東方戦記録   作:戦車狙撃兵

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この日…名無しと呼ばれた妖精は誓う

与えられた名を…そして全ての妖精を統べる女王となることを…


大妖精=ティターニア

この日…人里は騒然となっていた。駐屯している将校…その人の遺体が発見されたのだ。

 

 

「仲間割れかの?。悪どい商売をした挙げ句ピンはねでもして恨み…。」

 

遺体の搬送を手伝った者の話しによれば遺体は殴られ、喉を自分の軍刀で貫かれた痕があったという。幻想郷では人の死は珍しい事では無い。少し用で里から出て妖怪に喰われたという話しは良くあることだった。しかし、将校の死体は妖怪がやったとは思えない様な状態だ。

 

「昨日の火事と何か関係があるんじゃ…?。」

 

豪族の屋敷が火事になったのは人里では皆が知っていた。

 

「ひょっとして妖精達が…。」

 

「それはないべよ。奴等にそんな知恵があるとは思えん。」

 

「けどよ…お屋敷の周りには何やら人魂が浮かんでいたって話しじゃないか?。」

 

「飲み過ぎでねぇか?。」

 

「おい!。そこ爺ども!。無駄話しないで散れ!。」

 

兵隊が世間話しをする集団を解散させる。噂の中心になっている将校の部下達だ。

彼らは苛立っていた。部隊長は殺害され、物資の搬入にいった仲間は拘束された状態で発見。しかも輸送で使うトラックと装備は何者かに強奪されていた。

冷ややかに見る人里の者の視線を受けながら兵隊達は火消しの作業に移っている。

 

「なんだ?。あっちが騒がしくなってきたぞ?。」

 

その方向を見ると10人程度の子供達が列を作って道の真ん中を歩いてくる。それを見て兵隊達の顔色が変わる。子供の姿をしているが…。

 

「なぜ…妖精達が…!?。」

 

先頭には手配書で良く見かけた大妖精。その大妖精が一歩前に出る。

 

「今まで仲間がお世話になりました。」

 

二対の羽を揺らしながら言う。言葉使いは穏やかだが周りに、特に兵隊や妖精狩りに関わっていた里の人間はその言葉を誤解しなかった。

 

「妖精ごときが勝手な事を!。お前ら!。小遣いが目の前に転がってるぞ!。」

 

兵隊が大妖精達を捕らえようと動き出す。

 

「ショック・ウェーブ…!。」

 

大妖精は右手をかざす。すると数本の雷の波が兵隊達を襲う。前に出ていた数名がその雷に打たれ地面に倒れた。

怯む兵隊達に大妖精は雷の波を発生させた。周りに被害は無いが先程よりも音、光と共に強力な一撃だ。

 

「解ると思いますが、わざと外しました。」

 

大妖精はあたりを見回す。注目が集まっているのを見ると一度息を吸い込む。

 

「あの時の異変以来…私達は羽を奪われ、人間にイタズラに犯せれ、命を奪われてきた!。」

 

人里の人間は突然すぎる出来事に理解が追い付いていなかった。

 

「妖精狩りの首謀者は私が討ち取ったいま、私はここに宣言する!。」

 

やはり、豪族の屋敷の火事は妖精が関わっていたという事実に人里の人間はざわついた。

 

「私は妖精に危害を加える兵隊を絶対に許さない!。それに加担する幻想郷全ての人間も…!。」

 

三度目の雷の波が人里に飛来する。二度目より強力であり、人が恐怖を覚えるには十分な物であった。

 

「私の名はティターニア!。妖精を統べる女王なり!。」

 

ティターニア…シェイクスピアの真夏の夜の夢に登場する妖精女王。あの夜の日にスネークに与えられた名前。

突然、人里の人間の視界の色彩が揺らぎ、霧の湖に発生する様な霧が立ち込める。『パニック』に陥る人里。数歩先が見えない霧が薄く晴れると妖精達の姿はなく、腰を抜かした兵隊が道の真ん中に呆然としていた。

人里の人間は自然の具現である妖精が決して安全な存在ではないと再認識せざる終えなかった。昔も今も、自分等は只の人間に過ぎないということも…。

 

「おい…今、全ての人間をって言ったよな?。」

 

「やべぇよ…おらこの前兵隊さんと妖精を荷台に乗せるのを…。」

 

「大丈夫じゃねぇか?。あんた、無理矢理やらされたもんだべや。」

 

人里の住人達は顔を青くするもの、兵隊に敵意を向けるまのと様々だ。

混乱の収まらない人里に大量のビラが舞い降りてきたのはこの時だった。

 

 

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