神の発達が速かった。
最初からそうなるように調整されていたのか、それとも薬の副作用等の副次的な理由か、はたまた意図せぬ本当の偶然なのかは分からない。
だけどその結果、幼くして自分の置かれている境遇に気付き、悟り、思い知る。
既に押されていた──いくら努力しても覆すことの出来ない──失敗作の烙印。
先天的なギアス適性の欠如。
失望したような冷めた視線ともに零された侮蔑の言葉。きっと我が母は憶えていない。いや、例え憶えていたとしても私が理解していたとは思いもしなかった事だろう。
私はよく憶えているよ。その当時あまりに衝撃的だったし、何より私は執念深い性格だからね。
彼女が欲したのは王の器。
コードの継承条件を満たすことの出来る契約者。
自らの計画を進める上で役に立つ駒。
だが私は母マリアンヌが求める理想の娘にはなれなかった。
だから早々に見限られ、政略結婚の道具にされてそのまま縁を切られるんじゃないか、なんて考えていたが正直母マリアンヌを甘く見ていた。
彼女は私を己が求める駒とすることを諦めず、自らの手で鍛える道を選んだ。
そして始まる苦痛と絶望に満ちた日々。何度も血反吐を吐き、正気と狂気の狭間を垣間見たことだろう。いっそ狂ってしまった方が楽になれると考えたこともあるが、もし実際に狂ってしまえば、今度こそ本当に失敗作として処分されていた事だろう。
もちろん最初は抵抗したよ?
でも鬼気迫る様子で両腕を折られた時、強制的に理解させられた。
ああ、この人は本気なんだ。本気で私を駒へと作り替えるつもりなんだ、と。
死を得る以外に逃げ道は残されていないんだって。
最初に完膚無きまでに心を折るなんて、幼い実の娘にも容赦がない。徹底しているよ、本当に。
私は自ら死を選ぶことの出来ない臆病者であり、こんなところで死ぬのは負けだと思う程度のちっぽけなプライドは持っていた。
故に私は足掻くように生に執着し、抗えないと諦め、全てを受け入れた。そうする以外に自分を守る方法を思い付かなかったから。
自分を騙し、偽り、嘘を吐き、押し殺す。その反動が今の私なのかも知れないね。
身に付けた従順な幼子の仮面。
かくしてリリーシャ・ヴィ・ブリタニアは一度死を迎え、生きた屍は完成した。
閃光のマリアンヌ後継者育成プロジェクトという名の──勝手に私が命名しただけだが──虐待を受ける日々は続く。
日を追う事に肉体は酷使され、ベッドから起き上がれないことも多々あった。おかげで私は有り難くもない病弱設定を授けられてしまったよ。
そんな私の身を案じ、お見舞いに来てくれる兄と妹の姿には、感動と羨望と憎悪の涙が込み上げる。
彼等は何も知らず、知らされず、気付くことなく手厚く持て成されているようだ。さすがに失敗作の私とは待遇が違うね、と自嘲の笑みが浮かぶ。
いっその事、彼等に全ての真実を暴露する。もしくは私と同じ目に遭わせ、今の生活を壊してやろうと思わなかったと言えば嘘になる。
ただやはりここでも臆病者の私は母マリアンヌの報復を恐れ、彼等を害なす事は出来なかった。
その一方で、彼等に私と同じ苦しみを味わわせたくはないという思いを抱いたのも事実だ。本当に人間の心は複雑だね、自分でも自身の心を理解できないなんて。他人の心を理解する為にラグナレクの接続を行う前に、まずは自分の心を理解しようとしないと意味がないんじゃないかって今にして思うよ。
嘘に覆われた変わらない日常。
そんな何とも言えない幼少期を送っていた私の、唯一の楽しみは本を読むことだった。きっかけは何てことはない。兄妹と共に行動すると、どうしても負の感情が込み上げてしまうため必然的に彼等を避け、一人で過ごす事の多かった私は時間を持て余していたからだ。
先人達が築き残した知識の海、そして心動かせられる物語にこの身を委ね、意識を埋没させる。
それが現実逃避でしかない事には気付いていたが、その時だけは何ら偽ることのない、年相応の本当の私で居られたのだと思う。
力のない私がどれだけ足掻いたところで、どうせ世界は変わらないと諦め、自分の殻に閉じこもる。
望んでもいないのに強制的に鍛えられていく肉体。
無駄に、無意味に知識を蓄えるだけの日々。
私は母マリアンヌの望む人形を演じ続けた。
そう、その日までは────
ある日、奇跡が起こった。
それはとてもとても素敵な奇跡。この時ばかりは──人間の信仰心が生み出した偶像でしかない──神に感謝しても良いと思えるほどに。
その日、私の中に新たな生命が宿った。うん、こう表現すると何だか妊娠したかのように聞こえるかも知れないが、私はまだ処女だし子供が出来たわけじゃない。
処女受胎というのもなかなか面白いが、現代の医療技術を考えれば少々神秘性には欠けてしまうかも知れないね。
紛らわしいから、私の中で新たな精神が生まれた、と言い直そうか。
……事実ではあるんだけど、今度はまるで解離性同一性障害や精神分裂症を発症したみたいだね。まあ、環境的にはそうなっていてもおかしくないし、現に私だって最初はその可能性を疑ったよ。
何れにしろ、それは私にとっての転機。不条理で、理不尽で、無価値だった世界が一変し、一気に色付いたことは間違いない。
私の中で眠る存在、彼の名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。奇しくもこの世界とは似て非なる世界に生まれた、双子の兄の同位存在。
齎されたのは、彼の長いとは言えない生涯の記憶。
だけど考えてみて欲しい。人間の人格を構築する情報群、またいくら短いとは言え一生分の記憶が、何の備えもなく強制的にインストールされるとどうなると思う?
そう、膨大な情報量に脳の処理が追い付かずオーバーヒートを起こす。当然拒絶反応や精神汚染、後遺症の危険性もあったわけだ。お陰で私も一時脳死の手前にまで追い込まれてしまったよ。
もし私が普通の子供だったら廃人→処分コースは確実だね。本当にルルーシュくんは私に感謝と謝罪をするべきだと思うんだ。
もちろん、しっかり対価はいただいたんだけど、ふふっ。
そうだね、彼の記憶にタイトルを付けるとしたら『コードギアス 反逆のルルーシュ』辺りになるのかな?
彼が起こした反逆劇、ゼロの英雄譚を私は夢中で読み耽った。
ただ残念なことに彼の物語に私の同位存在は登場しなかった。エベレットの多世界解釈でいうところの『リリーシャ・ヴィ・ブリタニア』が存在しない可能性の世界からの来訪者なのだろう。
尤も彼が私の存在を認識していないだけで、本当は双子で誕生するはずだったが、母マリアンヌの子宮内でバニシングツイン現象が起こった可能性も考えられる。ちなみにバニシングツイン現象とは双胎妊娠が判明した後、ごく早期の段階で一方が母胎に吸収されるなどして子宮内から消失。単胎妊娠の形となる現象の事だ。原因は不明だが、実は妊娠初期は大半が多胎受精であり、妊娠が確認される段階で単胎になっているという仮説もある。受精段階から生存競争が始まっている事実もあり、本当にこの世の理は弱肉強食だと思いしらされるね。
閑話休題。
彼の物語を読み終えた感想だけど、結末が全てを台無しにしている。一言で言い表すなら本当に馬鹿な男だと最初は思った。
絵的には綺麗な死、ゼロレクイエムという世界を巻き込んだ茶番劇。
ルルーシュくんは贖罪のつもりだったのだろうけど、結局は義務や責務を放棄し、後に引き起こされるであろう問題の全てを他者に押し付け、自分の行動の結果を直視することなく死に逃げた。そう、尤も楽な道を選んだけだ。
甚大な被害を齎したフレイヤ、それを撒き散らすダモクレスの脅威。悪逆皇帝を凌駕する憎しみの象徴。
あの時点で死ぬことが贖罪には成り得ないと、本当は自覚していたんじゃないかな? それともその考えに至れる正常な思考能力を失っていたのだろうか?
いや、当初のプランに固執した背景には枢木スザクの存在も大きい。友人との約束を守ることは確かに大切だと認めるよ。けれど強者の責務が弱者を守り、正しく導くことだと知らない彼ではないはずだ。
そもそもゼロによる悪逆皇帝の暗殺によって齎された平和。つまり殺人を肯定した上に成り立つ世界が、上手く機能すると本気で思っていたのか甚だ疑問だよ。殺人を止めるために殺人を犯すなんて明らかに矛盾している。
ゼロレクイエムによって世界は正義の為の殺人を容認してしまった。これを改悪と言わずして何と言うのかな?
前提が間違っている以上、ゼロレクイエムの効果は短期間であり、極めて限定的なものになるだろうね。
私が同じ立場なら間違いなくあの場でゼロを撃ち、英雄の仮面を剥ぎ取り、民衆に高らかに宣言するよ。英雄など所詮は幻であり、二度と奇跡は起きないとね。
そして処刑パレードを滞りなく続ける。フレイヤという力に溺れた皇族、無能な政治指導者や自らの立場を弁えない黒の騎士団幹部なんて世界に不必要だから。
その後でゆっくり考えればいい。強大な権力と軍事力をバックに、多くの専門家を従えて今後長きに渡る平和の構築方法を。僅か二人の少年が短時間で考え付くような矛盾だらけの方法より、余程マシな方法が見つかると思うよ。
数十年平和が続き、世代が交代する頃には人の意志も変わっているはずだ。もし変わって居なければ、千年でも一万と二千年でも変わるまで生き続け、人類を支配し続ければいい。幸いな事に不老不死に至る方法を知っている事だしね。
でもルルーシュくんにはその覚悟がなかった。
世界を壊す覚悟はあっても、本気で創る覚悟はなかったのかも知れない。
撃つ覚悟、嘘を吐く覚悟、殺す覚悟、死ぬ覚悟。
口では立派なことを言っているが、結果が伴わなければ意味がない。
だからラグナレクの接続という幻想を否定しながら、現実を見ることなく、人間の可能性という幻想に縋り付いたのだろう。
しかし、人々が望んだ明日を迎えるために、世界の憎しみを一身に集め、それを断ち切る為に己が命を捧げる、か。
ルルーシュくんは頭が良いくせに馬鹿だね。その結論がおかしいと何故気付かないのかな?
現実的に考えれば、たった一人の人間に世界の憎しみを集めるなんて到底不可能だよ。
そもそも突き詰めれば人間は個人主義の生き物だ。見ず知らずの他人が何万人死んだところで──可哀想だと同情はするだろうけど──自分の周囲に被害が及ばなければ案外平然としているよね。一方で自分の肉親や知人、恋人や友人が犠牲となれば目の色を変えるものだ。
そこで当時の社会情勢──キミが皇帝を僭称する以前になるのかな──を考えてみて欲しい。世界には悲劇が溢れていた。殺し殺され、傷付け傷付けられる事が当然のように横行していたはずだよ。それをキミが知らないはずがないよね。
ならその数だけ憎悪や殺意を向けるべき対象が存在する。ある者はブリタニアという国家を憎み、ある者は黒の騎士団という組織を憎み、ある者は名も知らない兵士やテロリスト個人を憎み、ある者はフレイヤという兵器を憎んだ。
家族を憎み、経済を憎み、人種を憎み、主義を憎み、宗教を憎み、境遇を憎み、そして自分自身でさえ憎む。何だって憎むことが出来る、それが人間だ。
確かにキミは国際社会の敵ではあったけど、個人が憎悪を向ける対象であるかはまた別問題。だからキミ一人が死んだところで、憎しみの連鎖が断ち切られることはあり得ないんだよ。
まだキミが悪逆皇帝として君臨し世界の悪であり続けたなら、その事実から意識を逸らし、キミだけを憎み続けることが出来たかも知れないのにね。
人は忘却する。反悪逆皇帝という
人は弱く、誰もがキミのように前だけを見て進めるはずがないんだよ?
いや、少なくとも最愛の妹の罪を肩代わりし、唯一の親友の再就職を斡旋できたから、キミにとっては満足する結果だったのかもね。
ところでキミは考えた事があるのかな? キミの死を喜ぶ者が居る一方で、キミを殺したゼロに憎しみを抱く者が居る可能性を。
皇帝ルルーシュに救われた者。
皇帝ルルーシュを崇めていた者。
皇帝ルルーシュを愛していた者。
人の思想は千差万別、十人十色、多種多様だからね。
ほら、また生まれたよ。憎しみの連鎖を断ち切ったと思った瞬間、新しい憎しみが。
その果てに訪れる世界は…………。
ふふっ、想像するだけで愉快だ。
そもそもルルーシュくんは人々が明日を望んでいると言ったけど、一体何を以てそう確信したのかな?
集合無意識が彼の願いを受け入れ、ラグナレクの接続を否定したから、そう考えたんだろうね。
でも待って欲しい。あの時の内容を覚えているかな?
時の歩みを止めないでくれ、これはまあいい。けど問題はこの次だ。それでも『俺は』明日が欲しい。あれ、人類ではなく俺が?
これでは彼がギアスによって自らの考えを押し付け、世界の意志を無理矢理ねじ曲げたことになるんじゃないのかな? 果たして本当に人々が、心から純粋に明日を求めていたのかな?
押し付けた善意は悪意と変わらない、善意と悪意は一枚のカードの裏表とはよく言ったものだ。
そもそも明日を生きることを諦め、皇帝と心中するために神根島に向かったはずの彼が、明日を求めるなんて矛盾しているとは思わないかい? ま、今となっては確かめようもない戯れ言だったね。
ところで、ふと思ったんだけど、もし仮にこの場面でルルーシュくんが、それでも人類は争いのない未来が欲しいと願っていたら、案外簡単に優しい世界が実現していたんじゃないかと思うんだ。いや、その可能性はあまりにご都合主義かな。ただ現に願い通り、彼の明日は死した今も続いていると言えなくもないから、もしかしたら……ね。
おっと、気付けば長くなったね。ゼロレクイエム批判はこの辺にしておこう。本当は直接本人に問い掛けても良いんだけど、今更どうすることも出来ない過去をネタに虐めるなんて格好悪いから今はしないよ。うん、今はね、ふふっ。
だけど謎なのは、どうしてルルーシュくんの精神は完全な同位存在であるこの世界の
それには何か意味があるはずだと、ロマンチストな私が都合良く解釈する一方、冷静な私が単なる偶然だと嘲笑を浮かべる。
きっと理由は誰にも分からないだろう。
ただ王の器にはなれなかったけど、魔王の器の条件は満たしていたという事実は変わらない。
お陰で私は多種多様な情報と技術を、使い方次第で世界を変えられる力を手にする事になった。
帝国貴族の不正情報、母マリアンヌ暗殺事件、コード、Cの世界、ギアス嚮団、古代遺跡、集合無意識、アーカーシャの剣、第七世代以降のKMF、KGF、嚮団謹製のサイバネティクス技術、神経電位接続、フロートシステム、フレイヤ、浮遊要塞ダモクレス……挙げれば切りがない。
また戦争や政治情勢、自然災害や大事件、経済発展や経済危機と言ったこれから起こる出来事を、ルルーシュくんが詳細に憶えてくれていたのは思わぬ収穫だよ。
例えば大規模な自然災害を予言という形で公表し、失うはずだった数万の命を救うことが出来たなら、私は稀代の予言者として崇め立てられ、新たな宗教を立ち上げることも出来るだろう。時として宗教は政治システムや国家を超越する事もあるからね。
もちろん未来情報を使用したインサイダー取引による株式投資や為替取引で莫大な財を成し、市場経済を裏から支配する事だって可能だ。逆に経済を破綻させて既存の金融システムを、延いては世界を牛耳る先進国を破壊するのも面白い。破壊するなら徹底的に、人類の文化を根底から覆さなければ意味はない。
皇族なんて止めて会社を興すのもいいかな? それとも手にした財を資金に未来の兵器を開発し、軍を作り、世界に宣戦布告するなんてどうだろう? たった数騎のKMFに蹂躙されていく国家群なんて展開には興奮するよ。
失敗作でしかなかった小娘が、世界を揺るがし支配する王──聖女でも女神でも魔王でも新世界の神でも可だよ──となる。
当然この世界で全てが通用するかどうかは未知数の為、所詮は希望的観測に過ぎないが、実に夢のある話だと思わないかい?
未来が拓けるとは、まさにこういう事を言うのだろうね。
もし何も知らないままだったなら、自由のない歯車として組み込まれ、役目を終えるその瞬間まで回り続けていたに違いない。
だから私は今後の世界の行く末に胸をときめかせながら、ルルーシュくんの意識が覚醒する前に心の闇で包み込んだ。戦い続けた彼には休息が必要だと善意を大義名分に掲げ、深く深く闇の中へ。
いつかは目覚めてしまうことは理解していた。でなければ彼が私に宿った意味がないからね。
ただその目覚めが予想よりも早かったことは想定外だった。何らかの力が加わったのかな?
運命はいつも私に残酷で、世界は理不尽だね。
でもこれ以上の奇跡を望むのは、さすがに強慾というものだろう。
大丈夫、問題はないよ。障害が大きいほど燃えるんだから。
さあ、一緒に世界に反逆しようか、ルルーシュくん?
私は偽りの仮面を投げ捨てる。
その日、リリーシャ・ヴィ・ブリタニアは二度目の誕生を迎えた。
それはきっと既存の世界、訪れるはずだった未来の終わりの始まりとなるだろう。
少年=V.V.の胸から剣を引き抜き、そのまま彼の腕を切断。即座に返す刃でもう一方の腕も斬り飛ばす。
叫びを上げ、膝から崩れ落ち、床の上をのたうち回る姿を、私は特に感慨を抱くことなく見下ろしていた。
しかし本当に浅はかな男だ。実に短絡的な犯行だと思うよ。
どれだけ隠蔽を施し、もし仮に母マリアンヌが心を渡るギアスを持っていなかったとしても、悲願であるラグナレクの接続が成就した暁には全てが露呈し、自分が暗殺犯である事が最愛の弟にバレてしまうとは思い至らなかったのだろうか?
それとも許してもらえると本気で考えていたのか?
死んだと人ともまた話せるようになると言っている以上、強ち本気の可能性が高いね。
尤も外見年齢通り、頭の成長がコードを継承した時点で止まってしまった可哀想な人とも考えられるが……。
何れにしろ私にとって邪魔な存在でしかない。
さて、どうしようか?
確かルルーシュくんが何やら用意をしていたみたいだけど。
「……な……なんで……どうして……君が…………」
V.V.が目を見開き、顔を歪めながら私へと視線を向ける。
そこには本来存在しないモノでも見たかのような驚愕と恐怖にも似た感情があった。
そう、まるで私の両眼が紅い輝きを放っているような錯覚を見ているかのような。
「……違う……だって…呪われた皇子は…君じゃな────」
何かを喚いていたが、耳障りだったので逆手に持った剣の刃を喉元に突き立ててやる。
ひゅぅひゅぅと空気の漏れる呼吸音と声にならない呻きが聞こえてくるが、これで少しはマシになったよ。
でもルルーシュくんは肝心な所が抜けてるね。どれだけ用意周到に準備していても、この瞬間に立ち会えなければ意味がない。
なまじ未来を知ってる特異性が弊害となり、警戒を怠る要因となったのかな?
だけど平行世界における数ヶ月程度は誤差の範囲。ううん、誤差にすらならないと思うよ。
しかしルルーシュくんはこの身体の中で異物が這いずり回るかのような不快感、そして相反する心地良さには気付かないのかな?
この感覚は私だけに発現した数少ない能力だ、とポジティブに考えるべきか。いや、惨めになるから止めよう。どうせ失敗作故の障害に過ぎない。素直には喜べないが、今回ばかりは役に立ったね。
「助けに来たよ、マリアンヌ様。お怪我はないかな?」
視線をV.V.から母マリアンヌに移して問い掛ける。
「え、ええ……ありがとう、リリーシャ。助かったわ」
そう言って母マリアンヌは素早く子供を褒める母親の仮面を身に付け、感情を押し殺すように微笑みを向けてくる。
今更取り繕っても遅いと思うよ。
「マリアンヌ様、これは一体どういう事なのですか!?」
目の前で起きている光景をまるで理解できない、と言いたげな警護官の内一人が説明を求めてくる。ま、理解されても問題があるんだけど。
すっかり彼等の事を失念していたよ。
私は徐にV.V.が落としたアサルトライフルを拾い上げ、その銃口を男達へと向ける。
火器は刀剣よりも不得意だが扱えないわけじゃない。射撃経験は少なく、サバイバルゲームさえ参加したことはないが、私の場合はある意味毎日がサバイバルだからね。
などと自虐的な考えを思い浮かべながら、躊躇うことなくトリガーを引く。セレクタはフルオートのまま正確に手動で三点バースト。これも母マリアンヌに教え込まれた戦闘技術の一つ。元々本体に三点バースト機能は付いているが、機構的にトラブルの原因になりやすいそうだ。
タタタンッ、タタタンッ! と小気味よいリズムの後、ドサリと男達が倒れる音が二つ。
これが私にとって人生初の人殺し。
だけど妙な興奮も恐怖も後悔も罪の意識も抱かない。
思考は至って平常運転、心も平静平穏だった。
やはり私は壊れていた──いや壊されていたのか──のだと改めて実感する。
「リリーシャ、貴女……」
どうして私を壊した張本人のマリアンヌ様の方が驚いているのかな?
まあ、良いけどね。
これでようやく舞台は整った。
私は未だ構えたままのライフルの銃口に母マリアンヌを捉える。
そんな私の行動に彼女は僅かに眉を上げた。
「貴女には今日この場で死んでもらうよ、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。
だから────」
果たして彼女が選んだ答えは正しかったのか、それとも間違っていたのか?
現時点では、それは誰にも分からない。
だけどいつか世界は彼女に突き付ける。
自らが選んだ行動の結果を。
─────以下おまけ(本編無関係)
少年は狂気の笑みを浮かべ、引き金に掛けた指に力を込めた。
刹那、放たれた無数の銃弾が女性を、その背後にいる護衛官共々容赦なく、無慈悲に撃ち抜いた。
崩れ落ちた彼女達から溢れ出る鮮血が、階下へと伝い流れていく。
その光景を満足げな表情を浮かべて眺めながら、少年は懐から取り出した通信端末を耳に当てた。
「終わったよ。……うん、偽装を始めて。目撃者はナナリーにでも────」
少年は通信端末越しに淡々と指示を出す。
この時彼は致命的なミスを犯していた。
だが達成感、または勝利の余韻に浸ってしまっていたのか、彼は自らの過ちに気付けない。
もし仮に気付くことが出来たなら、間違いなく彼の運命は変わっていただろう。
一つは狩りの対象であった女の生死を確認しなかったこと。
そしてもう一つは、この場に彼女を招き入れてしまったこと。
「今の音は何なんです────えっ?」
銃声に気付き、グレートホールへと足を踏み入れた麗しの幼女が一人。
「お母…様……? え、あの、これは……」
彼女は自分の目を疑い、戦慄して凍り付く。
理不尽の象徴だと思っていた母親が力なく倒れ伏し、その身からは夥しい量の血液が流れ出している。
「お母様!」
困惑したまま彼女は母親の傍らへと駆け寄り、致命傷を負った母親の姿を間近で捉えて息を呑む。
出血量の多さ、微弱な呼吸、その命に残された時間が僅かだと物語っていた。
幼女は涙を浮かべ、身体を震わせ、今まさに命尽きようとしている母親へと縋り付く。
「ああ……うん、少し予定を変更しなくちゃいけないみたいだ。
でも彼女もついてないね、こんな現場に居合わせてしまうなんて」
予期せぬ目撃者の出現に少年は苦笑する。
それでも既に目的を達した──と思っている──以上、彼の余裕な態度は崩れることなく、最後のお別れぐらいさせてあげようなどと内心考えていた。
「お母様、大丈夫です。私が……私が今楽にしてさしあげますから」
この異常な状況下では、もはや彼女は己を押さえきることが出来ず、狂喜の笑みを浮かべ、常に携帯しているお守り代わりの短剣を抜く。
そしてその剣先を抵抗など出来るはずのない母の胸へと押し当てた。
「これで、これで私は解放される。この地獄から! ふふっ、あはははは」
────紅き凶鳥が羽ばたいた。
「残念だったわね、リリーシャ。貴女の地獄はまだ始まったばかりよ、うふふっ」
「場合によっては母親の後を追ってもらうことになるかも知れないから、そっちの手配もお願い。大丈夫だよ、その方がリアリティも出るしね。
そもそも子供は三人も居るんだ、一人ぐらい減ったって────」
躊躇う配下を諭す少年だったが、それ以上言葉を続けることは出来なかった。
目の前に広がった朱い飛沫。
それが自分の首から吹き出しているのだと、すぐに理解し、受け入れることは出来なかった。
身体から急速に熱が奪われ、力が抜けていく。
気付けば床が目の前に迫っていた。
動かない身体、遠退いていく意識。
そんな彼がこの世で最後に聞いた声は、酷く蠱惑的で艶やかな、幼い少女のものだった。
「やっぱり若いって良いわね。あの人も喜んでくれるかしら」
年不相応な妖艶な笑みを浮かべた幼女が、くるりくるりと回り、舞い踊る。紅く染まったその手に短剣を握りしめて。
「こうも即座に馴染むなんて、まるで私の器になる為に産まれて来たみたいね。本当に親孝行なんだから。愛しているわよ、私のリリーシャ、うふふ」
皇歴2009年5月某日。
この世界に新たな魔女が生まれた。
閃光の名を持つ魔女が……。
【ifエンド1 もしもリリーシャが未来情報を手に入れていなかったら……Ver.A】
────さらにおまけ
「神聖ブリタニア帝国第九十九代唯一皇帝陛下にして黒の騎士団CEO、超合集国第二代最高評議会議長であらせられる、リリーシャ・ヴィ・ブリタニア様のお姿が見えました」
淡々と語るアナウンサーの声、そして世界統一を記念したパレードの映像が、ありとあらゆる放送局や動画配信サイトを通じて全世界へと配信されていた。
兵士、さらにはKMFによる厳重な警備を伴い進む車列。その中央、一際目を惹く台座付きの専用車があった。台座の上に用意された仰々しい玉座。そこに座る者こそ、ダモクレス戦役の勝者にして、世界の頂点に君臨する存在、リリーシャ・ヴィ・ブリタニア。
彼女はその類い稀なる美貌に勝者の笑みを浮かべ、沿道に詰め掛けた群衆へと優雅に手を振っていた。
しかし、彼女へと向けられる視線に含まれる感情は、憧れでも敬意でも、ましてや好意であるはずもなかった。
そこにあるのは恐怖と憎悪。
民衆は陰で彼女を魔女、史上最低最悪の大量虐殺者、狂人、殺戮女帝と呼んだ。
ダモクレス戦役に勝利し、天空要塞ダモクレスと、そこに搭載されていた大量破壊兵器フレイヤを手中に収めた彼女は、事前通告も宣戦布告もすることなく、世界六十の都市へフレイヤを投下した。死者数は少なくとも十億を下ることはないだろう。
引き起こされた未曾有の混乱下で、ブリタニアの侵攻に抗える国も組織も存在しなかった。
パレードは進む。反逆者として捕らえた実の兄妹達、反逆者に迎合した各国政治指導者、世界に武器をばらまいた軍産複合体の首脳陣、最大の抵抗勢力であった黒の騎士団幹部を伴い、その命奪う処刑場へと。
だが、不意に車列が止まる。
予定にない出来事。
場が緊張感に包まれ、兵士達が銃を構え直した。
向けられた視線の先、そこには車列の前に立ち塞がる黒い人影があった。
鋭角的な黒い仮面に同色のマント、騎士服を思わせる貴族的なデザインの濃い紫の衣装。
「……ゼロ」
静寂の中、誰かが呟いた。
世界はその名を知っている。
黒の騎士団の創設者にして、世界を二分化した超合集国の発案者。黒の騎士団を率い、正義の下に奇跡を体現し、世界の強者に挑んだ男の名を。
呟きは瞬く間にざわめきへと変わり、彼の一挙手一投足を見守る民衆は異様な興奮に包まれていく。
民衆は期待する。
彼がまた奇跡を見せてくれることを。
悪を討つ瞬間を。
ゼロは走り出す。放たれた無数の弾丸を、人間の枠を超越した動きで躱し、世界の悪=殺戮女帝の下へ。
そして二人は台座の上で対峙した。
驚愕の顔に歪め、リリーシャは玉座から立ち上がり、黒き皇帝服の下から銃を引き抜き、その銃口を目の前の男へと向けた。
「痴れ者が!」
だが引き金を引くよりも速く、ゼロが手にする剣によって弾き飛ばされてしまう。
ゼロは無言のまま剣を構え直し、その切っ先にリリーシャを捉えた。
リリーシャは睨み返し、小さくクスッと笑う。
「ジェレミア」
「イエス、ユア・マジェスティ」
まるで呟くようにリリーシャが名を呼んだ男、ナイトオブワン=ジェレミア・ゴットバルトは主君の命を理解し、即座に実行へと移した。
左目の周囲を覆う機械的な仮面、その瞳部分が開き、幾何学模様が刻まれた眼球に秘められた力を発動させる。対ギアス能力=ギアスキャンセラーを。
同時にリリーシャは台座踏みしめる片方の足に力を込めた。
カチリ、と何かが作動する音が聞こえた。
刹那、ゼロの足下から突き出した鋼の刃が、彼の腕を、脚を、腹部を貫き、その場に縫い止める。
沿道の群衆から悲鳴が上がった。
「ふふっ、無様ね、ゼロ。でも反逆者にはお似合いよ」
リリーシャはゼロの仮面へと手を伸ばし、迷い無くロック機構に触れる。
剥がれ落ちる仮面。
露わになる素顔。
どよめきが起こった。
「そう、今度のゼロは貴男だったの、枢木スザク。さすがは悪名高い裏切りの騎士ね、今度は私を裏切るつもりだったのかしら?」
殺戮女帝に仕え、世界の命運を賭けたダモクレス戦役で戦死したとされた裏切りの騎士=枢木スザク。
ゼロの正体が彼であった現実に対する失望と、ゼロの名を汚す行為に対する憤怒が群衆の間に広がっていく。
「……君は……また僕を……裏切った…のか……?」
スザクは苦痛に耐えながら、目の前に居るリリーシャだけに聞こえる声で問い掛ける。
「ねぇ、知ってる? 裏切りは対象者の間に一定の信頼関係がないと成立しないんだよ?」
彼女もまた彼の耳元に口を寄せ、囁くように答えた。
「……くっ」
スザクは奥歯を噛み締める。
痛い。でもそれは己を貫く刃が齎す痛みではない。
「さよなら、最初で最後の元親友くん。大好きだったよ」
リリーシャはスザクの頬に口付けし、はにかむように年相応の笑顔を浮かべる。
ほんの僅かに垣間見えた心からの笑み、それが彼女の『ただのリリーシャ』であった最後の瞬間だった。
スザクから離れたリリーシャは、二度と外すことのない仮面を身に付けると、新たな銃を取り出し、微塵も躊躇うことなく引き金を引いた。
乾いた銃声がビルの谷間にこだまする。
「聞け、愚かにも私の死を望んだ者達よ。
この世界に英雄など存在しない。
この世界に希望など存在しない。
それでも挑むというのなら、死と破滅を覚悟して挑んでくると良い。
世界の支配者であるこの私が、その悉くを殲滅してみせよう。
勝利は常に我が名と共にある!」
『オール・ハイル・リリーシャ!! オール・ハイル・リリーシャ!! オール・ハイル・リリーシャ!!』
操り人形が誇らしげに、高らかに、賛美の声を上げる。
人々の絶望と共に再開されるパレード。
玉座に腰を下ろしたリリーシャは、かつて友情以上の感情を抱いた男の亡骸を目にしても、もはや痛むことのない胸に手を当てる。ギアス保持者の瞳に浮かび上がる──まるで不死鳥が翼を広げているかのような──紋章と同じ刻印が刻まれたその胸に。
「王の力は人を孤独にする……か。それでも構わない。いや、それでこそ私に相応しい。
だから────」
遠い未来、ある歴史学者は語る。
殺戮女帝リリーシャ・ヴィ・ブリタニアは悪である。
これは覆る事のない事実。
だが彼女の圧政という名の人類革新が、後世に多大な影響を与えたことは間違いない、と。
【ifエンド2 リリーシャ版ゼロレクイエム ゼロに奏でる鎮魂歌】