親馬鹿な加賀さんが着任しちゃいました   作:銀色銀杏

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ほう、正規空母の胸部装甲の中で加賀さんのは二番目位なのか。じゃあ一番は……蒼龍か欲しいな~

翌日
「航空母艦、蒼龍です。空母機動部隊を編成するなら、私もぜひ入れてね!」
((((;゜Д゜)))

神は俺の下心を読んでいるというのか……!

久しぶりの茶番回兼伏線回収回です!


後第二章の戦闘部隊はどこの川がいいんでしょうか?良ければオススメなどを教えて下さ~い!お助けを~!
という訳で来週はお休みしますが、その代わりにがばかばなこの物語の設定を投稿します。理由は筆者の事情と前述のアイデア不足のためです。

お待たせしました、どうぞ~


十、手紙

拝啓 母さん

 

 

いかがお過ごしでしょうか、こちらは横須賀鎮守府に着任して早くも一週間が経ちました。最初は緊張していましたが、優しい先輩や友人に囲まれて意外と充実した日々を送っています。

写真を同封しておきますが建造を受けて私は見た目が少し変わりました、髪が薄い緑色になったんです。

写真で私の右隣に写っているのは同型艦で私の姉の艦に当たる空母の翔鶴さんです、とても優しい人で私は翔鶴姉ぇと呼んでいます。本当の姉のように思っています、私に基本を手取り足取り教えてくれました!

写真の左隣に写っているのはルームメイトの夕張です、とても明るくて色々なことを教えてくれました。しかし時々明らかに必要ないだろってことも教えてくれているような気がするのは、気のせいだと思いたいです、、、

それより聞いて下さい!最近私より後に着任した加賀さんという空母がいるのですが、その人がとても無愛想な人で反りが会わないんです。そのせいで仲良くできずいつもケンカばかりしてしまうしてしまうんです、けど加賀さんも私が何度話し掛けても厳しく返して行ってしまうんです。どうしたらよいでしょうか、私的には仲良くなりたいと思っているんですが…

まぁそんなこんなで私の近況報告です、また手紙を送りたいと思っています。母さんは私がいなくて大丈夫ですか?何か会ったらすぐに連絡下さいね、ではお身体にお気をつけて。

あ、あと提督はとてもいい人でしたよ!

 

       水華改め空母「瑞鶴」より

 

検閲部閲覧済み 提督許可受領済み

 

 

 

この手紙を検閲として提督が読んだとき「俺の扱いって…」(´;ω;`)と泣いていたという。

 

 

 

 

「……………」

「どうしたんですか、加賀さん?」

 

ごそごそ、と加賀さんは自分の机からあるものを取り出す。それは大きなファイルだった、表紙は金縁で彩られておりとても優美だった。

そこには縦書きの行書体で

 

「水華の軌跡」

 

と書かれていた、気になる赤城は中を覗くが…まぁ予想通りのものだった。それは加賀さんの娘の今までの成長を記したアルバム、しかし驚異的なのはその量だった、それとなくアルバムの背表紙に赤城は見てしまったのだ。

 

「第一〇八巻」

 

一応補足しておくが瑞鶴はまだ今年で十六歳である、なのに第一〇八巻である。計算すると一年に約十二巻、つまり一ヶ月に一冊のペースでうまっていることになる。

これを読んでドン引きしている画面の前の読者諸兄の皆さん、いま加賀がそっちに向かったので逃げるように。

そんなことはさておき、もらった手紙を大事そうに、本当に大事そうにしまう加賀。しかしやはりただの仕舞いかたではない、何処から取り出したのか分からないがプリンターのような機械が机の上に置かれる。

そして加賀さんは手紙をその中に入れる、しばらくして出てきた手紙ははたして、ラミネート加工されていた。

そしてそれはそれは丁寧にアルバムの中に入れる加賀さん、そして満面の笑みを浮かべる。

(*´ω`*) この顔である

 

「あの、加賀さん?大事なのはわかりますがそこまd―」

「赤城さん何か?」

「いえっ!何でもありません!」

 

言い掛けた言葉を途中で飲み込む赤城、加賀の目を見た瞬間に何も言えなくなった。加賀の顔は笑っていたが、目は全く笑っていなかった、もし何か言おうもんなら数秒後にはあの世でしたというオチが本気で有りそうな次元の目だった。

 

「また、大事な思い出が増えました…」

「………ふぅ」

 

それでも結局は親である、親は皆子供の成長の記録を取って置きたいものなのだ。

 

(加賀さんはそれが少し強いだけ、なんですね。)

 

赤城はしみじみと思った、私もいつか加賀さんの気持ちが理解できるのかな、と。艦娘と言えどもやはり女性なのだ、こんな気持ちなるのだ。

とはいえ、加賀さんのようにになるとしたら少し嫌かな…と思う赤城であった。

 

「赤城さん、出撃の時間です。行きましょう。」

「ふふっ、そうですね。」

「?何かついてますか?」

「いいえ、何でもありませんよ。」

(いつか私もこんな家庭を築きたいものです。)

「?」

 

首を傾げている加賀を横目に笑い続ける赤城、全鎮守府の中でもトップクラスの戦力の横須賀鎮守府、しかしそこには鎮守府の外とあまり変わらない日常がそこにはあったりする。

 

 

 

 

 

 

 

ところかわって同じ頃

 

都内某所の喫茶店内に男が二人

 

「……………」

「大丈夫、今日は俺の奢りだ。」

「ヒャッハー!食って食って食いまくる!!」

 

そう言って食事にがっつくのはT督、そう瑞鶴の父親である。若干ドン引きしながらももう一人の男――横須賀鎮守府提督は話を切り出す。

 

「なぁ、今現在の艦娘に関する世論の動きはどんな感じなんだ?」

「ふぉうだな……ふぃまふぇんふぁいは」

「とりあえず飲み込んでから話せ。」

「んぐっ、ぷはぁ~~。いまんとこ…っていうか今までもだが相変わらず艦娘擁護派が圧倒的多数を占めてる。まぁ殆どは若者達に感化されたからだがな、職業としての女性からの憧れと男性からの容姿に関しての絶賛が合わさった結果だな。」

 

T督は軍を退役した後は軍人時代にためた金額と退職金を合わせると一生遊んでも困らない金額だったので株でもしようかな~、と当時思っていたのだが………

 

『娘の親がニートって何処の星の王子かしら(笑顔)』

 

と加賀さんに言われて、渋々いや喜んで有名新聞社に入ったのだが、ここでも天才性を発揮し瞬く間に昇進を重ねて今の地位にいる。今の地位とコミュニティそしてこの男の天才性を発揮すればある程度ではあるが世論の方向を操作できる、やはりT督はT督、その天才性は全く衰えていない。

 

「それで今回呼び出した理由だが………」

「それっぽい情報はもう入手済みだ、………首都に関して、だろ?」

「!!………ったくどっから漏れたんだよ。」

 

T督が一気に声を潜めて放ったセリフに提督は驚きを禁じえなかった、このことを知っているのは今のところ私と大本営にいる先輩だ、しかも先輩に関してはこの後に訪ねる予定だったので実質的に知っているのは私だけのはず、やはりこの男には常識は通用しない。

提督は観念して全てを話した。

 

「つーわけだ、………お前に頼みたいことは、もうわかるだろ?」

「ああ、ここまで言われれば嫌でもわかるよ、今の世論がこの状態で良かったな。」

 

今の世論、それは艦娘擁護派が大多数を占めている現在の世論の状況である。艦娘は日本において憲法第九条だなんだと言われているが、意外と国民の男女共に大多数に賛成されているのだ。

その理由としてはまず女性からの圧倒的な人気だろう、若年層からはテレビや写真(と言っても顔が映っている物はないが)で見る艦娘にアニメのヒーローや魔法少女のような憧れを抱き目指すものが殆どだ。

またある程度年を重ねた女性からも志望者が多い、それはひとえに美への憧れだ。加賀さんの建造時に知っていると思うが建造を受けると容姿が変わるのだ、しかもそれは個人差や個性が少しでるもののどれも見目麗しいものばかり。しかも肉体の若返りと解体を受けるまで老化が止まるというオマケつき、これに乗らない手は無い。ちなみにこのせいで見た目幼女や十~二十代なのに実際は五十~六十代という事態が起こりちょっとした社会問題になっている、だが肉体年齢は見た目と変わらないのとかつて戦場に身を置いていたということで大きい問題には発生してない。

次に男性からの支持の理由だが………まぁお察しの通り下心である、ああ男とは悲しい生き物である。

まず提督になりたいという男性が多い、このパターンは三つ。

 

一、平和な海を取り返し、英雄になってやる!

 

二、お国のためにこの身を捧げよう

 

三、艦娘とハーレム作りてぇーーー!!!

 

次に提督志望の男性以外の男性からの支持の理由だが………出回らない艦娘の顔を妄想し、一目会ってみたいと言うオタクやマニアなどが急増中なのだ。一部のアクティブなオタクは戦闘区域に単身乗り込んでくることもある、まぁそれで生きて帰ってこられたかはお察しの通り。

 

 

まぁそんなこんなで今世間は全体的に艦娘を援助する姿勢なのである。

 

その後その頼みの具体的な方法を話し合った後に二人は別れた。

 

「そういえばお前なんであんなに金のことを気にしてたんだ?」

「加賀さんに家族の銀行の口座の暗証番号を変えられて、クレジットカードもストップされた。だから次の給料日まで一文無し…………」(´・ω・`)

「ドンマイ………」

 

 

 

 

 

数時間後 東京六本木

 

ここには防衛省がある、だが深海棲艦の出現に伴い同地に別に大本営が建てられている。その大本営の建物の中の一室で提督はある男を待っていた、やがてそのに男は唐突に現れる。

 

「おう、待ったか?」

「いえ、全然。お変わりないようですね、先輩。」

 

その男は顎に無精ひげをはやした男だった、大柄で引き締まった体つき、しかしその目は深い知性を感じさせた。隣には秘書艦と思われる不知火が控えていた、この男こそT督と提督の両名が尊敬する唯一の人物である先輩、本名「海田 源十郎(かいでん げんじゅうろう)」である。

 

「さて、今日の要件は二つだったな。」

「ええ、ですがそのうち一件はオマケのような物ですのでささっと済ませましょう。」

 

そう言って懐から一束の書類を取り出す提督、それは銚子鎮守府から失敬してきた書類「人間男性装着型艤装開発資料」であった。その書類を見た瞬間、僅かに海田の目が見開かれたのを提督は見逃さなかった。

 

「単刀直入に言います、これの開発と試験及び実装をウチでやる許可が欲しいんです。」

「………面白いな、いいだろうこちらからは言っておく。好きにやれ。」

「先輩………!!ありがとうございます!」

「世辞はいい、本題に入れ。」

 

つれないなぁ、と思いながらも言われた通りに本題へ入る提督。同行させてきた大和から分厚いA4サイズの封筒を受け取り、その中身を取り出す。出てきたのはホッチキスで止められた三束ほどの書類だった。

 

「………?これがどうかしたのか?」

「順を追って説明しましょう。」

 

まず提督が取り出したのは「深海棲艦出現記録」と書かれていた書類束だった、これは文字通りここ数ヶ月の深海棲艦の出現日数の記録とその進路と予想される敵の目的だ。

 

「この資料の中では、最近の深海棲艦はなぜか日本の排他的経済水域内での活動が沈静化してきています。」

「それは逆に日本近海から深海棲艦が居なくなってきている、ということではないのか?」

「しかし、その少ない深海棲艦の動きが妙です。」

「妙、とは?」

「この資料内では二種類の動きしか見られないのです、一つは大艦隊で日本から離れるルート、もう一つは四隻以下の艦隊で日本に向かうルートです。」

「確かに、だがこれだけではな……」

「そこで、次の資料です。」

 

そう言ってまた大和から封筒を受けとる提督、こちらの封筒は前の物より薄い。取り出した資料には「深海棲艦艦種割合」と書いてあった、この資料は深海棲艦の艦種及びその詳しい種類と近年確認された鬼級や姫級の出現記録を記した物で、現在も更新されている。

 

「この資料でここ一ヶ月の出現艦種を調べた所、先程言った日本から離れるルートを通る艦隊には必ず輸送ワ級が四隻以上も含まれています。逆に日本に向かうルートには潜水カ級、ヨ級、ソ級で編成された艦隊が向かっています。」

 

ここで補足しておくが輸送船は人類にとっても深海棲艦にとっても戦力になり得ない、深海棲艦側はelite個体になると別だが。そのelite個体も日本から離れるルートには含まれて居ない、つまり戦力にならない個体を四隻も引き連れているのだ。

 

「それはただ撤退の為に資源を移した、と考えられないのか?」

「確かに、ですがこう考えればどうでしょうか?」

 

鋭い目をする先輩にもうわかっているくせに……と思いながらも続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦隊決戦の為に資源を集中させている、と」

 

 

 

「ほぅ……面白い考えだ、だが根拠が弱いな。」

「そこで銚子鎮守府からの資料です。」

 

そこで提督は最後の資料を取り出す、それは「全鎮守府合同大規模演習 鎮守府別行動割り当て」と書かれた書類。

 

「なるほど、これなら決定的な証拠だな。」

「ええ、先輩は上を動かす為のブツが欲しいのならこれで大丈夫なはずです。」

 

全鎮守府合同演習、それは日本が国外の要人を招待して全鎮守府による大規模演習をみせるというものだ。これにより各国に艦娘の重要性を理解させ、日本の艦娘を自国の護衛手段として選んでもらうという目的がある。

銚子鎮守府の提督がこれを持っていても何の違和感も無いように思えるが、実はこの割り当ての資料は大本営の上層部のみが知ることを許されているのだ。

というのもこのイベントはテロなどを防止する為に直前まで日程と開催地が知らされないのだ、それを深海棲艦にリークされたということはかなりマズイ。

なぜかというとその合同演習時には全ての殆どの上位鎮守府がもぬけの殻になるということなのだ、その時は各国の要人を守る手はずはあるが東京を守る手はずなど考えられてもいない。

 

「だがそれが分かったところで大規模演習は中止にできん、それに今回の開催地は佐世保だ、距離が遠すぎる。」

「ですので、逆にこちらは小規模の艦娘部隊で応戦しましょう。」

「対応できるのか、深海棲艦の大部隊相手に?」

「そのカギは先日の事件です。」

「と、いうと?」

 

提督は東京の地図、それも湾岸地帯の物を取り出した。東京に住んでいる読者諸兄はわかるかもしれないが東京は湾岸に限らず都心部にも川が入り乱れている、それこそ「迷う」ぐらいに。

そして深海棲艦、艦娘は共に水の上で活動できる、そう海の上だけではなく川でも活動できるのだ。本物の軍艦ならば無理だろうが人間と変わらないサイズの艦娘には容易である、しかしそのことと対応できる根拠に何の関係があるのか、そこはわからない先輩だった。

 

「先日は本島の近くに空母主体の艦隊が出現、これを我が横須賀鎮守府が殲滅しました。」

「それは聞いている、それがどうしたのか?」

「恐らくあれは東京の地形を調査する為の部隊だったのでしょう、しかしそれは阻止された…」

「なるほど、考えたな貴様も………」

 

提督達は理解が出来たが、出来てない人の為に説明する。先日瑞鶴の初陣となった空母部隊、それは入り組んだ東京の地形を調査するための艦載機を搭載した者だった。しかしそれはご存知加賀さんと瑞鶴所属の横須賀鎮守府第四艦隊が撃破、つまり東京の地形情報はまだ敵に知られていないのだ。

それならば地形を熟知した精鋭を集めれば対応できる、そう考えたのだ。

 

「だが周辺の住民はどうする……と言ってもそれが俺への頼み事なんだろう?」

「察しが良くて助かります、先輩には上層部に掛け合い避難の手筈をお願いします。」

「よし分かった、まかしておけ。それと横須賀だけでは心許ないだろう、呉のほうにも打電しよう、『彼女』とも会いたいだろう?」

「お心遣いに感謝します、首都が侵攻されることに関してはT督が世論を調整してくれるように頼んでおきました。」

 

そう、避難の際に深海棲艦が現れると知った一般人がパニックを起こさないとも限らない。なので提督はT督に深海棲艦が攻めてくるかもしれない、という事をそれとなく世間に浸透させてもらうように頼んだのだ。

そして呉からの増援についてとのことを話し合い、二人は別れた。

 

 

 

 

 

 

 

全鎮守府合同大規模演習及び深海棲艦の東京襲撃まであと一ヶ月………

 

 

 

 

 

第一章    完

 

 

 

「久しぶりね、提督。」

 

「そうか、あの子がか……」

 

「貴女、不幸と不運を間違えてない?」

 

「三、二、一……来ます!!」

 

「隅田川に敵艦隊ですって!?」

 

「一航戦の実力、魅せてあげる。」

 

「俺は勝てる賭けしかしないんだ。」

 

「フフ、ミ~ンナ消シテアゲル……」

 

「戦闘は司令室で起こってるんじゃない!現場で起こってるんだよ!」

 

 

次章 踊る大規模作戦~東京湾を封鎖せよ!~

 

 

 

 

 

 




皆さんこんにちは、大和です!
ついに一章も終わりです、まだまだ謎が多いこの物語ですが飽きずに最後まで読んで下さると幸いです!
………こんな感じでいいんですか?

「ああ、お疲れさん。」

わかりました、それでは準備を始めますね。

キィィィ………パタン

「これで、とりあえずは終わったな。後は明石にあれを頼んだら一区切りだ。」




次回、作戦会議



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