テイルズ・オブ・ザ・レディアントマイソロジー3・闇は破滅か救世か?   作:にゃはっふー

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新年明けましておめでとうございます。

物語の流れ、新年らしからぬスタートですが、これからもよろしくお願いします。

では、どうぞ。


第9章・人外の人間

 目の前で彼が斬られそうになる。

 

 精霊セレシウスに言われ、邪悪なるモノへ向かっていたことなんて分からなくなる。

 

 ただ一つ言えるのは・・・

 

 彼は悲しそうに見えた・・・

 

 

 

「それで、これはどういうことですか?」

 

 アンジュを始め、リュウを含め、リヒターと言う精霊と契約を交わした者と共に、精霊セレシウスがアドリビトムに集まった。

 ただ、いつもの雰囲気ではない。

 いまだにカノンノは目を覚まさず、アニーを始めとした医術組が側にいる。

 リヒターはすでに回復したが、周りの様子を無視して、リュウを睨む。

 

「アドリビトムの方に言います、彼はヒトではありません」

「・・・微妙に心当たりがある件」

「あるのかよっ!?」

 

 誰かがそう言う中で、初めてか。人の心、負の感情が聞こえること、自分が五歳くらいかそこらの時、大人の人に見つかって保護されたことを話す。

 

「だから俺自身、親なんてもん知らないし、それらしいもんもいない」

「そう、だったんだ・・・」

「それは当たり前だ、お前は『ゲーテ』なのだから」

 

 精霊セレシウスはそう言うが、フィリアが静かに尋ねる。

 

「セレシウスさん、ゲーテ、と言うのは」

「この世界でありとあらゆる負の感情より、生まれ出て消えるはずのモノだ」

 

 リヒトーはそう言いながら、静かにリュウを見るが、周りの者達がにらみを利かせる。

 だが、それでも言葉を続けた。

 

「お前達も知っているが、こいつが使う力はヒトの負だ。世界に害をなし、命を蝕む、有ってはならない存在。それがゲーテだ」

「アァ? だから殺せってことかおい」

 

 スパーダがそう言ったとき、精霊は静かに、

 

「ああ、ゲーテはこのまま放ってはおけない」

「!?」

 

 その言葉に、神官達は黙り込むが、リュウ自身は気にせずに、

 

「それより、この世界の異変についても聞かないとな」

「っておいっ、お前のことだろ!?」

「そうだよリュウ!? 君のことだろ!?」

 

 スタンを始め、アドリビトムの面々がそう言うが、

 

「どうでもいい」

 

 ばっさり切り捨てた。

 

「精霊セレシウス、貴様に問う。この世界に異変が起き、どうも俺はそれに呼ばれたらしい。その存在に心当たりはあるか?」

「・・・星晶に封印されたモノだろう。だが、世界創造前に起きたが故、私も詳しくは知らない。本能的に危険と判断される、貴様と同じだろう」

「そうかい」

 

 その言葉を聞いて、静かに黙り込む面々。

 そして静かにセレナを見るセレシウス。

 

「星晶が取られ始め、その封印が解け始めたと同時に、それがゲーテを呼び込んだ。二つの異変のために、世界樹は貴方を呼び寄せたのだろう」

「・・・えっ」

 

 セレナに静かに、セレシウスは断言する。

 

「精霊の世界にまで届く、光り輝く者。ディセンダーの輝き、それはけして間違えない。何故貴方はゲーテと共にいる?」

「・・・・・」

 

 立ちつくすセレナに対して、セレシウスの言葉に、全員が驚く。

 

「せ、セレナがディセンダー!? ど、どういうこと!?」

「いや、だからこそ、赤い霧の異変を治すことができたのか!?」

「・・・わた、しが」

 

 それに静かに頷くが、

 

「まあだからどうしたって話だがな」

 

 そうリュウは気にせず、んでと、その場からセレナの手を掴み、立ち去ろうとする。それにリヒターとセレシウスが動こうとするが、

 

「動けば斬り殺すぞ」

 

 その目はゲーテの瞳。いつの間にか髪も変わり、静かに睨む。

 二人は止まり、その変わり様に驚く。

 

「ゲーテだのディセンダーだの俺らには関係ない。どーでもいい」

「ゲーテっ!! 貴様はいるだけで世界に有害な存在だッ。そんな者に、ディセンダーの側に入らせることはできない!!」

「・・・それでもいい」

 

 身体から闇がわき上がり、周りが困惑する中、静かに、

 

「元々慣れてる、だがただで死ぬほど優しくないんでね。殺す気なら殺す、自覚したからか、力がなじむしな・・・」

「貴様・・・」

「だが間違えるなよ、いま目の前の危機よりもテメェはカノンノを傷付けた」

「ッ・・・」

 

 その言葉に押し黙るリヒターに、静かに言う。

 

「殺したければ相手してやる、だがな。所構わずってなら、俺よりタチ悪いってこと自覚しろ。精霊、テメェもだ」

「・・・一つ聞く」

 

 精霊も納得したのか、静かに引いてくれた。

 そして、

 

「何故お前はヒトの姿をしてる?」

「知るか、存在してからこっちも初耳だ」

 

 そんな話をし終え、セレナをカノンノの元に連れて行く。

 その様子を黙り見つめ、何人かため息をつく。

 

「セレシウス、リヒター」

「・・・すまないとは思っている」

「まさかディセンダーとゲーテが仲間とは、思ってもいなかった」

 

 そう言い合う二人に、アンジュは少し黙り込む。そう言うことではないのだが・・・

 

「リュウはゲーテ? っていう、邪悪な存在なのは間違いない・・・のよね」

 

 実際、リュウの力は異質であり、良い印象は無い。

 だが、彼はその力を悪用らしいことに使った試しはない。それを知る者達からすれば、いきなりの話で困惑する中で、セレナが救世主と言われても困るが、

 

「こっちもこっちで、納得がね・・・」

 

 セレナの光で、生物変化が元に戻り、リュウはダメージ、痛みを負う。

 まさに光と闇、水と油な状態だと、納得してしまう。

 

「だからって、リュウを殺すとか、考えないよな!?」

「それはないわよ、言っておくけど、これはセレナ、ディセンダーもそう考えるわよ」

「・・・」

 

 リヒターもセレシウスも黙り込む中、少し頭を痛めながら考える。

 

(これでセレナがリュウに対して、好きって知ったからどうなるのから・・・)

 

 そんなことを考えるリーダーであった。

 

 

 

「アニーカノンノは」

「リュウさん、セレナさん。いえ、まだ目を覚ましません」

「カノンノ・・・」

 

 ロックスが側で看病する中、静かに考え込む。

 

「ったく、なにも考えずに前に出るから」

「!? リュウさんっ、そんな言い方は無いでしょうっ。カノンノは貴方をかばって」

「話によれば俺は世界にとって、消えて無くなった方がいいらしいぜ」

「えっ」

 

 ロックスが驚く中、会議場での話を伝え、二人は驚きながら、セレナは黙り込む。

 静かにしながら、それでもアニーは聞く。

 

「それで、貴方は自分が消えてもいいと思っているんですか?」

「ああ」

 

 即答であり、それにアニーは、

 

「不愉快」

「!?」

「驚愕」

「・・・リュウさん」

「不信感? か・・・言ったろ、そう言う感情が聞こえるってな」

「・・・」

「困惑」

 

 そう言い放ち、静かに席を立つ。

 

「ガキの頃からこんなもん分かるからな、他人からは気味悪がれて孤児院たらい回しだし、俺への印象がどうなのかだってすぐに分かった」

「!」

 

 それはどんな気分だろう。他人の悪い、黒い部分が分かるというのは・・・

 

「くだらねぇ、俺はこの声でそれなりに楽しんだし、おかげで騙そうとする奴を返り討ちにしたり、重宝したんだ。気にしてない」

「・・・」

「だけどまあ・・・命なんて救う価値があるかと言われれば」

 

 その時、セレナは彼を見た。

 

 一瞬だけど、彼の顔は・・・

 

「無いな」

 

 とても悲しそうだった・・・

 

 

 

「だーーーーーくっそ、なんっなんだよリュウの奴!!」

「まったくよっ、自分のことなのに全然考えてないじゃないッ」

 

 激昂するスパーダとイリアに対して、食堂で黙り込む一同。

 コハクがけどと、静かに、

 

「ヒトの悪い部分が聞こえる、か・・・どんな風だったんだろう」

「うん・・・そうだよね」

 

 シャーリィは静かに考え込むと、ジェイドは、

 

「きっとろくなものじゃないですよ、彼が人間不信や他人を嫌う行動等々。正直理解できましたよ」

「そんなものですか大佐?」

 

 ティアの言葉にええと笑顔で返す。

 

「他人を貶めようとする者、自分を見下す者、他人をあざ笑う者。そんな声が聞こえてるのなら、むしろ、彼はよくあの性格で生きてるか不思議なくらいです。私なら自害するか、自暴自棄になってますよ」

「・・・」

 

 その言葉に、全員が黙り込み、クレスは静かに、

 

「そうか、だから彼は気づいたのか。魔物を捨てる依頼が、実際は生物変化した彼らだってことに・・・」

「でしょうね、実際村長の懺悔か何か、聞こえてたんでしょう。そう言った声が聞こえたりする。地獄でしょうね、そんな日常」

 

 言うのは簡単だが、何人かがぞっとしている。

 そんなのが日常なんて、考えつかない。

 だが、

 

「ですが彼にとってそれが日常、ですか・・・」

 

 ジェイドの言葉が心の中で響く中、静まりかえる船であった・・・

 たった一人、抜け出した者がいることにも気づかず・・・

 

 

 

「おーい、ネズミ、いるか」

「ん? 旦那久しいですね~」

 

 とある町、たまたま近くだったから抜けだし、情報屋へと足を運ぶリュウ。

 店は裏路地のさらに奧、顔パスだが、最初は通るだけで金を支払うか、いい情報を持って帰るなどして、友好関係を気づいた情報屋。

 偽名であるが、こちらも偽名だ。まあ向こうはアドリビトム在住なのは知っているだろう。

 ローブを着込み、顔を見せないネズミは、イッヒヒと笑いながら近づく。

 

「実はガルバンゾ国の姫様や、ライマ国の王族関係者が行方不明なんですが・・・ご存じ有りませんか?」

「知らないな」

 

 実際船にいるが、そんなこと知ってるだろと言う顔で、気にも止めない。

 基本、ここの情報を利用するのは、大国嫌いな奴らだが、口止め料はちゃんと払っている。時たまに良い情報と、金を払うのだが、

 

「いえ、今回は良いですよ」

「ん? なんでだ」

「最近は灯火さんがいないと困るんですよ。大国の人達が最近厳しく、中立で力のある組織の方を贔屓してます」

「ほう、なら、俺の欲しい情報を少し融通してくれ」

「はっは、旦那はこれだから・・・抜け目無い」

 

 苦笑するが、彼も抜け目無い。配下が先ほどから毒付きの矢など、目を光らせている。第一、彼が情報屋を取り締まっている保証もない。

 だが、ここで自身の声を聞く能力が十全以上に生きる。

 自身はこれで、前の世界でも荒稼ぎした。自分にとって、他人の隠し事は、金の成る木だ。

 

「それでは、記憶喪失の恋人のですか? それとも風景の恋人」

「殺すぞネズミ、その冗談そろそろやめないと本気で」

「いやはや・・・ではなんです?」

「治療薬、自然治癒力を上げるもん」

「・・・今度は難病の恋人ですかい?」

「おい、マジで配下の前で攻撃するぞ」

「やめてくださいな」

 

 そしてしばらく奧へ引っ込み、数分後良い情報を持ってくる。それと共に、帝国の不正情報を纏めた物を渡す。

 

「おやおや、今回は情報ですか。いいですね~高値で売れます」

「・・・こっちは少しきついが、効力は保証付きか」

「栽培場に住む魔物が手強いですが、その薬草は高値で売買される品物です。まあ、最近はビリビリしてますから、市場には出回ってませんので、採りに行くことをおすすめします」

「了解、またご贔屓に」

「それはこちらですよ。貴方の情報、証拠も何もかもありますから、ご贔屓に」

 

 そしてすぐに出向くリュウの後ろ姿を見ながら、配下の男が尋ねる。

 

「いいんですかい? こんなやりとりで」

「いいんですよ~最近、ほんっと彼らの組織に助けられてますからね。それに彼は嫌いになれないし、手慣れている。敵に回すより、仲間とまで言いませんが、協力者程度の仲がいいんです。ジェイド大佐にも贔屓にされてますからね」

「そのジェイド大佐には」

「無論、彼のやりとりは売りますよ~」

 

 イッヒヒと笑うが、彼はそのことは知っている。だがあえて無視している。

 交渉相手の腹の中すら分かる以上、こういったやりとりで、彼は生きてきたのだ。

 

 

 

 そして薬草を手に持ち、医務室へと置いておく。後は勝手にするだろうと思いながら、静かに看板の外にいた。

 いまは夜、みな寝静まるか、何かしてるかだ。ハロルドを始めとした学者組は起きてたし、リリスなどの裏方は、カノンノの看病してた。

 夜空の下、静かに座り込むリュウ。

 だが、目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませば聞こえ出す。

 人の負、不安、怒り、嘆き。

 それだけならいいが、それにも種類がある。

 声が聞こえなくなることは稀であり、ここのように聞こえないことは少ない。

 

(・・・気持ち悪い)

 

 前の世界は嫌なほど聞こえてきた。頭が痛くなるほど聞こえる雑音が、ここじゃ微か、まあ内容もダイエット、思い人の鈍感さ等々、ホント笑えるものだけだ。

 だけだというのに、ひとたび出れば、結局変わらない。

 

「ああ世界は変わらない・・・消えればいい」

 

 そう呟くと、がたんと音が聞こえる。

 ため息を吐きつつ、静かに立ち上がると、

 

「セレナ」

「・・・リュウ・・・」

 

 ディセンダーと言われ、救世主の少女。セレナ。

 どうでもいいことこの上ないが、静かに見つめてくる。接近に気づかなかった。

 

「貴方にとっって、世界は嫌なの・・・」

「・・・ああ」

 

 星空を仰ぎながら、その目に怒気を混ぜ、拳を握りしめる。

 

「どいつもこいつも勝手勝手勝手勝手っ、やれヒトの所為にする、ヒトを見下す、ヒトを犠牲にするッ。どこもそうだ、世界が変わってもっ、命は、変わらなく醜いッ」

 

 そして頭を抱える。そうだ、いまだって、

 

「聞こえるんだよ、いつもいつもいつもいつもッ。自分のことを棚に上げた、負の声が俺に聞こえるッ。いつだって、世界が変わり、国も価値観が変わってるはずなのにッ、声だけは変わらないッ」

「リュウ・・・」

「俺にはここの連中が気持ち悪い」

 

 それにセレナは驚き、リュウは本当に嫌悪する。

 

「ここの連中は本音で誰かのために、ヒトのために、未来を信じてる。気持ち悪くて吐き気がする」

「どう、して・・・」

「俺の知らない、声ばかりだからだ」

 

 生まれてからずっとそうだった。

 

 聞こえる声は決まっていた。

 

 なのに、

 

「ばかばかしい、ここの連中はヒトを信じて、明日を信じて、他人を信じてる・・・俺にとってそれはそれは、気持ち悪いくらい不愉快だ」

 

 苦笑しながら、これは本音だ。

 だってヒトは、醜い、命なんて、生まれてこなければいい。

 

「いつも他人と争い、見下し、犠牲にする命なんて、生まれなければいい・・・なのに、助ける? なんでだよ・・・なんで平気で助ける?」

「・・・」

 

 セレナにとって、そんな彼は苦しそうで、辛そうで、悲しく思えた。

 

「・・・カノンノもそうだ・・・なんで身を挺する・・・その所為で、あの子を思い出す・・・」

「あの子?」

 

 それに黙り込む彼は、それでも静かに座り込む。

 それは、本当の彼に思えた。

 

「俺はお前も気持ち悪い」

「・・・」

「お前からは声が聞こえない、最初は記憶が無いからと思った。まあ、ここの連中に感染したんだろな」

 

 苦笑しながら、セレナは、

 

「・・・私はディセンダーだからなんじゃ」

「? 関係ないだろ」

 

 それにすぐに答える。

 

「救世主だろうが、命有るモノの負の声は、俺には聞こえる。お前から聞こえないのは、お前の中に負は無いんだろ」

「そうなのかな」

「まあ、眩しいほど光が強いようなもんで聞こえないし、バカだし、だからじゃねえの?」

「褒めてないし、結局ディセンダーだよね、それ? 私、いま怒ってると思うよ」

 

 そう言うセレナは夜空を駆ける船の甲板で、歌を歌う。

 いつもの歌、自然に出てくる、優しい歌。

 

「・・・ばかばかしい」

 

 そう言って、リュウはセレナが歌い終えるまで側にいて、セレナはそれに、少し嬉しいと思う。

 だが・・・

 

(・・・ホント、ばかばかしい)

 

 闇が深まる。薬草を採るとき、苦も無く、魔物を退治した。

 自分がなんなのか、わかり始める。そうか、自分は、

 

(いない方がいい存在・・・だから俺は・・・)

 

 あの子を救えなかったんだ・・・

 

 夜空の歌の中、答えが出たと、彼は心の底から思った・・・




はい、オリジナルキャラクター出しましたが、モブです。気にしないでください。

ジェイド大佐も、独自の情報網くらい持ってますよねあの人なら。

ちなみに彼がしていた稼ぎは、情報屋か探偵のまねごとですね。色々後ろめたいことは聞こえますから、証拠も何も分かりますから、それを記者に匿名で売っている設定です。

生きづらいか、生きやすいかと言えば、人それぞれでしょうねこのスキル。

それではこれで、お読みいただきありがとうございます。ではよいお年を。
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