ヒューマノイドと警察官 四章   作:とましの

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34話

最新型であるRーM004とRーM005は双子のヒューマノイドとして開発された。同じ年頃の外見を持つ二体は警備部でSPとして働くことになる。

そして旧型のRーM001は捜査一課へ移動となった。その001を題材とした映画が事故の一年後である師走に封切りとなる。

だがやはり魚住はそれら話題に背を向け続けていた。

 

 

「魚住さん、ヒューマノイドが襲われる事件が多発しているそうですね」

部下の有栖川から話を向けられた魚住はひとつうなずいた。

「今回の法改正でヒューマノイドも法律面で人と同じように扱うことになった。近々、連続暴行事件として捜査本部が作られる予定だ。けど捜査本部が無くても犯人逮捕に努めねぇとな」

「はい。ああ、それでですけど。この資料を見てもらえますか」

また資料室にこもっていたらしい有栖川は一冊のファイルを差し出してきた。

「酷似する事件がいくつかあったので資料にまとめてみました」

有栖川から渡されたファイルに目を通しているとレオーネがデスクへやってくる。

「真珠、捜査に行こう」

「あ? どういうことだ」

「いいから急いで」

強引に魚住の腕をつかんだレオーネはいつになく強い力で引っ張っていく。半ば引きずられるように連れ出された魚住はそのまま地下駐車場で車に乗せられた。

助手席に乗せられた魚住は運転席に乗り込むレオーネを見る。

「どこに行くつもりだ」

一課に来てから何かとふざけることの多いレオーネだが、ここまで強引なのは初めてだ。そのため問いかけるとレオーネは珍しく苦悶の表情を見せる。

「真琴が複数の人間に追われてるんだ」

「徳川が? なんでだ」

「真琴もヒューマノイドだからかもしれない」

もしかしたらヒューマノイド暴行事件に巻き込まれたかもしれない。そう案じているらしいレオーネはハンドルを握る手に力を込める。

普通のヒューマノイドは自動車の運転をすることができない。市販のヒューマノイドでは人間ほど優れた反射神経などを持つことができないためだ。だがMシリーズ001であるレオーネは特別に試験を受けて運転免許を与えられていた。

人間と変わらない運転技術を持つレオーネはサイレンを鳴らしながら現場へ向かう。

 

 

現場近くで車を降りた魚住たちはレオーネと共に徳川を探した。そこは治安の悪い場所で入り組んだ路地も多い。そのため見つけられるかと思ったが、案外すぐに見つけられた。

複数の男が悲鳴をあげながら飛び出してきたその路地の奥に徳川がいたのだ。

「助けてくれてありがとう。あ、001……と魚住さん」

一緒にいる男に礼を述べていた徳川は魚住を見るなり小さく会釈をした。

「徳川を追っていたというのはさっきの男たちか?」

魚住の問いかけになぜか気まずそうな顔を見せた徳川は一緒にいる男を見上げた。男は魚住たちのことなど気にした様子もなく路地の奥へ向かい歩き出す。その背中を眺めながら徳川は魚住の元へ近付く。

「すみません。まだ完成していないので、知らせていませんでした」

「何の話だ?」

徳川の言う意味がわからず魚住は自然とその目をレオーネへ向ける。しかしレオーネは魚住の視線に気づくことなく驚きの目で路地の奥を見つめていた。

「真琴、アレはなんだい? 最新型? それとも修理できたの?」

驚きから抜けられないままレオーネは徳川へ視線を移す。そうして問いかけた先で徳川は戸惑ったように表情を曇らせる。

レオーネと徳川を見ていた魚住は急速に近付いてくるそれに気づいた。同時に殴りかかられたレオーネはそれを受け止め目を丸める。

「僕と君はいつから拳で挨拶をする間柄になったんだい?」

悲しいなぁと茶化すように告げたレオーネだがその顔は楽しげではなかった。口許は笑っているがその瞳は既に紫色に変わっている。

そこでやっと反応できた徳川は慌てて男にしがみついた。背後からしがみつきレオーネから男を引き離そうとする。

「やめろ、レオーネは攻撃対象じゃない。俺は何もされてないだろ!」

レオーネがその手をつかみ、徳川は背後から必死で止めようとする。そんなふたりの奮闘の脇で、魚住は茫然自失のまま固まっていた。

 

 

 

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